ソードアート・オンライン-君と共に在るために-   作:ちぇりぶろ(休載中)

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という事で38話目になります。
いよいよ本戦が始まりました!!
これから敵味方入り乱れての総力戦となりますので少しややこしい所が出てしまうかと思いますが出来るだけそうならないように頑張りますのでよろしくお願いします!!


では、どうぞ!


【38】乱れ舞う妖精の剣舞

 2025年05月12日 12時20分 妖精剣舞本戦会場

 

 本戦の会場となるインスタントマップはアルンから北西の空を漂っている浮遊島に設定されている。

 そのすぐ横では先日アップデートされたばかりの浮遊城アインクラッドが位置づけていた。

 まだ10層までしか解放されていないがSAOの時よりも難易度が高く設定されている為、中々攻略が進まない。

 だが、それでも攻略するプレイヤーやギルドは後を絶えず、鋼鉄の城を踏破する為に血眼になって攻略に勤しんでいた。

 運営企業のユーミルもアインクラッドを取り入れた事は成功したと思っている。

 世間ではあの城を見る事でSAO事件を想起させると反対の声もあった。

 さらに言えばSAO事件が解決した矢先に次はALOで行われていた人体実験が世間に知れ渡り、VRMMOという1つのジャンルは廃退の一途を辿ろうとしていた。

 ユーミルはだからこそVRMMOの本当の意味や楽しさを世間に知らしめる為に敢えて2つの事件の舞台であったアルヴヘイムとアインクラッドを1つにする事にしたのだ。

 ユーミルの目論見は功を奏し、多くのユーザーを勝ち取る事に成功した。

 また、これを皮切りにネット上に流出している世界の種子(ザ・シード)を使ってあらゆる企業や個人がオリジナルの仮想世界を作り出し、廃退の一途を辿るハズだったVRMMOは息を吹き返したのだ。

 

「…」

 

 本戦会場の控え室はペアだけの個室が与えられていた。

 だが、この控え室には男が1人いるだけだ。

 相方が出払っている訳でなく、最初から1人だけだ。

 男はウィンドウから1振りの短剣を取り出し、大事そうに扱う。

 

 

 

 キングも早くきなよ_

 

 

 

 脳内に何度も繰り返しかけられる言葉を男…キングは静かに聞いていた。

 

 キング「…あと少し…」

 

 短剣を握る力が強くなっていく。

 そこで我に返ったキングは名残惜しそうにウィンドウに戻した。

 時刻は既に12時55分。

 本戦まで残り5分でキングは重い腰を上げ、控え室を後にした。

 

 キング(「誰が相手だろうと…俺が必ず倒す…」)

 

 緊張も不安も存在しない。

 そこにあるのは敵を屠る為の闘争本能だ。

 キングは()()()()()からの変わる事のない唯一の基本理念であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年05月12日 13時00分 妖精剣舞本戦会場

 

『ついにこの時がやって参りまシタァァァ!!!!

 これよりALO最強のタッグは誰なのかが決マル!!!!

 第1回妖精剣舞本戦を開始致しマァァァァァス!!!!』

 

「「「おぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」

 

 会場の熱気はそのまま出場者達に降りかかり、様々な感情が踊り出す。

 

 シリカ「な、なんだか…急に緊張してきました…」

 

 シリカは相棒のピナを抱き抱えて小刻みに震えていた。

 

 リズベット「心配しなさんなって!!

 本戦が始まっちゃえば緊張とかしてる余裕ないわよ!!」

 

 シリカのペアであるリズベットが背中を思い切り叩いて喝を入れた。

 シリカも緊張よりも背中の痛みの方が強く、体の震えは止まっていた。

 だが、本戦が始まる瞬間までシリカの小言が終わる事はなかった。

 

 ストレア「ふぁぁ…まだかな〜」

 

 リーファ「ストレアさん、寝不足ですか?」

 

 ストレア「ううん別に〜退屈なだけだよ〜?」

 

 ストレアに至ってはどんな時も平然としている。

 タクヤが目をやるとストレアも気づき、ウインクを返す。

 ストレアの耳にはタクヤが買ってあげたイヤリングが付けられている。

 あれはステータスを強化や支援(バフ)が備わっている訳ではない。

 ただの雑貨屋で買ったただのイヤリングだ。

 装備しようがしまいがステータスには変化はない。

 

 リーファ「あっ!そのイヤリング可愛いですね!」

 

 ストレア「そうでしょ〜?

