ソードアート・オンライン-君と共に在るために-   作:ちぇりぶろ(休載中)

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という事で24話ですね。
ALO編も長くやっていきたいとかおもってるのでちょっと、オリジナル展開を挟ませてもらいます。ご了承ください。

では、どうぞ!


【24】再会

 2025年01月20日 ALO内20時20分 シルフ領 古森

 

 森の中を彷徨っていたタクヤの前にある1人のプレイヤーが現れた。

 タクヤはその人物を知っている。

 短い間であったが一緒に行動を共にした事もある。

 タクヤと同じで多少外見は変わっているが見間違える訳はない。

 

 タクヤ「お前は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルクス…か?」

 

 かつて、タクヤがいた笑う棺桶(ラフィン・コフィン)と言う殺人(レッド)ギルドに所属していたルクスが目の前にいた。

 

 ルクス「…久しぶりだね。タクヤもALOにいたんだね」

 

 タクヤ「ALO?…って事はやっぱりここはSAOじゃないんだな?」

 

 ルクス「何を言ってるんだ?タクヤがSAOをクリアしたんだろ?

 あれからもう2ヶ月以上経ってるよ」

 

 タクヤ「…実はな…」

 

 タクヤはルクスに今の自分の置かれている状況を話した。

 最後の戦いで死ぬはずだったオレがいつの間にかこの世界に迷い込んでいた事…、SAO同様未だログアウトが出来ない事を包み隠さずだ。

 

 ルクス「そんな…!!」

 

 タクヤ「だから、今しなきゃいけないのはALO(ここ)から出る事なんだが、その方法が分からねぇんだ…」

 

 ルクス「…タクヤはSAOをクリアしてみんなを助けてくれたと言うのに…なんでタクヤだけが…」

 

 タクヤ「なら、みんなはもう現実に帰れてるんだな?

 それだけでもよかったよ…」

 

 ルクスの話が本当ならきっとユウキやキリト、他の仲間達も無事に日常生活を送っているハズだ。

 タクヤはあの世界ですべき事を成し遂げられた事に安堵した。

 これからは今の状況を打開する為だけに集中出来る。

 だが、ログアウト出来ないという問題は他のどのプレイヤーにも起こり得ていない為、GMに訴えようが冗談かいたずら扱いされて相手にされないだろう。

 

 ルクス「とりあえず、街に行かないかい?

 ここじゃモンスターもポップするし、それにずっとここを彷徨っていたなら体力も残ってないだろう?」

 

 タクヤ「確かにな…。少し疲れたぜ…」

 

 ルクス「近くに中立の街があるから行こう!」

 

 ルクスは立ち上がり、タクヤに手を伸ばす。

 

 ルクス「じゃあ、()()()()()()()

 

 タクヤ「飛ぶ?何言ってるんだ?」

 

 ルクス「あ、そうか…。タクヤはALOの事を知らないんだったね。

 背中に意識を集中してみてくれ」

 

 タクヤは言われた通り背中に意識を集中すると、紫がかった翅が出現する。

 

 ルクス「ALOじゃほとんどの移動はこの翅を使うんだ。

 右手を掴むようにモーションを起こせばコントローラーが現れるから最初はそれを使うといいよ」

 

 タクヤはコントローラーを出現させ、ルクスに操作方法を教わる。

 コツは背中に仮想の骨を動かす感覚で翅を羽ばたかせるようだ。

 

 タクヤ「これ…結構難しいな…」

 

 ルクス「頑張って!」

 

 翅を少し動かすだけでも相当の集中力を用する。

 しばらくして翅の扱いに慣れてきたのか、少しずつだが宙に浮いていった。

 

 ルクス「その調子だよ!」

 

 タクヤ「ぐっ…ぐぐ…!!」

 

 何とかルクスが飛んでいる所まで飛べたタクヤはコントローラーを使って前進する。

 ルクスの案内に従って街へと飛んで行った。

 翅は10分間しか飛ぶ事は出来ず、翅がまた光の粒子を纏ってくると飛べるようになる。

 

 タクヤ「きついけど…すげぇな…!」

 

 ルクス「そうだろう?このゲームの最大の魅力だからね」

 

