ソードアート・オンライン-君と共に在るために-   作:ちぇりぶろ(休載中)

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という事で37話目です。
更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
次回よりいよいよ妖精剣舞本戦になります。
色々とネタを仕込んでいきますのでお楽しみに!


では、どうぞ!


【37】予選決勝戦③

 2025年05月11日 17時00分 妖精剣舞会場

 

 夕日が差し込み、予選会場はライトアップされさらに盛り上がりを見せていた。

 今からいよいよ予選最終決勝戦が始まる。

 

 タクヤ「よし!ユウキ、派手に暴れて来い!!」

 

 ユウキ「うん!!…でも、危なくなったらその時は助けてね?」

 

 長い通路を渡りながらタクヤとユウキが話している。

 もう既に対戦相手のゴーギャンとフロストは会場でタクヤ達を待っていた。

 会場につくと観客からの声援が雨のように降り注ぎ、2人の気合いもさらに高まっていく。

 

『ただいまよりCブロック予選決勝戦を始めマス!!』

 

 タクヤ「よろしく!」

 

 ゴーギャン「こちらこそ」

 

 ユウキ「楽しい試合にしようね!」

 

 フロスト「…」

 

 フロストは無言で頷き、双方握手を交わして距離を置く。

 ゴーギャンからの決闘(デュエル)申請を承諾し、カウントが始まる。

 互いに片手用直剣を武器に選択して、愛剣を構える。

 

 

 3…2…1…0

 

 

 ユウキ「行くよっ!!」

 

 ユウキが誰よりも速く前へと飛び出した。

 ゴーギャンとフロストは冷静にユウキの剣撃を躱しつつ攻撃へと転じる。

 ユウキはそれをSAOで培った反射神経のみでゴーギャンとフロストに空を斬らせた。

 

 ゴーギャン「速い…!!」

 

 フロスト「…!!」

 

 ユウキ「まだまだだよ!!」

 

 ユウキはさらに回転率を上げて2人を圧倒していく。

 ゴーギャンとフロストはいつしか防御態勢に強制的に入らされ、徐々にHPが削られていった。

 

 ゴーギャン「…フロスト!!」

 

 フロスト「!!」

 

 ゴーギャンがそう言うと2人は後方へ飛翔し、フロストだけが再度ユウキに剣を振るった。

 フロストの片手剣はユウキの片手剣よりも細く、どちらかと言えば細剣に近いものであった。

 その為、軽さを重視した剣はユウキの剣の前では力不足という結果を生んでいる。

 

 ユウキ(「フロストよりゴーギャンの方がいい気もするけど…」)

 

 などと考えているとフロストは上段から剣を振り下ろす。

 咄嗟に剣で防御の態勢に入ったが、後方からタクヤの叫び声が聞こえてきた。

 

 タクヤ「ユウキ!!それを受けるな!!」

 

 ユウキ「えっ?」

 

 剣と剣が衝突した瞬間、今まで味わった事のない衝撃がユウキを襲い、立っていた武舞台はその衝撃でもろくも崩れ散った。

 

 ユウキ「な、なに…これ…!!」

 

 先程までフロストの力とは思えない程の強く、重い、体の芯を直接揺さぶられているような感覚を味わいながらも何とか受け止める事に成功したが、フロストの背後からゴーギャンが現れた。

 

 ユウキ「やばっ!!?」

 

 両手はフロストの剣を防いでいる為ゴーギャンに割く事が出来ず、かと言って力を抜けばフロストの攻撃を受けてしまう。

 しかし、それでは逆にゴーギャンから隙だらけの無防備な状態のまま攻撃を受けてしまう事になる。完全に八方塞がりであった。

 

 ゴーギャン「貰った!!」

 

 ゴーギャンの水平斬りがユウキの腰周りに狙いを定め、迷いなき剣閃がユウキに襲いかかってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴーギャン&フロスト「「!!?」」

 

 ユウキ「…あ」

 

 ユウキは体が上半身と下半身で別れるイメージまで出来ていたが、それは叶わなかった。

 ゴーギャンもフロストも突然の出来事で理解が追いつかない。

 だが、言えるのはゴーギャンの水平斬りは()()()()()()()()()という事だ。

 その人物は試合開始時からその場を動いておらず、全体の状況を把握出来ている者にしか出来ない芸当である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タクヤ「ギリギリだったな…ユウキ!!」

 

 

 ユウキ「タクヤ…!!」

 

 タクヤはゴーギャンを払い除け、フロストもユウキから離脱させた。

 

 タクヤ「悪いな…コイツら、中々強いからオレも相手したくなった」

 

 ユウキ「ううん。ありがとう!助けてくれて!」

 

 タクヤ「ユウキはオレのパートナーなんだ。当たり前だっつーの!

