ソードアート・オンライン-君と共に在るために-   作:ちぇりぶろ(休載中)

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という訳で46話目です!
意外に書いていたら長くなりそうなので3話にかけて書く事になりました。
今回はその中編になります。
評価、感想などよろしくお願いします!


では、どうぞ!


【46】踏み入る藍色の少女(中編)

 2025年05月28日 18時00分 ALO闇妖精族(インプ)

 

 闇妖精族(インプ)領の街は昼夜問わず暗闇に包まれており、他の種族の街と違って暗いイメージを持たせる。

 そう言う理由も相まって闇妖精族(インプ)を選ぶプレイヤーは影妖精族(スプリガン)に次いで人気がなかった。

 だが、物好きが集まるのがVRMMOゲームだと言っても過言ではない。

 ましてや、現実と隔離された仮想世界なら"もう1人の自分”を作り、演じる(ロール)事も可能だ。

 そして、またここに1人…闇妖精族(インプ)領の転移門から光と共にこの世界に降り立った少女がいた。

 

「…ここが…ゲームの…アルヴヘイム・オンラインの世界…」

 

 街には妖精特有の尖った耳、ファンタジー世界でよく見る服装や髪の毛、RPGゲームになくてはならない剣や盾。

 本当の別世界に初めて降り立った少女はただ一言…

 

「夢の世界みたい…!!」

 

 少女自身も街を闊歩するプレイヤー同様の姿をしていて、店のショーウィンドウを鏡がわりにして自分の姿を見て恥ずかしくなりながらも物珍しそうに凝視する。

 

「…髪の毛…長過ぎないかな?」

 

 ALOではアバターはランダムに作成される為、ログインするまでは自分がどのような姿をしているか分からない。

 また、アバター作成時に課金(リアルマネー)すれば容姿を自分好みに出来るのだが、少女はまだ義務教育すら終えていない身である為、その選択は自動的に削除される。

 少女の容姿は現実世界の肉体とほぼ同じで違う点と言えば、髪の毛の長さや色、目の色などだ。

 街灯の明かりが少女を照らし、藍色に輝くその姿は妖艶という言葉が当てはまるだろう。

 通行人も少女の姿を見て、足を止める程の魅力を醸し出していた。

 ランダム作成とは言え、少女は間違いなく当たりを引いただろう事は明白であり、注目の的になっているのに気づかないまま自分の姿に魅入っている。

 

「私じゃないみたい…」

 

 腰に吊るされた片手用直剣を鞘から抜き、刀身を明かりに当てながら鈍く光らせた。

 それはあまりにも美しく、現実では到底出来ないであろう感動を味わった。

 まさか、ここまで感動したのは初めてかもしれないと記憶を掘り返しながら呟いた。

 少女は最初、仮想世界やVRMMOゲームをあまり良くは思っていなかった。

 たかがゲームで意識を完全に遮断するリスクも計り知れないし、現実では死なないとは言え、ゲーム中に死ねばそれが後々トラウマになる可能性だって捨てきれない。

 だが、それを踏まえても皆はVRMMOゲーム…仮想世界を求めて旅立つ。

 少女も誘われなければこの世界にはいない。

 誘われなければこの感動を味わう事もなかったハズだ。

 そして、少女はこの世界で1つの誓いを立てた。

 

「仮想世界の私も…現実世界の私も…もっと強くならなきゃ…!!」

 

 自分を変える為、自分の世界を広げる為、少女は剣を持って前に進む事を誓った。

 それはある人から後押しして貰ったから。

 その人のおかげで少女にも勇気を持って前に進めたから。

 

「だから頑張らないと…!!」

 

 剣を鞘に収めて、視界に映っている時刻を見ると待ち合わせ時間が迫っている事に気づき、元いた転移門前に急いで移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと…ここで合ってる…よね?」

 

 転移門前に移動した少女は辺りを見渡しても誰が待ち合わせをした人か分からなかった。

 それもそのハズだ。その待ち合わせしている人の現実世界での顔は知っているものの仮想世界での顔を見た事がないからだ。

 ましてや、少女はVRMMOゲームはALOが初めての為、右も左もわからないような初心者(ニュービー)

 何をすればいいのかも分からず、周りをキョロキョロしていると、3人組の男性プレイヤーが少女に近づいてくる。

 

「もしかして君、初心者?」

 

「え?あ、はい…そうですが…」

 

「なんならさ、俺達がいろいろレクチャーしてあげるよ!」

 

「あ、わ、私…別の方と待ち合わせしてまして…」

 

 明らかにナンパされている事に気づき、男性プレイヤー達から離れようとすると1人が道を塞ぎ、3人で少女を囲んだ。

 

「まだ来てないみたいだしちょっとの間なら問題ないって!」

 

「で、でも…」

 

「いいからいいから話しなら向こうのカフェにでも出来るからさ!」

 

 少女の手が強引に引っ張られ、振り解こうにも力が強くてビクともしない。

 前にも現実世界でこういう事があった。

 その時はある人から助けてもらって事なきを得たが今は誰も頼る人が周りにいない。

 

(「これじゃあ何も変わらない…変わらなきゃいけないんだ…!!」)

 

 尚も引き続ける手を体を使って強引に振り解き、3人から距離を取る。

 

「あの…!!他の人を待っているので…帰ってください!!」

 

「初心者のくせに生意気だぞ!!」

 

「ひぃっ!?」

 

「俺達もここいらじゃ結構有名なんだぜ?

