ソードアート・オンライン-君と共に在るために- 作:ちぇりぶろ(休載中)
今回は序章という形で書いています。
新キャラも出ますのでお楽しみください。
では、どうぞ!
【22】帰還
暗い…暗い闇の中にいた。周りには当然何も無い。
果てしない闇の中を歩いている。
何も見えない…何も感じない…。
いつ終わるのかもわからない闇をオレは歩いていた。
2024年12月27日 11時00分
「えっと…ここをこう行って…」
ある少女は街にある地図表を眺めていた。
少女は1人で街を歩いた事がない。
外に出る時と言えば学校に行くか、図書館に行く時ぐらいしかない。
ましてや人が込み合い、車も渋滞の波が続いている都会など少女にとってはテレビや雑誌で見るような夢の世界だ。
不釣り合いだと思いながらも少女には行かねばならない所がある。
「やっぱり、1人で来るんじゃなかったなぁ…。
先生に付いてきてもらえばよかった…」
いつもは一緒に付いてきてくれる先生がいたが、今日は用事があったらしく1人で行かざるを得なかった。
それでも、いつも通る道だからだと鷹をくくっていたのが少女の誤算だ。
先生と行く時は車を使用していたが、今日は電車を使ってここまで来た。
電車も何度か乗った事があるし、地図や先生から借りてきた携帯電話も持っている為、油断してしまっていたのだ。
「…どこ…ここ?」
見間違う事なく少女は道に迷っていた。
誰かに道を尋ねようとも考えた。
だが、少女は気が弱く、あがり症も相まって道に尋ねるという行為自体無理な話なのだ。
それでも、聞かねば分からないままだ。
すると、少女に寄ってくる3人の男がいた。
「どーしたのー?」
「もしかして道に迷ってんの?」
「行きたいトコどこなの?」
見るからにチャラそうな男がやって来たが、そんな事少女は知るよしもなく、親切な方達だなと思わず感心していた。
「あの…!横浜市立大学附属病院という所に行きたいのですが…」
「病院?どっか悪いのー?」
「いや、私はお見舞いに…」
「ならさー…これからちょっと俺らと遊ばない?」
「え?あ、いや、だから私は病院に…」
「固い事言わないでさー…行こうぜー?
見舞いなら明日でもいいじゃん!」
男達は少女の言い分など求めていない。
流石に少女も不審に思い、その場を逃げ去ろうとしたが、それを男達が阻んでくる。
「逃げんなよ。俺らと遊ぶだけだろー?」
「け、結構です!!」
「あぁ?」
すると、地図表を背にしていた少女に男は地図表を殴る事で少女の逃亡を精神的に断つ。
「いいから俺らと遊べばいいんだよ」
少女はこの時もやっぱり1人で来るんじゃなかったと後悔した。
先生と一緒ならこんな事にもなっていないし、道に迷う事もなかったのだ。
こんな見知らぬ土地で誰が助けてくれるとも限らない。
遠くに歩いている人達も見て見ぬフリをして、その場を通り過ぎる。
(「どうしよう…なんでこんな事に…」)
「ほら!早く来いよ!!」
男は痺れを切らしたのか少女の腕を強引に掴み取り、どこかへ連れ出そうとする。
少女も必死に抵抗するが、男相手に少女が力で敵う訳もなく、ずるずると連れて行かれる。
(「やだ…!!やだ…!!誰か…誰か助けて…!!」)
叶うハズもない祈りを捧げながら、少女は涙を浮かべていた。
「すみません。何してるんですか?」
聞いた事もない声がまた1つ増えた。
外見から見ると3人の男より背が高く、派手な服ではなく落ち着いた色の物を着込んでいた。
「あ?んだよテメー…」
「彼女…嫌がってるじゃないですか。手を離してください」
状況から見ても青年は少女を助けようとしているようだ。
男の手を青年が掴み、少女から離す。
「離せと言ってるんだ…」
「い、いてててっ!!お前が離せっ!!」
余程の力で握ったのか男は苦痛の表情で手を無理矢理解く。
そして、青年が少女の前に立ち3人の男と対峙した。
「くそっ!!この餓鬼がぁっ!!」
「殺っちまえ!!」
「君は後ろに退がって!」
「は、はい!」
殴りかかってきた男の拳を防ぎ、すぐ様反撃に入った。
顔面に拳骨を貰った男は後ろに吹き飛ぶ。
すかさず、2人の男が青年に襲いかかるが全て空振りに終わってしまい、地面に転がる。
「く、くそっ!!おぼえてろよっ!!」
男達は力の差を感じ、その場を逃げるように去って行った。
「はぁ…。大丈夫ですか?」
「は、はい…。あの、ありがとうございます!