 久しぶりに再会したルクスと談笑しながら目的の街へとやって来た。

 そこにいるプレイヤーやNPCはどれも妖精のような身なりをしていて、やっぱりSAOではないんだなとタクヤは改めて思った。

 宿屋に入って料理とドリンクを注文し、久しぶりの食事にタクヤは無我夢中になっていた。

 

 ルクス「そんなに慌てなくてもまだたくさんあるから…!!」

 

 タクヤ「何も食べてなかったから手が止まらねぇんだよ!!」

 

 ルクス「え?もしかして…2ヶ月間ずっとかい?」

 

 タクヤは料理を口に運びながらルクスの問に頷く。

 あの森の中ではモンスターは狩って食材がドロップする事はない。

 タクヤが口にしたと言えば、川の水ぐらいだ。

 だから、手が止まらないのも無理もないのだ。

 あれから30分程経過し、タクヤはかつてないほどに満腹になっていた。

 

 タクヤ「はぁ…!食った食った!」

 

 ルクス「…すごいね。全部食べ切るなんて」

 

 ルクスは呆気に取られながらも自分の分の料理を食べ終わり、今後についての話をする事にした。

 

 タクヤ「さて…これからどうするか…」

 

 ルクス「そうだね…。

 もっとプレイヤーのいる所に行けば何か手がかりがあると思うけど…」

 

 タクヤ「人がたくさん集まる場所はどこにあるんだ?」

 

 ルクス「んー…。やっぱり、央都アルンだね。

 この世界の中心だし…、何より()()()()()()()()()がある場所だからね」

 

 タクヤは聞き慣れない単語を耳にし、ルクスにそれを尋ねた。

 ルクスによると世界樹の上には空中都市があり、妖精王オベイロンに最初に謁見した種族だけがアルフと言う高位種族に転生でき、ALOの空を無限に飛べるようになるらしい。

 それを目指してどの種族も目の色を変えて攻略に勤しんでいるようだ。

 

 ルクス「タクヤは翅を見る限り種族は闇妖精族(インプ)だね」

 

 タクヤ「ん?そうなのか?

 全然この世界について何も知らないからなぁ…」

 

 ルクス「大丈夫だよ…私がアルンまで案内してあげるよ!」

 

 タクヤ「いいのか?

 アルンって場所、ここからかなりの距離があるんだろ?

 ここまで連れてきて貰った上にアルンまで案内させるのは悪いよ…」

 

 ルクス「気にしないでくれ。

 私は一刻も早くタクヤに現実世界に帰って欲しいんだ…。

 それに…私もタクヤに助けられたし、今度は私がタクヤを助けたいんだ…!!ダメ…かな?」

 

 タクヤ「そんな事ねぇよ!

 ただ、オレといると昔の事思い出すんじゃないかって…。

 せっかくあの世界から解放されたんだ。辛い事は忘れたいだろ?」

 

 ルクスがタクヤと一緒に行動するとなると少なからず笑う棺桶(ラフィン・コフィン)にいたあの辛い日々を思い出すんじゃないかと考えてしまう。

 誰だって辛い事は忘れたい。ルクスはやっと自由になれたのだ。

 そこに鞭を打つような事、タクヤには到底出来ない。

 

 ルクス「…大丈夫だよ。

 私は自分なりに過去は乗り越えたつもりだから…。

 それに、あの時タクヤに会っていなかったら私は今、ここにはいないと思うんだ。

 タクヤに出会ったからこそ、あの世界でも生きられたし、この世界に足を踏み入れる事だって出来た…。

 だから、タクヤの為なら何だってしてやりたいんだよ…!!」

 

 タクヤ「…わかった。お言葉に甘えて頼らせてもらうよ。

 よろしくな、ルクス…!!」

 

 ルクス「あぁ…まかせておいてくれ!

 なら、翅を完璧にこなせるようになろう。

 歩いていくとすごい時間かかってしまうからね…」

 

 タクヤ「あぁ!」

 

 そうして、タクヤ達は食後の運動がてら森へと戻り、翅の扱い方をルクスに御教授ねがった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side木綿季_

 

 

 2025年01月20日 14時30分 紺野姉妹自室

 

 ボクはログアウトしてから直人とキリトに連絡を取り、集合場所を決めてから再度ALOにログインしようと部屋に戻ると、そこには姉ちゃんがボクのアミュスフィアを持って立ち尽くしていた。

 

 木綿季「…姉ちゃん」

 

 藍子「…何でなの?…木綿季」

 

 振り返った姉ちゃんは目に涙を浮かべながらボクを見つめた。

 

 木綿季「…どうしても行かなきゃいけないんだ」

 

 藍子「何で…?あなたはこれであんな目にあったのよ!!?