 …さぁて、行けるか?ユウキ!!」

 

 ユウキ「まかせて!!」

 

 タクヤとユウキは左右対称の構えをとり、ゴーギャンとフロストに突撃をかけた。

 

 ゴーギャン「オレはタクヤ…!!フロストはユウキを頼む!!」

 

 互いにマッチアップし、剣と剣が入り交じり合う。

 ハイレベルな攻防に観客達もヒートアップしていき、それに合わせるかの如く、剣撃はさらに加速していく。

 

 タクヤ「中々やるな!」

 

 ゴーギャン「アンタもね!」

 

 タクヤは距離を取り、地を思い切り蹴って最高速に入る。

 視認が難しい速さで剣撃を浴びせていくタクヤにゴーギャンは防御の態勢をやむなしにされた。

 

 ゴーギャン(「ユウキと同じかそれ以上の速さ…!!」)

 

 速さでは勝てないと悟ったゴーギャンは空中へと飛翔し、魔法の詠唱を始める。

 

 タクヤ「させっかよっ!!」

 

 だが、タクヤが駆けつける前にゴーギャンの詠唱は終了し、再び挑んできた。

 すると、先程までは受け止められていた剣撃が一気に重くなり堪らずタクヤは地上へと叩きつけられた。

 

 ユウキ「タクヤ!!…ってわぁっ!!?」

 

 轟音鳴り響いた武舞台に視線を移した瞬間にフロストの剣閃が躊躇なくユウキの懐へと潜り込んでくる。

 

 フロスト「…!!」

 

 さらに、先程から威力も速さも撃ち合う度増していき、今では目では追いきれず反射神経だけで防いでいた。

 

 ユウキ「付加魔法だろうけど…効果時間長すぎない?」

 

 フロストと一騎打ちをしてもう10分程経過している。

 そろそろ魔法の効力が切れてもおかしくない。

 だが、フロストはそんな素振りを見せずその速さを活かし死角から死角へとユウキの動きを完璧に捉えてみせた。

 

 ユウキ「がっ!!」

 

 最早、反射神経だけでは全てを躱し切るのは難しくなってきた。

 ユウキは防御に専念しているとまたさらに速く、強くなっていく。

 

 フロスト「…!!」

 

 ユウキ「!!?」

 

 頭上から剣で貫こうとするのを間一髪の所で急所には至らなかったが、HPは今のでイエローゾーンに達してしまった。

 

 ユウキ「くぅぅ…効くなぁ…!!」

 

 すると、背中に暖かい感触を感じた。

 そこには息を切らしながらもどこか楽しそうなタクヤの姿があった。

 

 ユウキ「…楽しそうだね?」

 

 タクヤ「実際楽しいからな…。ユウキだってそうだろ?」

 

 ユウキ「もちろん…メチャメチャ楽しいに決まってるじゃん!!」

 

 戦況は圧倒的に不利。

 HPも残り僅かなこの状況でタクヤとユウキは頬を緩めた。

 今までゲームで強くなるのは自己防衛本能によるものだった。

 敵を倒し、自身を強化し、生きる為に剣を振るっていた。

 

 ユウキ「でも違うんだよね…」

 

 ここはあの戦場ではない。

 剣を振るう理由は大して変わらないがその本質は全く別の物だ。

 

 タクヤ「ここは…SAOじゃない…」

 

 目の前にいるプレイヤーは絶対的な敵ではない。

 自身の技術と経験を全てさらけ出し、正当なる決闘だ。

 タクヤとユウキは剣を握り直し、同じタイミングで地を蹴る。

 

 ゴーギャン&フロスト「「!?」」

 

