ソードアート・オンライン-君と共に在るために-   作:ちぇりぶろ(休載中)

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という事で48話目になります。
今回は短めの完結ものですが、よろしくお願いします。



では、どうぞ!


【48】見守られている暖かさを

2025年06月18日 08時00分 茅場邸

 

その日は朝から雨が降っており、梅雨も本格的に仕事をし始めた今日この頃。

拓哉は雨音で目を覚まし、視線を時計に向けた。

重い瞼を擦りながら時間を確認すると、既に時刻は8時を回っており、急がなくては学校に間に合わなくなる。

そんな事を考えているとスマホからとある女性の声が聞こえてきた。

 

ストレア「タクヤ〜早く起きなきゃ遅刻しちゃうよ〜」

 

拓哉「分かってるよ…ゴホッ。今起きるから…ゴホッ」

 

体がだるく中々ベッドから起き上がれない。

少し力を入れて寝ぼけている脳みそを無理矢理起こした。

 

拓哉(「なんか…熱い…。それに視界が…霞む…」)

 

顔を洗えば何とかなるだろうと軽く考えながら立ち上がろうとすると、足腰に全く力が入らず、そのまま床に倒れてしまった。

 

ストレア「どうしたの〜?お〜い?タクヤ〜?」

 

だが、どれだけ呼んでも拓哉からの反応がない。

スマホの画面からは拓哉が見えない為、ストレアは拓哉が和人に頼んで付けてもらった小型カメラへと回線を経由して移動する。

すると、ストレアが見た光景は拓哉が倒れたまま動かなくなっている所だった。

 

ストレア「た、タクヤ!!大丈夫?しっかりして!!」

 

大声で叫んでも拓哉は一向に動く気配がない。

普段なら倒れる音がしようものなら直人が部屋を訪ねに来るのだが、生憎直人は今日日直当番の為、既に家を出た後であった。

つまり、この家には拓哉以外誰もいない事になる。

 

ストレア「どうしよう…どうしよう…どうしよう…!!

こんな時ってどうすればいいんだっけ?…ユイを呼ぶ?いや、それも意味無いし…とにかくタクヤをどうにかしなくちゃだから…え〜と…あっ!そうだ!!」

 

何かを閃いたのかストレアは拓哉の部屋にあるPCからある場所へと全速力で向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木綿季「おはよー!!明日奈ー!!キリトー!!」

 

明日奈「木綿季!!おはよう!!」

 

和人「木綿季…キリトじゃなくて和人だって…」

 

木綿季は昇降口で偶然和人と明日奈に出会い挨拶を交わす。

雨で滴る傘を払いながら靴箱へと向かった。

 

明日奈「あれ?そう言えば拓哉君は?」

 

木綿季「いやーそれがねー、待ち合わせしてたんだけど全然来ないからさ…先に行くってメッセージ入れて来ちゃったんだ」

 

和人「まったく…朝起きれないなんてだらしないな」

 

明日奈「直葉ちゃんに起こしてもらってる和人君が言えたぎりじゃないけどねー」

 

和人「そ、それは兄妹のアドバンテージってもんだろ?」

 

そんな話をしていると木綿季の制服のポケットが震えた。

最近買ってもらったスマホを取り出し、画面に目をやるとどうやらストレアからのようだ。

 

木綿季「ストレア!拓哉は?」

 

ストレア「大変だよユウキ!!タクヤが…タクヤが倒れちゃった!!」

 

木綿季&明日奈&和人「「「!!?」」」

 

思いがけない発言に一瞬脳が機能しなかったがすぐに我に返ってストレアに事情を聞いた。

 

ストレア「拓哉が起きたと思ったらいきなり部屋から物凄い音がして小型カメラから見てみたら床に倒れたまま動かなくなっちゃって…」

 

木綿季「…」

 

明日奈「木綿季!!」

 

木綿季「っ!!明日奈…ボク…」

 

明日奈「今はすぐに拓哉君の所に行ってあげなきゃ!!