 どうしてまた危険な事をしようとするの!!!」

 

 木綿季「それはナーヴギアとは違うよ姉ちゃん!!

 それに…あの世界に…拓哉がいるかもしれないんだよ!!!!」

 

 姉ちゃんはそれでも手を震わせながらもアミュスフィアを離そうとはしない。当然の反応だ。

 実の妹を危険な目にあわせた機械に信頼をおけと言う方が無理な話なのだ。

 姉ちゃんからすればアミュスフィアやナーヴギアは悪魔の機械に他ならない。

 でも、いつまでも手をこまねいている暇などボクにはない。

 最悪の場合、姉ちゃんから奪い取ってでもALOに行かなければならない。

 

 木綿季「姉ちゃん…拓哉は今も現実世界に戻れないまま仮想世界を彷徨ってるんだよ?

 それがどれだけ苦しくて辛い事か姉ちゃんには分かる?」

 

 藍子「でも!だからって木綿季がまた危険な目にあっていい理由にはならないじゃない!!こういう事は大人に任せればいいの!!

 木綿季がやる事じゃないわ!!」

 

 木綿季「ううん…それは違うよ、姉ちゃん…。

 これは…これだけはボクがしなくちゃいけない事なんだよ。

 ボクはSAOで何度も死にかけた。

 その度に拓哉が体を張ってボクやみんなを守ってくれた…。

 自分の命より仲間の命を最優先にしちゃう困った人なんだ…。

 だから、誓ったんだ。拓哉はボクが支える…って。

 互いに支え合っていこう…って。

 だから、行かなくちゃならない…!!

 ボクだけが誓いを違えるような事はしちゃいけないんだ!!

 お願い!!姉ちゃん!!…ボクに、約束を守らせて!!!!」

 

 藍子「…」

 

 姉ちゃんにはとても辛い選択だと思う。

 ボクも姉ちゃんの立場であったらこうするかもしれない。

 姉ちゃんはアミュスフィアをベッドの上に放って部屋を飛び出した。

 すれ違いざまに姉ちゃんの涙かこぼれ落ちているのが見えた。

 

 木綿季「…ごめん…姉ちゃん」

 

 ボクは姉ちゃんを追うことなくアミュスフィアを起動させ、ALOへと向かった。

 

 木綿季「リンクスタート!!」

 

 世界は一瞬で入れ替わり、気づけばログアウトした宿屋に立っていた。

 

 ユウキ「さてと…とりあえずは2人と合流しないとね…!」

 

 宿屋を出てまずはボクと同じ闇妖精族(インプ)にした直人を見つける為、街の中央へとやって来た。

 

 ユウキ「どこにいるんだろ…?」

 

「ユウキさーん!!」

 

 後ろを振り向くと手を振っている髪の毛がツンツンしたプレイヤーがいた。

 

 ユウキ「も、もしかして…直人?」

 

 カヤト「はい!ユウキさんは現実世界(リアル)と似てますね!

 あっ、ALO(ここ)じゃカヤトって名前で呼んでください」

 

 ユウキ「分かったよ!

 キリトは影妖精族(スプリガン)を選んじゃったみたいだからここにはいないけど…ボク達だけでも先に進んじゃおう!」

 

 カヤト「なら、どうします?

 まず、この街で情報収集しますか?」

 

 ユウキ「そうだね!

 それに、初期装備のままじゃアレだから武器屋に行って装備を整えよう」

 

 カヤト「でも、僕達…ゲームを始めたばかりだからこのユルド?…お金がないんですが…」

 

 ユウキ「大丈夫!それならボクがいっぱい持ってるから!!」

 

 ボクはカヤトに所持金の半分の100万ユルドを渡した。

 カヤトは何で始めたばかりでこんな大金を持っているのか驚いたが、ボクのアバターはSAOで2年間もみっちり育ててきたものだ。

 ステータスやアイテムが引き継がれているでしたら当然お金も引き継がれている。

 

 ユウキ「よし!じゃあ行こう!!」

 

 ボクとカヤトは街を歩きながら道行く人達にタクヤの事を尋ねてみたが誰も知らないようだ。

 まぁ、そんな早く見つかるとは思っていなかった為、根気よく探していこうという結論に達した。ならば、もうこの街に用はない。

 武器屋に行って諸々必要な装備やポーション類を買い漁り、なんとかまともな装備を揃える事が出来た。

 

 カヤト「ここが本当にゲームの中なんですか…?