助けてくださって…」
少女は目の前の光景に目を奪われながらも青年に礼を言った。
「いいんですよ。
でも、この辺りはあんな奴らが結構いますから気を付けてくださいね…」
青年は少女に注意をすると、その場を去ろうとする。
だが、少女は自分でも驚くような行動に出た。
「あの!!…助けてもらってばかりなんですが、道を尋ねてもよろしいですか?」
少女は自分は何を言っているのだろうかと驚いた。
先程知らない男達から恐い目にあったというのに…この青年も本性は先程の男達と同じかもしれないと言うのに。
内心そう思っていたが、聞かずにはいられなかった。
青年も鳩が豆鉄砲を食らった顔をしている。
「え?あー…だから地図表を見てたんですね…。
いいですよ。どこに行きたいんですか?」
さっきの男達とは違う安心する声で青年が尋ねる。
「えっと…横浜市立大学附属病院に行きたいんですが…」
「えっ?
「え?」
互いに呆気に取られながらも、2人の行先はどうやら同じ場所のようだ。
「なら、一緒に行きましょうか?
僕、バイクで来てるんですけどそれでよかったら…」
「い、いいんですか!?」
「行く所が一緒ですし、それにここから歩いていくと時間も掛かりますから」
少女にとって何ともありがたい話だ。
少女は青年と一緒に病院へ行く事にした。
青年がバイクを止めている駐輪場まで歩き、ヘルメットを渡され、それをかぶる。
少女にとってはバイクに乗るのですら初めての体験だ。
少し、不安があるが青年から安心するように言われると心が多少落ち着く。
「じゃあ行きましょうか。…えー…」
「あっ!すみません!まだ名前言ってなかったですね…。
私は藍子と言います」
「僕は直人です…。
知り合いからは"ナオ”って呼ばれてるんで藍子さんもそう呼んでください…」
自己紹介も済ませ、いよいよ2人は横浜市立大学附属病院へと向かうべくバイクを走らせた。
2024年12月27日 11時10分 横浜市立大学附属病院
窓から眺める景色はいつも同じものだ。
この景色を見始めてからまだ2ヶ月ぐらいしか経っていないが、それから同じ景色を見ていたらいい加減飽きてくる。
「はぁ…見飽きたなー」
リハビリの開始時間は午後の1時。
それまでやる事がない為、仕方ないと言えばそれまでだ。
「やる事ないし…行こっかな」
車椅子に手を伸ばし、上半身の力だけで車椅子に飛び乗った。
早く下半身も直して外を自由に走り回りたいと思ったが、まだまだそう出来るようになるのは先の話だ。
車椅子の扱いも慣れたもので、いつも通り自分の病室から出て、1階上の階へエレベーターを使って上る。
目的の階につき、いつも通っている通路を渡り、角の病室へとついた。
一応、返事はいつもないがノックをして扉を開き、中に入る。
その病室には点滴を打ち、身体中に電気信号を読み取るパッチをつけて眠りについている青年がいた。
「おはよ…ってもうそんな時間じゃないか…。
今日も来たよ…」
当然、眠りについている青年からの返答はない。
毎日通っても同じ事の繰り返しだが、いつも言っているセリフだ。
青年は別に体にはどこにも異常はない。
正確には、病気や怪我などで入院している訳ではないのだ。
だが、青年は2年前から眠りについている。
体は痩せこけ、今は点滴で栄養を摂取しているがいつまでもこの状態が続けば、青年の命は直に消えてしまうだろう。
その原因になっているのが頭に取り付けている機械のせいだ。
機械の名は"ナーヴギア”。
2年前に
「今日も天気がいいよ?
