ソードアート・オンライン-君と共に在るために- 作:ちぇりぶろ(休載中)
なるべくそうならないように努力します。
では、どうぞ!
2022年12月08日 14:15 第2層 草原フィールド
sideタクヤ_
ユウキ「いい天気だね〜…」
タクヤ「そうだなー…」
ユウキ「なんか、こういう日って体動かしたくなるよね〜」
タクヤ「そうだなー…」
ユウキ「…さっきからそればっかじゃーん!もうちょっとなんかないの!」
タクヤ「そうだなー…
とりあえずこの洞穴から出たいなー…」
オレ達は今、2人仲良く結構大きめの落とし穴の中で空を見上げていた。
ユウキ「…」
タクヤ「なんでこんな事になったんだっけ…」
ユウキ「…」
タクヤ「今日はここで野宿するハメになんのかなー…」
ユウキ「…」
実の所、この落とし穴にハマって数時間経過していた。
マジでここに野宿する事になりそうだ。
ユウキ「だからぁ!!さっきから謝ってるじゃん!!!あーそーですよー!!!
ボクがこんなトラップに引っかかったのが悪いんですよー!!!!」
遡ること数時間前…オレ達は近々行われるフィールドボス戦に備えてレベリングしようという事になっていた。
この層では牛型のモンスターが大量に発生していて、ドロップ品で牛乳や乳製品があるのだ。
売ればそこそこのコルの足しになるからと狩りに出ていたのだが、
ユウキが…
ユウキ『あーおなかすいたー…あっ!あそこにリンゴみたいなのがなってるよ!タクヤ!一緒に取りに行こう!』
…とかなんとか行って、別にオレは別に空腹だった訳でもなく無理やり引っ張られて、リンゴのなってる木の近くまで来るといきなり足場に穴が開き、仲良く落ちて今の状況になっている。
タクヤ「お前が食い気に負けて注意もなんもしないで行くからこうなったんじゃねぇか」
ユウキ「だって…お腹すいてたんだもん…」
グゥゥ…
タクヤ「…」
ユウキ「…なんか話してたらおなかすいちゃった…」
タクヤ「…はぁぁぁ〜…」
ユウキと共に行動するようになって約1週間…オレは呆れ果てている。
消耗品補充してと言われたらなんか余計な食べ物も買ってきて生活費を底にしちまうし、飯食べたと思ったらすぐにおなかすいたーって小さい子供のように駄々をこねて手に負えないし、年相応の仕草なのだろうがオレはユウキのお父さんになった覚えはないぞ。
タクヤ「ったく…」
ユウキ「…すみません…」
タクヤ「とりあえずいつまでもここにいる訳にもいかないし…ユウキ、なんか脱出できそうな物持ってないか?」
ユウキ「えーとねー…これなんてどうかな?」
ユウキがストレージから取り出したのはロープだ。それも結構長めの。
タクヤ「ロープかぁ…」
ユウキ「タクヤは何か持ってないの?」
タクヤ「あー…投擲用のピックが数個に店売りのアイアンソードが2振り…ぐらいか」
ユウキ「これだけでどうやって出るの?」
タクヤ「…それを今考えてんだろぉが…」
ユウキ「あっ、そうだった…」
ユウキといるとこっちまで緊張感がなくなってしまう気がする。
2人の持ち物を集めてもこれといった事はできそうにない。
穴は直径5m、高さは…10m前後だ。
タクヤ「んー…他のゲームだとこういう場合、抜け道とか用意されてるはずなんだが…」
ユウキ「さっきも調べたけどどこにもなかったね」
タクヤ「だとすると他の脱出方法があるか、プレイヤーが自作したトラップなのか、何かしらのイベントなのか…だな」
だが、イベントだとすると数時間もの間放ったらかしにする訳もないので除外。脱出方法についてもそれらしいものは何も無いのでとりあえず除外。結果、これはプレイヤーが自作したトラップだと考えられる。
