ソードアート・オンライン-君と共に在るために-   作:ちぇりぶろ(休載中)

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という事で25話です。
タクヤもいい感じに出てき始めたのでこれから頑張ります。

P.S
UAがが1万を超えました。
これも皆様のおかげだと思っています。
これからもよろしくお願いします!

では、どうぞ!


【25】立ち塞がる敵

 2025年01月20日 17時30分 横浜市 某所

 

 この時期、太陽は17時を過ぎた頃より沈んでいき、空には幾千万の星達が暗く広がる夜空を鮮やかに散りばめられていた。

 太陽が沈んだ事で、気温も一気に落ち、白いいきが宙を舞ってやがて儚く消えていく。

 陽だまり園のすぐ側にはいつも近所の子供達が遊んでいる公園がある。

 市内で数える程しかない公園には1人の少女…藍子以外誰もいない。

 子供が1人で出歩く時間帯ではないのだが、藍子はその場を動こうとはしなかった。

 

 藍子「…」

 

 藍子の心は()()()()()波を打っている。

 妹の木綿季がSAOに囚われた時と同じ感覚だ。

 木綿季は今、大切な人を助け出す為に、自らの危険を顧みずゲームの世界へと旅立った。

 それが木綿季にとってどれだけ価値のあり、重要な事なのか藍子に分かる術はない。

 きっと、あの世界へ足を踏み入れた者のみが感じる事の出来る心情があるのだろう。

 

 藍子「…どうして」

 

 次第に空から雪が降り始めた。

 だが、今の藍子はそんな事どうでもよかった。

 すると、急に雪が何かで遮られ、上を向くとそこには直人が傘をさして立っていた。

 

 直人「どうしたんですか?…傘も刺さないで」

 

 藍子「ナオさん…」

 

 直人がここにいるのは偶然ではない。

 直人がALOから戻ってきた際に、藍子から着信があったのだ。

 この公園の場所と用件を聞いて直人がバイクでここまでやってきた次第だ。

 

 直人「ここじゃ寒いでしょう?

 近くに喫茶店がありますからそこに行きましょう」

 

 藍子「…」

 

 直人「?…藍子さん?」

 

 直人が呼びかけても藍子から何も反応がない。

 直人もどうしたのか分からず、その場に立ち尽くしていた。

 

 藍子「…ナオさん。…今日呼んだのはお願いがあるからなんです」

 

 直人「お願い?」

 

 藍子「木綿季から…ゲームをしないように言って欲しいんです!」

 

 直人「!!」

 

 その頼みはあまりにも自分勝手な事は藍子も理解している。

 だが、陽だまり園の森を説得して木綿季はゲームの世界へと行ってしまった。

 もう藍子には直人のほかにこんな事を頼める人がいなかったのだ。

 

 藍子「恐いんです…。またあの子が帰ってこないんじゃないかって…。

 また私は木綿季を守ってあげられなかったって…。

 もう…離れ離れになるのは嫌なんです!!

 あの子を失ったら…私は…私は…!!」

 

 直人「藍子さん…」

 

 直人にも藍子の気持ちは分かる。

 直人もたった1人になってしまった兄がまだ眠り続けている。

 いつ目覚めるのかも…このまま永遠に目覚めないのかは誰にも分からない。

 唯一希望があるとすれば、ALOの中に兄の拓哉がいるかもしれないという事のみだ。

 その希望も信憑性などは皆無だが、それでもそこに可能性があるのなら行かない訳にはいかないと木綿季は直人やキリト達の前で誓ったのだ。

 直人も自分の手で兄を救いたいという気持ちから木綿季と行動を共にしている。

 

 藍子「お願いします!!ナオさん!!」

 

 直人「…」

 

 藍子の頼みは遠回しに拓哉の事を木綿季に諦めろと伝えて欲しいとの事だった。

 もちろん藍子がそんな事を言う訳がないと直人自身も思っているが、藍子は木綿季の身の安全を最優先にしているだけだ。

 これも当たり前の考え方だと思っている。

 もし、藍子が木綿季を失えば藍子は天涯孤独の身としてこの先を1人で生きていかなければならない。

 それを考えると直人は木綿季に諦めるように言った方が良いのかもしれない。

 ALOが危険でない事はわかっているのだが、藍子の中ではALOもSAOと同様に捉えてしまっている。

 安全性を藍子に説明したとしても頭では理解出来るが、心がそれを拒んでしまうのだ。

 

 藍子「…お願い…します!!」

 

 直人「…藍子さん」

 

 直人は藍子と同じ目線まで腰を落とした。

 藍子も頭を上げて直人の正面に向き直る。

 

 直人「藍子さん…何も心配しないでください。

 実は、僕も木綿季さんと一生にALOをプレイしているんです」

 

 藍子「!?」

 

 直人「危険がない事を藍子さんに説明しても気持ちは変わらないと思うんです…。だから、僕が約束します。

 木綿季さんは何があっても僕が最後まで守り抜く…と」

 

 藍子「そ、それは…でも…」

 

 直人「…あの世界にもしかしたら兄がいるかもしれないんです。

 僕も兄を助けたい…。1人は寂しいですからね」

 

 藍子「!!」

 

 藍子が見た直人の表情はどれだけの事があったのか容易に想像できる程のものだった。

 

 直人「僕も…両親はいません。事件に巻き込まれて2人とも…。

 それからは兄弟だけで生きてきました。けど、長男も自殺してしまいました。

 もう僕には拓哉兄さんしかいないんです…。だから、僕は助けたい」

 