もうすぐ新年なのに雪とか降ってないもん。
それに4月に入学式だよ!
役人さんがSAOから帰ってきた人達の為に学校を用意してくれるってさ!…だからさ、早く目を覚ましてよ…
少女紺野木綿季は眠っている青年茅場拓哉に返ってくる事のない願いを口にした。
2024年12月27日 11時50分 横浜市立大学附属病院前
直人と藍子は横浜市立大学附属病院へとやって来た。
藍子「はぁぁ…」
直人「大丈夫ですか?」
藍子にとってバイクに乗るとは未知の体験だった。
その疲れは降りた瞬間に一気に表れ、直人に心配される。
藍子「だ、大丈夫です!
今日会った方にそこまでお世話になる訳にはいきませんから!!」
直人「そんな事気にしなくていいんですよ。
エントランスで少し休みましょう。ここじゃ寒いですから…」
藍子は直人に手を引かれながら病院内へと入って行った。
病院内は年末年始だと言うのにそれなりに人が受診やお見舞いに来ている。
備え付けのソファーに腰を掛け、直人が買ってきてくれた暖かいココアを飲む。
直人「ココアでよかったですか?」
藍子「はい!私ココアが好きですから!」
そろそろ体力も取り戻し、受付に行ってパスカードを貰って病室を目指す。
藍子「ナオさんはどなたのお見舞いなんですか?」
直人「兄貴のですよ…。まだ寝てると思いますが…。
そういう藍子さんは?」
藍子「私は妹のお見舞いです…。
そろそろ着替えとか取り替えないと行けませんから」
直人「そうですか。あっ…エレベーター来ましたね」
2人はエレベーターに乗り込み、藍子は12階…直人は13階のボタンを押し、扉が閉まる。
エレベーター特有の浮遊感を感じながらも目的の階まで2人は何も喋らなかった。
12階に着き、藍子が降りる。
藍子「今日は本当にありがとうございました!」
直人「どういたしまして…。じゃあ、さようなら」
藍子「さようなら」
扉が閉まり、直人と別れて妹の待つ病室へと向かった。
藍子「あれ?…空いてる」
妹の病室にやって来た藍子は扉が開いている事に気づき、恐る恐る中を覗くとそこには妹ではなく、その担当医の倉橋がいた。
倉橋「あっ!藍子君…こんにちは」
藍子「こんにちは。…あの、妹は?」
倉橋「それが、私が様子を見に来た時にはもういなかったんですよ…。おそらく、
藍子「あー…ですね」
藍子が来る時は大体妹は病室にいない。
取り敢えず2人は妹がいる場所へと向かった。
side直人_
直人「…また来てくれてたんですか、木綿季さん」
直人が病室に入るとそこには既に紺野木綿季と呼ばれた少女がいた。
木綿季「うん。…ちょっと顔が見たくて…それにやる事もなかったし」
直人「いつもありがとうございます…。わざわざ来てくれて」
木綿季「ボクが好きで来てるんだからお礼なんていいよ!」
直人は木綿季に買ってきたココアを差し出し、向かいの椅子に腰をかけた。
今、目の前で寝ているのは茅場拓哉。
僕、茅場直人の兄に当たる存在だ。
2年前に起こった俗に言う"SAO事件”を終結に導いたのが兄であると向かいに座っている木綿季さんから聞いた。
2人はSAOの中で恋人同士だったらしく、ある程度の事は木綿季さんから聞かされていた。
