ソードアート・オンライン-君と共に在るために-   作:ちぇりぶろ(休載中)

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という事で34話目です。
今回もバトル多めの回になっていますので読む量がいつもより少し多くなっていますがご了承ください。


では、どうぞ!


【34】王者の風格

 2025年05月10日 12時30分 央都アルン 浮遊島

 

 アルンの上空にいくつもの浮遊島が存在している。

 そのなかで最大規模を誇る浮遊島には多くのプレイヤー達で埋め尽くされていた。

 彼らがここへ何をしに来ているのかと言うと、今日ここでALO初と言っていいバトルロイヤルトーナメントの予選が行われるのだ。

 

 タクヤ「ついに来たな…!」

 

 ユウキ「うん…!」

 

 タクヤとユウキも浮遊島に到着する。

 目の前のプレイヤーの数は見渡す限り400人はくだらないだろう。

 

 キリト「来たか2人共」

 

 アスナ「こんにちはタクヤ君!!ユウキ!!」

 

 一足先に来ていたキリトとアスナが2人に挨拶を交わす。

 タクヤとユウキも2人に挨拶を交わしていると、リーファとストレア、リズベットにシリカも到着したようだ。

 

 リーファ「すごい数だね…。これ全部大会の参加者?」

 

 シリカ「私達勝ち上がれますかね?」

 

 リズベット「大丈夫よ!この日の為に特訓してきたんだから!!」

 

 ユウキ「そうだよ!!もっと気合い入れていこっ!!シリカ!!」

 

 タクヤ達はバトルロイヤルの本戦へと進出する為、10日間みっちり鍛えてきたのだ。

 決闘(デュエル)やモンスター戦に、スキルの熟練度上げなどをこなし、防具と武器もリズベット謹製の代物となっている。

 

 タクヤ「リズ、まだ()()は出来ないのか?」

 

 リズベット「まぁね。何せ初めて作る物だから要領が他のと違うのよ。

 まぁ、本戦の前には出来てるハズだから安心しなさい!」

 

 キリト「もう本戦に出る気でいるのか?

 自信をつけるのはいいが油断しないようにな」

 

 リズベット「分かってるわよ!

 今日の私はいつも以上に燃えてるんだから!!」

 

 優勝商品のレア鉱石はこの大会でしか入手出来ない限定品だ。

 鍛冶師としてこれ程興味をそそられる物はないだろう。

 

 ストレア「あ!カヤトとホークだよ〜!」

 

 カヤト「みなさんこんにちは」

 

 ホーク「よぉ!お主らも大会に出るんか?」

 

 タクヤ「おう!お前らも大会出るのか?手加減しないぜ?」

 

 ホーク「あったり前じゃ!!

 前ん時の借りをきっちり返してやるきのぉ!!

 楽しみにしちょれよ!!」

 

 ホークがタクヤに宣戦布告をした瞬間、前方の集団から悲鳴が聞こえてきた。

 

 キリト「な、なんだ…!!?」

 

 アスナ「とりあえず行ってみよう!!」

 

 タクヤ達は人混みを割いて前に出ると複数のプレイヤーが地に伏していた。

 中央には赤い両手剣を握りしめた土妖精族(ノーム)のプレイヤーが立っている。

 

 タクヤ「…キング!!」

 

 キング「貴様か…。もしや、この大会に出ると?」

 

 タクヤ「あぁ。大会にも出るしお前との再戦も期待してるんだけどな…!!」

 

 キング「…くだらん。だが…俺の前に立ち塞がるなら誰だろうと平伏してやるのみ…!!」

 

 キングは両手剣を鞘に収めてその場を後にした。

 倒れていたプレイヤーはキングの力に恐怖してしまい、その場でログアウトしていった。

 

 キリト「…戦いはもう始まってる訳か」

 

 ユウキ「タクヤ。あの人の事知ってるの?」

 

 タクヤ「…1回戦ったんだけどとんでもなく強かったな。

 全然敵わなかったし…」

 

 タクヤが自分の口から敵わないと発したのはこれが初めてだった。

 ユウキでさえ聞いた事ないならこの場にいる者は誰も聞いてないだろう。

 