ユウキ「えぇ!!プレイヤーが作ったんなら脱出方法なんてないじゃん!!」
タクヤ「あくまでその可能性が高いってだけ。
まぁ…十中八九そうだと思うが…」
ユウキ「そんな〜…」
それがもし本当なら何故、リンゴの木の側に作ったのだろうか。モンスターが食べる訳でもないし…。何か別の目的があるのか…それとも…
タクヤ「!…これは使えるかも…」
グゥゥ…
ユウキ「はぁぁ…おなかすいたー。さっきのリンゴも食べてないし…」
タクヤ「…はぁ」
オレはユウキを見かねてストレージからある物をユウキに放った。
ユウキ「なにこれ?」
タクヤ「黒パンだ…それで我慢しろ…」
オレは黒パンとついでに前にクエストで貰ったクリームもユウキにあげた。
ユウキ「わぁ…!!ありがとうタクヤ!!」
ユウキは黒パンにクリームをたっぷり付けて、口いっぱいに頬張った。
ユウキ「う〜ん…!!おいしい〜!!」
タクヤ「そりゃよかったな…」
ユウキは余程お腹がすいていたのか、ものの数分で全部食べきってしまった。
ユウキ「ごちそうさま〜」
タクヤ「おう…食べ終わったんならこれ手伝ってくれ」
ユウキ「?」
オレがユウキに渡したのはロープを同じ長さに切ったものを数組と、投擲用のピックだ。
ユウキ「これで何するの?」
タクヤ「とりあえずピックをロープの両端につけてくれ。しっかり縛れよ」
ユウキ「う、うん…わかった」
タクヤ「これでよし…と」
出来たのは見た通り、両端にピックを取り付けたロープが数本だ。
ユウキ「で、結局これ何に使うの?」
タクヤ「まぁ、見てなって」
オレはピック付きロープを壁に刺した。
もう片方のピックも壁に刺し、ロープを張った状態にさせる。
タクヤ「よっ」
張られたロープの上に飛んでみる。
結構頑丈でオレ1人ぐらいなら支えられるようだ。
ユウキ「…こんな時に何遊んでるの?」
タクヤ「じゃあ、お前はこんな時に何呑気にパン食べてんだ?」
ユウキ「…すみません」
タクヤ「ったく、これを徐々に上に刺していけば即席のアスレチックが出来るからそれでこんなとこ抜けるぞ」
ユウキ「あーなるほどーそういう事かぁ!」
オレは手順通りピックつきロープを刺していき上へと登った。
その後をユウキが慎重に付いてきている。
ユウキ「脱出ー!!」
あれから1時間かけて落とし穴を駆け上がっていき、なんとか地上に戻ってこれた。
タクヤ「…疲れた」
ユウキ「お疲れ!もう夕方だし今日は宿に戻ろう?」
タクヤ「…そうだな」
ユウキ「あ〜おなかすいたー!宿に帰ったら何食べようかな〜」
タクヤ「…」
ビシッ
ユウキ「痛っ!?タクヤ!!なにすんの…」
タクヤ「テメェ…ちったぁ反省しろぉぉぉぉっ!!!!」
夕暮れの草原に怒鳴り声がこだました。
2022年12月15日 21:35 第2層 宿屋内
タクヤ「さんざんな1日だったぁ〜…」
オレはベットに倒れ込み、盛大に疲労感に包まれている。
タクヤ「今日は全然レベリングできなかったな…」
現在オレのレベルは19…第2層でここまであれば上等なのだが、レベルは高いに越したことはない。
タクヤ「ユウキが確か…17かそこらだったな…」
ユウキも着実にレベルを重ね、トップランカーとしての実力も兼ね備えている。
タクヤ「でも、まだ…まだ足りねぇ…」
2週間前…オレはキリトにとんでもなく重たいもんを背負わせちまった。
もう修正が効かないものを…。
タクヤ「あいつも今頃頑張ってんだろうなぁ…」
ゴロロロロ…
外は雷が鳴り、次第に雨も降り出した。
タクヤ「うじうじしてても仕方ねぇ…寝よ寝よ」
ゴロロロロ…
雨は強くなり、頻繁に雷も鳴っていた。この世界でも天気とかあるのかと布団の中に潜りながら思った。
タクヤ(「てか、天気とかどうやってんだ?