 …これは大切な人からの贈り物だから…自分にとって大事な日に付けるようにしてるんだ〜!!」

 

 リーファ「へぇ〜…」

 

 リーファの中では既にストレアの大切な人については予測が立っている。

 彼女が頬を染めながら照れている時は大抵その人絡みだと仲間内なら誰もが知っている。

 いつにも増してご機嫌なストレアを見て大会でも期待出来そうだとリーファは笑いを堪えながら思った。

 

 キリト「なんか大会も大変な事になってきたな…」

 

 アスナ「大変って?」

 

 キリト「キングの事だよ。

 チート紛いな事をしてまで強さを求める理由が分からないんだ」

 

 アスナ「キリト君だって人の事言えないでしょ?

 SAOの時だって無茶なレベリングしたり、イベントボスに1人で戦いを挑んだり、フロアボスを1人で倒しちゃったり、あとそれから…」

 

 キリト「分かった、もういい…。オレが悪かった…」

 

 これ以上言われればキリトは本戦が始まる前に気力が尽きてしまうだろう。

 確かに、あの時は誰もが命懸けで攻略やレベリングをやっていたが、その中でもキリトは鬼気迫るものが見受けられた。

 当時、まだキリトに恋慕を抱く前のアスナですら彼の事を気にかけていた。

 後にそうならざるを得なかった真実を知った時、アスナは深い後悔と自分の不甲斐なさにこの上ない程痛感させられたのをアスナは片時も忘れた事がなかった。

 

 アスナ「本当に分かってるんだか…」

 

 すると、キリトの懐から小妖精(ピクシー)姿のユイが現れ、アスナの肩に腰を下ろす。

 

 ユイ「パパは無茶、無謀、無鉄砲が売りですからね!」

 

 キリト「…そんなの売った覚えはないんだけどな」

 

 アスナとユイに飽きれられればキリトに立つ顔はない。

 でも、そんな彼だからこそ…仲間を大事に想う彼だからこそアスナは惹かれたのだ。

 そんな何とも微笑ましい3人の後ろでカヤトとホークがどういう訳か言い争いをしていた。

 

 カヤト「どうしても聞けませんか?」

 

 ホーク「ワシは作戦だのなんだの回りくどい事は好かん!

 やるからにゃあ正面突破しかないっ!!」

 

 カヤト「でもこれはチーム戦です。

 相手の動きを先読みして行動しなくちゃ痛い目に合いますよ?」

 

 カヤトの言っている事は最もだ。

 誰がいつ、どこで、どのタイミングで襲ってくるか分からない。

 フィールドも24人にしては広すぎる為、警戒も怠れない。

 だが、ホークにはそのような事は関係ない。

 敵が現れれば倒す。例え、何人束になって攻めてこようが正面から己の拳で倒すだけだ。

 結果として、ホークとカヤトの意見は食い違い、カヤトが妥協してホークの意見を尊重するという形で落ち着いた。

 

 カヤト「兄さんよりタチが悪いな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユウキ「タクヤどこいったんだろ…?」

 

 集合時間はとうの昔に過ぎているがタクヤの姿が見えない。

 アナウンサーに無理言って30分だけ待ってもらえたが会場中探してもどこにもいないのだ。

 キリト達も探してくれてるが一体どこで油を売っているか知れたものではない。

 人混みの中を掻き分けながら探しているとユウキは誰かぶつかり尻餅をついてしまった。

 

 ユウキ「す、すみません。前を見て…」

 

 ユウキは顔を上げながら謝罪をすると、目の前に立っていたのは黒装束に身を包んだキングだった。

 

 キング「…」

 

 ユウキ「えっと…」

 

 キングについては昨日の晩にタクヤとキリトから聞かされていたが、こんな所で鉢合わせするとは思わなかった。

 ユウキも少しばかり緊張が走ったが、意外にもキングはユウキに手を差し伸ばした。

 

 ユウキ「えっ?」

 

 思わず声に出てしまったが、素直にキングの手を借り起き上がった。

 

 ユウキ「あ、ありがとう…」

 

 キング「…」

 

 キングは無言のままユウキを置いて会場へと戻っていった。

 

 ユウキ「…」

 

 タクヤ「あれ?ユウキ、こんな所でなにしてんだ?