最後の戦いで僕の2人の兄が戦った事も…。
直人「でも、すごいですよね。
恋人同士だった2人が同じ病院に入院してるなんて…」
木綿季「それを言ったらボクだって驚いたよ。
まさか、死んだと思ってた拓哉が生きてるなんて…。
あの時はそりゃあもういっぱい泣いちゃったよ!」
最後の戦いで2人の兄達は互いにHP…つまり命を絶ち、この世から消滅するハズだった。
長男の茅場晶彦はニュースなどで死亡した事が分かったが、次男の茅場拓哉は今もこうして無事とは言えないまでも生き続けている。
直人「…早く目覚めて欲しいものですね」
木綿季「うん…そうだね…」
頭に取り付けられているナーヴギアは今も尚、起動している。
兄がSAOをクリアした時、SAOに囚われていた人達は1部を除いて無事、脱出する事が出来た。
だが、兄を含めた300名程はまだ眠り続けている。
原因などはまだ分かっていないが、もしこのまま眠り続けるような事があれば最悪の事も考えなくてはならない。
直人「…」
木綿季「…」
初めて木綿季を見たのは先程も話していたように病室で大泣きしていた時だった。
誰だろうと考えるよりまず、兄の為に泣いてくれる人がいたのかと自分の事のように嬉しかった。
茅場晶彦が家に帰ってこず、両親が殺されてしまったあの日から茅場拓哉の日常は壊れ始めたのだ。
どこにぶつけていいのかわからない怒りを街の不良に向け、度々暴力沙汰を起こしていた。
そして、極めつけは茅場晶彦から送られてきたVRMMOゲーム"ソードアート・オンライン”に閉じ込められた事だ。
直人「木綿季さんは本当に兄の事を愛してるんですね」
木綿季「ふぇっ!?え、えっと…うん…」
顔を赤くする様は年相応の表情をしている。
まだ中学生の少女があの世界で剣を取り、凶悪なモンスターと生死をかけた勝負をしていたとは到底思えない。
直人(「…早く目覚めろよ兄さん。兄さんの大切な娘が待ってるよ…」)
そんな事を思っていると扉からノック音が聞こえてきた。
直人「?…先生かな。はーい」
返事をすると扉を開けて現れたのは兄と木綿季さんの担当医の倉橋先生だった。
倉橋「こんにちは直人君。
…やっぱりここにいたんだね?木綿季君」
木綿季「あはは…見つかっちゃったか」
倉橋「毎回言ってると思いますけど病室から出る時は付き添いを頼んでからにしてください…。みんな、心配しますよ?」
木綿季「…すみません」
来てくれるのは嬉しいがやっぱり一言断ってから来てくれるとこちらとしても安心する。
倉橋先生は木綿季さんに厳重注意して病室を後にしようとする。
倉橋「じゃあ私はこれで…あ、木綿季君。
後でお姉さんがここに来ると思うのでよろしくお願いします…」
木綿季「一緒に来なかったんですか?」
倉橋「途中まで一緒だったんですが、着替えなどを取り替えてから来るそうです。ちゃんと、ここの場所は教えてあるので…」
そう言い残して倉橋先生は病室を後にした。
しばらく経った頃にもう1度ノック音が響いた。
木綿季「あ!ボクが出るよ。多分、姉ちゃんだと思うから…」
木綿季さんは車椅子を扉まで走らせた。
藍子「あっ!木綿季!やっぱりここにいたのね!