一応ここアインクラッドの中だよな…?」)
何かと気になったが、どうでもいいと思考を停止させ、眠りにつこうとした。
コンコン
タクヤ「ん?」
「タクヤ…起きてる?」
タクヤ「ユウキか?どうしたんだ?」
オレは明かりをつけてドアを開けると武装を解除して軽装の状態のユウキがいた。
タクヤ「とりあえず、中に入れよ」
ユウキ「う、うん…」
オレは部屋に取り付けられているソファにユウキを座らせる。
こんな時間に深刻そうな顔をして来ているのでオレも真剣に聞いてみることにした。
タクヤ「で…どうしたんだ?何かあったのか?」
ユウキ「え…えっとさ…その…なんというか…」
タクヤ「そんなに言いづらい事なのか?」
ユウキ「いや…その…言いづらいというか恥ずかしいというか…」
相当の悩みのようだな。
これは思っていた以上に深刻な事かもしれない。
タクヤ「なんでもいい…
何かあるんなら言ってくれユウキ…。オレも協力する…」
ユウキ「ほ、ホント…?それじゃあ…」
ゴロロロロ
タクヤ「それにしても雷すげぇな…で、どうしたん…だ…」
一瞬窓の方に目を向けていた間にユウキの姿がどこにもない。
タクヤ「!!ユウキ!!どこにいるんだ!!ユウキ!!」
ガタガタガタ
タクヤ「は?」
オレは机の下から長い紫がかった髪を見つけ、そっと覗いた。
ユウキ「あわわわわ…カミナリこわい…やだよぉ…」
タクヤ「……何してんの?お前…」
タクヤ「んで、カミナリが怖いから眠れないと…そういう事だな…」
ユウキ「…う、うん」
ユウキは何故かオレのベットでくるまって顔だけ出していた。
タクヤ「お前なぁ…深刻そうな顔してたからどうかしたんじゃないかと思ったオレがバカだった…。とりあえず、部屋戻って寝ろ!」
ユウキ「やだやだやだやだ!!1人になると怖いもん!!
カミナリ怖いもん!!やだもん!!タクヤ助けてよ!!」
タクヤ「オレでも出来る事と出来ねぇ事があるんだよ!!
目ぇ瞑ってりゃあいつか寝れるから我慢しろっ!!」
オレは無理やりベットからユウキを引っ張り出し、部屋から追い出そうとした。
ユウキ「ムリムリムリムリ!!だってボクまだ12歳だもん!!中学1年だもん!!」
タクヤ「どおりでそんな幼児体型してると思った!!早く寝ねぇと成長出来ねぇぞクソガキ!!!」
ユウキ「誰が幼児体型だぁぁっ!!!」
タクヤ「ぐおっ!!?」
オレはユウキからドロップキックを食らい壁に顔をめり込ませられた。
圏外だったら普通にダメージ判定されるぞ…これ…。
タクヤ「…じゃあどうすりゃいいんだよ?」
ユウキ「…朝までずっと一緒にいて…」
タクヤ「やだ」
ユウキ「だってぇ…だってぇ…カミナリ怖いもん…うう…」
ユウキはうずくまって動こうとしない。こりゃダメだな。
タクヤ「…はぁ…わかったわかったよ…ったく、今日だけだかんな!」
ユウキ「!!…ありがとう!!タクヤ!!」
タクヤ「明日も早いんだ。ベット使っていいから早く寝ろ!」
ユウキ「ありがと…でも、タクヤは?どこで寝るの?」
タクヤ「ソファで寝るよ。替えの布団あるから気にすんな。」
ユウキ「……」
オレはストレージから替えの布団を取り出し、ソファで今度こそ寝ようと思ったが…
ユウキ「…タクヤ」
タクヤ「あ?」
ユウキ「…一緒に…寝よ…?」
タクヤ「……は?」
どうしてこうなってしまったんだろう。
日頃の行いは割といい方だと思うんだが。
今日は1日中穴の中にいて、帰ってきたと思ったらユウキが寝れないだの言ってきて、今日だけで1週間分ぐらいの疲れが溜まった気がする。
そして、これが一番の原因だ。
ユウキ「…」
タクヤ「…」
オレ達は今1つのベットを2人で寝ている。なんかオレとしても何故か緊張している為、ユウキの方に顔を向けられない。
タクヤ(「落ち着けぇオレ…!これはあれだ、そう!子供をあやしてるお母さんの気持ちになればいいんだ!…ってそんな気持ち知らねぇ!!」)
ゴロロロロ
ユウキ「ひっ」
タクヤ「!!?」
ユウキは雷に怯え、オレの背中に引っ付いてきた。
タクヤ(「いや、マジで落ち着け…相手はユウキだ…中学1年だ…何も焦ることはない…。…ってこれ…下手したらやばい図になるんじゃ…!!」)
ユウキ「…ごめんね…タクヤ…」
タクヤ「は?」
ユウキ「やっぱり…迷惑だよね…」
タクヤ「……」
ユウキ「…ボク、部屋に戻るね…」
ユウキがそう言って布団から出ようとするのを俺は止めた。
タクヤ「…まだ雷鳴ってんぞ。怖ぇんなら遠慮すんな…。
年下に遠慮されると立つ顔がない…」
ユウキ「タクヤ…」
タクヤ「わかったら、早く布団中戻れ…。寒いからよ…」
ユウキは黙って元いた位置に戻った。
ゴロロロロ
雷はまだ鳴り続けている。ユウキも雷が鳴る度に引っ付いてくる。
だが、もうそんなのはどうでもいい。もう疲れた。
ユウキ(「…あったかい…」)
オレ達は次第に夢の中へと入っていった。
2022年12月16日 06時40分 第2層 宿屋内
sideユウキ_
ボクはいつもタクヤより先に起きて、タクヤを起こすのが毎日の日課になっていた。
タクヤって寝たら全然起きないし、起こしても二度寝したりするし、結構めんどくさい性格をしている。
ユウキ「ファァァ…」
今日もいつも通りタクヤより先に起きた。
でも、今日はいつもと少し違う目覚めだった。
ユウキ「……///」
タクヤ「スゥ…スゥ…」
そう…今日ボクはタクヤの隣で目を覚ましたのだ。
ユウキ(「変に意識しちゃダメダメ!!