 付いてきて損は無いだろ?まぁ、タダでとは言わないけどな…」

 

 先程までとは口調も空気も違う。

 少女を連れていく為にわざわざ猫を被っていたのだ。

 その事に今になってようやく気づいた少女は後ずさりながら男達から距離を保つ。

 だが、とうとう少女は壁際まで追い込まれた。

 

「!!」

 

「もう逃げられないなぁ」

 

 薄気味悪い笑い声と共に男の手が少女に伸ばされる。

 

「いや…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、何も無いハズ場所から4人目の手が伸ばされ、少女を庇った。

 

「!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いですけど、僕の連れなんで手を出さないで下さいますか?」

 

「!!…あ…」

 

「な、なんだお前はっ!!?」

 

「手を出さないで下さいと言ってるんです」

 

「ひっ…わ、分かった!分かったから手を離してくれ!!?」

 

 そう言って男達の手を離してやると翅を羽ばたかせ空の彼方へ飛んでいった。

 

「ふぅ…大丈夫でしたか?」

 

「な…な…な…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナオさぁぁぁぁぁんっ!!!!」

 

 

 

 カヤト「おっと…やっぱり藍子さんでしたか…。

 雰囲気が似てたからもしかしたらと思ったんですけど」

 

 藍子「また…助けられちゃいましたね…!!」

 

 カヤト「これぐらいならいくらでもしますよ。

 あっ、それよりここじゃナオじゃなくてカヤトって呼んでください。

 リアルの情報はNGですから」

 

 藍子「あ…そ、そうでしたね。すみません…気が動転しちゃって…」

 

 幸い周りにプレイヤーなどはいなかった為、心配する程の事でもないが念には念を入れていた方が動きやすい。

 

 カヤト「それで藍子さんはキャラネームはどうしたんですか?」

 

 ラン「私は…"ラン”にしました。天真爛漫のランです…。

 そうなりたいって祈りを込めて付けたんです…!!」

 

 カヤト「いい名前だと思いますよ。それじゃあ、行きましょうか?」

 

 ラン「はい!!」

 

 こうして2人は商店通りへと移動した。

 それを草薮からこっそりと窺っていたプレイヤーが2人いた。

 

「行ったな…」

 

「行ったね…」

 

「ねぇ?どうして隠れてるの?」

 

「そりゃあ…その…なんだ…えーと…」

 

「2人の邪魔しちゃ悪いでしょ?せっかく良い雰囲気なんだからさ…」

 

「え〜!!そうなのぉ〜!!」

 

「「声がでかいっ!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年05月28日 18時40分 ALO 闇妖精族(インプ)領荒野フィールド

 

 カヤトとランは装備を新調して領地を出た。

 この周りなら初心者でも比較的に狩りやすく、熟練度上げや動作を教えるのに都合が良い。

 

 カヤト「じゃあ、とりあえずは動きの確認からですね」

 

 カヤトは装備を両手長柄から武器屋で買った刀へと変えた。

 理由はランが主武装(メインウェポン)に刀を選んだ為である。

 本来ならば刀使いであるクラインか剣道有段者のリーファに教えてもらう方がいいのだが、彼らは今、各々の領地にいる為闇妖精族(インプ)領までの道のりを考えたらカヤトが教えた方が早い。

 また今度央都アルンに集まる予定なので細かい動作の修正はその時にでも教えてもらえばいい。

 ランもカヤトとお揃いの刀を鞘から抜き、自分なりに構えを取る。

 

 ラン「こ、こんな感じですか?」

 

 カヤト「握り手が逆ですね。後、鍔に密着させないで持ってみてください」

 

 刀を使った事がなくても、剣道の握り方と比較的には一緒だ。

 カヤトは現実世界(リアル)で少しだけ剣道をかじっていたのでそれくらいの指摘は出来るのだ。

 

 カヤト「そうです。じゃあ振ってみてください」

 

 カヤトに言われた通りランは数回刀を振る。

 初心者にしては中々様になっていて、そこはやはり"絶剣”と謳われたユウキの姉妹だけはあるとカヤトは素直に感心していた。

 

 ラン「刀って…結構重たいんですね…」

 

 数回だけ振ったにも関わらずランは肩で息をしている。

 普段体を動かさないランにとってはかなりきつい事だろう。

 そこはもう慣れていくしか改善策はないので仕方がないが。

 

