ソードアート・オンライン-君と共に在るために-   作:ちぇりぶろ(休載中)

15 / 88
という訳で15話です。
この話から新キャラが登場します。
どういう展開になるのかお楽しみください。

では、どうぞ!


【15】奇妙な出会い

 2024年08月04日 13時00分 第72層 転移門前

 

 最前線であるこの層に到達して2週間が経過していた。

 現時点でのマッピングは迷宮区前のフィールドに留まり、

 今日これからオレは()()()と一緒に迷宮区を攻略しに行く。

 待ち合わせの時間にやってくると街の人達が何故か慌ただしい。

 NPCではなくプレイヤーのようだ。

 そんな人達を掻い潜り騒動の中心にたどり着く。

 目の前には真紅の鎧に身を包み、神々しさすら感じる盾と長剣を携え仁王立ちでオレを待っていた。

 

 ヒースクリフ「やぁ、タクヤ君」

 

 タクヤ「…もうちょっとナリを潜めるとかしねぇの…ですか?」

 

 目の前の男の名はヒースクリフ。

 血盟騎士団のギルドマスターにして攻略組の頂点に立つ男だ。

 そう云わしめている理由はヒースクリフの防御力にある。

 ボス戦に於いて彼は1度たりともポーション等の回復薬を使用せず、HPバーがイエローまで落ちた事がない。

 オレの記憶によれば25層50層と言ったクォーターポイント、ハーフポイントと呼ばられるどの層よりも難易度が厳しく設定されているボスが相手だろうとその武勇伝には傷一つついていない。

 

 ヒースクリフ「では、行こうか…。

 これからはパーティを組むのだから敬語はなくてもいい」

 

 タクヤ「…そりゃどーも」

 

 オレはイマイチヒースクリフに対して良い印象を持ち合わせていない。

 何故かと理由を尋ねられると正直まったく分からない。

 ただ、オレの心がこの男を純粋に拒否しているのだ。

 そんな事を血盟騎士団メンバーに言おうものなら、軽くリンチを受けるか批判、罵声が飛び交う事請け合いだろう。

 オレ達は転移門を使い、フィールドへと出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2024年08月04日 13時37分 第72層 迷宮区

 

 狼型モンスターが数体の群れでオレ達に襲い掛かって来るがオレ達へのダメージはない。

 正確には迷宮区に入る前からオレ達のHPバーは数ドットたりとも減っていない。

 モンスターが攻撃してもヒースクリフの防御力の前では蝋燭に灯った火のように簡単に吹き飛んでしまうからだ。

 ヒースクリフの装備している盾は他のものと違い、ダメージ判定が入る。つまり、長剣と盾の擬似二刀流なのだ。

 これをキリトが聞いたら何と言うか…。

 てか、オレ全然戦闘に加わってないじゃないか。

 

 ヒースクリフ「…流石に迷宮区のモンスターは一筋縄ではいかないな」

 

 てか言いつつも先程から無双状態なのはどこのどいつだと言いたくなるくらい涼しい顔をしている。

 

 タクヤ「…オレの出番ねぇじゃねぇか」

 

 ヒースクリフ「なに…これから奥へ進むにつれてモンスターも強力になってくる。その時こそ君の出番さ、タクヤ君…」

 

 普通街から迷宮区まで最低でも1時間はかかるものと踏んでいたがたったの30分足らずでここまでやって来ている。

 効率がいいのか、単にこの男が強すぎてモンスターが弱く感じてしまっているせいなのかはわからない。

 

 タクヤ「まぁ…早いに越したことはないんだけどな…」

 

 ヒースクリフ「攻略が早ければ我々がこの世界から自由になれる日も早くなるというものだ。それが攻略組の務めとも言える…」

 

 タクヤ「…そうだな」

 

 オレ達はさらに奥へと進んでいった。

 やはり、中盤からもヒースクリフだけでは対処し切れない部分があり、闘拳スキルでそれをカバーする。

 だが、対処し切れないとは言ってもほんの誤差だ。

 これくらいならオレなんかは頻繁におきてるぞ。

 果たしてヒースクリフに連携というものは必要なのだろうか。

 ヒースクリフ1人で攻略組の2割か3割ぐらいの戦闘力を有している。

 その男と連携をとれる者がいるのだろうかと疑問に思ってしまう。

 正直な話、ヒースクリフの無双っぷりを見てしまうとキリトの二刀流やユウキの絶剣スキル…オレの修羅スキルなんかが可愛く思えてならないのだ。

 