 藍子「そんな…私達より…ずっと…!!」

 

 藍子の両瞳には涙が滲んでいた。

 藍子と木綿季は両親を失いながらも陽だまり園のみんながいた。

 暖かく、最初は不安しかなかった2人だがいつしかその輪の中に加わっていた。

 だが、直人は両親を失って拓哉と2人で…そして、すぐに1人になってしまった。

 それから今でもずっと1人で生きている。

 それがどれだけ寂しく、苦しい事は経験した藍子と木綿季にしか分からない。

 それでも直人は兄を救い出す為に、自らも仮想世界へと旅立ったのだ。

 そこにどれだけの決意が秘められているのかは藍子は知らない。

 

 直人「藍子さん…。

 木綿季さんが藍子さんにとってすごく大切な家族という事は2人を見ていたら分かります。

 だから、失いたくない。帰ってきて欲しいって思えるんです。

 木綿季さんも言ってましたよ?

 姉ちゃんにはまた心配かけちゃうなって…。

 木綿季さんも藍子さんに心配なんて本当はかけたくないんですよ…」

 

 藍子「…」

 

 直人「でも、こうも言ってました。

 兄さんが現実世界に帰って来るまでボクの心はまだSAOにいるんだ…と。

 木綿季さんは藍子さんや陽だまり園のみんなにちゃんとただいまって言いたいんですよ。だから、それまで待っててくれませんか?

 僕も最大限危険がないように努力します」

 

 直人は藍子の冷たくなった両手を自分の両手で包み込んだ。

 この冬空の下にも関わらず直人は暖かった。

 その暖かさは藍子の体と心をも優しく包み込んでくれた。

 

 藍子「…わかりました」

 

 藍子もまさかこのような言葉が出るとは思っていなかった。

 木綿季の身を軽んじた訳ではない。

 直人に全てを託そうと思ったのだ。

 

 藍子(「この人なら…ナオさんならきっとやってくれる。

 いつかの私のように…きっと…彼なら…」)

 

 藍子は涙を拭い、満面の笑みを浮かべた。

 

 藍子「妹の事をどうか…よろしくお願いします」

 

 直人「はい…。

 それに木綿季さんに何かあったら兄に顔向け出来ませんからね」

 

 藍子はその後、直人のバイクで陽だまり園まで送ってもらい、直人と別れた。

 門をくぐって園の玄関に入ると奥から森が慌ててやって来た。

 

 森「あ、藍子!!こんな時間までどこに行ってたんだ!!?」

 

 藍子「ごめんなさい先生…。ちょっと、公園で直人さんと話してて…」

 

 森「直人君…とか?そうか…なら、安心だな。

 でも、これからはちゃんと暗くなる前に帰ってくるんだぞ?」

 

 藍子「はい。ごめんなさい!」

 

 森「…さぁ、手洗いうがいしてきたら食堂へおいで。

 みんな藍子の事を待ってるよ」

 

 時刻は午後6時を大幅に過ぎてしまっていた。

 あの公園に約1時間もいたのかと改めて知った藍子であったが、あの時間が無駄だとは思っていない。

 むしろ、直人との時間が有意義に感じている藍子がそこにはいた。

 森の言われた通り、洗面所で手洗いうがいを済まし、食堂へと向かった。

 中に入るとテーブルには豪華な料理がテーブル全体に広がっている。

 

 智美「あら藍子。おかえりなさい。」

 

 木綿季「え?姉ちゃん!!?」

 

 智美「木綿季!目を離したら危ないわよっ!!」

 

 木綿季「わっ!!ごめんなさい!!」

 

 厨房の方には木綿季と智美がいるようだ。

 木綿季とは昼間言い合いをしてしまった為、藍子は少し気まずく自分の席へとついた。

 しばらくして最後の料理が運んで来て、みんなで合掌して食餌の挨拶をかわす。

 小さい子供が多い為、料理はハンバーグや唐揚げ…どれも子供達の好物が並んでいた。

 

 智美「これぜーんぶ木綿季が作ったのよー。みんなおいしいー?」

 

「うまいよ木綿季姉ちゃん!!」

 

「すげー!!」

 

 木綿季「えっへん!どんなもんだいっ!!」

 

 藍子も1口食べるが本当に美味しかった。

 どれもこれも手間暇かけて作られているのが分かる。

 

 木綿季「…どう?…姉ちゃん」

 

 木綿季も心なしか藍子に対して気を遣っている。

 

 藍子「…美味しい」

 

 木綿季「ほ、ホント?本当に本当?」

 

 藍子「本当よ…。嘘ついても意味無いじゃない…」

 

 瞬間、塞ぎがちだった木綿季の顔はみるみる生気を取り戻していき、いろいろな料理を藍子の皿へと盛っていった。

 

 木綿季「これとこれとこれと…これも!全部自信作なんだ!!」

 

 藍子「ちょっと!それは幾ら何でも入れすぎよ!!」

 

 木綿季「大丈夫だって!