 すごく…リアルですね…」

 

 ユウキ「うん!タクヤとカヤトのお兄さんはすごいよ…!」

 

 カヤト「…ですね」

 

 カヤトの装備はスピード重視で主要武器に両手長柄で副武装に短剣を腰に吊るしている。

 ボクの装備はSAOで最後まで使っていた"ナイトリー・クローク”とよく似たものがあった為、それを購入した。主要武器に片手用直剣を装備する。

 仲間達に見られたらSAOの絶剣みたいだって言うハズだ。

 それはもちろんタクヤがボクを見つけやすいようにする為でもある。

 

 ユウキ「ポーションはこれでよし…ってアレ?」

 

 カヤト「どうしました?」

 

 ユウキ「いやね…買った覚えがないアイテムがあるんだよ …」

 

 アイテムストレージの1番下に"MHCP002”と書かれたアイテムが存在していた。

 1度目のログインをしてからボクはアイテムは全部消去したつもりであったが、まだ消し忘れていたものがあったという事なのか。

 

 ユウキ「…これ」

 

 ボクはそのアイテム名に見覚えがあった。

 恐る恐るアイテムをタップしてみると瞬間、目の前に光を放つ球体が出現する。

 

 ユウキ「うわっ!!?」

 

 カヤト「な、なんですかっ!!?」

 

 あまりの風圧にボクとカヤトはその場に尻餅をついてしまった。

 次第に旧態は勢いを失くし、中に何かあるようだ。

 徐々に外装が綻び始め、中にいたのは1人の女性だった。

 

 ユウキ「!!」

 

「…ん…ここは…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユウキ「ストレア!!」

 

 目の前に現れたのはSAOで仲間だったストレアであった。

 

 ストレア「…また会えたね。ユウキ…」

 

 ユウキ「うん…うん…。会いたかったよ…ストレア…!!」

 

 すると、ストレアは勢いよくボクに抱きついてきた。

 ストレアはSAOでたった2日しか一緒に行動していないがそんな短い時間の中でストレアの無邪気な笑顔と周りのみんなを引き込むような性格で一気に仲は深めていったのだ。

 

 ユウキ「でも、どうしてストレアがここに?」

 

 ストレア「私もよく分かんないけど…ちょっと待ってね〜」

 

 そう言いながら、ストレアはいきなりボクの顔をストレアの谷間へと誘った。

 

 ユウキ「〜〜〜!!!!」

 

 ストレア「…なるほどね〜。このゲームはSAOのコピーだね。

 基幹プログラムが全く一緒だもん!」

 

 ユウキ「〜〜〜!!!!」

 

 カヤト「あ、あのっ!!ユウキさんが…」

 

 ストレア「ん?君だ〜れ?タクヤは一緒じゃないの?」

 

 ユウキ「〜〜…ぷはぁっ!!!!…ハァ…ハァ…死ぬかと思った…」

 

 ストレアに会えたのは嬉しいが危うく殺されるところであった。

 ストレアの胸は人を窒息死出来る程大きい。

 現実世界(リアル)でもまだまだペッタンコなボクから見たら羨ましいの一言に尽きる。

 

 ストレア「ね〜ユウキ〜。タクヤは〜?」

 

 ユウキ「…タクヤはここにはいないんだよ」

 

 ストレア「?」

 

 噴水の近くのベンチに腰をかけ、ストレアに今までに起きた事や今しなくちゃいけない事を伝えた。

 

 ストレア「なるほどね〜。

 じゃあ、私がここにいる理由も分かったかも…」

 

 ユウキ「どういう事?」

 

 ストレア「私はカーディナルに消去される前にタクヤのナーヴギアのローカルメモリーに保存されたんだけど、一緒にアイテムもオブジェクト化したでしょ?