 タクヤ「…」

 

 ヒースクリフ「…どうしたのかな?」

 

 タクヤ「いや、なんでもない。

 …ちょっと知り合いに似てたってだけだ」

 

 似ている。

 その立ち住まい、ここではないどこか遠くを見ている横顔…

 俺が世界で1番嫌いな男に。

 

 ヒースクリフ「ほう…?それは興味深い話だな。

 だが、リアルの詮索はタブーだからね…聞かないでおこう。

 今日はこの辺でマッピングを終了しよう…。

 あと2日程やればボス部屋に辿り着くハズだ…

 帰りは君が前衛をやってくれたまえ」

 

 タクヤ「そんぐらいしないと一緒にいる意味があんまなくなるからな…。まかせろ」

 

 オレとヒースクリフは前衛を交代して来た道を引き返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2024年08月04日 18時16分 第55層 グランザム

 

 ヒースクリフ「ではまた明日、同じ時間同じ場所に集合してくれ」

 

 タクヤ「うーい…」

 

 オレは簡単に挨拶を済ませてグランザムの転移門に向かった。

 商店通りを抜けて中央広場まで来るとプレイヤーが大いに盛り上がっていた。

 何事かと人混みの中に入り込み先頭へと出た。

 

「誰かワシと決闘(デュエル)するモンはおらんのかァァァ!!」

 

 いきなりの怒声につい耳を塞いでしまう。

 見た目はアンダーシャツを纏い、ボトムもシンプルな革製でブーツ等は履いてなく空手の選手かと思いたくなるようなものだった。

 

「よっしゃぁぁ!!次はオレが相手だ!!」

 

「いいぜ!!()()()はわかってんじゃろうなぁ?」

 

「おうよ!!こっちも()()がかかってるからな!!

 本気でいかせてもらうぜ!!!!」

 

 タクヤ「ルール?賞金?」

 

 ふと、目をやると立て札にルールと賞金の記載がされていた。

 ルールは初撃決着モードで行うものとして挑戦者は武器なりアイテムなり使ってもよいらしい。

 但し、ホークは武器もアイテムも使わないものとする。

 どちらかが降参(リザイン)するか時間切れ(タイムアップ)するまで勝負はつかない…。

 といった具合だ。

 立て札を読んでる間に決闘(デュエル)にも動きがあった。

 挑戦者の大柄な男が両手斧をホークなるプレイヤーに振り回す。

 だが、ホークは攻撃には転じずひたすらに躱し続けていた。

 

 ホーク「動きがノロいんじゃないかぁ?おぬし」

 

「くそぉ!ちょこまかと逃げくさりやがって!!」

 

 頭に血が上った男は先程よりも激しく振り回す。

 ホークはそれでも紙1枚の所で躱す。

 

 タクヤ(「あれじゃあいくらやっても当たんねぇな…。

 と言ってもこのまま何もしねぇんじゃ時間切れになるが…」)

 

 残り時間は僅か30秒。男も焦っているのか大振りになってきた。

 片やホークはいたって冷静だ。何かしら秘策があるのだろうか。

 

 ホーク「そろそろじゃな…」

 

「なっ!?消えたっ!!?」

 

 タクヤ「上だっ!!!」

 

 オレの掛け声と同時に挑戦者と観戦者が上を見上げた。

 そこには両腕に青白いエフェクトを纏わせながらゆっくり落ちてきているホークがいた。

 

 ホーク「おしまいじゃあぁぁっ!!!!」

 

 タクヤ「!!?」

 

 オレは目を疑った。そのエフェクトをオレは知っている。

 何度も使ってきた。そのオレが見間違う訳がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 闘拳スキル"双竜拳”

 

 エフェクトが竜を象り挑戦者を一気に覆った。

 男のHPは一撃で半分近くまで削られ勝負がついた。

 

 ホーク「よっしゃぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」

 

 観戦者達は大いに盛り上がる。オレも内心興奮している。

 オレと同じ闘拳スキルを使う奴がいるとは思わなかった。

 

 ホーク「かっかっかっ!!たわいもないのぉ…。

 次やるモンはおらんかぁっ!!?」

 