 姉ちゃんならこれぐらいぺろりと食べきれるからさ!!」

 

 藍子「私はそんなに大食いじゃないわよ!」

 

 その晩の陽だまり園は今までよりも楽しく、明るい夕食となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年01月20日 ALO内23時40分 鉱山都市ルグルー前

 

 ルクス「見えてきたよ」

 

 タクヤ「あれが…」

 

 タクヤ達はモンスターを倒しながら回廊を進んで行くと大きな橋があり、その先に街に通じる門が見えた。

 

 タクヤ「ここを渡ったらやっと半分か…!」

 

 ルクス「街で必要な物を補充して休憩してからこの回廊を抜けようか」

 

 タクヤ「ちょっと待てよ。

 ルクス…お前はログアウトして今日はもう休んでくれ」

 

 ルクス「わ、私はまだ大丈夫だよ!全然疲れて…!!」

 

 瞬間、ルクスが膝から崩れるように倒れるのをタクヤが分かっていたかのように優しく支えた。

 

 タクヤ「言わんこっちゃない。お前、立ってるだけでもやっとだろ?

 一体いつからフルダイブしてるんだよ?」

 

 ルクス「…昨日から」

 

 タクヤ「無茶すんなってーの!!街についたらお前はログアウトしろ!

 オレの事は気にすんな。オレも眠くなってきたしちょうどいい」

 

 ルクス「でも、それじゃあタクヤがいつまで経ってもログアウト出来ないから…」

 

 ルクスはタクヤの為を思って一刻も早くアルンへと向かっていたのだ。

 だが、疲弊しきった体でこの先のモンスターにやられてしまったら元も子もない。その方が効率も悪い。

 そうじゃなくても今日だけでかなりの距離を進んでいる。

 ルクスだけでなく、タクヤも流石に疲れが見て取れる。

 

 タクヤ「ほら…おぶされよ」

 

 ルクス「だ、大丈夫だよ!!?これくらいの距離歩けるから!!!」

 

 タクヤ「この橋の下…さっきから影が動いてる…。

 モンスターに襲われる前にもこの橋をダッシュで切り抜けたいんだよ…」

 

 ステータスはSAOの時のままのタクヤはこの世界で一二を争うプレイヤーになっているだろう。

 それはスピードでも同じ事が言える。

 ルクスを置いて行くことは論外であり、タクヤがルクスを担いで走れば多少スピードが落ちても2人で走るよりは十分に速い。

 

 ルクス「で、でも…」

 

 タクヤは焦れったくなったのか、有無を言わさずルクスを担ぎ、橋の上を全速力で走った。

 

 ルクス「うわぁぁぁぁぁぁあぁぁっ!!!!」

 

 タクヤ「しっかり捕まってろよぉぉっ!!!!」

 

 瞬く間に門の前へとたどり着いた2人は門を開け、鉱山都市ルグルーへと入って行った。

 

 タクヤ「とりあえず宿屋を見つけねぇとな」

 

 ルクス「私…酔ったかも…」

 

 1kmはあった橋をたった3分足らずで走ってきた。

 その間、ルクスはタクヤの背中で上下に揺らされていた為、酔ってしまったのだ。

 

 タクヤ「おっ!あったあった!ルクス…ほら…」

 

 タクヤは手をやり気分の優れないルクスを無理矢理起こす。

 もうすぐそこに宿屋がある為、多少強引だがこうした方が効率がいい。

 宿屋に入って部屋を取ろうとすると、生憎空いている部屋が1つしかないようだ。

 

 タクヤ「一部屋しか空いてなかったからルクスが使ってくれ」

 

 ルクス「じゃあ、タクヤはどうするんだい?」

 

 タクヤ「オレは野宿なりなんなりして朝を待つさ。

 この2ヶ月間で随分慣れてるからな!」

 

 ルクス「ダメだよ!…タクヤもちゃんと休まないと。

 だから、この部屋は一緒に使おう」

 

 タクヤ「いや…流石にそれは…。ルクスだって嫌だろ?」

 

 ルクス「そんな事ないよ!ほら!時間も時間だし早く行こう!!」

 

 ルクスはタクヤの手を引っ張り、宿部屋へと入っていった。

 部屋には案の定ベットは1つしか存在せず、値段の割に質素な造りになっていた。

 

 ルクス「じゃあ、私はシャワーを浴びて…」

 

 最期まで言い終わる前にルクスは大事な事を思い出した。

 今、この部屋にはタクヤとルクスしかいない。

 シャワー中にタクヤがいては何かと恥ずかしい。

 タクヤには悪いと思ったがシャワー中だけ外で待ってるように頼み、ルクスはシャワールームへと向かった。

 ゲームの世界でシャワーを浴びようが風呂に入ろうがパラメーターには何も影響は受けない。

 プレイヤーでもこういった事をするのはごくわずかだ。

 だが、ルクスはSAOで2年間もの間生活していただけに普段の行動が反射的に起こってしまう。

 その為、ゲームの世界であったとしてもシャワーを浴びるという生活習慣を崩す事は出来ない。

 

 ルクス(「早く済ませなきゃ…。タクヤが待ってるんだし…」)

 

 シャワーを最低限に抑え、体を備え付けのタオルで吹き、楽な格好になる。

 

 ルクス「すまないタクヤ…。もう入ってきていいよ」

 

 タクヤ「お、おう…」

 

 タクヤも理解してか顔が赤い。

 健全な男子なら誰だってこのような反応をしてしまう。

 ルクスも顔を赤くしているがタクヤよりは落ち着いていた。

 

 ルクス「じゃあ…明日の朝の8時にまた来るから待っててくれ」

 

 タクヤ「あぁ。おやすみ…ルクス」

 

 ルクス「お、おやすみ…」

 

 ルクスはベッドに入って数分して寝息が聞こえ始めた。

 そして、しばらくしてルクスのアバターは消滅した。

 

 タクヤ「…オレも寝るか」

 

 タクヤはルクスが消えて空いたベッドに入り、疲れを取る事にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年01月21日 ALO内08時00分 鉱山都市ルグルー