 カヤト「まぁ、初心者は最初は刀を選ばないって言いますからね」

 

 ラン「そうなんですか?じゃあ、別の物に変えた方がいいですか?」

 

 カヤト「いや、別に構いませんよ。

 ランさんがそれが気に入ったのならそれを使うべきです。

 主武装(メインウェポン)をコロコロ変えるのはあまりオススメしません」

 

 慣れていない物よりも使いやすい物を選ぶという選択もあるが、それはあくまである程度の実力がある者がとる選択だ。

 VRMMOゲーム自体初めてのランに何が使いやすいのか判断する力はまだない。

 全てが0の状態なら無闇に武器を変える必要がない。

 

 カヤト「刀は腕で振るというより、振られるって感覚です。

 片手用直剣と違って刀身も長いですし、重量もそれなりにある。

 最初の内は体を引っ張られますが慣れてくれば自在に振れるようになりますよ」

 

 ラン「へぇ…ナオ…じゃなかった。…カヤトさんは何でも知ってるんですね!」

 

 カヤト「基本的な知識だけですけどね。

 応用や細かい所は僕にも分かりません」

 

 ラン「でもすごいです!

 普段使ってる物でもないのにそこまで把握してるなんて!

 やっぱりカヤトさんに教えてもらえて嬉しいです!!」

 

 カヤト「そ、そうですか?そう言われると照れますね…。

 僕に出来る範囲でランさんにみっちり教えますので覚悟してくださいね?」

 

 ラン「う…ほ、程々でお願いします…」

 

 2人は顔を見合わせて同時に笑った。

 その光景を近くの岩陰でこっそりと覗き見る先程の3人がいた。

 

「なんか楽しげだな…」

 

「やっぱりあの2人はお似合いだよ!ね?ストレア」

 

 ストレア「そうだね〜。なんかこっちまでキュンキュンしちゃうよ!」

 

 そう…岩陰でカヤトとランを覗いていたのはタクヤとユウキ、ストレアである。

 タクヤもユウキも今日の事を聞いていた為、面白そうだからこっそり様子を見る事にしたのだ。

 

 タクヤ「にしても段々飽きてきた…」

 

 ユウキ「何言ってるのさ!これからがいい所なのに!」

 

 ストレア「そうだよ!タクヤは女心が分かってないんだから〜」

 

 タクヤ「オレ女じゃないもーん」

 

 ユウキ「はいはい…タクヤは昔からそうだもんね」

 

 そうこうしている内にいよいよランの初めてのモンスター狩りの時間がやってきた。

 現れたのは狼型のモンスターで素早い動きをするのが特徴だが、攻撃する時だけ動きが止まるという弱点がある。

 初心者にも優しい難易度なのでカヤトの言う通りにすれば容易く倒す事が出来るハズだ。

 

 カヤト「じゃあ、教えた通りにあのモンスターを倒してみましょうか?

 僕がタゲを取ってくるのでここで待っていてください」

 

 ラン「は、はいっ!!」

 

 元気よく返事をするも、初めてのモンスターとの戦いに緊張してしまい、刀の切っ先が震えてしまっている。

 

 タクヤ「だ、大丈夫か?」

 

 ユウキ「大丈夫だよ!!ボクの姉ちゃんなんだし、いざとなったらカヤトがカッコよく助けてくれるよ!!」

 

 ストレア「頑張れ〜!!」

 

 気づかれないようにタクヤ達もランの初バトルを応援する。

 カヤトがタゲを取り、ランのいる元へと誘導した。

 モンスターは一直線にランの元へ向かってくる。

 

 ラン「大丈夫…大丈夫…大丈夫…。教えられた事をそのまますればいいんだから…」

 

 モンスターがランに到達するまで後10秒。

 その間に息を整え、気持ちを落ち着かせる。

 モンスターもランの存在に気づき、標的に定めた。

 

 カヤト「ランさん!!今です!!」

 

 ラン「っ!!」

 

 合図と同時に前に出た。

 距離が一気に縮まり、モンスターが攻撃態勢に入る。

 その瞬間を狙ってランの刀が真っ直ぐ振り下ろされた。

 刀身はモンスターの頭を捉え、そのまま真っ二つにする。

 即死判定が出て、モンスターはポリゴンへと四散した。

 

 ラン「や、やった…やりましたぁぁっ!!!」

 

 カヤト「おめでとうございます!!凄く良かったですよ!!」

 

 ラン「ありがとうございます!!これもカヤトさんのおかげです!!」

 

 歓喜のあまりその場で飛び跳ねていたランをカヤトは微笑みながら一緒に喜んでいた。

 

 ユウキ「やった!!さすが姉ちゃん!!」

 

 ストレア「すご〜い!!」

 

 岩陰でもユウキとストレアがハイタッチをしてランの初勝利を喜んだ。

 

 タクヤ「初心者にしては見事だったな」

 

 ユウキ「だから言ったでしょ?ボクの姉ちゃんは強いんだから!!」

 

 タクヤ「後はどこまで慣れてくるかだな」

 

 ALOはプレイヤースキルを重視したゲームである為、運動能力がある程度必要になってくる。

 その為、普段から体を動かしていない者には結構キツイ仕様になっていた。

 これからランもその壁にぶち当たるだろうが、カヤトが共にいれば問題はない。

 

 カヤト「今の動きを忘れないでくださいね?