 会場に集合じゃなかったっけ?」

 

 背後から慣れ親しんだ声が聞こえて振り向くと、やはりそこにはタクヤの姿があった。

 

 ユウキ「なんでって…時間になっても全然来ないからみんなで探してたんだよ!!」

 

 タクヤ「あっ!?…マジか。時間間違えてたわ…。

 と、とりあえず会場に戻るぞ!!ダッシュダッシュ!!」

 

 会場を走りながら集合場所へと急ぐ。

 その傍らでユウキはタクヤを探してくれていた仲間達にタクヤを見つけた事を報告して集合場所へと向かうようメッセージを送る。

 

 ユウキ「そもそも今までどこにいたの?」

 

 タクヤ「ん?まぁ…秘密って事で…」

 

 ユウキ「浮気?許さないよ?」

 

 タクヤ「そんなんじゃねぇよ!!」

 

 タクヤの走るスピードが上がり、ユウキもそれについて行く。

 気のせいだろうかタクヤのスピードが上がっている気もしたが、ユウキは追い切れない速度ではなかった為気に止めなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年05月12日 13時40分 妖精剣舞本戦会場

 

 リズベット「一体どこで油売ってたのよ!!」

 

 出会い頭にタクヤはリズベットに怒鳴られた。

 他の出場選手もタクヤを睨みつけていたがタクヤ本人はその事を知らない。

 

 アスナ「まぁいいじゃないリズ。何事もなかったんだから」

 

 アスナに宥められリズベットの口は閉じた。

 タクヤも解放されてやっと本戦の説明に入ろうとアナウンサーが壇上に上がる。

 

『えー…これより妖精剣舞本戦のルール説明に入りマス!!

 ルールは簡単!!制限時間3時間以内に自分以外の全てのペアを倒した方が優勝となりマス!!フィールドは直径10km!!

 そして、本戦でもアイテムの使用は禁止いたしますが、フィールド内の至る所に回復アイテムが隠されていますのでそちらをご利用くだサイ!!

 では、時間を遅らせて14時に本戦の舞台となるフィールドに転移されますので準備の程よろしくお願いしマス!!』

 

 至ってシンプルなルールにタクヤは胸を下ろすが、他のペアはそうは考えていないだろう。

 全員が作戦を練っている頃、キングは人知れず会場を後にした。

 その様子をユウキは遠くから眺めている。

 先程のキングの表情はどこか寂しそうに見えて、何かどこかで感じたような気がしてあれ以降もキングの事が気になっている。

 

 ユウキ「ねぇ?タクヤ…」

 

 タクヤ「ん?」

 

 ユウキ「キングの事…どう思う?」

 

 突然、キングについてどう思われるか聞かれたタクヤは悩んだ末ユウキに言った。

 

 タクヤ「…なんか、昔のオレを見てる気がするんだ」

 

 ユウキ「昔って…SAOの時?」

 

 タクヤ「いや、もっと前…オレの両親が殺された頃、オレは犯人と…自分を恨んだ。

 なんで父さんと母さんを殺したんだ…。なんでオレは助けられなかったのか…。オレがもっと強かったらこんな事にはならなかったんじゃないか…って毎日悩んで…ストレスがたまって、街の不良にストレスを発散してた…。

 あの時のオレは誰にも屈しない強さが欲しかった…。

 もう何も失わないような…そんな力が欲しかった…」

 

 タクヤはいつも何かを失っていた。

 両親を…兄を…仲間を…希望を…信頼を…何かを為そうとする度に何かを失って、それを拾い上げたら別のものが落ちて…それの繰り返しだった。

 タクヤは高望みしていたのだ。

 自分が欲しい物は全て手にしたかった。

 だが、そんなものは自己中心的で傲慢で醜いものだ。

 でも、諦めきれなくて欲しい物を拾っていく。

 そんな事を繰り返していればいずれ、本当に大切なものを失う事になる。

 それをタクヤはあの鋼鉄の城で嫌と言う程思い知らされた。

 

 ユウキ「…そっか」

 