心配したのよ!」
木綿季「ごめんごめん!さっきも倉橋先生に同じ事言われたよ」
直人「まぁ、立ち話もなんですし中に…ってあれ?」
藍子「え?ナオさん…?どうして…」
木綿季「あれ?2人は知り合いなの?」
藍子「なんだ…ナオさんのお兄さんって拓哉さんの事だったんですか」
直人「えぇ…。苗字を名乗ってなかったからですかね。
拓哉の弟の茅場直人です…」
藍子「あ、木綿季の姉の紺野藍子です。
こちらこそちゃんと名乗ってなくてすみません」
病室に入り、互いに挨拶を済ませ、木綿季さんに諸々の事情を話した。
木綿季「そっかぁ。姉ちゃんも大変だったね…。
今日は園の先生と一緒じゃなかったんだね」
藍子「うん。先生は用事があるとかで今日は私1人で来たの。
そこでナオさんに助けてもらっちゃって…」
木綿季「姉ちゃんも隅に置けないねぇ…。
ナオさんって…ボクよりも親密になっちゃってぇ…」
藍子「ゆ、木綿季!!何言うのよ!!」
直人「まぁまぁ…2人共落ち着いて…」
目の前で姉妹喧嘩をするのもいいが、一応病室の為、なるべく大声は出さないように2人をあやす。
藍子「ご、ごめんなさい…」
木綿季「やーい!姉ちゃんが怒られたぁ!」
直人「一応木綿季さんにも言ったんですが…」
2人を見ていると昔を思い出す。3人で過ごしたあの日々を…。
そんな話をしている間に時刻は正午へと差し掛かっていた。
直人「木綿季さん…そろそろ昼食の時間ですから部屋に戻った方がいいんじゃ…」
木綿季「あ!本当だ!じゃあ、ボクと姉ちゃんはそろそろ行くよ。あっ…姉ちゃんは直人と一緒にいてもいいんだよ?」
藍子「木綿季!いい加減にしないと怒るわよ!」
木綿季「冗談だってば!じゃあ直人!またね!
拓哉も…リハビリが終わったらまた来るからね…」
木綿季さんは別れ際、兄の頬にキスをして藍子さんと一緒に病室を後にした。
直人「…木綿季さんは本当にいい娘だね。
兄さんが羨ましいよ…」
僕も夕方からバイトを入れているので今日はこの辺で病院を後にした。
side藍子_
2024年12月27日 12時30分 木綿季の病室
藍子「タオルと着替えは届く所に置いてあるからね?」
木綿季「ありがとう!いつもごめんね…」
藍子「気にしないでいいわよ…。
あなたは早く体を元に戻す事だけ考えなさい」
私は帰り支度を済ませ、病室を後にしようとした。
木綿季「あれ?もう帰っちゃうの?」
藍子「今からリハビリでしょ?
私はいてもやる事ないし帰って宿題でもするわ…」
木綿季「姉ちゃんも大変だねー」
藍子「何言ってるの?
木綿季も学校に行き始めたら宿題が出るんだから」
木綿季は今の調子でリハビリを続ければ1月中には退院出来るらしい。
今でも、車椅子はあくまで保険であってもう普通に歩くぐらいなら問題ないのだ。
木綿季「うー…姉ちゃんはまたそうやってボクをいじめる…」
藍子「いじめてなんかないわよ…。
早く治して元気になりなさいって言っているの。
じゃあ、また来るわね」
木綿季「ばいばーい」
私は病室の扉を閉めて、1階のエントランスへと向かった。
受付でパスカードを返却し、外に出る。
昼間だと言っても真冬の寒さはどうしようもなく私を襲う。
そして、その寒さのおかげで私はある事に気づいた。
藍子「…どうやって帰ろう」
行きはナオさんと一緒にバイクで来たが、落ちまいとナオさんにしがみついていたので帰り道など頭の中に入っていなかった。
藍子「あー…どうしよう…。この病院バスって出てるかな?」
バス停を探すも、どこにもそれらしいものが見当たらない。
先生は夕方までいない為、迎えを呼ぶ事も出来ない。
携帯電話も通話以外使い方がわからないし、完全に八方塞がりだ。
そんな時、後ろから肩を叩かれ、振り向くとそこにはナオさんがいた。
直人「やっぱり…。帰り道がわからないんですよね?