 じゃあ、後3,4匹倒したら今日はもう終わりましょうか?」

 

 ラン「はいっ!!」

 

 それからもランはカヤトの教え通りの動きが出き、モンスターを倒す度に段々この仮想世界にのめり込むようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年05月28日 20時10分 陽だまり園紺野姉妹自室

 

 ALOからログアウトした藍子はアミュスフィアを取り、しばらく天井を見ながらゆったりしていた。

 

 藍子「あれが仮想世界なんだ…。

 すごく綺麗でドキドキして楽しかった…」

 

 木綿季「ね?仮想世界も中々良いでしょ?」

 

 藍子「わぁっ!!?」

 

 いきなり隣に顔を現した木綿季に藍子は驚き、思わず壁に頭をぶつけてしまった。

 

 藍子「いったぁ…」

 

 木綿季「大丈夫?姉ちゃん」

 

 藍子「木綿季!!急にビックリするじゃない!!」

 

 木綿季「ごめんごめん!で、どうだったの?直人とのALOデートは?」

 

 藍子「で、デートじゃなくて私はナオさんに戦い方を教えて貰ってただけで…」

 

 頬を赤くしながらも藍子は心の中であれがデートならどれだけ良かっただろうと思ってしまった。

 直人にその気がなかろうと2人っきりでいられた事に堪らなく幸せだった。

 

 木綿季「そういう割には顔が真っ赤だよ〜?いい事でもあったの〜?」

 

 藍子「な、ないないないない!!別に何もないからっ!!

 ほ、ほら!!そろそろ食堂行かないと先生に怒られちゃうよ!!」

 

 藍子は逃げるように自室を後にした。

 

 木綿季「ったくー…姉ちゃんもシャイなんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年06月04日 14時30分 横浜市内某喫茶店

 

 あれから1週間が経った。

 カヤトの指導の元、ランは領地の近くのフィールドで修練に励み、実力が伴い始めると2人で簡単なクエストなどにも出掛けた。

 2人で多くの時間を共有出来る事にこの上ない満足感に満ちていたランはカヤトがいない日でも修練を怠らないように頑張ってきた。

 それはもちろん、カヤトに褒められたいというのもあったろう。

 だが、それだけではない。

 ランがALOに来たのは現実世界の藍子も強くならなければいけないからだ。

 内気で引っ込み思案な性格を少しでも直したい。

 ダメな事はダメだとはっきり言える人間になりたいと強く思ったからだ。

 だからこうして自分を鍛える事を欠かさない。

 それが仮想世界でも現実世界でも藍子/ランが強くなると信じているから。

 かと言ってALOばかりしている訳ではない。

 現実世界の藍子は受験を控えている身である。

 直人もそれは知っている為、ALOを始めて以降陽だまり園や喫茶店などで藍子の勉強を見ている。

 現役高校生で市内じゃ有名な進学校に通っている直人を家庭教師として藍子の勉強を見てあげたらと直人の兄である拓哉が気を利かせてくれた。

 

 直人「藍子さんはどこの高校を目指してるんですか?」

 

 藍子「え?」

 

 昼下がりの喫茶店で直人と藍子は試験勉強に勤しんでいた。

 1口大好きなココアを含んでいると、不意に直人から聞かれた。

 

 直人「いや、これだけ出来るならここら辺の学校には簡単に受かると思ったんですけど、もっと上を目指してるんですか?」

 

 藍子「いえ、そこまでレベルの高い所は目指してないんですけど…公立の高校に行きたくて…」

 

 直人「それなら尚更こんなに根詰める程やらなくても今でも十分じゃないですか?」

 

 直人は藍子の学力を知る為に5月に行われた中間考査のテストを見せてもらったがその点数が全て平均以上という結果を出していた。

 これだけの学力があるなら根詰める程勉強をする必要がない。

 事実、横浜市内の公立高校なら少し点数を稼ぐだけで選び放題だと直人は思った。

 

 藍子「私…これ以外にやる事ってALOぐらいしかないですから…。

 なんだか自然と勉強しちゃってるんです…。

 それに試験も何が起こるか分からないでしょ?