 タクヤ「だから、キングの事気になるのかもな…。

 ユウキもそうなんだろ?」

 

 ユウキ「え?…気になるって言うか…寂しそうだなぁって…」

 

 あの時の表情は何かを語っていた。

 それがユウキの中でこべりつき、ついキングに視線を向けてしまう。

 

 タクヤ「…答えは本戦が始まれば分かるさ」

 

 ユウキ「…うん」

 

 この本戦でキングについての全てが分かる。

 そんな気がしたタクヤとユウキは眩い光に包まれ会場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年05月12日 14時00分 妖精剣舞本戦 草原フィールド

 

 タクヤとユウキが転移された場所は見晴らしもよく、遮蔽物など1つもない草原フィールドであった。

 近くにプレイヤーの影は存在せず、とりあえずは進むしかないと考え、2人は草原を進む。

 

 ユウキ「本当にみんなここにいるのかな?」

 

 タクヤ「まぁ、24人が10kmのフィールドにいるって考えたらそうそう出会わないだろうなぁ…」

 

 と、話していると北方の荒野で大きな爆発が起きた。

 おそらく既に戦闘が開始されているのは明白だ。

 

 タクヤ「あっちに行ってみるか!!」

 

 ユウキ「誰が戦ってるんだろう?楽しみだなぁー」

 

 

「じゃあワシらと戦えやぁっ!!!!」

 

 

 瞬間、空からタクヤとユウキの前に降り立った。

 土煙の中現れたのはホークである。

 

 ホーク「タクヤ!!今こそあの時の決着をつけたるわっ!!」

 

 タクヤ「あの時って…確かオレが勝ったよな?」

 

 ホーク「じゃかぁんしぃっ!!ワシと勝負じゃ!!」

 

 タクヤは剣を抜き、ホークに剣先を向ける。

 ホークは拳をタクヤに向け、戦闘準備を整えた。

 遅れてカヤトもやって来たが、ユウキと一緒ですっかり蚊帳の外にやられたカヤトはユウキの隣に行き、2人の戦いを見届ける事にした。

 本来ならタッグ戦で戦いたい所だが、ホークがタクヤを見つけるや否や速度を上げカヤトを置き去りにしていたのだ。

 

 カヤト「チーム戦だって分かってんのかな…あの人…」

 

 ホーク「聞こえとるわっ!!黙って見ときぃ!!」

 

 ユウキ「だってさ。どうする?ボク達はボク達だけで戦う?」

 

 カヤト「いや、それが…ユウキさんとは戦わない約束をしてまして…」

 

 ユウキ「…」

 

 そんなお願いをする人物などこの世に1人しかいない。

 カヤトもすっかり尻に敷かれてるなとユウキは呆れたが、ある意味では嬉しかったりもする。

 だが、ユウキは今までカヤトとは決闘(デュエル)をする機会などなかった為、戦ってみたいと思った事は何度もある。

 

 ユウキ「大丈夫だよ。姉ちゃんはここにはいないんだし!」

 

 カヤト「いやーそれはどうですかね…」

 

 カヤトのセリフにクエッションマークを浮かべたユウキだが、カヤトの背後で飛び回っている小さな球体が視界に入った。

 

 カヤト「この大会ネット上で中継されてるらしくてボク達が出るって言ったら絶対に見ます…って」

 

 ユウキ「あー…」

 

 絶好のチャンスだと思ったが、こんな所を見られた日には姉の藍子からキツイ説教が待っているので我慢して2人の応援に専念する事にした。

 そうこうしている間にタクヤとホークの戦いは熾烈を極めていた。

 

 ホーク「やっぱぁ主と勝負するのは血が滾るわっ!!」

 

 両拳を重ね合わせタクヤの後頭部へと振り下ろした。

 避けきれず食らってしまったがダメージ的には1割も削られていない。

 

 タクヤ「体術だけじゃ分が悪いんじゃないか?」

 

 ホーク「ぬかせっ!!」

 

 水平斬りを繰り出すもそれを素手で受け止めたホークだが、ダメージが入るのは当たり前だ。

 だが、ホークにさして影響はない。

 自身の体を武器にしているホークに防御など必要ないとまで言ってのけている。

 剣を掴み、タクヤの動きを止めた所で顔面に右ストレートを数発入れた。

 1発1発は大した事ないが、精神的にもサンドバッグ状態というのはダメージが来る。

 ましてや、体術スキルを極めているホークの拳はそれ以上の威圧感を秘めており、おそらくタクヤ以外なら持ち堪える事は出来ないだろう。

 