 それがこのALOで私が現出出来た理由だと思う。

 ここには私を消そうとするカーディナルはいないしね」

 

 カヤト「えっと…じゃあ、ストレアさんはこの世界で言うNPCの位置づけでいいんですか?」

 

 ストレア「そだよ〜。

 あっ!でも、ちゃんと戦闘も出来るから安心してね」

 

 ストレアが加わった事はタクヤを探す上でこの上なく頼りになる。

 ストレアの強さはボクに引けを取らない。

 

 ユウキ「じゃあさっそく次の街へ行こう!!」

 

 カヤト「それなんですが、さっき聞いた所によるとこの世界の中心の央都アルンという街でなら何か聞けるかもしれない…と」

 

 ストレア「じゃあ、早速そこに行こうよ〜…って君誰?」

 

 ユウキ「あっ!忘れてた!こっちはカヤト。

 現実世界(リアル)じゃタクヤの弟なんだ!」

 

 ストレア「えぇっ!!タクヤに弟なんていたの〜!!

 すご〜い!!でも、よく見るとタクヤに似てるかな〜」

 

 カヤト「ど、どうも…」

 

 カヤトもストレアの無邪気さには驚いているだろう。

 ストレアは誰にだって優しいし、誰にだって本音が言える女性だ。

 カヤトもすぐに慣れるだろうし、今はアルンへ向かう事が先だ。

 

 ユウキ「じゃあ、地図も買っておかないとね。

 後、ストレアの装備も揃えなくちゃ…!!」

 

 ストレア「わ〜い!!」

 

 こうして、ボク達3人は商店通りへ戻り、地図とストレアの装備を買いに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 sideタクヤ_

 

 

 2025年01月20日 ALO内21時35分 中立域フィールド 古森

 

 ルクス「後、2時間ぐらいでルグルー回廊に着くハズだ」

 

 タクヤ「ここの時間設定は現実と同期してるのか?」

 

 ルクス「いや、今は現実世界(リアル)だと午後3時すぎだね。

 ルグルー回廊を過ぎたら中立の鉱山都市があるからそこで休憩にしようか」

 

 オレ達は古森と言われるフィールドを飛行と歩行を交互に使い、ルグルー回廊を目指していた。

 何でも央都アルンに行くにはルグルー回廊を抜ける以外に道はないらしい。

 

 タクヤ「そっか。

 そう言えばこの世界ってどういう設定してるんだ?」

 

 ルクス「そうだね…。ALOは妖精の世界をコンセプトにしているよ。

 そして、ここには9つの種族の妖精がいるんだけど、決して仲が良い訳じゃないんだ。

 その時の状況にもよるけど、普段は互いに敵対し合ってるね…。

 風妖精族(シルフ)は近々、猫妖精族(ケットシー)と"グランド・クエスト”に向けて同盟を組むらしいけど…」

 

 タクヤ「ふーん…。

 ファンタジーなくせして結構ヘビーな設定だな

 となると、このゲームはPvP推奨か?」

 

 ルクス「あぁ。

 しかも、自分の種族の領地じゃない所ではその種族のプレイヤーに一方的に攻撃されるから注意してくれ」

 

 聞くからにマニアックな設定を織り込んだものだ。

 だが、それを差し引いてまかり通るのは"空を飛べる”だからか…。

 まぁ、今のオレの状況じゃ正直その設定があろうがなかろうが関係ない。

 今のオレも9つの種族の内の1つなのだろうが、オレは来たくてここに来た訳ではない。

 

 ルクス「タクヤは…あれからどうしてたんだい?」

 

 タクヤ「あれからって…討伐作戦の後か?

 そうだな…。いろいろあったよ…。

 仲間になった奴はすぐにどこか行ったりもしたし、血盟騎士団団長にはコテンパンにやられたしな」

 

 ルクス「…そうか」

 

 タクヤ「でも、ここにルクスもいたら…っていつも思ってたぜ?