 やれるだけの事はやっておきたくて…」

 

 直人「そうだったんですか。

 これだけやれれば藍子さんならどこにでも行けますよ!」

 

 藍子「ありがとうございます。

 そう言えばナオさんはどこの高校に通ってるんですか?」

 

 直人「実は僕も公立なんですよ。まぁそれなりに偏差値が高かったんですけど…」

 

 藍子「じゃあ、私もそこにしようかな…」

 

 直人「何か言いました?」

 

 藍子「あぁ!いえ!何でもないです!!あはは…」

 

 直人「?」

 

 それから2人は夕方まで勉強をして喫茶店を後にした。

 そして、いよいよ今日はALOで直人と2人で央都アルンまで出掛ける事になっている。

 闇妖精族(インプ)領から離れた事のない藍子にとってはまさに大冒険が待ち構えているに違いない。

 タクヤとユウキ、ストレアは世界樹の上にあるイグドラシルシティにいる為、残りのメンバーがそこに集まって一緒にクエストをしようと計画しているのだ。

 

 直人「じゃあ、今日の19時に転移門前に集合でいいですか?」

 

 藍子「はい!楽しみにしてます!!」

 

 直人と別れてからすぐに陽だまり園へと帰り、早速準備に取り掛かる。

 アルンまでの道のりは1日以上かかると直人から事前に聞いていた為、回復アイテムや装備の耐久値の確認とやる事はたくさんある。

 ログインする前に夕食がある為、残された時間は短い。

 食堂に集まりみんなで夕食を食べている中藍子だけ皿に盛られた料理を素早く口の中へと運んでいく。

 

 智美「藍子ちゃん、もうちょっと落ち着いて食べたら…?」

 

 藍子「す、すみません…」

 

 木綿季「そんなに早く直人と会いたいんだね〜。

 さっきまでいたのにもう寂しいのかな〜?」

 

 藍子「そ、そんなんじゃ…!!」

 

 智美「なになに?直人君とデートなの?やるじゃない藍子ちゃん!」

 

 森「そうなのか?」

 

 藍子「だ、だからそんなんじゃないですってばっ!!

 ご馳走様でした!!」

 

 藍子は全て平らげ自室へと逃げるように向かった。

 食堂ではケラケラ笑う智美と木綿季に呆れながら森や他の子供達が料理を食べている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年06月04日 18時55分 ALO闇妖精族(インプ)領 転移門前

 

 諸々の準備も済ませ、ランは転移門前へとやって来た。

 すると、そこには既にカヤトが立っていた。

 

 ラン「すみません!遅くなっちゃって…」

 

 カヤト「まだ集合時間前ですからいいですよ。準備は大丈夫ですか?」

 

 ラン「はい!ポーションも持てるだけ持ってきましたし、武器も耐久値MAXまで回復させてます!!」

 

 カヤト「準備万端ですね。じゃあ、行きましょうか?

 この先何が起きるか分からないので充分に注意してください」

 

 ラン「はい!!」

 

 そう言って2人は翅を羽ばたかせ、一気にルグルー回廊まで飛んでいった。

 ランはまだ始めて間もない為、コントローラがないと飛べないが、カヤトが初めてアルンに行った時を考えたら今回は随分と早い。

 だが、空中にもワイバーンやイビルグレイサーという飛行型のモンスターも数多く生息している為、危険がなくなる事はない。

 空中戦闘(エアレイド)に慣れていないランを後衛において、前衛をカヤトが引き受ける。

 両手長柄による乱れ突きで瞬く間にHPは全損した。

 それ以降も何度か戦闘を重ねて1時間が経った頃にはルグルー回廊の入口にたどり着いた。

 

 カヤト「今は20時前か…。ランさん、今日は何時まで大丈夫ですか?」

 

 ラン「えっと…明日は日曜ですから遅くても1時までなら大丈夫だと思います」

 

 カヤト「じゃあ、今日中にはアルンに着きそうですね」

 

 カヤトが詠唱を始め、2人に暗視魔法が付与される。

 闇妖精族(インプ)は他の種族より暗視能力に長けているが、ルグルー回廊の中は闇妖精族(インプ)でも暗視魔法を掛けなければ先に進む事が困難だ。

 回廊の中へ進んでいくとモンスターとも遭遇する。

 ランは初めて見たモンスターに戸惑うが、カヤトの的確な指示によってぎこちないがモンスターを屠る事が出来た。

 刀スキルの熟練度もこの道中にみるみる上がっている。

 

 カヤト「ランさんの刀…そろそろ使いずらくなってませんか?」

 

 ラン「スキルが上がってから刀が上手く振れないんです…」

 

 カヤト「性能は店売りですからね…。鉱山都市にも武器屋がありますからもっと性能のいい刀を買いましょうか?」

 

 ラン「そうですね!」

 

 そうこうしている内に鉱山都市に繋がる1本の長い橋の前までやってきた。

 

 カヤト「この橋を渡れば鉱山都市ですからもう少し頑張りましょう!!」

 