 タクヤ「じゃあ、オレが…」

 

 ホーク「ここらじゃ見いひん顔じゃがどっから来たんじゃ?」

 

 タクヤ「40層からだ」

 

 ホーク「あーあの花ばっかの層じゃな。

 よし…今日の最後の相手はお前じゃあぁっ!!」

 

 ホークから決闘(デュエル)申請が飛んできた。

 もちろん初撃決着モードでだ。

 オレは迷う事なくYesボタンをクリックする。

 目の前には10カウントが現れる。

 

 ホーク「早く武器持たんかい…」

 

 タクヤ「いや…これでいい」

 

 ホークはしかめっ面をしながらこちらを睨みつけてくる。

 初対面の男が武器も何も装備しないで決闘(デュエル)とは自分が舐められていると思ったのだろう。

 だが、オレはそんな事思ってもないしこれがオレの本来の姿のだから仕方ない。

 

 3…2…1…

 

 ホーク「ふっ」

 

 ホークは先程とは打って変わって先手を取った。

 両拳に闘拳スキルを発動しオレに向かってくる。

 オレは右拳に力を入れ、カウンターを顎に向けて振り上げた。

 

 ホーク「!!?」

 

 タクヤ「まだまだぁっ!!」

 

 オレはホークがよろけた隙をつき、連打でホークを追い詰める。

 流石にホークもこのままやらせてくれる訳でもなくオレの拳に呼吸を合わせ、すかさずカウンターを叩き込む。

 

 タクヤ「ぐっ!!?」

 

 ホーク「うらぁぁぁぁっ!!!!」

 

 ホークは闘拳スキル"双竜拳”を発動させ、オレに襲い掛かる。

 

 タクヤ「…待ってたぜ!!それを…!!」

 

 ホーク「!!」

 

 双竜拳には1つ大きな弱点がある。

 前からの攻撃や防御には強いのだが、両腕を前に突き出してしまっている為、横からの攻撃に弱いのだ。

 オレはその弱点をつき、ホークの横へとステップインする。

 そこでオレは初めて両拳に青白いエフェクトを発生させた。

 闘拳スキル"昇天突き”を発動させる。

 ホークの横腹を捉えたオレの突きはエフェクトを撒き散らしながらホークを貫いた。

 

 ホーク「がっ…」

 

 ホークのHPはイエローにまで一気に落ち、オレがこの決闘(デュエル)を制したのだった。

 

 タクヤ「大丈夫か?」

 

 ホーク「あぁ…。いやぁ参った!!

 まさか、闘拳スキルを使う奴がおるとはのぉ!!」

 

 タクヤ「オレも驚いてるよ」

 

 オレはホークの手を引っ張り上げ、そのまま握手をする。

 

 ホーク「ワシの名前はホークじゃ!!

 ここら辺を拠点にしとるプレイヤーじゃ!!」

 

 タクヤ「オレはタクヤ。

 スリーピング・ナイツってギルドに入ってる。よろしくな…」

 

 ホーク「スリーピング・ナイツ…!!

 お主…もしかして攻略組の拳闘士(グラディエーター)のタクヤとかっ!!?」

 

 タクヤ「あ、あぁ…てか、人前で二つ名はやめてくれ!

 あれ、嫌いなんだよ…」

 

 誰が付けたかも分からない二つ名は1人歩きしてどんどん噂がたっているとアルゴから聞いた事がある。

 やれ、目にも止まらない50連打とかやれ、素手でボスを倒したとか…こちらとしてもかなり不味いことになる。

 50連打なんてそもそも出来ないし、素手でボスには挑むがそれはパーティを組んでいる時だけだし尾ひれがつくにも程がある。

 

 ホーク「なんでじゃ?カッコイイじゃねぇか」

 

 タクヤ「オレはそうはおもってねぇんだよ…」

 

 ホーク「ふぅん…。まぁいい。

 明日もこの時間この場所でやっとるからまた来てくれ!