 みんなとも仲良くなれると思うし、料理とかユウキと一緒にしたら楽しそうじゃないか?」

 

 ルクス「確かにそれは魅力的だ…。

 でも、私は自分が弱いせいであんな事になったんだ…。

 もし、タクヤの言葉に甘えていたら一生後悔してたと思う」

 

 ルクスの横顔はどこか寂しそうで今にも消えそうなロウソクの火のように儚かった。

 

 タクヤ「ルクス…」

 

 オレは討伐作戦が終わってから、ルクスを解放してくれと頼んだがルクス本人がそれを拒否してしまった為、それは叶わなかった。

 グウェンはグウェンで自ら進んで監獄へと入ったと聞く。

 2人がどんな思いであの場所にいたのか、オレには知る術がなかった。

 

 ルクス「でも、今は大丈夫だよ…タクヤ…。

 確かに、あの世界で私は大切なものを失くしてしまった。

 でも、タクヤが諦めないであの世界を終わらせた事を知った時、胸が熱くなって…嬉しかった…。

 タクヤも前を向いて頑張ったんだ…って。

 だから、私も前を向いて生きよう…ってそう思えるようになった」

 

 タクヤ「…オレは別にそんな…」

 

 ルクス「君のおかげで今のボクがいるんだ。

 それだけは忘れないで欲しい…」

 

 タクヤ「…あぁ」

 

 ルクス「あっ!タクヤ!ルグルー回廊が見えてきたよ!」

 

 いつの間にか古森を抜け、ルグルー回廊に到着していた。

 今が夜の為、回廊内はさらに暗くなっており、どこまで続いているのすら分からなかった。

 

 ルクス「タクヤは魔法については知ってるかい?」

 

 タクヤ「魔法?」

 

 妖精の世界が舞台なのだからあるであろう事は予想していたが、それを使えると聞かれたらそうではない。

 ルクスに魔法について聞いて、闇妖精族(インプ)が使える魔法の中で初期魔法に設定されていたものがあった。

 どうやら暗視効果が言ってい時間付与されるようだ。

 魔法の詠唱をカタコトで唱える。

 すると、さっきまで何も見えなかった回廊内がどんどん明るくなっていった。

 

 タクヤ「うわぁ…すげぇな」

 

 ルクス「ALOじゃSAOみたいにソードスキルはないけど代わりに魔法があるんだよ。

 種族によって覚えられるものは違うけど、この先も何かと使えるから簡単なものでも覚えておいた方がいいかもしれないね」

 

 タクヤ「オレ、昔からこういう英単語覚える系は苦手なんだよなぁ…」

 

 オレがまだ学校に通っていた頃は、英語は苦手科目に位置づけられており、試験でも度々赤点を取る始末だ。

 まさか、ゲームの世界で苦手分野が出てくると思っていなかった俺は肩を落とし、ため息をつく。

 

 ルクス「まぁ、無理に覚える必要は無いよ…。

 必要な時が今後も出てくるって話だから…」

 

 タクヤ「それはつまり結局は覚えろって言ってるようなもんじゃねぇか」

 

 ルクス「あ…」

 

 とにかく、魔法については後で考えるとしてオレ達はルグルー回廊へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 sideユウキ_

 

 

 2025年01月20日 ALO内22時10分 インプ領 湿地林

 

 地図とにらめっこしながらボク達はルグルー回廊へと向かうべく、湿地り野中をひたすら歩いていた。

 空を飛んで行こうとも考えたがボク達は今日ここにやって来たばかりでまだ空を自由に飛べる程練習が出来ていない。

 それに、仮に空を飛んでいくともしかしたら近くにタクヤがいるかもしれないし、そうなったら探し出すのが不可能なので仕方なく歩いている時代だ。

 

 ユウキ「それにしても…現実と時間があってないってめんどくさいね…」

 

 カヤト「え?そうですか…?」

 

 ストレア「うわっ!?あ〜ん!!また沼に落ちた〜!!」

 

 インプ領のこの湿地林を抜けない限りルグルー回廊へは渡れない。

 本当はもっと別の場所からでもいけるようだが、その中でルグルー回廊が1番近いのだ。

 

 ユウキ「だってさー…現実と同期してたら今は昼でしょ?

 つまり、夜より見晴らしもよくなるじゃん」

 

 ストレア「まぁ、SAOは設定上時間を同期させてた方がいいっていうのもあったしね〜」

 

 カヤト「ゲームによって違うんですね…あっ!