 ラン「はい!!」

 

 橋を渡ろうとした瞬間、橋の下の湖から巨大な水飛沫が上がった。

 

 カヤト&ラン「「!!?」」

 

 水飛沫と共に上がった巨大な影が橋の上へと降り立つ。

 

 カヤト「…ヤバイ…」

 

 ラン「え?」

 

 カヤト「ランさん…今の内に逃げて下さい!!」

 

 カヤトとランの目の前にいるのはルグルー回廊で最も危険な海竜であった。

 本来ならば陸に上がって来る事はないのだが、目の前の現実を受け止められない程馬鹿でない。

 ランを連れた状態じゃあの海竜には歯が立たない事を察したカヤトはランに逃げるように指示した。

 

 ラン「あ…あ…」

 

 カヤト「ランさん!!僕が時間を稼いでいる間に早く逃げて!!」

 

 ラン「で、でも…それじゃあ…カヤトさんが…」

 

 初めて見るネームドモンスターに恐怖しながらも刀を抜き、構える。

 それを見た海竜はランにターゲットを絞り強靭な牙を放った。

 

 ラン「!!」

 

 カヤト「させるかっ!!」

 

 両手長柄で海竜の攻撃を防御する。

 だが、海竜もそれをお構い無しに振り切った。

 激しい土煙が舞いカヤトはランの遥か後方へと飛ばされてしまった。

 

 ラン「カヤトさん!!」

 

 瞬間、体の芯まで揺らす程の咆哮を放った海竜が勢いをつけてラン目掛けて突進した。

 それを辛うじて避けるが、突進の際に生じた衝撃波で橋に叩きつけられてしまった。

 

 ラン「かっ」

 

 体の中の酸素が全て吐き出され、背中に軽い痛みが走る。

 これがもし現実世界だとすれば確実に骨が砕かれていただろう。

 ペインアブソーバ機能が働いているとは言え、それでも恐怖を刷り込むには充分だ。

 

 カヤト「くそっ!!」

 

 海竜の背中へと飛び移ったカヤトが両手長柄を所構わず乱れ突いた。

 だが、海竜のHPは数ドットしか削られず、カヤトの存在に気づいた海竜も背中から振るい落とす為に体を暴れさせた。

 

 カヤト「くっ!!?」

 

 両手長柄を背中に突き刺し、振るい落とされるのを我慢するが、このままじゃいずれ殺られる。

 そしてとうとう両手長柄は無理やり抜かれ、カヤトは空中で無防備な状態になってしまった。

 

 カヤト「っ!!?」

 

 ラン「カヤ…ト…さん…」

 

 刀を支えにその場に立つが依然として海竜はカヤトに攻撃し続けている。

 

 ラン(「早く…カヤトさんを…助けないと…。でも、私に出来るの?」)

 

 カヤト「はあぁぁぁっ!!!」

 

 ラン「!!」

 

 カヤトは紙一重の所で海竜の攻撃を退けているがいつまでもそれが続く訳がない。

 徐々に攻撃を捌き切れなくなってきたカヤトに海竜が重い一撃を放った。

 

 カヤト「ぐはっ!!?」

 

 一気にレッドゾーンにまで落ちた上に一時的行動不可(スタン)になり、カヤトは身動きが取れない状況に陥った。

 

 ラン「カヤトさんっ!!」

 

 カヤト「早く…逃げて下さい…!!ランさん…!!」

 

 ラン「!!」

 

 あんなボロボロになってまで、自分が殺られてしまうかもしれないのにまだカヤトはランを守ろうとしていた。

 

 ラン(「何…やってるの…!!私は強くなるって…決めたのに…!!

 守られてばかりじゃない…!!」)

 

 この戦いで誰が悪いとかはない。

 ただ偶然が重なり、悲劇に変わってしまっただけだ。

 だが、それに勇気を振り絞って立ち上がるのか、自分の身可愛さに背を向けて逃げるのかはその人次第。

 カヤトはすぐに立ち上がり、挑んでいった。

 ならランはどうだ?

 カヤトばかりに戦わせ、自分は体を震わせてその場に立っているだけ。

 戦いもせず、逃げもせず、その場に留まってあきらめていたのではないか。

 どんなに心で思おうともそれを体現しなければ意味を為さない。

 

 ラン(「私は…私は…私は…」)

 

 このままでいいハズがない。

 助けなければ…動かなければ何にも変わってないのと同じだ。

 変わらなくちゃ…強くならなくちゃいけない。

 

 ラン「…はぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 カヤト目掛けて振り降ろされた爪をランの刀が薙ぎ払う。

 仰け反り(ノックバック)が生じ、海竜はその巨躯を支えられずその場に倒れた。

 

 カヤト「ランさん…なんで…?」

 

 ラン「私は…強くなりたいんです。

 カヤトさんを置いてなんて…出来ません。

 今度は私が…カヤトさんを守ります!!」

 