状況が分からないんじゃ早くしないと…」

 

それ以上の事は口には出せない。

木綿季もそれを察知したのか靴箱から靴を取り出し、傘も差さずに昇降口を飛び出した。

 

明日奈「拓哉君の事は先生に言っておくから安心して!!」

 

木綿季「ありがとう明日奈!!」

 

スマホを介してストレアに拓哉の家の住所までのナビゲーションをまかせる。

まさか、こんな形で拓哉の家に初めて行く事になろうとは夢にも思わなかったが、今は拓哉の無事を祈りながらただ走るしかない。

雨のせいで視界が悪く、水溜りや車からの水飛沫が上がっているがそんなのを気にする余裕などはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年06月18日 08時30分 茅場邸

 

木綿季「ハァ…ハァ…ここが…拓哉の家…?」

 

ここまでほぼ走りっぱなしの木綿季が肩で息をしながら拓哉の家である茅場邸を眺める。

どこにでもあるような普通の一軒家。

塀から倉庫が見えるが中は物置として使われているらしい。

ストレアに頼んで家のオートロックを開けてもらい、中に入る。

 

ストレア「タクヤの部屋は2階の一番奥の部屋だよ!!」

 

木綿季「拓哉…!!」

 

階段を駆け足で登り、一番奥の部屋の前にたどり着く。

そっと部屋を開けるとやはり、ストレアの言った通り床に拓哉がぐったりと倒れていた。

 

木綿季「拓哉!!拓哉!!しっかりして!!拓哉!!」

 

拓哉「…う…」

 

どうやら命には別状はないようだが、木綿季は拓哉の顔を見て自分の額を拓哉の額にくっつける。

 

木綿季「…すごい熱だよ。風邪…かな…。

とりあえず早くベッドに寝かせなきゃ!!」

 

すると、拓哉が木綿季の腕を弱々しく握った。

 

拓哉「…木綿季…お前…ずぶ濡れじゃねぇか…ゴホッゴホッ。

早く風呂…入って…温まって…来いよ…ゴホッゴホッ」

 

木綿季「ボクより拓哉の方がひどいじゃないか!

なんでボクに電話しなかったの!?」

 

拓哉「風邪気味なのは…知ってたけど…まさか、ここまで酷くなるなんて…思ってなかったしゴホッ…。それに…木綿季に移したく…なかったから…ゴホッゴホッ」

 

木綿季「だからって…」

 

自然と涙が滲んでくる。

倒れる程辛いハズなのに自分よりも木綿季の身を案じている拓哉に木綿季はただ涙を零した。

 

拓哉「なんで…泣いてんだよ…?」

 

木綿季「うるさいっ!!拓哉のバカ!!バカ!!バカ!!心配したんだから…!!」

 

拓哉「…悪かったよ…ゴホッ」

 

木綿季「うん…」

 

袖で涙を拭い拓哉をベッドの上に寝かしつける。

木綿季も体中濡れてしまっている為、拓哉の汗を拭くタオルがある脱衣所にストレアから案内してもらい、その場で制服を脱いだ。

濡れた制服を洗濯機に入れるように拓哉から言われたのでその通りにすると、木綿季は大事な事を忘れていた。

 

木綿季「…替えの服がない…」

 

ストレア「だったら、制服が乾くまで拓哉の服着てたらいいよ。

確か、拓哉の部屋にあるハズだよ」

 

木綿季「そ、そこまでもしかして裸で行けって言うの?」

 

ストレア「別にいいんじゃん。木綿季達は夫婦なんだし、裸の1つや2つ…」

 

木綿季「そ、そそ、そんな訳…!!」

 

ストレア「ない訳じゃないんでしょ?今更な気もするし、拓哉もあのままじゃ更に風邪が悪化しちゃうから早くしないと!!」

 

ストレアの意見は至極正しいものだった。

今、羞恥心を気遣って拓哉の容態が悪化するのは頂けない。

数秒考えた後、バスタオルを巻いて素早い動きで拓哉の部屋に戻った。

部屋の扉を開けるとタイミング良く拓哉が寝ていたので胸を下ろす。

また脱衣所に戻り、今度こそお風呂へと入り、体を温めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年06月18日 09時10分 茅場邸 拓哉の部屋