 ホーク「どうしたぁ!!その程度か?主の実力はぁっ!!?」

 

 剣を突き放し、ガラ空きになった腹へとボディブローを入れた。

 

 タクヤ「がっ」

 

 たまらず、体内の空気が抜けてタクヤは膝をつく。

 体を使った戦闘ではホークの方に分があるようだ。

 

 タクヤ「…ふぅぅ…中々やるじゃねぇか」

 

 ホーク「ワシもただ遊んどったわけやない!!

 修行に修行を重ねていつか主と戦う時の為に鍛えてたんじゃ!!」

 

 タクヤ「嬉しいな…だったら、オレも手加減しねぇ!!」

 

 剣を握り直し、ホークに突撃した。

 ホークも真っ向から挑み、左ジャブで牽制を張りつつ隙あらばと右ストレートを繰り出してくる。

 だが、ホークの動きに慣れたのかタクヤはそれを全て躱し、その間に剣撃を加えた。

 

 ホーク「うらぁぁぁっ!!」

 

 翅を羽ばたかせ、タクヤの頭上に拳を振り下ろす。

 タクヤはそれを左腕で食い止め、ガラ空きになった左脇腹に剣閃を伸ばした。

 

 ホーク「ぐおっ」

 

 とうとうホークのHPがイエローゾーンに突入し、タクヤは剣を構え再度斬りつける。

 だが、ホークは退く事を知らず拳の雨を浴びせに前に出た。

 

 タクヤ「っ!!」

 

 タクヤはホークの攻撃を剣で弾き、体でホークの態勢を崩した。

 

 タクヤ「終わりだ!!」

 

 ホーク「まだまだぁ!!」

 

 剣と拳が重なり互いにダメージを与える。

 2人は戦いを…今をめいいっぱい楽しんだ。

 だが、それも永遠に続く訳もなく、決着の時が訪れた。

 

 

 タクヤ&ホーク「「はぁぁぁぁぁっ!!」」

 

 

 互いの持てる最高の技で勝負に挑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タクヤ「うらぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

 

 タクヤは両腕を天に掲げ、勝利の咆哮をあげた。

 ホークはHPが全損してしまい、残り火(リメインライト)となって地に小さく燃えている。

 

 カヤト「はぁ…」

 

 ユウキ「やったぁ!!タクヤが勝ったぁ!!」

 

 タクヤのHPもギリギリだがなんとかホークを倒す事が出来た。

 タクヤも残りのHPなど気にせず手放しに喜んでいる。

 

 カヤト「という事はこの大会これから僕1人ですか?」

 

 ユウキ「あー残念だねぇ…」

 

 カヤト「…残念に思ってる顔じゃないですね」

 

 これから先1人で戦わなくてはいけない事に不安を感じつつもカヤトはその場を後にしようとするが、タクヤがそれを止めた。

 

 タクヤ「何逃げてんだ?お前も戦えよ?」

 

 カヤト「今なら兄さんには勝てるけどユウキさんが乱入するなら勝ち目ないでしょ。

 でも、このまま何もしないで終わるつもりはないよ。

 独り者は同じ独り者に挑戦しようかな…」

 

 カヤトの口ぶりから察するに、この大会で唯一1人で参加しているのはキングをおいて他にはいない。

 

 タクヤ「キングは強ぇぞ?多分…オレよりも」

 

 カヤト「尚更興味そそるね…!じゃあ、頑張ってね。

 あ、後…兄さんは回復アイテム探した方がいいんじゃない?