 次は負けんぞ!!」

 

 タクヤ「あぁ!次も勝つのはオレだけどな」

 

 オレはホークと別れ今度こそ47層のフローリアへと帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2024年08月04日 19時01分 第47層 フローリア マイホーム

 

 タクヤ「ただいまー…」

 

 ユウキ「タクヤ!!おかえり!!」

 

 玄関を開けた瞬間ユウキがオレの胸に飛びついてくる。

 

 シウネー「おかえりなさい。

 もうすぐ夕飯の準備出来ますからくつろいでいてください」

 

 タクヤ「あぁ。いつも悪いなシウネー」

 

 シウネー「いえ、好きでやってますから気にしないでください」

 

 シウネーは正直スリーピング・ナイツの中ではかなりの常識人だ。

 まるで絵に描いたような理想の女性である。

 

 ユウキ「…タクヤ。今何か変な事考えてないよね?」

 

 タクヤ「はぁ!?そ、そんな事考えてる訳ねぇじゃねぇか!!」

 

 ユウキ「それならいいんだけど…」

 

 ユウキの前では余計な雑念は考えない方がよさそうだ。

 特にこれといってやる事もなくダラダラとソファーにもたれ掛かっていた。

 ユウキも隣りで一緒にダラダラしている。

 程なくして夕飯が完成し全員で美味しく頂く。

 

 ジュン「そう言えば今日のヒースクリフ団長との攻略どうだった?」

 

 ジュンが骨付き肉を噛みちぎりながらオレに聞いてきた。

 

 タクヤ「攻略自体は順調だ。

 早くても明日には迷宮区のマッピングが終わると思う」

 

 タルケン「い、1日でそんなに進んだんですか…。凄いですね」

 

 タクヤ「ほとんどアイツがモンスターを寄せ付けなかったんだけどな。オレがいる意味があるのか聞きたい程にな」

 

 みんなにも見せてやりたかった。オレの影の薄さを…。

 

 テッチ「じゃあ、近々ボス戦なの?」

 

 タクヤ「ヒースクリフが決める事だから何とも言えねぇけど多分ボス部屋見つけて1週間以内にはやるんじゃないか?」

 

 ノリ「ひゃ〜!ようやくボス戦だねぇ…腕がなるよ!!」

 

 ジュン「また飲んだっくれて戦えませんでしたってなるなよな…」

 

 ノリ「大丈夫大丈夫!前日は樽1つで我慢するからさ!」

 

 ユウキ「我慢できてないよ?それ…」

 

 ノリには今度ちゃんと言い聞かせなくては攻略にも支障が出てきてしまう。

 オレが言わずともタルケンあたりが言ってくれそうだが。

 

 タクヤ「ご馳走様。美味しかったよシウネー…。

 悪いけどオレは先に休ませてもらうわ」

 

 シウネー「お粗末様です。お疲れ様でした」

 

 オレはリビングを後にして自室へと向かった。

 今日は慣れない事をした為か普段より疲れた。

 ベッドにダイブしてそのまま死んだように眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タクヤ「ん…」

 

 何か手に柔らかい物を感じる。

 気のせいかと寝返りを打つとオレの体が急に重く感じた。

 流石に寝苦しく横目で確認してみるとユウキが馬乗りになって何やらしているようだ。

 

 ユウキ「今のうちに…」

 

 タクヤ「…何やってんだお前は」

 

 ユウキ「えっ!?起きちゃったの…ってわぁっ!!」

 

 ユウキは驚いた拍子に体勢を崩しそのままベッドに転がった。

 オレは時計を確認して見ると深夜の2時を回っていた。

 

 タクヤ「こんな夜中にどうしたんだ?」

 

 ユウキ「えっと…その…一緒に寝ようかなー…って」

 

 タクヤ「一緒に寝たいわりには馬乗りになってたみたいだけど?」

 

 ユウキ「もう…。最後まで言わせないでよ…」

 

 月明かりが窓から差し込みユウキの頬が赤くなっているのを確認した所である程度の察しがついた。

 

 タクヤ「…来いよ。相手してやるから」

 

 ユウキ「…優しくしてね」

 

 オレとユウキはそれから長い夜を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2024年 08月05日 12時30分 第72層 商店通り

 

 オレはまだ重たい瞼を擦りながら待ち合わせ場所へと向かっていた。

 あれから日が昇るまでユウキの相手をしていたせいですっかり寝不足になっている。

 

 タクヤ(「元気ありすぎだろ…あいつ。」)

 

 だが、それも今が充実しているからこその言葉であり、オレにとっても満更でもないのだ。

 まぁ、これからは自粛しないとなと流石に思っているが。

 