 ユウキ「タクヤが…負けるなんて…」

 

 アスナ「相当強いんだね…!」

 

 タクヤ「あぁ。大会がますます楽しみになってきたな…!!」

 

 すると、浮遊島にアナウンスが流れ始めた。

 

『えーお集まりの皆様!!長らくお待たせしました!!これよりALOバトルロワイヤルトーナメント"妖精剣舞”の予選を開始しマース!!!!』

 

「「おぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」

 

 浮遊島が揺れる程の歓声にタクヤ達も一層緊張が高まっていく。

 

『それでは、予選のルールについてご説明させていただきマス。

 今、この場にいらっしゃる参加者の数は424名212組!!

 まさか、これ程参加者が募ってくださるとは正直思いませんデシタ。

 そこで参加者を120名60組に減らしたいと想いマス!!』

 

 ストレア「つまり予選の予選って感じかな〜?」

 

 ここで一気に7割も削られるとなると競争率がぐんと跳ね上がる。

 しかし、ここで残れなければ本戦に出場するなど夢物語だ。

 プレイヤー全員に緊張が走る。

 

『そして、その選定の内容は"変則タッグデスマッチ”デス!!』

 

 カヤト「変則…タッグデスマッチ?」

 

『ルールは至って簡単デス。

 今から案内する3つの特設エリアで合計60組になるまで戦って頂くだけでございマス!!』

 

 ホーク「ほぉ…確かに簡単じゃ!!」

 

『ただし、変則ルールとしてHPとMPはペア同士で共通化とさせて頂きマス。

 つまり、自分がダメージを受けてしまいますとペアのプレイヤーにも同じダメージが発生してしまいマスのでご注意くだサイ!!』

 

 このタッグマッチの鍵を握るのはペア同士の連携にある。

 互いに息を合わせなければHPやMPは瞬く間に無くなっていくだろう。

 

 リズベット「結構えぐいわね…」

 

『では、10分後に皆様をランダムに転送させマス。

 その間に装備の確認を済ませておいて下サイ』

 

 アナウンスが終了すると全員が一斉にウィンドウを開いてはペア同士で最終確認を行っている。

 

 タクヤ(「そういや、キングは誰と組んでんだ?

 なんか、一匹狼っぽいから想像出来ねぇけど…」)

 

 ユウキ「タクヤ!!ボク達も作戦考えなくちゃ!!」

 

 タクヤ「そうだなー…。

 とりあえず回避出来る攻撃は極力回避して、無理なものはガードしよう。

 まぁ、ユウキの速さがあれば心配ないか」

 

 ユウキの速さはSAOの時からよく知っている。

 "閃光”と謳われたアスナと互角かそれ以上だと囁かれている。

 タクヤは今はなき"修羅”スキルで劇的な速さを有していたが、SAOと共に消滅してタクヤの心の中にシュラは存在していないのだ。

 

 キリト「じゃあ、みんな。これからは敵同士だ!

 負けても恨みっこなしだぜ!」

 

 ユウキ「大丈夫だよ!キリトとアスナはボク達が倒しちゃうもんね!!」

 

 リーファ「私達だって負けないよ!!」

 

 シリカ「頑張ります!!」

 

 瞬間、全員の体は光に包まれていき、3つの特設ステージへと転移していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Aステージ_

 

 

 タクヤとユウキが飛ばされたステージは神殿をモチーフに設計された障害物の多いフィールドだ。

 死角も多い為、不意打ちなどに注意して戦っていかなければならない。

 そして、上空にはこのステージにいるであろう参加者の名前が記されたモニターが浮いていた。

 

 タクヤ「あれで残りの数を知らせてるのか…」

 

 すると、早速1組が横線が引かれた。

 おそらく、既に戦闘中でその中で倒されたんだろう。

 

 ユウキ「こっちのステージにはカヤトとホークのペアと…クラインさんとエギルのペアもいるよ!!」

 

 タクヤもモニターに目を向けた。

 タクヤが探しているのはキングの名前だ。

 しかし、キングの名前はどこにも記されていない。

 どうやら別のステージにいる為、ここでの再戦は叶わなかったがこの後の予選や本戦でだってチャンスは残されている。

 いい加減空ばかりを眺めているのも危険な為、周囲を警戒しながら物陰に隠れる。

 