 HPがもうないだろ?」

 

 ユウキ「本当だ…。てか、この先も敵はいっぱいいるのに何でそんなに無茶ばっかりするの!!」

 

 タクヤ「いやぁ…手加減出来なかったからなぁ…仕方ねぇ!」

 

 後先考えないのはタクヤも同じでその場でユウキから説教を受ける羽目になった。

 カヤトはそんな夫婦の痴話喧嘩に付き合う事なくその場を後にした。

 

 ユウキ「今はとりあえずタクヤの体力を回復しないと…」

 

 タクヤ「どっか運良く回復アイテム落ちてねぇかな?」

 

 タクヤとユウキは一先ず回復アイテムを探して、それから別のフィールドに行く事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キリト「まさか…こうなるとはな…」

 

 アスナ「ルールだから仕方ないけど、流石にやりにくいね…!」

 

 ここは南部に位置する森林フィールド。

 キリトとアスナの前には2組のペアが敵意をむき出しにしてこちらに剣を構えている。

 

 リズベット「共闘しちゃダメだってルールはないわよね?」

 

 クライン「おう!!俺達もマジで優勝狙ってるからな!!

 卑怯なんて言うなよ?キリト!!アスナ!!」

 

 キリトとアスナの前にいたのはリズベットシリカペアとクラインエギルペアだ。

 リズベット達は利害を一致させ、共闘関係にあるらしい。

 つまり、2対4の変速マッチが出来上がっていた。

 

 アスナ「魔法である程度HPは回復出来るけど、後々の事を考えたらMPはあまり消費できないよ?」

 

 キリト「あぁ。しかも相手はかなりの強敵だ。

 ダメージ覚悟で行くしかないな…!!」

 

 エギル「遠慮はしねぇぜ?」

 

 シリカ「行きますよー!!ピナ!!バブルブレス!!」

 

 シリカの指示でピナはバブルブレスをキリトとアスナに放った。

 空中へ回避する2人だが、そこにはクラインとリズベットが陣取っていた。

 

 キリト「!!」

 

 クライン「おりゃぁぁぁぁっ!!」

 

 リズベット「どっせぇぇぇいっ!!」

 

 片手長柄と刀の同時攻撃をキリトが盾となってアスナを守った。

 だがその結果、キリトとアスナは引き剥がされ互いに2人がマークする。

 

 アスナ「キリト君大丈夫?」

 

 キリト「なんとかな…。でも…」

 

 アスナ「うん…」

 

 キリトにはシリカとクラインが、アスナにはリズベットとエギルがそれぞれ待ち受けていた。

 

 シリカ「今日はキリトさんに勝ちますよ!!

 いつまでも後ろを追いかけてるだけじゃありません!!」

 

 クライン「その意気だ!!俺達の力見せてやろうぜ!!」

 

 まず、クラインがキリトに斬りかかりそれをキリトが受け止める。

 ステータスを初期化したキリトに対し、SAOでのステータスを引き継いでいるクラインとでは流石に分が悪い。

 

 アスナ「キリト君!!」

 

 リズベット「あんたの相手は私達よ!!」

 

 アスナ「!!」

 

 リズベットが盾を前にダメージ覚悟で突撃をかけた。

 アスナはそれを空中に回避するが、そこにはエギルの重い一撃が待っていた。

 

 エギル「おらぁぁぁっ!!」

 

 アスナ「ぐっ!!」

 

 エギルの両手斧の力になす術なく大樹へと吹き飛ばされる。

 そのせいでアスナのHPは3割近く減少してしまった。

 

 エギル「お前らの動きは同じ攻略組だったから手に取るように分かるぜ!!」

 

 アスナはすかさず自身に初級の回復魔法をかけてHPを全快にする。

 

 アスナ(「私じゃエギルさんはおろか、リズの攻撃も防ぎきれない…!!」)

 

 アスナの装備はAGI(敏捷力)を重視している為、タンクを張っていたエギルやマスターメイサーのリズベットの攻撃を受け切る事など到底出来ない。

 今のアスナが勝っているものがあるとしたら"閃光”と謳われた速さと、水妖精族(ウンディーネ)としての魔法力のみ。

 これらを駆使して2人を少ないダメージ量で勝ち尚且つ、キリトの手助けに行かなければキリトとアスナに先などない。

 それはキリトも思っている事だが、実にいい采配をしてるなと我ながら感心している。

 

 キリト(「オレの反射速度を警戒して一撃離脱を徹底している…。

 さらに、遠距離からピナによる攻撃か…」)

 

 クライン「行くぜっ!!」

 

 考える隙も与えず、クラインが斬り込む。

 キリトがそれを防いだ瞬間、遠距離からピナのウォーターブレスがキリトの反撃を許さない。

 

 キリト「すごい連携だな…」

 

 クライン「あたぼうよ!!