 先程までの2人ではない事は一合うちあっただけで理解した。

 力が一点に集中し、揺るぎない信念が垣間見えている。

 

 ゴーギャン(「ここからが本番か…!!」)

 

 フロスト「…」

 

 ユウキ「行くよっ!!」

 

 タクヤ「第2ラウンド開始だ!!」

 

 タクヤがゴーギャンに、ユウキがフロストに闇魔法の煙幕を張る。

 会場中に煙幕が広がり、観客がざわめき始めている。

 

 ゴーギャン「…どこだ?」

 

 フロスト「…」

 

 周囲を警戒しているとゴーギャンの背後から剣閃が飛び込んできた。

 

 ゴーギャン「くっ!」

 

 すかさず反撃を繰り出すが、ゴーギャンの剣は空を切るだけであった。

 再び背後から入るがそれを防御したゴーギャンがその影を捉えた。

 

 ゴーギャン「!!」

 

 ユウキ「あれ?バレちゃった?」

 

 ゴーギャンはタクヤが背後から奇襲しているものかと思っていたが、そこにいたのはフロストと戦っているハズのユウキだった。

 

 ゴーギャン「じゃあ、フロストは…」

 

 ユウキ「この決闘(デュエル)はタッグ戦だよ?」

 

 ゴーギャン「!!」

 

 煙幕が次第に晴れ始め周りの景色が姿を現す。

 ユウキはゴーギャンから距離を取って出方を伺っている。

 

 ユウキ「君の相手はボクだよ!!」

 

 ゴーギャン(「フロストも強い…。俺はコイツを…!!」)

 

 瞬間、空中で大爆発が起きた。

 

 ユウキ&ゴーギャン「「!!」」

 

 そして、武舞台中央に1つの影が落ちた。

 そこにあったのはフロストの残り火(リメインライト)だった。

 

 ゴーギャン「!!」

 

 タクヤ「…残るはお前だけだな。…ゴーギャン!!」

 

 空中に残っていたのはHPがレッドに差し掛かっているタクヤだった。

 タクヤはユウキの隣に着地して剣をゴーギャンに向ける。

 

 タクヤ「そろそろ決着…つけようか?」

 

 ゴーギャン「…あぁ!!臨むところだ!!」

 

 ユウキ「ちょっと!!タクヤはフロスト倒したんだからダメだよ!!

 ゴーギャンを倒すのはボクなんだから!!」

 

 ユウキがタクヤの前に出て静止させる。

 

 タクヤ「でも、アイツめちゃくちゃ強いぞ?大丈夫か?」

 

 ユウキ「大丈夫だよ!!ボクが負けると思ってるの?」

 

 ユウキは笑顔を見せながら再度、ゴーギャンに向き直る。

 

 ゴーギャン「…随分なめられたものだな」

 

 ユウキ「逆だよ。君が本当に強いから負けない…負けたくないんだ!!

 もうお互いにHPはそんなにない…。

 次の攻撃で終わらせてみせる!!」

 

 ゴーギャン「…来いっ!!!」

 

 互いに剣を構え、徐々に距離を詰める。そして、2人は同時に前に出た。

 剣が交差し、互いの頬に切り傷が生まれるがそんなものに神経を費やしている余裕などない。

 次の一撃も互いに譲らず、ダメージが入らない。

 

 ゴーギャン(「フェイントを織り交ぜて…」)

 

 ユウキの左上の突きを躱し、脇腹に水平斬りを入れる。

 ユウキは咄嗟に体を引き、剣を躱した…かのように思われた。

 

 ゴーギャン「ここだ!!」

 

 ゴーギャンは寸前で剣を止め、前進した。

 

 ユウキ「!!」

 

 ゴーギャンとユウキの距離は30cmも離れていない。

 つまり、どんな攻撃も必中する間合いをゴーギャンは取った。

 剣を逆さ持ちに変え、下から上へと剣を振り上げた。

 

 ユウキ(「まだ…!!」)

 

 剣先がユウキのアーマープレートに触れた瞬間、ユウキは体を超高速で捻らせ、ゴーギャンのガラ空きの胴に剣撃を加える。

 

 ゴーギャン「なっ!!?」

 