 タクヤ「…」

 

 オレは商店通りから少し外れて路地裏へと入る。

 ここから待ち合わせ場所までショートカット出来るがそこまで急ぐ理由もない。

 

 タクヤ「…来たな」

 

 オレは角という角をひたすら曲がり奥深くへと進んでいく。

 ある程度、歩く速度も上げていき次の角を曲がった所で足を止めた。

 すると、後ろから衝撃が加わる。

 オレは()()()()()は分かっていたので後ろを振り返る。

 

 タクヤ「お前誰だ?なんでオレをつけてきた?」

 

 目の前に尻餅をついている女性が1人…。

 商店通りを歩いている時から誰かの視線を感じていたオレは路地裏を使ってその犯人を特定する事を思いついたのだ。

 

「いたたた…。見つかっちゃったか〜。

 上手くやってたと思うんだけどな〜」

 

 女性は悪ぶる事もなく、無邪気な笑顔をオレに向ける。

 服についたホコリを取りながらゆっくりと立ち上がった。

 

 タクヤ「質問に応えてくれ」

 

「そんな恐い顔しないでよ〜。怪しい者とかじゃないからさ〜」

 

 タクヤ「人の事尾行しておいて信じろって言うのが無理な話だ…」

 

 ストレア「だよね〜…。私はストレア。

 ついてきたのはあなたに興味があるから!」

 

 タクヤ「…理由になってねぇような気がするがまぁいい。

 オレは先を急ぐから。じゃあな…」

 

 オレはストレアと名乗った女性をおいて転移門に向かおうとした。

 

 ストレア「待ってよ〜。言ったでしょ?興味があるって!

 私も連れて行って欲しいな」

 

 何を言い出すかと思えば…。

 特に悪意とかそういうものは持ち合わせていないからいいのだが…これは困った。

 

 タクヤ「悪いけどまた今度な。今日は用事が…ぐほっ!」

 

 ストレア「いいじゃんいいじゃん!!連れていってよ!!」

 

 タクヤ「ま、待って…!!締まってる締まってる…!!」

 

 ストレアから去ろうとすると首根っこを掴まれて静止させられた。

 手を離してもらうがこのまま連れて行く訳にもいかず、取れる行動は1つしかない。

 オレは全速力でストレアから去った。

 

 ストレア「あっ!逃げないでよ〜!!」

 

 そんな事言われてもオレにも用事がある訳であって聞き分けのない奴の相手などしていられない。

 だが、ストレアは諦めずオレを追ってきている。

 なかなかのスピードで距離が一向に開かない。

 

 タクヤ「オレに付いてこれるってアイツ何もんなんだよ!!?」

 

 それからしばらく街中を走り回ってストレアを撒こうと躍起になった。

 後ろを振り返るとストレアの姿はどこにも無く諦めたのかと思い、そのまま転移門へと走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒースクリフ「遅かったじゃないか…。どうしたのかね?」

 

 タクヤ「いや…ちょっと…ストーカーに…追われて…」

 

 集合時間には間に合ったものの呼吸は乱れまくりで肩で息をしている。

 

 ヒースクリフ「ストーカーか…。君の後ろにいるのがそうかい?」

 

 タクヤ「は?」

 

 ストレア「やっほ〜追いついたよ〜!」

 

 タクヤ「んなっ!!?な、なんで…!!?」

 

 なんと、ストレアはすぐ後ろにいてしかもオレとは違い呼吸も乱れておらず涼しい顔をして立っていた。

 

 ヒースクリフ「君は?」

 

 ストレア「私ストレアって言うの。

 タクヤに興味があって付いてきちゃった!」

 

 タクヤ「付いてきちゃったじゃねぇよ!!」

 

 ヒースクリフ「タクヤ君…。これはどういう事かな?」

 

 いきなりこんな奴を連れてくれば誰だって疑問に思うだろう。

 だが、1番疑問に思っているのはオレなのだ。

 ストレアは一体何を考えているんだ?

 とりあえずこうなった経緯をヒースクリフに話したがその間もストレアが後ろから連れてけ連れてけと言っている。

 もう帰りたいとすら思ってしまった。

 

 ヒースクリフ「ふむ…。

 大体の事情は分かったが、ここは最前線だ。

 素性も知れない者を一緒に連れていく事はできない…」

 

 ストレア「え〜!!大丈夫だよ〜。

 ちゃんと安全マージンも取ってあるしこう見えても強いんだよ?