 前方にモンスターがいます!どうします?倒しますか?」

 

 ユウキ「極力モンスターとの戦闘は避けたいかな…。

 カヤト、どれくらいいるかって分かる?」

 

 カヤト「えーと…。数は分かりませんが結構いますね…」

 

 ストレア「じゃあ、戦闘は避けなれないね〜。

 私が先陣切るから2人は撃ち漏らしをよろしく!」

 

 ストレアは両手剣を抜き、足場が悪い湿地林を走る。

 足場が悪い為、普段より遅くなってしまうが前方にいるモンスター郡は全て蜂型の為、遅くても大した問題ではない。

 ストレアは両手剣を振りかざし、1匹ずつ丁寧に倒していく。

 何匹かボクらの方へ逃げてきたが、難なくモンスターをポリゴンへと四散させた。

 

 ストレア「お疲れ〜」

 

 ユウキ「カヤトすごいね!初めてゲームした人とは思えないよ!」

 

 カヤト「そ、そうですか?」

 

 カヤトの戦闘には無駄がない。

 全ての動作が攻防一体となっており、全ての動作に1手2手と考え尽くされている。

 現実世界(リアル)で何か、スポーツや武道でも習っているのか聞いてみると、昔から空手をやっていたらしい。

 

 カヤト「さっきのも実は空手とか太極拳に近いものなんですよ。

 もっとも、これを始めたきっかけは拓哉兄さんにありますけど…」

 

 ユウキ「え?タクヤって何かしてたの?」

 

 カヤト「ボクが中学入るちょっと前ですかね…。

 ボクシングジムに通うようになってそれを見てカッコイイなぁって…」

 

 ストレア「子供の頃のタクヤって可愛かったんだろうな〜」

 

 ユウキ「ちょっとヤンチャでしたね。

 いや、あれはちょっとのレベルかな?」

 

 カヤトの話を聞くかぎり、昔はタクヤもわんぱく坊主だという事を知った。

 少しだけボクの知らないタクヤを知っていて羨ましかった。

 

 ユウキ「ストレア、あとどれくらいで着きそう?」

 

 ストレア「う〜ん…。まだかなり距離があるみたい。

 このペースだと1日中進まないと着かないかも〜」

 

 ユウキ「まだ、そんなにあるんだ…」

 

 カヤト「ユウキさん。気持ちはわかりますが森先生とも約束しましたし、なるべく慎重に行きましょう…。焦る気持ちも分かりますが…」

 

 カヤトの言う通り、もうみんなには迷惑を掛けられない。

 このまま進むとルグルー回廊への道は少し逸れるが中立の街がある。

 今日はそこで休んでまた明日から再開しようという事で話がまとまった。

 歩いて30分ぐらい経ち、ようやく中立の街へと到着した。

 

 ストレア「あぁ〜…宿に行ってシャワー浴びた〜い!」

 

 カヤト「確かに、泥まみれですからね…。

 気分的に綺麗にしておきたいな」

 

 ストレア「じゃあ、一緒に入る?

 昔のタクヤの事とかカヤトの事とか聞かせてよ」

 

 カヤト「い、いや…!!オレは1人で入りますから大丈夫です!!」

 

 ユウキ「カヤト〜…顔が真っ赤だよ〜。姉ちゃんに言ってやろーっと!」

 

 カヤト「えぇっ!!?大体なんでそこで藍子さんの名前が出るんですかっ!!?」

 

 そんなやり取りをしながら宿屋でチェックインして、ボクとストレアでひ1部屋、カヤトで1部屋に泊まり、今日はここで解散しようという話になった。

 

 ストレア「ユウキ〜見て見て〜!!」

 

 ユウキ「ん?」

 

 ボクがストレアに目を向けるとストレアはたちまち小さくなっていきボクの手の平に乗れる程小さくなった。

 

 ユウキ「えぇっ!!?ど、どういう事っ!!?」

 

 ストレア「私はこの世界でも戦えるけど、本来はナビゲーション・ピクシーって言う役割に分類されるんだよ〜。

 どう?すごい?驚いた?」

 

 ユウキ「すごいし驚いたよ!!…胸はそのままなんだね」

 

 ストレア「ん?何か言った?」

 

 ユウキ「ううん!!別に何でもないよ!!」

 

 ボクはログアウトする前にシャワーを浴び、湿地林で泥まみれになった体を洗い流す。

 途中、ストレアも入ってきて自分との差を見せつけられながらボクはログアウトしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side直人_

 

 

 2025年01月20日 16時20分 神奈川県横浜市 茅場邸

 

 直人「ん…」

 