 ユウキ「…誰もいないね」

 

 タクヤ「でも、見えないだけで近くにいるかもしれねぇからな…。

 用心に越した事はねぇ」

 

 瞬間、物陰から顔を半分だけ出していたユウキの頬を強烈な矢が掠めた。

 

 タクヤ&ユウキ「「!!」」

 

 矢が来た方角を見ると微かだが人影が見える。

 距離は大体140mそこそこだ。ALOの射撃アシストは100m。

 つまり、システムアシストを加えれば先程の超遠距離攻撃が可能だという事になる。

 

 タクヤ「たまんねぇな…おい…」

 

 ユウキ「あんな遠くにいたんじゃ攻撃のしようがないよ」

 

 このままやり過ごせる程相手も甘くは思ってはいないだろう。

 問題はこの距離をどうやって詰めるかだが、相手もこの大会に参加している限りもう1人の仲間がどこかでチャンスを伺っているハズだ。

 

 タクヤ「くそ…どうすれば…」

 

 ユウキ「速さならボクの方が上なのになぁ…」

 

 タクヤ「速さ…ユウキ。敵のいる所まで最速でどれだけかかる?」

 

 ユウキ「え?えーと…10秒もあればたどり着けると思うけど…」

 

 10秒という短い時間だが、戦闘時にはそれが途方もなく長く感じる。

 だが、タクヤが考えついた作戦にはその時間が勝機を見いだせる時間でもあった。

 

 タクヤ「なら、一緒に出るぞ。正面突破だ!!」

 

 ユウキ「でも、矢がいっぱい飛んでくるしもう1人にも警戒しないと」

 

 タクヤ「…特訓の成果を見せてやるさ!!」

 

 タクヤとユウキが物陰から一向に出て来ないので、矢での攻撃が止んだ。

 矢にも本数に限界がある。無尽蔵には撃ってこれない。

 そして、タイミングを見計らってタクヤが先に飛び出した。

 続いてユウキもタクヤの後ろにぴったりつけて出て来る。

 

「っ!!」

 

 まるで、待っていたかのように数本の矢がタクヤ目掛けて放たれた。

 

 タクヤ(「矢の軌道は…ここだっ!!」)

 

 タクヤはスターナイトウォークスを構え、矢が体を貫く前に弾き飛ばした。

 これにはユウキも驚きを隠せないが、タクヤは速度を緩めず、矢を弾きながら距離を詰めていく。

 瞬間、近くの物陰から両手斧を振りかざしたプレイヤーが現れた。

 

 タクヤ「来たな…!!」

 

「うぉぉぉぉっ!!!!」

 

 両手斧はあらゆる武器の中で最高級の破壊力を有している。

 店売りの物でさえ、今のタクヤとユウキのHPを吹き飛ばすには申し分ない。

 

 ユウキ「やばっ!!?」

 

 タクヤ「そのまま走れ!!」

 

 ユウキ「!!」

 

 ユウキはタクヤが考えている事は分からないが、タクヤの指示なら何だってやってみせる。

 それだけタクヤが信頼のおける相棒だからだ。

 ユウキは最高速度で真っ直ぐ弓矢使い(アーチャー)に向かって走る。

 横からの攻撃はタクヤが退け、両手斧のプレイヤーを置き去りにした。

 

「は、速すぎる…!!?」

 

 両手斧を装備すると、移動スピードは極端に落ち、奇襲にはあまり向いていない。

 弓矢使い(アーチャー)も気が動転してあらぬ方向へ矢を放っていた。

 

 タクヤ「いけ!スイッチ!!」

 

 ユウキ「やぁぁぁぁぁっ!!」

 

 ユウキの斬撃が弓矢使い(アーチャー)を襲った。

 流石に一撃では倒せないが近距離では片手用直剣を使っているタクヤとユウキに分がある。

 スイッチを重ね、タクヤの最後の水平切りで弓矢使い(アーチャー)のHPが全損した。

 それに伴い背後の両手斧使いも強制転移させられた。

 