家まで送りますよ…」
藍子「いいんですか?行きだけじゃなくて帰りまで…」
直人「だから気にしないでって言ってるじゃないですか。
困った時はお互い様です…。さっ、行きましょう」
私は帰りもナオさんのバイクの後ろに乗せてもらう事になり、駐輪場へと向かった。
直人「そういえば、昼ごはんまだですよね?
一緒にどうですか?」
藍子「そういえば…あ、じゃあ!
お礼も兼ねて昼ごはんをご馳走になってください!」
直人「いいんですか?」
藍子「困った時はお互い様です!」
私はしてやったりと思ったがナオさんは別に気に留める事もなく、近くのファミレスへ寄り、昼食を済ませて私の家まで送ってもらった。
side直人_
2024年12月27日 14時30分 陽だまり園
直人「ここ…ですか?」
藍子「はい。ありがとうございました」
僕が藍子さんの道案内でやって来たのは横浜市の星川駅の近くにある孤児院であった。
会話の中にも先生という単語が出て大方予想していたのだが、まさか、孤児院だったとは。
藍子「…驚きましたよね?」
直人「い、いえ!そんな…」
藍子「大丈夫ですよ。
初めてここに来る人達はみんな最初は驚かれましたから。
小さい頃、両親を病気で亡くして身寄りがなかった私達はここに引き取られる事になったんです。
最初の頃は木綿季の前で泣いちゃダメだって頑張ってたんですけど木綿季がSAOに囚われてしまった時は我慢していた分の涙が全部出ちゃいました…」
直人「…すみません!
僕の兄が木綿季さんをひどい目にあわせてしまって…!」
藍子「あ、頭を上げてください!
ナオさんには何も罪はないじゃないですか!
それに、木綿季を助け出してくれたのはナオさんのお兄さんの拓哉さんなんですから…!」
直人「それでも…すみません!」
僕には謝るしか出来る事はなかった。
茅場晶彦がSAOプレイヤーから奪ったものはとてもじゃないが一生懸けても償えないと思っている。
世間からは昔、そのせいで辛い思いを経験しているから分かる。
藍子「私は木綿季が無事に戻って来てくれただけでも嬉しいんです…。だから、顔を上げてください。お願いします…」
直人「…」
僕は顔を上げると笑顔の藍子さんが待っていた。
藍子「ナオさんは優しいですね…。それに責任感もあって…」
直人「い、いやぁ…それだけが取り柄みたいなものですから…」
藍子「今日は本当にありがとうございました。
また、どこかで会いましょう!」
直人「はい。いつか必ず…!」
僕は藍子さんと別れ、バイト先へとバイクを走らせた。
あれからどれくらいの時間が経つのか把握出来ない。
暗闇の中をずっと歩き続けている。
オレは一体どこへ向かっているのか…?
ふと、暗闇の中に1つの光を見つけた。
オレは無我夢中でその光の元へひたすら走った。
光は徐々に大きくなっていく。
あれが出口なのかと期待に胸を踊らせ、地を蹴る。
やがて、光がオレを包み込み、視界が遮られていった。
「どこだ…?ここ…」
久しぶりに声を出したオレがたどり着いたのは、草木が有象無象に生え、巨大な樹木に囲まれた森であった。
見渡してもそれ以外見つけられず、頭上には満月が闇夜を明るく照らしている。
オレはふと、自分の姿を確認すると明らかに現実ではないであろう衣服を身に纏い、背中には1本の剣…極めつけは耳が若干尖っていた。
「ここは一体…」
オレ…タクヤは未知の世界へと足を踏み入れていた。
いかがだったでしょうか?
タクヤの弟とユウキの姉を登場させてみましたがおかしくなかったでしょうか?
病院の場所や孤児院も原作に近くしていますのでよろしくお願いします。
では、また次回!