 

 ルクス「タクヤ…起きて」

 

 タクヤ「ん…」

 

 タクヤはルクスに起こされ朝日を浴びながら朝を迎えた。

 久しぶりにベッドで寝た為、かなり疲れは取れている。

 

 タクヤ「ふぁぁ…よく寝た…」

 

 ルクス「さぁ、必要な物を買い足したらいよいよ回廊を抜けるよ」

 

 タクヤ達は宿屋をチェックアウトして、アルン方面の出口へ向かう。

 その途中でポーションやタクヤの装備を新調したり、これからの旅路に困らないように最善を尽くす。

 

 タクヤ「アルンまでは後どれくらいかかりそうだ?」

 

 ルクス「そうだね…。早くて半日って所かな。

 この回廊を抜けたら世界樹が見えてくる」

 

 タクヤ「…いよいよだな」

 

 央都アルンに到着すれば、タクヤの今の状態がどうなっているのか分かるかもしれない。

 もしかしたら、運営がタクヤの事を見つけてくれる事だって考えられる。

 淡い期待を抱きながらルグルーを出て回廊へと足を踏み入れた。

 しばらく走っていると、ルクスが手を前に出して静止の合図を出す。

 

 タクヤ「どうした?」

 

 ルクス「前にプレイヤーが数十人いる…!!」

 

 タクヤ「え?ダメなのか?」

 

 ルクス「種族にもよるけど、基本は互いの種族は争っている訳だから戦闘になったら2人しかいないこちらが不利になる…!!」

 

 このまま距離を保ちつつ回廊を出るか、戦闘覚悟で正面突破するか2つに1つだ。

 安全性を考えたら時間はかかってしまうが悟られる事なく回廊を出る方がいい。

 だが、タクヤの事を考えるとこの迷っている時間すら惜しい。

 タクヤは現実世界では正直、いつ死んでもおかしくない程衰弱しているハズだ。

 今この時も刻一刻と死に近づいているタクヤの事を考えたらこの状況は想定外だ。

 

 ルクス(「どうする…!?

 突破するか…時間をかけてでも安全に回廊を出るか…!!」)

 

 タクヤ「よしっ!!じゃあ、さくっと突破するか!!」

 

 ルクス「え?」

 

 タクヤ「なんだよ?急いでるって話せば分かってくれるって!」

 

 なんと脳天気な発言であろうか。

 だが、この瞬間に1番焦っているのはタクヤ本人のハズだ。

 タクヤはルクスに待つように言い聞かせると、スピードを上げて先頭集団との距離を詰める。

 

「!!…後方よりプレイヤーが追ってきてます!!」

 

「数は?」

 

「ひ、1人です!!!?」

 

「!!」

 

 そして、タクヤは集団に追いついた。

 お揃いの鎧を装備し、タクヤに警戒をかける。

 見た感じだと深い緑色の長い髪をした女性プレイヤーがこの集団のトップであろうと考えるとタクヤは躊躇う事なくそのプレイヤーに話しかけた。

 

 タクヤ「突然で悪いんだけどさ!道譲ってくれねぇか?」

 

「黙れ!!私達も大事な用があるのだ!!

 それに貴様…闇妖精族(インプ)だな!?

 何故、闇妖精族(インプ)がこんな所に…!!」

 

「待て!!」

 

 部下であろう男を女性プレイヤーが静止させる。

 部下も何も言わずに隊列へと戻っていった。

 

 サクヤ「すまない…。私の名前はサクヤだ。

 この先で会議が開かれるのでな…。私達はそこに向かっていたんだよ。

 道なら君が先に行ってくれてもかまわないよ」

 

 タクヤ「マジか!!いやぁ、よかったぜ。

 戦闘とかになったりしたら時間食っちまうからなぁ…!!

 あ、オレはタクヤ…。連れは後ろにいるから呼んでくるよ」

 

 タクヤは足を止め、ルクスが追いつくのを待った。

 ルクスも全速力で走っていた為、そこまで距離が広がっていなかったようでものの数十秒で到着した。

 

 ルクス「た、タクヤ!!君はどうしてそう無茶ばかり…!!」

 

 タクヤ「悪かったって!

 それより、前にいた奴らが先に行ってもいいだってさ!!」

 

 ルクス「そ、それは本当かい?よ、よかった…」

 

 タクヤ「じゃあ、早速追いつくぞ!!」

 

 ルクス「あぁ!」

 

 2人は同時に地を蹴り、先頭集団を追いかけた。

 ルクスもパラメーター的にはスピード型なので、タクヤのスピードにもついて行ける。

 タクヤ達はサクヤと名乗ったプレイヤーの所までやって来ると、ルクスがサクヤを見て驚いた。

 

 ルクス「さ、サクヤさんっ!!?」

 

 サクヤ「ん?ルクスじゃないか。こんな所でどうしたんだい?」

 

 タクヤ「あれ?2人は知り合いか?」

 

 ルクス「私達風妖精族(シルフ)の領主だよ!?