 タクヤ「よし!まずは1組倒したぞ!!」

 

 ユウキ「いやー結構苦戦させられたねー」

 

 タクヤ達のような近距離戦闘しか出来ないペアも中にはいるが、近距離、遠距離戦闘を得意としているプレイヤーのペアもいる。

 バランスがとれ、いざという時の咄嗟の柔軟性にも優れていた。

 もし、タクヤが矢を弾く事が出来なければ負けていたのはタクヤ達の方だったろう。

 それだけ、手強い相手だったと言う事だ。

 

 タクヤ「ここにいても格好の的だ。

 視界が悪い茂みの中に入ろう…」

 

 ユウキ「了解!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Bステージ_

 

 

 見渡す限り木や茂みが広がっているBステージにリズベットとシリカがいた。

 

 リズベット「視界が悪いわね。

 シリカ、ピナに索敵使わせて周囲を警戒して!!」

 

 シリカ「分かりました!お願いねピナ?」

 

 ピナは空高く飛び、上空から敵プレイヤーを警戒する。

 このBステージにはリズベットとシリカの他にリーファ、ストレアペアがいる。

 上空のモニターには既に半分ものペアが脱落しているのが分かった。

 デスマッチが開始されはや1時間。

 リズベットとシリカも苦戦しながらも3組のペアを倒した後だった。

 

 リズベット「ピナのおかげでなんとか先手を取れてるけど、これからはそうはいかないかもね…」

 

 シリカ「はい…。もう残り僅かですし、強い人達ばかりがいるんでしょうから…」

 

 そう考えただけでも2人の背筋は凍りつく。

 特訓したと言っても10日程でPvPに慣れるものではない。

 それはキリトやタクヤも言っていた事で、最低限の知識と戦略を組み上げるだけで特訓が終了するなんて日もあった程だ。

 

 ピナ「きゅるるっ!!」

 

 シリカ「!!…リズさん、敵が近くにいます!!」

 

 リズベット「分かったわ!!警戒しつつ近づくわよ…!!」

 

 なるべく気配を悟られないように茂みを歩いていると、前方に1組のペアがいた。

 どうやら、リズベットとシリカの接近には気づいていないようだ。

 

 リズベット(「私が背後から狙うからシリカはピナのバブルブレスで動きを封じて」)

 

 シリカ(「了解です!!」)

 

 ピナを気付かれないように1組のペアの頭上にスタンバイさせる。

 そして、リズベットの合図と共にシリカがピナに指示を出す。

 

 シリカ「ピナ!!バブルブレス!!」

 

 ピナ「きゅるっ!!」

 

「「!!?」」

 

 見事にプレイヤーの虚を突き、バブルブレスで動きを封じた。

 

 リズベット「ここよっ!!」

 

 リズベットはその隙をついて片手長柄でプレイヤーに攻撃した。

 HPが2割程減少したのを確認するとリズベットはまた茂みの中へと隠れた。

 2人が考えついた作戦は無理をせず、確実に敵を倒すといったシンプルな作戦だったが、これが実に効果的で時間無制限であるが故に、慎重にここまで運んできたのだ。

 

「くそっ!…どこへいきやがった?」

 

「こう視界が悪いんじゃ見つけられっこねぇ!!」

 

 シリカ「はぁぁぁぁっ!!」

 

 シリカが単独でピナのウォーターブレスと同時に短剣での連続攻撃に出た。

 敵のHPがイエローゾーンに入り、シリカはこの瞬間を好機と考えた。

 

 シリカ「ピナ!!バブルブレス!!」

 

 ピナ「きゅるっ!!」

 

 敵を再度バブルブレスで動きを封じ、止めの一撃を狙った。

 だが、敵もこの大会に向けていろいろ準備してきている。

 武器を片手用直剣から両手長柄に変え、中距離攻撃にシフトチェンジした。

 これならば動きを封じられていようがある程度距離が離れている敵を攻撃する事が出来る。

 シリカに一筋の剣閃が穿たれた。

 

 シリカ「きゃあぁぁっ!!」

 

 リズベット「シリカ!!」

 

 シリカとリズベットのHPは3割程削られているが、その間にピナのバブルブレスの効力は切れ、敵が2人に徐々に接近してくる。

 

 リズベット(「両手長柄は中距離特化型の武器…。

 近距離武器の短剣なら懐にさえ入り込めれば…!!」)

 

 だが、懐に入り込むには敵の隙をつく必要がある。

 敵はもう既に勝利を確信した表情をしていた。

 流れは完全にリズベットとシリカから敵へと移っている。

 

 シリカ「…リズさん。私が前に出ます!」

 

 リズベット「な、何言ってるのよ!