 

下着類は流石にある訳もなく、ぶかぶかのパーカーを着て部屋へと戻ってきた。

 

拓哉「ん…木綿季…」

 

木綿季「ボクはここにいるよ?…きついだろうけど体起こせる?」

 

木綿季の支えを借りて拓哉は重くなった上半身を起こすと木綿季はおもむろに服を脱がせた。

 

拓哉「ゆ、木綿季…?」

 

木綿季「体の汗拭くから背中向けて!…ボクだって恥ずかしいから」

 

拓哉「あ、あぁ…頼む…」

 

言われるがままに背中を向けて、木綿季が拓哉の体から汗を拭い取る。

 

木綿季「…」

 

その背中には無数の擦り傷と跡が残ってしまっている斬り傷があった。

その傷はかつてまだ、拓哉が木綿季と出会う前に付けた傷なのだろうと木綿季は思った。

それはあまりに痛々しくてあまりに哀しい背中であった。

両親を赤の他人に殺され、兄は家に帰って来ず、身内には敬遠され、拓哉は2年という時を奪われた。

 

拓哉「…無理しなくていいからな…ゴホッ」

 

木綿季「ううん…大丈夫…」

 

この背中に刻まれた哀しい記憶をどうにかしてあげたい。

これからこの背中には哀しみを背負って欲しくない。

 

木綿季「…拓哉…ボクが幸せにするからね…?」

 

拓哉「…それ、男のセリフじゃね?」

 

木綿季「女の子だって言いたい時があるの!…はいおしまい!」

 

汗を拭い終わり、拓哉に新しい服を渡した。

部屋に来る時に一緒に持ってきた風邪薬と水を渡して飲むように促す。

本来ならばすぐにでも病院へ連れていきたいのだが、外は雨が激しくなり風も吹いている為、病人を連れて出歩けない。

市販の薬でも2,3日すればだいぶ楽になるだろうから病院はその後でも大丈夫なハズだ。

 

拓哉「助かったよ木綿季…ゴホッ。

オレは大丈夫だから制服乾いたら学校に戻っていいからな?」

 

木綿季「ダメだよ!!直人もいないし今日は1日拓哉の看病するから!!」

 

拓哉「でも…」

 

木綿季「ちゃんと学校と森先生には電話してあるから大丈夫!!」

 

これ以上言っても無理だと結論付けた拓哉は静かにベッドに横になる。

 

木綿季「そうだ!拓哉、お腹空いてるでしょ?ボクが何か作ってあげるよ!!」

 

拓哉「そう言えば…何も食べてないんだった…ゴホッ」

 

木綿季「食欲ある?」

 

拓哉「ないと言えば嘘になる…」

 

木綿季「分かった!!風邪でも食べられるような物作るからそれまでゆっくり寝てて!!」

 

そう言い残して木綿季は拓哉の部屋を後にした。

 

拓哉「…ハァ…」

 

薬が効いてきたのか拓哉はたちまち深い眠りへとついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木綿季「うーん…やっぱり、風邪引いた時はおかゆだよねー…」

 

木綿季は1階のキッチンでストレアと共に頭を捻らせていた。

 

ストレア「おかゆってな〜に?」

 

木綿季「米をふやかして水分をたっぷり含んだご飯の事だよ。

地方毎に味が違うらしいけどやっぱりさっぱりした方の物がいいかな?」

 

ストレア「検索にかけたらこんなにあったよ〜。どれも美味しそうだね〜」

 

おかゆの作り方は簡単だが、それだけに味のバリエーションは様々だ。

病人がよく食べるの梅などが入った胃に優しいおかゆで冷蔵庫を開くとある程度の調味料もあるし、お米も充分。

梅干しがあったので梅のおかゆを作る事にした木綿季は早速鍋を取り出し、水を入れてIHにかける。

 