 つまり、風妖精族(シルフ)の中で1番偉い人だよ!!」

 

 タクヤ「ふーん…」

 

 サクヤ「ルクスの知り合いだったのか…。

 君達はどこへ行くんだ?」

 

 ルクス「ちょっと…世界樹まで…」

 

 そう答えた瞬間、タクヤ達を囲む空気がピリついた。

 

 サクヤ「…まさか、ルクス。お前…領地を…」

 

 ルクス「ち、違うんだ!!これはちょっと…タクヤの頼みで…」

 

 タクヤ「あぁ。ルクスには世界樹までの道案内を頼んだんだ。

 オレ、このゲームの事の全くわかんねぇからさ」

 

 サクヤはタクヤに視線を移し、上から下へとじっくり観察された。

 部下達の顔にも緊張が走っている。

 

 サクヤ「…どうやら、本当に初心者(ニュービー)のようだな。

 疑ってすまなかったな。所で何故、世界樹に…」

 

 ルクス「…」

 

 なかなか2人が話そうとしない為、サクヤもこれ以上の事は聞かなかったが、代わりにある頼み事を承った。

 

 サクヤ「ルクス、タクヤ君。

 私達はこの先の"蝶の谷”という場所で猫妖精族(ケットシー)との同盟の締結に向かっているんだが、噂によるとどうも火妖精族(サラマンダー)達がそこで2人の領主の首を殺ろうとしているらしい…」

 

 ルクス「火妖精族(サラマンダー)が…!!」

 

 タクヤ「…」

 

 サクヤ「そこで頼みというのはその火妖精族(サラマンダー)部隊の襲撃を阻止してほしいのだ」

 

 サクヤは足を止め、タクヤとルクスに頭を下げた。

 

「サクヤ様!頭をお上げになってください!」

 

「大体こんな得体のしれない奴に頼むなど…!!」

 

 確かに、初対面の相手にこのような頼み事をすれば、不思議に思うのが普通である。ましてや、ただの初心者(ニュービー)に対してだ。

 

 サクヤ「いや、私が見た限り…タクヤ君はここにいる誰よりも…遥かに強い…」

 

 

「「!!」」

 

 ルクス「どうするんだい?」

 

 タクヤ「まぁ…アルンが逃げる訳じゃないし、その火妖精族(サラマンダー)をサクヤさん達の邪魔をしないようにすればいいんだろ?

 オレでよかったら喜んで協力するよ」

 

 サクヤ「本当か?ありがとう!助かるよ…」

 

 話もまとまり、回廊もあともうすぐで出口に着く頃合だ。

 サクヤ達と行動を共にし、タクヤ達は蝶の谷へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 sideユウキ_

 

 

 2025年01月21日 ALO内12時00分 ルグルー回廊前

 

 ユウキ「あっ!キリトだ!おーい!!」

 

 ボク達は中立の宿屋から出発して早2時間、ようやくルグルー回廊の入口に辿り着いた。

 偶然にもキリトとリーファという風妖精族(シルフ)のプレイヤーが同伴していた。

 

 リーファ「はじめまして。私はリーファって言うの!よろしくね!」

 

 ユウキ「ボクはユウキ!こちらこそよろしく!」

 

 カヤト「カヤトです。よろしくお願いします」

 

 ストレア「ストレアだよ〜。リーファ、胸おっきいね〜!」

 

 リーファ「わっ!ちょ…どこ触ってるんですかぁっ!!?」

 

 ボクから見たら2人の巨乳がじゃれあってこれ見よがしに見せつけているボクにだけダメージがくるものだった。

 

 キリト「ユウキはSAOの時とそっくりだな。すぐに分かったよ」

 

 ユウキ「そう言うキリトだって髪の毛以外似たようなもんじゃないか!」

 

 キリトの装備は髪の毛こそ違うが、それ以外はやはり黒系統のものを装備している。背中には地面スレスレの巨大な剣を背負っている。

 

 キリト「で、なお…じゃなくてカヤト。よろしくな」

 

 カヤト「こちらこそ、邪魔にならないように頑張ります」

 

 キリト「で、あの子は?」

 

 キリトはボクにストレアの事を聞いてきた。

 SAOでMHCP002として生きていたストレアはボク達以外のプレイヤーとの面識は全くなかった。

 1から説明しようとすると、キリトの胸ポケットから小さな妖精が現れた。

 

 ユイ「うーん…。どうしたんですかー?パパ」

 

 ストレア「あっ、ユイだ!久しぶり〜!」

 

 ユイ「す、ストレア!?何でここに…!!?」

 

 キリト「ユイ!!知ってるのか?」

 

 ユイ「知ってるも何もストレアは私の妹です」

 

 瞬間、この場の誰もがラグが起きたかのように体が固まっていた。

 ユイの話によれば、ユイもまた、MHCP001としてストレアと同じプレイヤーのメンタルをチェックしていたと言う。

 そして、同様にエラーを蓄積していったユイは記憶を失ってしまいキリトとアスナの所へ会いに行ったのだと。

 そして、最後にユイのプログラムをキリトのナーヴギアのローカルメモリーに保存されて今に至るのだ。

 

 ユウキ「へぇ…キリトもタクヤみたいにユイちゃんを助けたんだね!」

 

 キリト「まぁ、あの時はそれぐらいの事しかしてやれなかったけどな…」

 

 ユイ「そんな事ありません!私はパパとママに助けられたんです!!

 消えてしまう命を2人が救い出してくれたんです!!」

 

 キリト「ユイ…」

 

 ストレア「彼がキリト〜?なんか女の子みたいな顔してるね〜」

 

 またしても、ストレアの放った言葉により、みんながラグってしまった。

 このままじゃ先に進めない為、続きは回廊を進みながら話す事にした。

 

 ユイ「ユウキさん。さっきのお話なんですが、ストレアはタクヤさんのナーヴギアに保存されていたんですか?」

 

 ユウキ「うん。そうだよ?それがどうかしたの?」

 

 ユイ「だったら、なんで今ここにストレアがいるんでしょう?