 正面から行っても返り討ちに遭うだけよ!!」

 

 シリカ「私に考えがあります…」

 

 そう言い残し、シリカは1人で2人に突撃をかけた。

 

「馬鹿なヤツ!!蜂の巣にしてやるぜっ!!」

 

「じゃあ、俺は後ろの女だ!!」

 

 2人の敵も二手に別れ、シリカとリズベットに攻撃を仕掛けようとする。

 

 シリカ「そうはさせません!!ピナ!!ウォーターブレス!!」

 

 シリカはピナにウォーターブレスの指示を出した。

 だが、それは敵に向けられたものでなく、森に向かって放たれた。

 

 リズベット「!?」

 

「ぎゃはははっ!!どこに目ェ付けてやがんだっ!!」

 

 シリカ「いえ…これでいいんです!!」

 

 すると、リズベットに攻撃を仕掛けようとしていた敵の真上から樹木が降ってきた。

 突然の事に敵の1人は樹木の下敷きとなった。

 当然、HPも減ってレッドゾーンに突入している。

 

「…このガキがぁっ!!」

 

 狂乱した敵が両手長柄を乱射させる。

 シリカはこれを短剣で受け流すが、そう長くは持たない。

 

 シリカ「…っ!!」

 

「これで…終わりだァァァっ!!」

 

 リズベット「させないわっ!!」

 

「!!」

 

 敵の背後に回り込んでいたリズベットが片手長柄を振り上げ、勢いよく敵の後頭部を砕いた。

 それによりHPが全損し、2人は強制転移されていった。

 

 シリカ「…はぁぁぁぁ。な、なんとか勝てましたね…」

 

 リズベット「アンタも無茶ばっかりするわねぇ…。

 どっかの誰かさんに似てきたんじゃない?」

 

 すると、シリカの顔はたちまち赤くなっていき、リズベットに歩み寄った。

 

 シリカ「そ、そんな事ないですよ!?

 タクヤさんと比べて私なんかは…!!」

 

 リズベット「別に私はタクヤなんて一言も言ってないけどー?」

 

 シリカ「!!…り、リズさーん!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Cステージ_

 

 

 アスナ「見渡す限り荒野だね…」

 

 キリトとアスナが飛ばされたCステージは砂嵐が舞い、果てなく続く荒野フィールドだった。

 

 キリト「砂嵐のせいで周りは全く見えないし、空を飛ぼうにも日差しが強すぎてダメージ入っちゃうし…めちゃくちゃ難易度高いな…」

 

 例え、日差しでダメージが入らなくても、空を飛べば砂嵐に飲み込まれ最悪そこでHPが全損する恐れがある。

 仕方なくキリトとアスナはプレイヤーを探して歩く事にした。

 頭上のモニターを見る限り、このCステージにはキリトとアスナペア、そして…キングの名が刻まれている。

 

 アスナ「キングって人…1人だけど参加していいの?」

 

 キリト「あぁ。基本は2人のペアで出る大会だけど、()()()()を飲めば1人でも出られたハズだ」

 

 アスナ「ある条件?」

 

 キリト「…この大会に参加している全てのプレイヤーのステータスの平均値にする…。言っちゃえばステータスに制限がかかってる状態だよ」

 

 アスナにはそれが何を意味するのか分かった。

 つまり、キングというプレイヤーのステータスは普段よりも弱くなっているという事だ。

 だが、頭上のモニターには既に多くのペアがキングに敗退している。

 モニターにはそのプレイヤーの撃墜数も記録されており、キリト達が8組に対し、キングは40組以上も撃墜しているのだ。

 