 お願いだから連れてって〜!!」

 

 タクヤ「あのな〜…」

 

 ヒースクリフ「…はぁ、仕方あるまい。

 連れていくが足でまといになると判断すれば即帰ってもらうがよろしいかな?」

 

 ストレア「おっけ〜!わぁーい!タクヤと攻略だ〜!!」

 

 タクヤ「ホントに連れていくのかよっ!!…てか抱きつくな!!?」

 

 ヒースクリフ「さっきも言ったが無理だと判断したら転移結晶で帰ってもらえばいい。

 それに、私達も今日までにボス部屋までのマッピングを済まさなくてはいけないからね。今は時間が惜しい。…出発しよう」

 

 納得のいかないまま、オレとヒースクリフ…そして謎のプレイヤーストレアという奇妙なパーティで迷宮区を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2024年08月05日 15時11分 第72層 迷宮区

 

 オレ達は昨日までマッピングしておいた場所まで辿り着きマッピングの続きを開始した。

 ここまでの道のりは昨日と同様ヒースクリフの無双っぷりが炸裂していたが1番驚いたのはストレアの強さだ。

 ストレアは慣れた仕草で両手剣を自在に扱いモンスターを引き寄せなかった。こんなに実力を兼ね備えたプレイヤーが何故今まで人目を集めなかったのか不思議なでならない。

 攻略組に加えても充分に役に立つハズだ。

 

 ストレア「いっちょあがり〜」

 

 タクヤ「…すげぇ」

 

 ストレア「どう?私もなかなかやるでしょ…タクヤ」

 

 ヒースクリフ「驚いたな…。

 ぜひ、攻略組としてボス戦へ参加してもらいたいものだ」

 

 ヒースクリフが他人をそこまで評価するとは珍しい事だが、それだけストレアの実力がすごいと言っているようなものだ。

 

 ストレア「もうそろそろボス部屋に辿り着くんじゃないかな〜?」

 

 タクヤ「え?何でそんな事わかるんだよ?」

 

 ストレア「ん〜…女の勘?」

 

 ヒースクリフ「確かに、迷宮区の規模からすると残りは僅かだな…。」

 

 どうしてだろう。何故か違和感を感じる。

 それが何に対してなのかはわからないが何か…変だ。

 

 タクヤ「ストレアは今まで1人で行動しているのか?」

 

 ストレア「ん〜?そうだよ〜いつも1人でやってるよ〜」

 

 キリトでさえ70層超えた辺りからアスナやオレ達とパーティを組んでいるのにストレアはずっとソロで攻略していたのか。

 

 ヒースクリフ「む?…タクヤ君、ストレア君…。

 どうやら付いたようだぞ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 72層…ボス部屋だ」

 

 タクヤ「来たか…」

 

 ストレア「うわ〜おっきいね〜!」

 

 ボス部屋へと辿り着いたオレ達はしばらく休憩を挟んだ後ボス部屋の中を確認しようと言う事で話が纏まった。

 

 ストレア「タークヤ!!どうしたの?恐い顔して…」

 

 タクヤ「そりゃあ、ボス部屋の前だからな。緊張ぐらいするさ。

 ストレアは全然平気そうだな」

 

 ストレア「そう?あんまり緊張とかした事ないから分かんないけど…今は楽しいよ?タクヤと攻略出来てワクワクしてる!!」

 

 タクヤ「!!…そ、そうか。でも、気は抜くなよ」

 

 ストレア「りょうか〜い!」

 

 どこか間の抜けた返事だったがいざとなればオレとヒースクリフもいるし何とかなるハズだ。

 休憩を終えてオレとヒースクリフは転移結晶を手に持ちつつボス部屋の扉をゆっくり開けた。

 中から冷たい空気が流れてくる。中は暗くまだよく見えない。

 恐る恐る1歩ずつ中へと入っていく。

 

 タクヤ「…寒いな。気をつけろよストレア!」

 

 ストレア「わかってる。まかせておいて!!」

 

 ヒースクリフ「…!!上だ!!」

 

 瞬間、天井から何かが降ってきた。

 土煙を薙ぎ払い出てきたのは巨大なコウモリの姿をしたボスだった。

 

 ヒースクリフ「私が前に出る!