 タクヤさんのナーヴギアに保存されているならストレアのプログラムはタクヤさんが持っていないとおかしいです…」

 

 ストレア「そう言えばそうだね〜」

 

 ユイの話を簡単に言うとストレアが今ここのいるのはおかしく、いるとしてもタクヤと一緒のハズなのだ。

 

 ユウキ「でも、ボク達結婚してたからアイテムを共通化してるからじゃあ…」

 

 ユイ「それはパパにも言える事なんですが、ママのアイテムは引き継がれてませんでした…」

 

 キリト「となると、答えは1つだな…」

 

 ユウキ「何?」

 

 キリト「アスナは恐らくGM権限でアカウントが凍結しているからアイテムが引き継がれてないんだろう…。

 だが、タクヤは違う。可能性は確信に変わった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タクヤはこの世界にいる!!」

 

「「「!!!!」」」

 

 タクヤがこの世界で生きている…。

 最初は小さな可能性であったが、今や大きな光となってボク達に降り注いでいる。

 

 ユイ「パパの言う通り、その可能性は高いです!!」

 

 ユウキ「タクヤは…やっぱり…う…うぅ…」

 

 ストレアが優しく後ろから抱きしめてきた。

 今はこの優しさがとても心に沁みてくる。

 やっと、会える。愛しいあの人に…。

 

 リーファ「!!…みんな、壁によって!!」

 

 リーファがボク達に指示を出し、すぐ様それに従う。

 ALOのプレイ時間だけで言うとリーファがこの中で断トツな為、リーファの焦りようを見てボク達にも緊張が走る。

 

 リーファ「みんな、もっと近くに寄ってね…」

 

 そう言うとリーファは詠唱を初めた。

 詠唱が終わるとボク達の周りに岩が並べられた。

 正確には周囲のプレイヤーに気づかれないようにする為の隠蔽魔法だ。

 

 リーファ「喋る時はなるべく小さな声で…。

 魔法が解けちゃうからから」

 

 ユウキ「これが魔法かぁ…すごいね!」

 

 カヤト「それよりもどうしたんですか?」

 

 リーファ「うん…。

 チラッと見えただけなんだけどプレイヤーがいるみたいなの…」

 

 キリト「ユイ。調べてくれ」

 

 ユイはキリトに言われた通り、周囲のプレイヤーの反応があるか確かめる。

 

 ユイ「後方から16人程こちらに近づいてきます!」

 

 ユウキ「あれ?あのちっさいのは…」

 

 ストレア「どれ〜?」

 

 ボクの種族は暗闇の中でもある程度みえるがしその小さな赤い光は徐々に大きく見えてきた。

 

 ユウキ「赤い…コウモリ?」

 

 リーファ「!!?」

 

 瞬間、リーファは隠蔽魔法を解除してみんなに回廊を走るように指示をする。

 

 キリト「ど、どうしたんだよリーファ!?」

 

 リーファ「あれは追跡魔法(トレーサー)…。

 そして、赤色の使い魔って事は火妖精族(サラマンダー)の部隊なの!!」

 

 カヤト「火妖精族(サラマンダー)?」

 

 リーファ「火妖精族(サラマンダー)は今、"グランド・クエスト”のクリアに最も近い種族だって言われてるの!

 奴らは、強引なやり方でアイテム狩りやプレイヤー狩りをしてる…!!」

 

 この世界ではPvP推奨の為、ある程度の行為は目をつぶっていられるが、火妖精族(サラマンダー)はそれが度を過ぎていたのだ。

 橋へとやって来たボク達であったが、あと少しで中に入れるい思いきや後方から遠距離魔法が放たれ、扉はたちまち岩山の中へと消えてしまった。

 

 キリト「くそっ!!」

 

 キリトは背中の剣で破壊しようとするが、キリトの力を持ってしても叩き斬る事は出来なかった。

 

 リーファ「無茶しないで!物理攻撃じゃビクともしないの!」

 

 キリト「そう言う事は先に言ってくれ…」

 

 岩山のせいで足止めを食らっていると後方には陣形を整えた火妖精族(サラマンダー)が待ち構えていた。

 

 カヤト「何で僕達を狙って…」

 

 リーファ「前にキリト君が火妖精族(サラマンダー)を倒しちゃったからだと思う…」

 

 キリトにみんな視線を集中させる。

 

 キリト「あ、あの時は仕方なかったんだよ!」

 

 ストレア「そんな事よりあっちはもう()()()()()()()()()()だよ」

 

 火妖精族(サラマンダー)部隊の後衛の術師(メイジ)が詠唱を唱え始めている。

 前衛のタンク隊が邪魔だてさせないように盾を横一列に並べ、万全の体勢で攻撃を仕掛けてきた。

 

 後衛から放たれた火の玉は殺傷能力こそ低いもののようだが、数が異常だ。これが直撃したらひとたまりもない。

 

 カヤト「僕がいきます!!」

 

 キリト「オレも行くぞ!!リーファは支援頼む!!」

 

 リーファ「まかせて!!」

 

 キリトとカヤトは一斉にタンク隊に突撃した。

 タンク隊もそれは予想通りの為、完璧に防いでいる。

 

 キリト「くそっ!!カヤト大丈夫か?」

 

 カヤト「なんとか大丈夫です…!!でも、あれをどうにかしないと…」

 

 キリトとカヤトに考える隙をを与えず、後衛の術師(メイジ)は再度火の玉を放った。

 

 キリト「ぐっ!!」

 

 カヤト「っ!!」

 

 ユウキ「キリト!!カヤト!!」

 

 ストレア「私達も行こうよ!!」

 

 リーファ「ダメだよ!!