 カヤト「…」

 

 刀が震えている。ランもまだ恐怖を克服した訳ではない。

 ただ、守りたいから…強くなりたいから…この場所に立っている。

 もう退いたりなどしない。仲間を…愛する者を置いて逃げ出すような事は絶対にしない。

 ランの目からそう訴えるかのように震えを止めて、刀の切っ先を海竜に向ける。

 再び起き上がってきた海竜は興奮し、鼓膜が破れるんじゃないかと思わんばかりの咆哮を上げながら突進してきた。

 

 カヤト「ランさん…!!」

 

 ラン「…!!」

 

 受け止められるとは思わない。だが、だからと言って退かない。

 もう決めた事だ。カヤトを守ると。互いに背中を預けられぐらいに強く生きると誓ったから。

 海竜との距離がみるみる縮んでいく。2人は死を覚悟した。

 

 ラン「…カヤトさん」

 

 カヤト「!!」

 

 ラン「私は…あなたの事が…─」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく頑張ったな…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、海竜は顎を大きく上げ、湖の中へと落ちていった。

 

 

 ラン&カヤト「「!!?」」

 

 何が起きたのか分からない。

 誰かの声がしたかと思えば海竜が体を大きく仰け反らされ、湖へと落ちていった。

 

 ラン「…あれ?」

 

 カヤト「まさか…」

 

 湖から舞い戻ってきた海竜が顎に攻撃を加えた敵を凝視する。

 カヤトとランから50m程離れた場所にカヤトが見慣れた後ろ姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タクヤ「いつまで寝てんだよ?…カヤト!!」

 

 

 

 

 カヤト「兄さんっ!!?」

 

 ラン「え?…タクヤ…さん?」

 

 再会を喜んでいる間もなく、興奮した海竜がタクヤを噛み殺そうと口を開け、ギラリと光らせた牙で襲い掛かった。

 

 ラン「危ない!!」

 

 タクヤ「…」

 

 土煙が辺り一帯を包み、視界を遮る。

 

 ラン「タクヤさんが…」

 

 カヤト「いや、大丈夫ですよ…」

 

 ラン「え?」

 

 土煙が次第に晴れてくると、海竜の口からは橋の瓦礫しか現れず、タクヤの姿はどこにもなかった。

 海竜もタクヤを探して辺りを見渡すがどこにもいない。

 すると、突如海竜の頭が橋に埋もれるように衝撃が加わった。

 

 タクヤ「ったく…あんまり調子にのんなよな」

 

 カヤトとランが2人がかりでやっと1本削った海竜のHPは既にイエローに差し掛かり残り1本と半分の所まで来ていた。

 

 ラン「す、すごい…」

 

 カヤト「規格外にも程がある…」

 

 すると、2人に緑色のエフェクトが現れた。

 HPが回復している為、回復魔法をかけている事は分かったが、誰がしているのかまでは一瞬分からなかった。

 

 リーファ「あの海竜に2人で挑むなんて…無茶すぎるよ」

 

 カヤト「リーファさん!!それにみんなも…!!」

 

 ラン「ユウキ…!!?」

 

 ユウキ「もぉ〜!ボクの姉ちゃんながら無茶ばっかりして!!」

 

 ストレア「でも、もう大丈夫だよ〜。みんなでアレを倒そう!!」

 

 キリト「アイツが1人でやっちゃってるけどな…」

 

 そこにはユウキにストレア、キリト、リーファの4人がいた。

 HPを全回復してもらった2人がリーファに礼を言うと改めてカヤトは何故ここにいるのか尋ねた。

 

 キリト「オレとスグはサクヤさんに呼ばれてて今日まで風妖精族(シルフ)領にいたんだ」

 

 ストレア「私達はずっとカヤト達を…」

 

 何か言おうとしていたストレアだったが、ユウキに口を封じられ代わりにユウキが答えた。

 

 ユウキ「ぼ、ボク達も似たような用事があったんだよ!ね?ストレア」

 

 声に出せない為、首を縦に降ってユウキの答えを肯定する。

 だが、これで全滅の可能性は完全になくなったと言っていいだろう。

 既にタクヤが海竜のHPをレッドゾーンにまで追いやりラストスパートを掛けていた。

 

 タクヤ「これで終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 トドメの一撃を食らわせ、海竜はとうとうその巨躯をポリゴンへと変え、四散した。

 

 ユウキ「さっすがタクヤ!!」

 

 タクヤ「中々殴りがいがあるヤツだったな!」

 

 リーファ「てか、水妖精族(ウンディーネ)のサポートなしで勝つなんてやっぱりタクヤさんはおかしいよ…」

 

 キリト「1人でゲームバランス崩してるからな…」

 

 タクヤ「言いたい事言いやがって…。

 カヤトもあんなヤツに負けてんなよな!!」

 

 カヤト「無茶言うなよ…。兄さんみたいに出来るか」

 

 とりあえずは無事に海竜を倒し、行く手を遮るものはなくなった訳だが、カヤトとランに関しては戦闘した為少しの間休憩を挟まなくてはならない。

 

 リーファ「カヤト君、こっちの娘がユウキのお姉さんなんだよね?