 ユウキ「もっと速く…!もっと…強く!!」

 

 ゴーギャンに放たれた剣撃はユウキの加速と共に回転数をあげ、計11連撃にも及ぶ突きを浴びせた。

 ユウキがソードスキルのないALOで初めて繰り出したSAOのソードスキル。

 

 

 絶剣スキル"マザーズ・ロザリオ”

 

 

 システムアシストなど存在しないが、観客の誰もがユウキの剣技に目を奪われていた。

 それは直接体で味わったゴーギャンも同じであった。

 

 ゴーギャン「…綺麗だ…」

 

 そう言い残し、ゴーギャンは残り火(リメインライト)となった。

 

 

『試合終了!!Cブロック予選決勝戦…勝者タクヤユウキペア!!!!』

 

 

「「「おぉぉぉぉっ!!!!」」」

 

 ユウキはその場に経たり混んだ。

 今までにないほど気力を消耗したせいで足に思うように力が入らない。

 すると、不意に浮遊感に襲われたユウキは一瞬驚いたが、その原因はすぐに理解した。

 

 タクヤ「お疲れユウキ」

 

 ユウキ「タクヤも…お疲れ!」

 

 タクヤはユウキをお姫様抱っこして会場中に手を振った。

 観客の中には労をねぎらう者、野次を飛ばす者、冷やかす者といたがタクヤとユウキにはあまり関係の無い事だった。

 今はこの喜びを胸にしまい、明日の本戦で優勝する時まで取っておきたかったのだ。

 

 ユウキ「タクヤ…そろそろ歩けるよ?」

 

 タクヤ「いいよ…このまま運んでやるからゆっくりしとけ…」

 

 ユウキ「う、うん…。でも、恥ずかしいね…」

 

 ユウキは頬を赤くしながら視線をタクヤから外す。

 タクヤの顔を見ていると余計に恥ずかしくなってしまうからだ。

 

 タクヤ「明日も頑張ろうぜ…!!」

 

 ユウキ「うん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年05月11日 18時00分 妖精剣舞会場

 

『これにより全ての予選が終了しまシタ!!

 明日の本戦について軽くルール説明を致しマス!!』

 

 アナウンサーがそう言うと、背後で巨大な3Dモニターが展開された。

 

『まず、会場ですがこちらで用意するインスタントマップとなります。

 海、山、草原、荒野、遮蔽物のある居住区エリアと状況に応じたエリアが複数存在致しマス!!制限時間は3時間!!

 そして、各ペアがランダムに転移され合図と共に試合開始デス!!』

 

 モニターに映されたエリアの広さは大体10kmあるかないかとかなり広く作られているようだ、

 

『また、明日補足説明を致しますので明日の13時に会場に集合してくだサイ!!

 では、明日までしばしお別れデス!!またお会いしまショウ!!』

 

 モニターとアナウンサーはその場から消え、観客達も自分の領土やアルンへと帰っていった。

 

 タクヤ「明日は誰にも負けねぇからな!!覚悟しとけよ!!」

 

 リズベット「私達だって頑張るわ!!

 まずは、リーファとストレアにリベンジよ!!」

 

 エギル「俺達はキングにリベンジ…と言いてぇ所だが、あそこまで実力差があるんじゃあな…」

 

 クライン「何言ってんだ!!今度こそアイツを斬ってやる!!」

 

 クラインもいつになく本気で挑んでいるようでタクヤ達にもその意気込みがいい意味刺激を与えていた。

 

 ホーク「じゃあ、ワシらは帰るわ!また明日のぉ!!」

 

 シリカ「私もそろそろ失礼します!」

 

 次第に全員がログアウトしていき、残っているのタクヤとキリト、ユイにストレアであった。

 ユイとストレアはログアウトはしない為、アルンにあるタクヤとキリトのホームへ帰る事になる。タクヤとキリトが2人送る事にした。

 

 アルゴ「大会は順調みたいだナ」

 

 タクヤ「ん?アルゴ?何でここにいるんだよ?」

 

 物陰からこっそり現れたのは"鼠”のアルゴであった。

 

 ストレア「タクヤ〜誰〜?」

 