 全てはお前に参りましたーって言わせる為だからな!!」

 

 シリカ「あ、私は違いますよ!!」

 

 クライン「そこは空気読んで合わせてくれよ!!」

 

 瞬間、キリトがクラインの懐まで入り込み、剣を振りかぶる。

 クラインも伊達に攻略組を名乗っていただけの事はある。

 それを瞬時に避け、反撃に出る。

 

 キリト「ぐっ…」

 

 ほぼ条件反射で避けたものの完璧に避けきる事が出来ず、HPが1割程削られてしまった。

 

 クライン「ふー…危ねー危ねー。油断も隙もあったもんじゃねぇ…」

 

 シリカ「クラインさん大丈夫ですか?」

 

 クライン「まだまだ余裕だぜ!!」

 

 キリト(「やっぱり、先にシリカを倒しておかないと上手く連撃出来ない…!!

 それに、早くアスナの応援にも行きたい…」)

 

 アスナ達はキリト達よりさらに森の奥へと入り込み、今も交戦しているハズだ。

 あちらは防御が薄いアスナに対して重戦士(パワーファイター)のエギルとリズベットがいる。

 流石に速く動けるアスナと言ってもこのままではまずい。

 

 キリトは1つ息を置いて、目の前のクラインとシリカに目をやる。

 

 クライン&シリカ「「!!?」」

 

 キリトの威圧感に感づき、シリカとクラインも今まで以上に緊張を纏わせる。

 瞬間、キリトがクラインの目の前から姿を消した。

 

 クライン「!!」

 

 シリカ「クラインさん!!上です!!」

 

 上を向くと太陽の光を背にキリトが上空から斬り掛かる。

 慌てて避けてみせるが翅をホバリングさせて最短距離を突き進み、クラインとの間合いを一気に詰めた。

 

 キリト「しっ!!」

 

 鋭い剣閃がクラインの左肩を抉る。

 シリカはそれに見とれ、ピナへの指示を一瞬遅らせた。

 

 シリカ「ピナ!!バブルブレス!!」

 

 バブルブレスがキリトに襲いかかるがそれを剣で薙ぎ払いシリカの所まで全速力で突き進む。

 

 クライン「させっかよ!!」

 

 シリカの前にクラインが立ち塞がりキリトの剣を受け止めた。

 

 キリト「くそっ!!」

 

 クライン「そう簡単にはいかないぜ!!」

 

 やはり、クラインはシリカを先にやられる訳にはいかないようだ。

 シリカの遠距離攻撃があるからこそクラインは自由に暴れ回れるのだから。

 

 クライン「おらぁっ!!」

 

 キリト「ぐぅ…!!」

 

 クラインの太刀筋が見えているキリトだが、ピナの手助けもあって回避する場所に先読みして攻撃してくる。

 つまりどちらかの攻撃は必ず当たってしまうという事だ。

 HPも気づけばイエローゾーンに差し掛かっている。

 このままでは確実にここで倒されてしまう。

 

 シリカ「ピナ!!バブルブレス!!」

 

 キリト「しま…!!」

 

 キリトが一瞬の隙を突かれ、バブルブレスのせいで身動きが取れなくなってしまった。

 

 クライン「貰ったぁ!!」

 

 クラインが上空から刀を振り上げ、そのままキリトに振り下ろす。

 

 キリト「!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クライン「は?」

 

 

 

 

 

 クラインの攻撃は紙一重の所でキリトには届いていなかった。

 キリトにも何が起きているのか分からないが、1つ言える事は右横の大樹に両手長柄が突き刺さっており、アレのおかげでクラインの攻撃の軌道が逸れたのだろう。

 

 クライン「なんだ…ありゃ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その人を倒すのは私の役目です」

 

 

 キリト&シリカ&クライン「「「!!?」」」

 

 森の中から声が響き渡り、ゆっくりとこちらに近づいている。

 足音が途切れ、キリト達の目の前にある1人のプレイヤーが立っていた。

 

 キリト「お、お前は…!!」

 

 

 




いかがだったでしょうか?
最後にキリト達の前に現れたのは果たして誰なのか…
ぜひ予想してみてください。


では、また次回!
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