木綿季「IHって本当に火が出ないんだね?」

 

ストレア「ユウキはIH使った事ないの?」

 

木綿季「ボク達の所はコンロだったからね。まぁ何とかなるよ!」

 

IHのスイッチを入れ、水と米を入れた鍋をかける。

鼻歌交じりに料理を進めていくとストレアから言われた。

 

ストレア「なんだかこうして見てると本当に夫婦みたいだね」

 

木綿季「そ、そうかな?…でも、いつかはそうなりたいな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年06月18日 11時00分 茅場邸 拓哉の部屋

 

完成した梅入りのおかゆと生姜湯を持って拓哉の部屋に戻ってきたが、拓哉はまだ布団の中で眠りについていた。

 

木綿季「起こすのもあれだし、少し待っていようかな…」

 

机の上におかゆと生姜湯を乗せたお盆を置いて、改めて拓哉の部屋を見渡した。

最低限の家具に、壁にかかっている制服、いつも拓哉が使用している机、元々備え付けられていた本棚にはギッシリと本が並べられていた。

本棚の前に立つと、そこに並べられていたのはどれも難しいものばかりで主にプログラム関連のものが多い。

だが、本棚の隅の一角にだけ背表紙にタイトルがないものが数冊並べられていた。

何の本なのか興味を抱き、タイトルのない本を取る。

 

木綿季「なんだろ?…これ」

 

中を開くとそこには小さい子供の写真がずらりと貼られていた。

 

木綿季「アルバム…?」

 

だとすれば、この写真の子供は小さい頃の拓哉という事になる。

よく見てみればどことなく拓哉に似ている。

写真の中の拓哉はどれも笑顔で心の底から幸せそうにしている。

砂場で遊んでいる拓哉、海に行った時の拓哉、小学校の入学式でピカピカのランドセルを背負っている拓哉。

どれも木綿季が見た事のない拓哉の小さい時の思い出。

1枚ページを捲るとそこには拓哉以外に2人の子供と2人の大人の姿が写されていた。

 

木綿季「これ…」

 

おそらく一緒に写っている子供は直人と茅場晶彦、となるとこの夫婦は拓哉達の両親という事になる。

どちらも表情が柔らかく、優しそうな人達だ。

ページを捲る度に家族で撮り溜めた写真が貼られいる。

中学生もいよいよ終わりに近づいた所で写真は終わっていた。

 

木綿季「この後…から…」

 

こんなにも笑顔で溢れていた家族は突如として一気に変わってしまった。

アルバムを見ているとふと背後に視線を感じた。

 

木綿季「…拓哉」

 

拓哉「なんだ…それ見てたのか…ゴホッゴホッ」

 

木綿季「…ごめん」

 

拓哉「別に気にしねぇよ。見られてまずいものじゃないし、オレにとってはそれが家族との唯一の思い出だから…」

 

木綿季「…」

 

アルバムを元の場所に戻し、ベッドの端に腰をかける。

 

木綿季「ねぇ…拓哉」

 

拓哉「ん…っ!!?」

 

返事をする前に拓哉は木綿季に強く抱きしめられた。

それはとても心地よく、熱がある為か、頭が上手く働かない。

それでも木綿季が拓哉に愛情を注いでいる事は充分理解出来る光景だった。

 

木綿季「ずっと傍にいるよ…。どんな事があってもボクは傍にいるから…。絶対に居なくなったりしないから…」

 

拓哉「木綿季…」

 

ふと視界が霞むのに気付いた拓哉は指で擦ると涙がポロポロと零れていた。

何故、涙が出ているのか分からない。悲しい訳でもない。

でも、涙はとめどなく流れ続ける。

自分で止める事が出来ないそれを木綿季が指で拭った。

 

木綿季「…泣いたっていいんだよ?」

 

拓哉「…あ…あ…」

 

その言葉を聞いて、拓哉はとうとう泣き崩れた。

風邪のせいで心まで弱くなっている拓哉にはもうどうする事も出来ない。

木綿季はただそれを優しく受け止めていた。

いつまでも優しく拓哉を包み込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拓哉「…いろいろ…ありがとう…木綿季」