 タクヤ「こいつは情報屋だ。

 SAOから今にかけて情報屋を営んでるんだよ」

 

 アルゴ「よろしくナ!スーちゃん!!」

 

 ストレア「私の名前知ってるの?」

 

 アルゴ「まぁナ。…タク坊ちょっと…」

 

 そう言われてタクヤとアルゴはキリト達から少し離れた場所まで来る。

 

 タクヤ「で?どうだった?」

 

 アルゴ「確かに…どうもきな臭い噂が一部で出回っているらしイ。」

 

 タクヤは今日の予選前にアルゴにキングの身辺調査を探ってもらっていた。

 まさか、半日で調べ終われると思わなかったが。

 

 アルゴ「あの両手剣…どこの掲示板や攻略サイトにも載っていない未確認の武器らしイ。」

 

 タクヤ「あれが…」

 

 タクヤはキングが身に付けていた両手剣を思い出す。

 まるで、人間の血でコーティングされたような真っ赤な刀身。

 両手剣の割にリーチが短い事などだ。

 

 タクヤ「もしかして…違法か?」

 

 アルゴ「そこまでは分からないガ、可能性はあるだろうナ」

 

 タクヤ「そうか…。他に分かった事は?」

 

 アルゴ「そうだナ…。

 キングは昔、特定のプレイヤーとコンビを組んでいたんダ。

 リアルでも友達みたいだったんだガ、1年前にそれがぱったり無くなったんだト…」

 

 キングにパートナーがいたという真実に驚きはしたものの、よくよく考えてみれば別にそれがおかしいという訳ではない。

 だが、タクヤはそこに妙に引っかかった。

 

 タクヤ「コンビ…か…」

 

 アルゴ「それ以降キングが誰かとコンビやパーティを組んだ所を見た事がないらしイ…。

 そして、同じ時期に荒れ始めて今に至ル…。

 分かったのはこれくらいだナ」

 

 タクヤ「いや、短時間でこれだけ集められねぇよ。

 ありがとなアルゴ。これは報酬だ」

 

 タクヤはアルゴに報酬を支払った。

 

 アルゴ「毎度アリ!!…タク坊もあの両手剣には気をつけろヨ?」

 

 タクヤ「分かったよ。みんなにも伝えとく」

 

 アルゴ「じゃあ、また何かあったらメッセ飛ばしてくレ」

 

 そう言い残してアルゴは翅を羽ばたかせアルンへ帰っていった。

 キリト達の所に戻るとキリトが神妙な顔つきでタクヤを見つめる。

 予め、キリトにだけキングの身辺調査の件は話していた為、ある程度の事は伝えるつもりだった。

 

 

 キリト「…そうか」

 

 キリトにアルゴからの情報を伝えると眉間にしわを寄せ考え込む。

 

 キリト「あの両手剣…。確かに、他のとは明らかに性能が違ったな…」

 

 タクヤ「まぁ、オレもキリトもあの両手剣と撃ち合ってるから分かるけど…」

 

 キリト「他のみんなには大会中キングに近づかないように言っておいた方がいいな」

 

 ユウキ達が危険に晒されるのは避けなくてはならない。

 キングはタクヤかキリトで倒すという事で話は終わり、今度こそイグシティにあるプレイヤーホームへと帰る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年05月11日 19時50分 タクヤのホーム

 

 タクヤ達はアルゴからの情報を仲間達に知らせる為、もう1度ALOのイグシティに集まるように呼び掛けた。

 そして、全員が揃った事で本題に入る。

 

 タクヤ「…という訳で、なるべくキングとの戦闘は控えて欲しい」

 

 ユウキ「そうなんだ…」

 

 リズベット「ったく、そんな事してまで強くなりたいのかしらねぇ…」

 

 キリト「まだ、推測の域を出ないけど用心に越した事はない。

 どうしても戦闘が避けられなくなったらオレかタクヤ、近くにいるみんなに援軍に来てもらってくれ」

 

 タクヤはその時思った。

 予選決勝戦でのあの試合を見た限り、キングは戦うごとに強くなっていっている。

 全員で一斉に相手をしても果たして勝てるかどうかは分からない。

 

 リーファ「それで具体的にはどうするの?」

 