 アスナ「ルールじゃ60組になるまでデスマッチは続くって言ってたけどCステージにはもう10組もいないよ」

 

 キリト「それだけキングって奴がすごい速さで倒してるんだろうな…。

 タクヤが1目置くだけの事はあるぜ」

 

 アスナ「タクヤ君が負けちゃうなんてあんまり想像つかないけど…キリト君ならどう?勝てそう?」

 

 キリト「どうだろうな…。

 タクヤが負けたんならオレも負けるんじゃないかって思うよ。

 全盛期程の力が出せない事を差し引いてもね…」

 

 ALOの世界でキリトは最強と謳われいるユージーン将軍に勝っているが、その時はSAOのステータスを移行していた為、今戦っても勝てる見込み等どこにもない。

 

 キリト(「オレの見解じゃユージーン将軍よりキングの方が強い…。

 オレも1回手合わせしたいもんだな…」)

 

 アスナ「…キリト君。そのキングと戦ってみたいって顔してるよ?」

 

 キリト「え?オレ…そんなに顔に出てた?」

 

 アスナ「そりゃあもう…でも、キリト君だから仕方ないね」

 

 キリト「あはは…」

 

 周りに警戒しながら歩いていた2人の前に砂嵐をかき分けながら近づいてくる人影がいた。

 キリトとアスナは剣を抜き、臨戦態勢に入る。

 

 キリト「…まさか、アンタの方から来てくれるとは思わなかったぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …キング!!!!」

 

 目の前には赤い両手剣を携えたキングが立っていた。

 

 キング「…何者だ?」

 

 キリト「オレは影妖精族(スプリガン)のキリト。

 タクヤの知り合いって言えば分かるかな?」

 

 キング「あの男の…そうか。

 なら貴様もそれなりに強いという訳か…」

 

 キングが両手剣を抜いた瞬間、キリトとアスナの背筋が凍りついた。

 今までこれ程緊張した事はなかった。

 SAOにいた時でさえこんな事は起こらなかった。

 

 アスナ(「な、何…!!この人が剣を抜いた瞬間、異様な程、胸が圧迫されている感覚に陥ってしまう…!!」)

 

 キリト「…アスナ。…君は下がっていてくれ」

 

 キリトもその感覚に囚われてしまっているのかもう1本の片手用直剣をストレージから取り出し、二刀流の構えをとる。

 

 キング「二刀流か…。

 まさか、剣が2本あれば勝てるとは思っていまいだろうな?」

 

 キングは鋭い目つきでキリトを睨む。

 あまりにも強い威圧感を放っているキングを前にキリトは1歩後退させられた。

 自身の名前の通り勝利を揺るぎないものと考えている王者の風格を醸し出していた。

 キングはゆっくりとキリトに近づいてくる。

 

 キリト「悪いな…最初から全力出さないと勝負にならなそうだからな!!」

 

 キリトは地を蹴ってキングに正面から挑んでいった。

 キングはそれを両手剣で薙ぎ払う。

 キリトもそれを予想していたのか、薙ぎ払われる前にバックステップを取って回避する。

 だが、そんな小細工はキングの前では無に等しかった。

 薙ぎ払った側から砂嵐が巻き起こり、キリトを後方へと吹き飛ばした。

 

 キリト「なっ!!?」

 

 アスナ「キリト君!!」

 

 キリトとアスナのHPは減っていないが、驚くべき所はそこではない。

 軽く剣を奮っただけで砂嵐など起こせるものでは無い。

 

 キリト(「キングのステータスは平均値に設定されて弱くなっているハズだ。なのに、なんであんな芸当が…」)

 

 キング「かかってこないのか?

 なんなら、2人まとめてかかってきてもいいぞ」

 

 キリト「いや、今回はオレだけだ!!」

 

 キリトはまたしてもキングに正面から挑んだ。

 だが、キリトも考えもなく2度も同じ手は使わない。

 キングが剣で砂を薙ぎ払い砂嵐を巻き起こした。

 キリトはそれを回避してキングの左横を捕らえた。

 

 キリト「これで…どうだっ!!」

 

 キング「…!!」

 

 キリトの剣がキングの横腹を捕らえ、微かだがダメージを与える事に成功した。

 

 キング「…」

 

 キリト「くそ!かすったか…」

 

 キング「…貴様もあの男同様万全ではないな?