 こっちじゃ初めましてだね。リーファって言うの。

 現実世界(リアル)は桐ヶ谷直葉!よろしくね!!」

 

 ラン「あ、はい!!こちらこそ!!ランと言います!!よろしくお願いします!!」

 

 キリト「さぁ、とりあえず街に入ろうぜ。2人も休みたいだろ?」

 

 ストレア「じゃあ、しゅっぱ〜つ!!」

 

 こうして1行は鉱山都市へと入り、休憩を挟む事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年06月04日 22時50分 ALO鉱山都市ルグルー

 

 街に入り、小腹がすいたとユウキとストレアが言い始めたのでNPCレストランに立ち寄る事にした。

 

 カヤト「みなさん、さっきはありがとうございました」

 

 ラン「ありがとうございました!!」

 

 キリト「気にするなって…基本タクヤが1人で勝手に暴れだしただけだし」

 

 タクヤ「なんかトゲのある言い方だな…」

 

 ユウキ「それに姉ちゃんは初心者だからね。

 それを庇いながら戦ってただけカヤトはすごいよ!!」

 

 ラン「すみませんカヤトさん…。私が足を引っ張っちゃって…」

 

 カヤト「そ、そんな事ないですよ!!

 僕だけだったら今頃闇妖精族(インプ)領に死に戻りしてますよ!!」

 

 タクヤがユウキに肩肘でつつく。その意味に気づいたユウキも口を抑えた。

 

 タクヤ「まぁ、なんとか無事にここまで来たんだ。

 これからはみんなで行こうぜ!!他のみんなも待ってるからな」

 

 ストレア「集合時間って明日の12時だっけ?」

 

 リーファ「そうですよ。何でもクラインさんがすごいクエスト見つけたみたいです!!」

 

 キリト「クラインが持ってきたってだけですごいハズレ感が否めない…」

 

 タクヤ「確かに…」

 

 ユウキ「まぁ、それも明日のお楽しみって事にしようよ!!

 姉ちゃんもクエストやるんだよね?」

 

 そう問いかけられたランはすぐに返事が出せないでいた。

 

 ラン「本当に…私みたいな初心者が付いて行ってもいいのでしょうか?」

 

 リーファ「そんなの関係ないよ!ゲームは友達同士でやるものなんだから!」

 

 カヤト「リーファさんの言う通りですよ。

 実力がみんなと違うからって一緒に遊んだらいけない理由にはならないんですから」

 

 ラン「…はい」

 

 キリト「よし…じゃあ、何か頼むか?オレもなんだかお腹が空いてきた」

 

 リーファ「キリト君…ここに来る前も露天で何か大量に買い込んでは道中ずっと食べてたよね?」

 

 頬に冷や汗をかきながら引きつった笑いをリーファに見せる。

 

 キリト「いや、そんなに買い込んでないし、あんまり腹が膨れなくて…」

 

 リーファ「ログインする前も夕飯ちゃんと食べたよね?」

 

 キリト「…程々にしておきます」

 

 リーファがキリトを下し、それを見てみんなが大笑いする。

 その話を聞いていてユウキも一瞬だけ焦った。

 何せ、たらふく夕飯を食べてきたのにもうお腹が空いてるなんて言えない。

 

 タクヤ「ユウキとストレアはどうするんだ?何か頼むか?」

 

 ストレア「私はこれとこれとこれ」

 

 ユウキ「ぼ、ボクはジュースだけでいいや…」

 

 タクヤ「は?お腹が空いたって言ってなかったっけ?」

 

 ユウキ「そ、そんな事言うわけないじゃん!!

 ボク、ログインする前に食べてきてるんだよ?

 もうお腹いっぱいで何もは入らな…」

 

 ぐぅぅ…と言わなくても誰が鳴らしたか分かるほどのお腹の音が鳴り、ユウキは顔を赤くしながら追加注文した。

 

 ラン「…」

 

 カヤト「ランさんは何か食べますか?

 夕飯食べてきたってユウキさんが言ってましたけど…」

 

 ラン「…」

 

 カヤト「ランさん?」

 

 ラン「え?…あ、いえ!私はお腹空いてないのでジュースだけでいいです…!!」

 

 どこかぎこちない様子のランであったが、今は何も言わない方がいいだろうとカヤトは何も聞かなかった。

 一瞬だけランの表情が変わったが、誰もそれを目撃していない。

 …ある1人を除いて…




いかがだったでしょうか?
ランにとっては初めての経験だったと思いますが、これからどう進んでいくのか乞うご期待ください。



では、また次回!
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