 キリト「うーん…それなんだよなぁ。

 ユイ。キングの両手剣について何かわかったか?」

 

 肩に乗っていた小妖精(ピクシー)姿のユイが翅を羽ばたかせ、机の中央に位置取る。

 

 ユイ「私とストレアで調べようとしたんですが、個人のステータスや装備には厳重なプロテクトが施されていて侵入する事が出来ませんでした」

 

 ストレア「それか私かユイがあの武器に触れれば簡単に調べられるんだけど…」

 

 エギル「中々骨のいる作業だな」

 

 キングから近づいてくれるなら簡単だが、警戒を解くほどお人好しにには見受けられない。

 戦闘中の一瞬の隙を見つけるしか手段がないのだ。

 

 アスナ「でも、キリト君は自分から挑むんでしょ?」

 

 ユウキ「タクヤもだよね?」

 

 キリト&タクヤ「「うっ…」」

 

 シリカ「む、無茶ですよ!!お2人も強いですけどキングっていう人もすごく強いんですから!!」

 

 シリカも言う通り無茶なのはタクヤとキリトにも分かっている。

 だが、誰かがやらなければ終わらない。

 その役目がたまたまタクヤとキリトだったというだけの話だ。

 

 タクヤ「ユウキやアスナはもしキングに鉢合わせしても手は出さないでくれ。オレとキリトでやるから」

 

 アスナ&ユウキ「「やだ!!」」

 

 アスナとユウキは即タクヤの提案を拒否した。

 キリトはそう言うと思った…という顔をしながら2人を見つめる。

 

 タクヤ「お前達まで危険が及んじまうだろ!」

 

 キリト「…オレもタクヤの提案には賛成だ。

 アスナとユウキが危険に巻き込まれるのはオレ達も見たくない」

 

 ユウキ「じゃあ、タクヤ達が危険にあっているのをボク達にはただ見ていろって言いたい訳?」

 

 アスナ「私達だってちゃんと戦えるよ?

 みんなだってキリト君やタクヤ君が傷ついている姿なんて見たくないんだよ。だから、私達も戦う」

 

 頑なに折れないユウキとアスナを見てタクヤは言い返そうとするが、そこをクラインに止められた。

 

 クライン「嬢ちゃん達にこれ以上言っても無駄ってもんだぜ?

 お前ぇらがみんなを守りたいようにみんなもお前ぇらを守りたいんだ。

 全部1人で抱え込むなって昔から言ってんだろうが…」

 

 タクヤ「クライン…」

 

 リーファ「私達だって結構強い自信あるんだから見くびらないでよね!!」

 

 ストレア「私もタクヤに危険が及ぶなら戦うよ?

 私はタクヤを守る為にここにいるんだから!!」

 

 タクヤ「ストレア…」

 

 みんなの気持ちは素直を嬉しい。

 でも、危険に巻き込みたくないというのも嘘ではない。

 自身の命の危険がないにしろ危険である事には変わりないのだから。

 だが、それでも戦うと…守ってくれると仲間達はタクヤとキリトに断言する。

 

 カヤト「兄さん…諦めたら?」

 

 ホーク「がっはっはっ!!キングなんぞワシが捻り潰しちゃるわ!!」

 

 それは虚勢ではない。

 心の底から自分達は2人を守り抜くという強い意志が感じられる。

 

 ユウキ「タクヤ…いつも言ってるでしょ?

 ボクはずっとタクヤの背中を追いかけてるだけじゃない…。

 隣に立ってボクが君を守る。

 ずっと一緒に戦おうって誓ったじゃん」

 

 それはあの世界での誓い。

 いつまでも一緒にどんな苦難も乗り越えようと。

 躓きそうになったら手を差し伸ばし、共に歩こうと。

 

 アスナ「キリト君もだよ。

 君の命が私のものなら私の命は君だけのものなの。

 最後の瞬間まで一緒にいようって…。

 だから、キリト君がどこに行っても私はついていく。

 ずっと側で君を支える」

 

 それは絶望から這い上がれた希望。

 どんなに蔑まれようとも唯一の味方であり続けると。

 背負っている物を一緒に背負っていこうと誓った言葉。

 

 タクヤ「ユウキ…」

 