 行っても防がれて魔法で攻撃されるし、私じゃ2人しか回復が間に合わない!!」

 

 リーファが例えいくら回復しようが数ではあちらの方がかなり有利だ。

 魔法の源であるMPも絶対量が違う。

 

 キリト「もう1度だ!!」

 

 カヤト「はい!!」

 

 キリトとカヤトはまたしてもタンク隊に攻撃を仕掛ける。

 カヤトは冷静に見えるが、明らかにキリトは冷静さに欠けている。

 おそらく、心の中でアスナの事を考えているに違いない。

 アスナの為ならどんな事でもするとそう誓っているのだ。

 ボクもタクヤの為に早くここを突破したい。

 でも、現実は数で勝っている火妖精族(サラマンダー)部隊に苦戦を強いられている状況だ。

 

 リーファ「もう無理だよ…。

 キリト君!今回は諦めてまたスイルベーンからやり直そうよ!」

 

 キリト「…嫌だ」

 

 リーファ「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キリト「オレが生きている間はパーティーメンバーを…仲間を誰1人殺させない!!!!」

 

 カヤト「行きます!!!!」

 

 キリトとカヤトの表情が一気に変わった。

 鬼の形相になった2人はタンク隊など眼中になどないようにただひたすらに攻撃の手を緩めない。

 

「な、なんだ!?こいつら…!!」

 

 キリト「うぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 カヤト「はぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 半ば強引に盾の間に手を挟み、盾を引き剥がそうとするが、後衛の術師(メイジ)がそれを許さない。

 カヤトは両手長柄を突き立て、その勢いで術師(メイジ)がいる所まで飛んだ。

 

「しまった!!」

 

 キリト「よそ見すんなっ!!」

 

 キリトも一瞬の隙をついて、とうとうタンク隊を突破した。

 

「くっ!!」

 

 術師(メイジ)もここが正念場と感じ、威力が高い魔法で応戦する。

 

 ユイ「今です!リーファさん!!次の魔法が来たら残りのMPを全部使ってどうにか持ちこたえてくださ。!!」

 

 リーファ「…わかったわ!!」

 

 リーファも残りのMPを全て使って高等回復魔法の詠唱を唱える。

 火妖精族(サラマンダー)の魔法が放たれるのと同時に、リーファは回復魔法をキリトとカヤトにかけた。

 

 キリト「____!!」

 

 リーファ(「あれは幻惑魔法!!?」)

 

 ユウキ「何あれ!」

 

 キリトは黒い影に身を包みながら詠唱を続けていた。

 その異様な光景はそけにいた全てのプレイヤーが固唾を飲んで見守っている。

 詠唱を唱え終えた瞬間、黒い影は一気に弾けた。

 

 ストレア「すご〜い!!!!」

 

 ユウキ「あれ…本当にキリトなの?」

 

 キリトのアバターの面影などどこにも残っておらず、そこにはSAOで感じた()()()()と似ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キリトは巨大なボスモンスターの姿で戦場を暴れ回った。

 

 カヤト「あの!自我とかあるんですよね!!?」

 

 キリトは咆哮を上げながら、次々と火妖精族(サラマンダー)を薙ぎ払っていた。

 火妖精族(サラマンダー)はあまりの恐怖に足をすくませ、ろくに防御も出来ずにいた。

 

 キリト「ウガァァァァァァァッ!!!!」

 

 そして、残りもあと僅かになった所でリーダー格のプレイヤーは橋の下の湖へと飛び込んだが、湖には凶悪なモンスターがいる為、火妖精族(サラマンダー)は呆気なく、消滅した。

 最後の1人も倒そうとするキリトにリーファは我に返り、そのプレイヤーを生かすように言った。

 キリトはそのプレイヤーを橋の上に落とし、全員でそのプレイヤーを囲んだ。

 

 リーファ「さぁ!誰に命令されたか吐いてもらうわよ!」

 

「…こ、殺すなら殺せ!!」

 

 リーファ「このっ…!!」

 

 キリト「いやぁ暴れた暴れたぁ!!」

 

 キリトは元のアバターに戻り、ボク達の所へと戻ってきた。

 

 ユウキ「何なの!?あの魔法!!」

 

 キリト「いやぁ…ユイに言われるがままにやってたからなぁ…。

 でも、モンスター気分を味わえてなかなか良い経験だったよ!」

 

 そんな気分なんか味わいたくないと思ったが、タクヤがいたら多分同じ事を言ってる所が容易に想像できた。

 でも、そうなったなら映画の美女と野獣みたいな事を再現出来そうだなと思ったのはみんなには秘密だ。

 

 キリト「ところで君…。さっきはなかなか見事だったよ。

 オレ1人だったらやられてたよ。で、時に相談なんだけど…。

 これ、さっきの戦闘でドロップしたアイテムとユルドなんだけど…話してくれたらこれ全部君にあげちゃおうかなぁって思ってるんだけど…」

 

 何とも身も蓋もない話であるが、火妖精族(サラマンダー)のプレイヤーには実に魅力的な話であったらしく、周りに仲間がいないか確認しながらキリトに問う。

 

「…マジ?」

 

「マジマジ」

 

 すると、2人はにやけながら交渉を成立させた。

 

「さっきの部隊のリーダーのジータクスさんの上の人からの命令だったらしくてさ。

 しかも、たった2人をフルボッコにするって話じゃん?