 貴様の本気はそんなものではないだろう?」

 キリト「!!?」

 

 キング「今は生かしておいてやる…」

 

 そう言い残し、キングは砂嵐に紛れ姿を消した。

 

 アスナ「キリト君…」

 

 キリト「アイツは…一体…」

 

 瞬間、上空のモニターからブザーがフィールドに鳴り響いた。

 

『終了ー!!!!只今を持って予選への切符を手にしたのはこちらの方々デース!!!!』

 

 モニターにはタクヤやユウキ、仲間の名前が全員記載されていた。

 すると、キリトとアスナはどこかへ転移されていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年05月10日 16時05分 妖精剣舞予選会場

 

 予選出場者が転移させられたのは浮遊島に存在する闘技場だった。

 

 タクヤ「いきなり転移するなよなぁ…」

 

 タクヤ達は戦闘の真っ最中だったらしく、上手く着地出来ずに倒れていた。

 

 ユウキ「た、タクヤ…」

 

 タクヤ「なんだよ?…ん?手に柔らかい…」

 

 ユウキ「ひゃっ!!///」

 

 タクヤ「…」

 

 タクヤは何故か体中から汗が吹き出してきている。

 恐る恐る柔らかいものを握っている手を見てみると、ユウキのアーマープレートを潜らせ、インナー越しにユウキの胸を揉んでいた。

 

 ユウキ「い、いい加減離れてよ…」

 

 タクヤ「は、はいっ!!すみません!!わざとじゃないんです!!」

 

 ユウキ「分かってるよ…。

 でも、周りにも人がいるから…こういう事は、その…2人っきりの時にね…」

 

 タクヤ「…」

 

 タクヤはもう何も考えられずユウキに手を引かれるままキリト達と合流する事になった。

 

 ユウキ「あっ、アスナー!キリトー!」

 

 アスナ「ユウキ!!…とタクヤ君?ど、どうしたの?」

 

 キリト「そんなに厳しい戦いをしてたのか?」

 

 タクヤ「い、いや、確かに厳しかった…。

 いろいろと発展途上と言うか…」

 

 瞬間、タクヤの足をユウキが思い切り踏みつけた。

 たまらず、タクヤは足を抱えるがユウキは鼻を鳴らし、頬を膨らませている。

 そんな事をしていると、仲間達が全員集まって来た。

 

 クライン「みんな生き残ったみてぇだな!!」

 

 リズベット「当たり前よ!

 アンタみたいに女の子に鼻の下伸ばしてんじゃないんだから!」

 

 クライン「お、オレだって頑張ったんだぞぉっ!!なっ?エギル!!」

 

 エギル「敵の女性プレイヤーには鼻の下伸ばしてたけどな」

 

 クライン「そんな事ここで言うんじゃねぇよ!!この海坊主!!」

 

 相変わらずのクラインはさておき、全員予選に通過した訳だが、次からそうはいかない。

 残り60組になり次の予選では6つのブロックに別れ、純粋な決闘(デュエル)での強さが試される。

 

『皆様!!この度はお疲れ様デシタ!!

 明日の予選では6つのブロックに別れ、上位12組が本戦へと出場出来マス!!

 今から、その組み合わせを決めていきマス!!

 代表者の名前を呼ばれたペアから前のモニターにお越しくだサイ!!』

 

 そう言われると前にモニターが出現した。

 呼ばれる順番は先の戦闘での撃墜数が多い者からのようだ。

 まず、最初に呼ばれたのはキング。

 キングは呼ばれるや前のモニターへと向かう。

 

『では、こちらのランダムに配置されてますカードを1枚タップして下サイ』

 

 キングは言われるがまま60枚ある内の1枚をタップする。

 すると、モニターの頭上にでかでかとブロックと番号が表示された。

 

『キングさんはDブロックの3番です!!続いては─』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全ての組が引き終わり、予選トーナメント表が完成された。

 

 タクヤ(「…キングとの再戦は本戦に持ち越しか」)

 

 タクヤとユウキのペアはキングとは別のブロックだった。

 残念なような嬉しいような複雑な心情であるタクヤにユウキが言った。

 

 ユウキ「タクヤ。ボク達のブロックには誰も知り合いいないから楽チンだね!!」

 

 タクヤ「あぁ。他のみんなも上手い事バラケたな…」

 

 キリト「みんな、本戦で待ってるぜ!」

 

 ストレア「私達が優勝するもんね〜!タクヤ、ユウキ!!