 キリト「アスナ…」

 

 彼らは心のどこかでまだあの世界に囚われていたのかも知れない。

 大切なものを失いたくない。

 大切なものを壊したくない。

 それを経験している彼らは危険に敏感になりすぎていたのかも知れない。

 2人は今1度仲間達を見る。

 そこには恐怖に怯える顔などどこにもない。

 あるのは共に戦うと誓ってくれた仲間達の強い思いだった。

 

 タクヤ「…分かったよ。でも、無茶だけはするな。いいな?」

 

 キリト「アスナもそれでいいかい?」

 

 ユウキ&アスナ「「うん!!」」

 

 今頃になって再認識させられた仲間の絆。

 あの世界はもう存在しない。

 でも、だからこそあの世界での時間を忘れてはいけないのだ。

 誓いを、信念を、強さを、恐怖を、悲しみを、絶望を…。

 それが混ざり合い今の自分を形成しているのだから。

 

 タクヤ「よし…じゃあ具体的に作戦を練っていこう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年05月11日 22時31分 タクヤのホーム

 

 リズベット「もうこんな時間ね。

 作戦も練ったし今日はこの辺で解散にしましょ?」

 

 リズベットを皮切りに仲間達は次々とログアウトしていった。

 

 タクヤ「オレらもそろそろ落ちるか…」

 

 ユウキ「ねぇ…タクヤ」

 

 ユウキがモジモジしながらタクヤの名前を呼ぶ。

 

 タクヤ「ん?」

 

 ユウキ「あのさ…ログアウトするまで…一緒に寝てもいい?」

 

 タクヤ「えっ!あ、いや……分かったよ…」

 

 タクヤは頬をかきながらユウキのお願いを聞く事にした。

 

 ストレア「ずる〜い!!私も一緒に寝る〜!!」

 

 ユウキ「じゃあ、3人で寝よっ!!ボク達親子みたいなもんなんだし!!」

 

 ストレア「そうそう!親子は川の字になって寝るんでしょ?

 私が真ん中に寝るからタクヤとユウキは両隣ね!!」

 

 ユウキ「ダメだよ!!それじゃあボクがタクヤの横で寝れないじゃん!!」

 

 ストレア「む〜…じゃあ、タクヤを真ん中にして寝よう!!」

 

 タクヤ「早く寝かせてくれ…」

 

 寝室に向かいキングサイズのベットにタクヤを真ん中に寝かせて両隣にユウキとストレアが位置づける。

 証明を消して窓から微かに差し込む月明かりだけがタクヤ達を優しく照らす。

 

 タクヤ「…」

 

 ストレア「むふふ〜…」

 

 ユウキ「ふふー…」

 

 タクヤの両腕はがっちりストレアとユウキにホールドされている為、タクヤは身動き1つ取れない。

 

 ストレア「なんかいいね〜こういうの…」

 

 ユウキ「だよねー。そう言えば3人で寝るのなんて初めてじゃない?」

 

 ストレア「タクヤに毎日寝ようって言ってるのに頑なに嫌がるからな〜」

 

 タクヤ「そりゃあお前…流石に恥ずかしいって言うか…色々と問題が生じるんだよ…」

 

 以前からタクヤのベットに押しかけては門前払いを食らっていたストレアは初めての添い寝を満喫していた。

 AIにそのような感情はないのだが、ストレアは別だ。

 人間のように喜怒哀楽を表現できる為、大切なもの人と一緒に居れて嬉しいと感じてしまう。

 

 ユウキ「…どうせボクはお子様ですよーだ」

 

 タクヤ「え?オレ今悪い事言った?」

 

 ストレア「ユウキもこれからだよ〜」

 

 ユウキ「もう寝るよっ!!」

 

 そのままユウキはタクヤの腕を強く抱きしめながら夢の世界へと向かった。

 タクヤも次第に瞼が重くなっていき、次第に意識が途切れていった。

 

 ストレア「おやすみ…タクヤ…ユウキ…」

 

 ベットからいなくなった2人に挨拶を交わしてストレアも眠る事にした。




いかがだったでしょうか?
バトル続きで今回の後半部分は和み要素を入れてみましたがいい口直しになったでしょうか?


では、また次回!
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