 僕はあれからシャワーで体を洗い流し、早々にログアウトした。

 意識が自分の部屋に戻ると暖房は消えており、体温が低下しているのが分かった。

 僕は自室から1階のリビングに行き、電気ケトルに水をセットする。

 しばらくして、お湯が湧きインスタントコーヒーとお湯をマグカップに入れ、口にする。

 体の体温は上がっていき、口の中にブラックコーヒーならではの苦味が僕の寝ぼけていた脳を起こした。

 

 直人「…」

 

 1人が住むには些か広すぎるリビングには手入れが行き届いており、生活感を感じさせない。

 実際の所、僕もリビングは食事を摂る以外で使わないし、第一家にはほとんどいない。

 朝は学校、放課後は部活かバイト、夜は風呂に入って寝る、という生活リズムが成り立っていた。

 

 直人「…やっぱり1人じゃ広いなぁ」

 

 2年前、僕は自分の知らないところで両親を失った。

 その時、部活の合宿中だった為、それを聞かされた時はすぐには信じられなかった。

 また拓哉兄さんのイタズラだろうと軽く思っていた。

 だが、電話先は警察の方で冗談でない事はすぐに分かった。

 顧問の先生に自宅まで送ってもらうと玄関には数人の警察官と刑事がいた。

 家に入り、リビングに向かうとそこには大きな血のシミと項垂れていた兄さんがいた。

 刑事からいろいろ聞かされたが、正直頭には何も入ってこなかった。

 受け入れ難い事実が僕と兄さんに重くのしかかってくる。

 兄はその数日前に会ったきりで家には帰ってきておらず、今思えばあれが最後に晶彦兄さんを見た日だった。

 そして、その更に1ヶ月後に拓哉兄さんも僕の前からいなくなった。

 

 直人「あれからもう2年…か…」

 

 拓哉兄さんはすぐに病院に搬送されたが、僕は自宅で刑事に質問攻めを食らった。

 茅場晶彦は今どこにいるのか?茅場晶彦は何故このような事をしたのか?それは日に日に酷くなっていくばかりで、マスコミにも大きく報じられた。

 終いには、郵便受けに脅迫状や無言のイタズラ電話なども受けた。

 周りには頼れる人は誰1人としていなかった。

 大人からは同情され、同年代には煙たがれ、罵声を浴びせられた。

 正直、嫌になっていた。

 自分は何もしていないのに何故、ここまで責められなければいけないのか。何故、僕がこんな目にあわなくちゃいけないのか。

 毎日毎日同じ事を考えては答えなど見つかる訳もなかった。

 そして、2年が経った時、ニュースでSAO事件が終わったと報じられた。

 SAOプレイヤー全員が無事に帰ってきたと。

 僕は考えるよりも早く兄さんが入院している横浜市立大学附属病院へとバイクを走らせた。

 パスカードを受け取り、病室へ向かった。

 もう僕は1人じゃない。1人で耐える事もない。

 やっと…帰ってきたと思った。だが、現実は残酷だった。

 兄さんは変わらず眠っているままだった。

 兄さんの病室には僕より早く1人の少女が兄さんの寝ているベッドに突っ伏しながら泣いていた。

 あの事件以来、心を閉ざしていた兄さんの為にこんなに泣いてくれるのかと、その時はただただ嬉しかった。

 兄さんはあの世界で大事な人と巡り会えていた。

 

 直人「木綿季さんは強いですね…僕よりずっと…」

 

 それから毎日とはいかなかったが来れる時は必ず木綿季さんは兄さんの病室へとやって来ては早く起きるよう祈りを捧げていた。

 その姿はまるで愛しい人を永遠にいつまでも待つ健気な女性の顔をしていた。

 木綿季さんは僕と違って下を向いて生きていない。

 今を全力で…上を向いて生きている。

 自分よりも年下の女の子相手に尊敬の念を送ったのはこれが初めてだった。

 僕も木綿季さんのような生き方がしたいと思うようになってからは、何に対しても全力で取り組むようにしてきた。

 

「…僕が兄さんを救ってみせるよ。みんながそれを望んでいるから…」

 

 僕がリビングを後にしようとすると、1件の着信が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?
タクヤチームとユウキチームの同時進行ですが、読みにくければ言ってきてください。
出来る限り編集いたします。
そして、直人の所に1本の着信が…。
それは一体誰なのか…。


では、また次回!
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