 本戦で当たる事があったら手加減しないからね!!」

 

 ユウキ「当たり前だよ!!ボク達も全力でやるんだから!!」

 

『それでは皆様!!明日の13時に予選を開始致しマス!!

 それまで英気を養ったり、装備を新調したりしても構いまセン!!

 では、今日はお疲れ様デシタ!!』

 

 アナウンスが終了すると、予選出場者達は早々にログアウトしていった。

 

 カヤト「まさか、ここまで来れるとは思いませんでした…」

 

 ホーク「なーに言っちょるんや!!

 まだ、予選に出られるようになっただけやろぉがっ!!」

 

 エギル「相変わらず姿勢が低いんだな」

 

 カヤト「昔からこういうのはむいてなくて…」

 

 クライン「じゃあ、エギル!!明日も頼むぜ!!じゃあな!!」

 

 クラインはそう言い残し、ログアウトしていった。

 他のみんなもログアウトしていき、ここにいるのはタクヤとユウキ、ストレア、キリト、アスナ、そしてキリトの小妖精(ピクシー)であるユイだけだ。

 

 タクヤ「オレ達もログアウトして明日に備えるか」

 

 キリト「タクヤちょっと待ってくれ」

 

 キリトがタクヤを呼び止め、神妙な顔つきでタクヤに話した。

 

 キリト「今回、1人で参加しているキングなんだが…アイツは何者なんだ?」

 

 タクヤ「何者って…どういう意味だ?」

 

 キリト「この大会は1人で出場する場合、大会に参加しているプレイヤーの平均値のステータスが設定されるハズだが、キングは明らかにステータスがオレ達よりも高いぞ」

 

 剣圧だけで砂嵐を起こすには両手剣スキル、体術スキル、STR(筋力)、武器の性能が最高値ないと成しえない技だ。

 キリトは先程の戦いで確信を得ていた。

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 タクヤ「キリトの話が本当だとしても証拠がないからな…」

 

 ユウキ「運営に調べてもらったら?」

 

 アスナ「うーん。運営でも難しいと思うよ。

 仮にそういう違反が出てる訳じゃないし…」

 

 前例がないと言うだけで調査には乗り出さないし、タクヤ達がいくら抗議しようと腹いせやイタズラ程度にしか聞き入れてもらえないハズだ。

 

 キリト「どこか…ルールの穴をついているのか…。

 または、考えにくいけどアミュスフィアに何らかの細工しているのか…」

 

 ユイ「アミュスフィアには何重にもセキュリティが施されているのでその線は薄いかと思います…パパ」

 

 タクヤ「まぁ、別にいいんじゃね?」

 

 ストレア「なんで〜?ズルしてるかも知れないんだよ〜?」

 

 タクヤはウィンドウを開いてログアウト画面に移動する。

 

 タクヤ「オレはアイツと戦いたいだけだ。

 最初は優勝するって思ってたけど…今は優勝よりキングに勝つ事の方がオレにとっちゃあ最優先事項なんだよ。

 まぁ、全員に勝って優勝するのが1番なんだけどな!」

 

 タクヤはそう言い残して現実世界へと戻っていった。

 

 キリト「…アイツには敵わないな」

 

 ユウキ「なんて言ったってタクヤだもん!」

 

 明日の予選で本戦に進める12組が決定する。

 どのペアも強敵揃いだ。

 この中で誰が1番強いのかは本戦で決まる。

 ユウキはどこまでもタクヤについていく事を誓いながらキリト達と別れ、ログアウトした。

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?
キングの破格の強さにキリトが疑問を持っていましたが、あまり難しく考えなくても種は簡単なのでぜひ考えてみてください。


では、また次回!
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