面倒事は勝手にやってくる
僕は面倒事が嫌いだ。
バイトの延長然り、学校行事然り
だからこそ、できる限り、面倒事には巻き込まれないようにひっそりとしていたはずななのに。どうして君たちは僕をこうも困らせるんだ…!
「頼む白銀!お前の力を貸してくれ!」
「頼むよ白銀君」
「……お願いします白銀さん」
どうしてこうなった……
この日の僕は、バイトも無く、いつも通りバイト先のカフェでマガジンを堪能するはずだった。そのはずだったんだが
「白銀さん、付いて来てください」
「申し訳ないけど、ちょっと付いて来てもらっていいかな?」
「別にいいだろ、白銀!」
できるなら関わりたくないランキング上位のメンバーが僕を包囲していた。
どうやらオカルト研究部の部長さんが、面倒事に見舞われているらしく、何時の時代の不良かわからないが、戦って勝敗を付けることになったらしい。そこで僕にオカルト研究部の助っ人として参加してほしいらしい。
正直に言います。勘弁してください。
馬鹿じゃないの?いや、やっぱ馬鹿じゃないの?今まで生きてきて碌に喧嘩もしたことないような一般ピーポーを助っ人として呼ぶなんて。そんな事に時間をかけるくらいなら闇討ちなり、なんなりして勝てばいいんじゃないの?絶対に負けられないならそれなりのやり方をすればいいんじゃない?CODE:BREAKERみたいに目撃者を完全に消せば完全犯罪できるよ?だから僕を巻き込まないでください。そう言う力技得意でしょ、君のところ部長さん。
「いやいや、事情はよく分からないけど何故僕に話が回ってくるの?」
「白銀!部長から聞いたぞ!白銀は滅茶苦茶強いんだろ?頼む、力を貸してくれ!」
元凶は貴様だったか紅髪!
「勘違いしているようで悪いけど、僕は別に特別腕が立つわけじゃないよ」
いやだって、乱丸とか捜し者の力勝手に使ってるだけだもん。別に僕の力なわけじゃないし、二人とも作中トップクラスの実力者よ?弱いわけないじゃん。
「謙遜は良くないよ。あの時、一瞬で僕の意識を刈り取った君が弱いはずがない。僕からも頼むよ」
いや、そら乱丸さんがやったことやからね。君と生きてきた時代が違うわけですよ。刀一つで世の中ひっくり返そうとする人だよ?潜った修羅場が違うんだよ。それに強いからといって、他人を助っ人として呼ぶなよ。てか巻き込むな。
「しつこいな、君たちは僕が強いから助っ人として誘おうとしているけどさ、その前にやることがあるだろ」
僕がそう言うと二人は何の事だろう、っと言う表情をする。うん、兵藤はその時居なかったし知らなくても仕方ないけどさ。君は違うよね?
「僕は君達から一度謂れのない襲撃を受けているんだ。そんな君らに何で僕が協力をしないといけないんだ?それに最近の周囲の視線、君たちが僕を監視しているんだろうけど一体どういつもり?」
「そ、それは……」
僕の言葉に口籠る木場君。正直、いきなり襲い掛かったことに対して謝罪も一切なし、強さが分かった途端手のひらを返すなんて自分勝手な奴だって言ってるもんでしょ。塔城さんは一応謝りに来たからいいとして。部長さんは論外でしょ?だって
「第一、助っ人として参加してくれって言ってるけどさ、それって普通あの部長さんが言いに来ることなんじゃないの?第二に、前回の事について未だに謝罪が無いにもかかわらず、力を貸せって自己中心的にもほどがあるでしょ」
僕は話にもならないと言わんばかりの勢いでその場を去ろうとする。これ以上この場にいたら色々とまずい気がするからね!ぶっちゃけ、もう手遅れ無きがするけど。
「おい白銀!よくわかんねぇけど部長の事を悪くいうな!」
……やっぱ手遅れだった~。お願いだから事情も何も知らない癖に首ツッコんでくるの止めてくれない?事態が収拾しづらくなるからさ。
「それは悪かったね、気を悪くさせたなら後日謝罪するよ。それじゃあ、僕はこれで」
「待てよ!謝るなら明日じゃなくて今から部室に来いよ!俺も一緒に謝ってやるからさ」
君は馬鹿じゃないの?ここまで来てなんで僕がそっちの方に出向かないといけないの?意味が解らないよ……
この手の輩は人の話を否定するだけ否定して、自分は現実味の無い無茶苦茶な綺麗ごとを並べる。正直、一番相手にしたくない相手だ。こういう相手にはまず話が通じない。
「もういいよ……」
「よし!じゃあ今から部室に案内するから――――――」
「勝手に帰るから」
僕は有無も言わさずその場から走り去る。最近、走ってばかりなんだよね。彼らは僕に何か面倒事を押し付けないと気が済まないのかな?
僕は全速力で校内を駆け抜けるが、彼らは僕の走る速度に食いついてくる。特に木場君は速い。単純な速さなら乱丸の身体能力を持つ僕より速い。でも僕の方が迅い!
僕は廊下の角を曲がる瞬間、一時的に加速する。身体能力を今の僕が使えるレベルで、全力で瞬間的に加速する。例えるなら
僕は彼らの視界から消えた瞬間に異能を発動する。異能『絶対空間』、僕は彼らの視界から消えた刹那の間に学校の外まで移動する。正直な話、生命力を消費するこの力はできるなら使いたくなかった。でもああでもしないと逃げ切ることは難しかった。迎え撃てばどうにかなるかもしれなかったけど、これ以上暴力沙汰は勘弁したかった。
僕は逃げるようにバイト先のカフェに走る。
さあ、エデンはもうすぐだ!待ってろよマガジン!今日こそゆっくりマガジンを堪能するんだ!
この時、僕は異能の力に過信して、肝心なことを見落としていた。あの場に、一人、途中から立ち去った人物に。
「……どうも」
「勘弁してくれ………」
そう、残念なことに既に回り込まれていた。
僕は絶望に打ちのめされ、目の前の現実を否定しようとするが、現実は非情だ。
そこには白髪の少女がもぐもぐとケーキを食べながら僕を待ち伏せていた。