 2人はボスの行動パターンを観察してくれ!!」

 

 タクヤ「まかせろ!!」

 

 ストレア「ボスってこんなにでっかいんだ〜」

 

 ヒースクリフがボスに突撃をかけた。ボスも羽を羽ばたかせ竜巻を発生させる。ヒースクリフは持ち前の防御力で竜巻を防ぐが、

 やはりボスだけあってダメージが入ってしまっている。

 オレはストレアに待機を言い渡しヒースクリフの援護に回った。

 

 タクヤ「スイッチだ!!」

 

 呼びかけと同時に竜巻は消滅し前衛が入れ替わる。

 オレは闘拳スキルを発動させてボスに拳を浴びせた。

 だが、1度攻撃が入れば上空へと逃げてしまい連携が機能しなくなる。

 そして、すかさず竜巻攻撃。

 ヒースクリフの盾がなければオレ達は全滅してたなと思いながら試しに壁を使ってボスに迫ったがやはり高さが圧倒的に足りない。

 

 ヒースクリフ「なかなかやっかいだな。このボスは…」

 

 タクヤ「あぁ…!

 ヒットアンドアウェイで来るから攻撃が間に合わねぇ…。

 あの羽を叩き切ればどうってことないんだろうが…」

 

 ヒースクリフ「私達のHPが半分になるまで様子を見る。

 その間に出来るだけ情報を引き出すんだ!」

 

 タクヤ「了解っ!!」

 

 それから2時間が経過したが特に…行動パターンが変わることもなく5本あるHPバーのうち2本を削った所でボス部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2024年08月05日 18時25分 第72層 転移門前

 

 ヒースクリフ「今日で私とのパーティ期間は終了だ。

 これで皆も君の力の必要性がわかってくれるだろう

 では、またボス戦までの間失礼するよ…」

 

 そう言い残しヒースクリフは転移門でグランザムへと帰って行った。

 

 タクヤ「はぁ…疲れたぁ…。

 あのボス…意外にめんどくせェな…。どうにかならねぇもんか…」

 

 ストレア「ホントだよね〜。

 攻撃しようとしてもすぐ逃げちゃうし〜困ったね〜」

 

 タクヤ「って、お前もいつまでいるんだよ?オレも帰るぜ…」

 

 オレは転移門で40層のフローリアへと転移する。

 

 タクヤ「…」

 

 ストレア「…?」

 

 タクヤ「あの…何やってるんですかね?」

 

 転移しようとすると隣にひょっこりストレアも付いてきている。

 このままだとストレアと一緒に転移してしまうではないか。

 

 ストレア「言ったじゃん!タクヤに興味があるって!」

 

 タクヤ「いや、それは分かったけどホームまでついてくる気か!!?」

 

 ストレア「え〜ダメなの〜!いいでしょ〜?タクヤ〜」

 

 タクヤ「だぁぁぁ!!うるせぇな!!

 分かったよ…連れてけばいいんだろ!!

 …ちょっと待ってろ。ギルドのみんなに連絡するから」

 

 ストレア「へぇ〜…タクヤってギルドに入ってたんだ〜。

 知らなかったよ〜」

 

 タクヤ「?…オレのHPバーの下にギルドタグがあるじゃねぇか。気づかなかったのかよ?」

 

 ストレア「あっ!ホントだ〜!これがギルドタグなんだ〜…。

 初めて見たよ〜」

 

 ギルドタグを見た事ないとかあるのだろうか。

 最前線に挑んでいるプレイヤーはほぼギルドに所属しているものだが、キリトなんかは例外でソロでは流石に厳しいと思うが。

 

 タクヤ「よし…ストレア。行くぞ」

 

 ストレア「は〜い」

 

 こうしてオレとストレアは40層のフローリアへと転移し、マイホームへと目指して歩いて行った。

 この後、地獄がある事をオレ達はまだ夢にも思っていなかった。

 

 

 




どうだったでしょうか?
もう1人の闘拳スキル使いとストレアを出してみましたが
ストレアのお姉さんキャラが上手いこと表現出来ていないんじゃないかって思えてなりません。


では、また次回!
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