とりあえず、朝ごはんどうしようかな…
NPCのレストランはもう飽きちゃったし…うーん…」)
ボクはそっとタクヤが起きないようにベットを出て、朝ごはんをどうするか悩んでいた。
ユウキ「そうだ!自分で作ればいいんじゃん!!ボクあったまいい〜」
そうと決まれば早速買い出しだ。
こういう時ゲームだと24時間お店が開いてるから便利だよねー。
2022年12月16日 07時25分 第2層 宿屋キッチン
ユウキ「さて!何を作ろうかな〜」
とりあえず市場でいろいろな食材を買ってきた。
これだけあればそれなりの物が出来ると思う。
ユウキ「じゃあ無難に目玉焼きつくろ〜!」
ボクは卵を1つ取り出し、熱したフライパンの上に卵を投入。
ピローン
ユウキ「えっ!もう出来たの?早いな〜…。これだったら楽勝…」
フライパンの中身を見てみるとそこにはとても目玉焼きとは言えないような黒炭が出来上がっていた。
ユウキ「な、なにこれ?どうしてこうなったの?
…とりあえずこれは捨てなきゃ…」
もう一度チャレンジしてみた。結果はさっきのと一緒だった。
ユウキ「えぇ!!どうして!?なんで黒焦げになっちゃうの!!?」
その後も、何度も試してみたが結果は変わらなかった。
2022年12月16日 08時00分 第2層 宿屋内
sideタクヤ_
タクヤ「ふぁっはぁぁぁあっ」
オレは大きなあくびをあげながら、隣に目をやる。
既に隣にはユウキはおらず、おそらく自分の部屋にいるのだろう。
タクヤ「そう言えばアイツ…起こしに来なかったなぁ」
オレは少々気になり部屋を後にしてユウキの部屋に来た。
コンコン
タクヤ「ユウキーいるのかー…」
シーン
タクヤ「いないのか…じゃあ、どこ行ったんだ?あいつ…」
とりあえず宿屋内を探す事にしたオレはあちらこちらと回った。
けれど、どこにもいない。
タクヤ「後探してないのは…キッチンか?」
宿屋のキッチンを使うにはそれ相応のコルが必要になる為、ほとんどの人は使わない場所だ。
タクヤ(「まさかあいつ…料理してんのか?
この世界の料理はスキル値で全てが決まる…
スキルなんか取ってねぇ奴が料理なんかしたら…」)
それを考えただけで背筋が凍るような寒気がした。
オレはキッチンに向かった。そこには危惧していた事が起きていた。
タクヤ「ユ…ユウキ…?」
キッチンの隅にうずくまっているユウキに声をかける。キッチン内は料理の失敗らしきものが散乱していた。
タクヤ「ど…どうしたんだよ?そんな所にうずくまって…」
ユウキ「…タクヤぁ…」
顔を上げたユウキは涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。
大方予想通りの結果だ。
ユウキ「グズ…今日、タクヤに昨日のお礼も兼ねて…朝ごはん作ってたんだけど…全然上手くいかなくて…それで…」
ユウキの厚意は素直に嬉しかった。
結果は散々だが、オレはその気持ちだけで十分だった。
タクヤ「このゲームは料理もスキル値によって出来る料理が増えていくんだよ…。最初はだいたいこんなもんさ。そう落ち込むなよ…」
ユウキ「でも…ボク…いっつも迷惑かけてるし…今だってこんなに散らかしちゃって…もうやだよ…」
タクヤ「ユウキ…」
この時、オレは何をしているんだろうと思った。
でも、こうせざるを得なかった。このままじゃダメだと思った。
だから…
オレはユウキを抱きしめた。
ユウキ「!」
タクヤ「お前の気持ちは受け取った。
料理だってこれから練習すればいいじゃないか…。
迷惑だっていっぱいかけてくれてかまわない…。
オレはそれだけユウキに信頼されてるって事だろ?