 ここまでやるかって思ったんだけどあの()()()()さんを撃退させたって事だったし…」

 

 リーファ「カゲムネ?」

 

「アンタらだろ?シルフ狩りの槍使い(ランサー)倒したの…」

 

 ボク達とは別行動でキリトとリーファは行動していた為、おそらくその時に起きた事であろう。

 

 ユウキ「…キリトといたら面倒に巻き込まれるね」

 

 キリト「なっ!?そ、それを言うならタクヤだってそうじゃないか!!」

 

 ユウキ「タクヤはいいもーん」

 

 キリト「無茶苦茶だな…」

 

 話す事がなくなった火妖精族(サラマンダー)は交渉通りキリトからアイテムやユルドを受け取り、その場を後にした。

 

 リーファ「…ふぅ。これで進めるね。

 てか、さっきの…本当にキリト君だったの?」

 

 キリト「ん?あー…それがよく覚えてないんだよね。

 オレ、興奮してくると記憶が飛んじゃう事あるから…」

 

 ユウキ&ストレア&リーファ「「「こわっ」」」

 

 カヤト「と、とにかく今は置いておいて先に進みましょう?」

 

 ボク達は鉱山都市ルグルーへと入り、その場で情報収集を始めた。

 リーファは一旦ログアウトするとの事で、キリトを見張り番に置いてボク達は再度聞き込みを始めた。

 

 カヤト「こういうプレイヤーを見た事ありますか?」

 

「あぁ…そのプレイヤーなら昨日見たよ」

 

 ユウキ「!!そ、それはどこで見たの!!?」

 

 タクヤ「え、えっと、確か…そこの宿屋に夜遅くに入っていったなぁ…」

 

 すぐ様ボク達はタクヤがいたであろう宿屋に向かい、そこでも聞き込み調査を行った。

 

 ユウキ「こういう見た目のプレイヤーが昨日ここにいたと思うんだけど…見た?」

 

「いや、オレは今日ここに来たから…」

 

 ユウキ「そ、そっか…」

 

「あー…でも、もしかしたら、アルン方面で露店を出しているプレイヤーなら見たかもしれないな」

 

 ストレア「早速行ってみよ〜よ!!ありがと〜お兄さん!!」

 

 ボク達は宿屋を後にして、アルン方面の出入口に向かい、聞いた通りの場所で露店を出しているプレイヤーに話を聞いた。

 

「うん。このプレイヤーならここでポーションとか買って行ったよ。

 ちょうど今日の朝の9時だったかな…。

 何か急いでいたみたいだけど…」

 

 ユウキ「この先に…タクヤが…」

 

 ストレア「早く行かないとどんどん距離が開いちゃうよ!」

 

 カヤト「でも、まだリーファさんが…」

 

 と、そんな話をしている時に後ろから何やら顔つきが厳しくなっているリーファとキリトが走ってきた。

 

 リーファ「みんな!ここにいたんだね!

 私、先を急がなきゃだから話は走りながらでいい?」

 

 ユウキ「うん!ボク達も先を急ぐから大丈夫だよ!!」

 

 そう言って、ボク達は早々にルグルーを抜け、世界樹のあるアルンへと向かった。

 

 リーファ「この回廊を抜けて少し行った所に蝶の谷って場所があるんだけど…そこで風妖精族(シルフ)猫妖精族(ケットシー)」が同盟を組む為の調停を結ぶの。

 そこに火妖精族(サラマンダー)が大部隊を送って領主2人の首を殺ろうと考えているらしいの!!

 だから、私は助けに行かなくちゃいけない…」

 

 キリト「質問。火妖精族(サラマンダー)にとってのメリットは?」

 

 リーファ「まず、領主館に貯蓄されている資金の半分を奪えるでしょ?

 それに領地に好きな額の税金をかけられるし、領地の3分の1を奪える…」

 

 すると、リーファは急に立ち止まりボク達の方に振り返った。

 

 リーファ「だから、今ここで私を切っても恨んだりはしない…。

 みんなは世界樹に行きたいんでしょ?

 もしかしたら…火妖精族(サラマンダー)に付いて行った方がいいのかも…」

 

 リーファの言い分も分かる。

 確かに、そうした方が早く世界樹へ行けるかもしれない。

 だが、ボク達はあの世界で大切な事を学んだ。

 

 キリト「…殺したければ殺すし、奪いたければ奪う…。

 そういうプレイヤーはたくさん見てきた…。

 それも1つの心理だし、否定もできない…。

 ゲームの世界でしか味えないものだ。

 でも、ここで培った経験は必ず現実(リアル)に返ってくるんだ。

 オレ、リーファの事…好きだよ。友達になりたいと思う。

 だから、オレは自分の利益の為だけに仲間を見捨てたりはしない!!」

 

 ユウキ「ボク達もキリトと同じ意見だよ!!」

 

 リーファ「…みんな優しいんだね」

 

 ユウキ「その集会っていつ始まるの?」

 

 リーファ「あと1時間ぐらいだと思う…」

 

 なら、この回廊を抜けて蝶の谷に向かう為に使えるのは1時間のみだ。

 行きの長さから考えるとかなりきつい。

 でも、やらねばいけない。リーファの為にも絶対に…。

 タクヤならきっとそうするから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という事でどうだったでしょうか?
次は予期せぬ事を考えていますのでどうかよろしくお願いします。


では、また次回!
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