だったら、もっとかけてくれよ。まだお前は子供なんだ。
わがままだって言っていいんだ。今はオレが受け止めてやる…。
だから、顔を上げてくれ。
ユウキがそんな顔してちゃオレまで暗くなっちまうよ。」
ユウキ「タクヤぁ…」
タクヤ「ちゃんと見てるから…。元気だせ…。なっ?」
オレは抱きしめたままユウキに語りかけた。
それをユウキは黙って聞いてくれている。
ユウキだって本来なら楽しい日々が続いてたはずなんだ。
それをオレの兄貴がこんな事して…それを奪っちまった。
今のオレにはこれくらいしかしてやれる事はない。
でも、それでユウキが元気になってくれるならいくらだってしてやる。
ユウキ「タクヤぁ…ごめんね…ごめんね…ぅぅ、うわぁぁぁん!!!」
とうとうユウキは盛大に泣き始めた。
タクヤ「今は思い切り泣け…。涙が枯れるまで泣け…。
そして、またいつもの元気なユウキに戻ってくれ…。」
ユウキ「タクヤ…!!タクヤ…!!うわぁぁぁぁぁん!!!!」
しばらくキッチンにはユウキの泣き声が鳴り響いていた。
2022年12月16日 10:05 第2層 草原フィールド 安全エリア
あれからしばらくユウキは泣き続けたが、今は見る影もなく元気になっている。オレ達はレベリングを兼ねてフィールドに出ていた。
ユウキ「…さっきはありがとね」
タクヤ「気にすんな」
今日は風が心地よくこのまま寝転がって静かに時間を送りたいものだ。
だが、そんな事をしてる余裕などありはしない。
トップランカー達が今この時も、クリアを目指して頑張っているに違いない。キリトだって…アスナだって…。
ユウキ「風が気持ちいいねぇ…」
タクヤ「そうだな…」
とは言ったもののほんの少しだけ…こんな時があってもいいんじゃないだろうか。そうだ、あっていいんだ。
ユウキ「タクヤ…」
タクヤ「ん?」
ユウキ「タクヤってさ…リアルの話になっちゃうけど…兄弟とかっている?」
タクヤ「…あぁ、いるよ。年の離れた兄貴と弟が…」
ユウキ「そっか…ボクもね、双子のお姉ちゃんがいるんだ。
このゲームも2人で買ったんだけど、姉ちゃんがちょうどその日に友達の誕生会に呼ばれてて帰ってくるまで待っててって言われたんだけど…ボク、我慢出来なくてさ…先に始めちゃったんだ。
そうしたら、閉じ込められちゃって…。
あの時ちゃんと姉ちゃんの言いつけ守ってたらこんな事になってないんじゃないのかなーって…時々思うんだ…」
タクヤ「ユウキ…」
ユウキ「でも、ボクは後悔してないよ!
だってこの世界はこんなに綺麗なんだもん!
まぁ、死んじゃうのは嫌だけどさ…。それにタクヤに出会えた。
キリトやアスナ…他にもいろんな人に出会えた。
ここに来なくちゃ会えなかったんだから後悔はしてない…」
タクヤ「…オレも最初はここがどれだけ凄い世界なのか、この世界にどれだけの…それはもう全てを捨ててまでの価値があるのか…、それを知りたかっただけだった。」
両親の死にすら目もくれずこの世界を作った茅場晶彦…兄貴は一体どんな気持ちでいたのか…どうしてこれをオレに送ってきたのか…
それがこの世界に来てみれば分かると思ってたけど、まだその答えは見つかってない。そもそも、答えがあるかどうかも分からない。
タクヤ「オレもユウキやキリト…みんなと出会えて良かったと思う…」
それだけは兄貴に感謝しなきゃいけない。
ユウキ「ふふっ!そっかぁ…」
タクヤ「あぁ、そうだ」
またこれからたくさんの楽しい事…辛い事…苦しい事…悲しい事が起きるだろう。でも、仲間達と一緒なら何だって乗り越えられる気がする。
タクヤ「よし!休憩終わりっ!レベリング続けるぞ!」
ユウキ「うん!!」
オレ達ならできる…。このゲームをクリアして、そして…
タクヤ「グズグズすんなよ?今日中に1レベ上げたいからな」
ユウキ「タクヤこそ!ボヤボヤしてると取っちゃうからね!」
いつかみんなでオフ会が出来たら楽しいだろうなぁ。
どうだったでしょうか?これはちょっとほのぼのとした回であったと思うんですが、イマイチなにか掴めてないような気がします。
これからも勉強してもっと上手に書けたらなと思いました。
では、また次回!