 

木綿季「ううん。ボクは拓哉の彼女だからね!当然だよ!!」

 

拓哉「…そうだな」

 

瞬間、拓哉のお腹から空腹を知らせる警告音が鳴り響いた。

 

拓哉「そう言えば何も食べてないってさっき言ってたんだった…」

 

木綿季「…ボクもおかゆ作ってたのすっかり忘れてたよ」

 

互いに顔を見合わせ笑う。拓哉は木綿季からおかゆと生姜湯を渡され、蓮華で掬い1口頬張った。

 

木綿季「どう?美味しい?」

 

拓哉「…上手いよ!元気が出てくる!」

 

口の中で熱々のおかゆが梅のさっぱりとした塩っ辛さと合い、ほどよい味わいを奏でている。生姜湯も体を内から暖めてくれて風邪にピッタリの食事療法だ。

全て平らげ、手を合わせて挨拶を済ませる。

 

拓哉「ありがとな木綿季。おかげで元気が出たよ」

 

木綿季「どういたしまして!でも、無理しちゃダメだからね?

今日は1日安静にしてなきゃ!」

 

拓哉「分かってるって」

 

拓哉は布団の中に戻り、瞼を閉じる。

だが、眠りにつこうとするが中々睡魔が襲ってこない。

 

拓哉「あれだけ寝てりゃ睡魔なんて来ねぇか…」

 

熱もそれ程高くない事に気づき、上半身を起こして軽く欠伸をする。

木綿季は食器を片付ける為に下の階にいるので部屋には拓哉しかいない。

まだ時刻も正午を少し過ぎたぐらいで1日の終わりはまだまだ先だ。

 

 

拓哉「…風邪の時ってこんなに暇なのか…」

 

生まれてこの方、拓哉は1度だって風邪は愚か病気と言われるものに患った事がなかった。

初めての病人ライフの感想として一言…暇だ…としか言いようがない。

そんなくだらない事を考えていると、部屋に木綿季が戻ってきた。

 

木綿季「あー!!もう!!病人なんだから寝てなきゃダメだよ!!」

 

拓哉「熱も落ち着いたし、眠たくないから暇でよ…」

 

ストレア「じゃあ、ALO(コッチ)に来て3人でクエストでもやろ〜よ〜!!」

 

木綿季「ダメだってば!!また熱がぶり返しちゃうかもしれないでしょ!!」

 

拓哉「ちょっとくらいなら平気…」

 

木綿季「ダメったらダメっ!!!!」

 

拓哉&ストレア「…はいすみません…」

 

結局、拓哉は木綿季に看病されながらもベッドで横になった。

木綿季はこまめにタオルを濡らして拓哉の額に乗せ、それ以外は小説を読んだり、拓哉との談笑に時間を割いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年06月18日 16時30分 茅場邸

 

雨は上がり、美しい夕陽が照らし出し、外の往来は買い物に行く主婦や学生達で賑わいを見せていた。

 

直人「ただいまー」

 

学校から帰ってきた直人はリビングに向かい、冷蔵庫にある牛乳に手をかける。

グラスに一杯注ぎ口の中へと流し込んで行く。

飲み終えたグラスをシンクに置くと、直人はある事に気付いた。

 

直人「土鍋?」

 

普段滅多に使わないハズの土鍋が乾燥機の横に立てかけられていたのを発見した。

 

直人「そう言えば靴も1足多かったような…。誰か来てるのか?」

 

気にし始めると途端に真実を知りたくなり、直人はおもむろに拓哉の部屋を目指した。

 

直人「兄さん、帰ってるの?」

 

扉を数回ノックして呼びかけるが、中からの返事はない。

 

直人「…開けるよ?」

 

扉を開けるとそこにはベッドで寝ていた拓哉と木綿季の姿があった。

何か見てはいけないものを見てしまった感覚にとらわれ、条件反射で扉を閉めてしまった。

 

直人「ハァ…ハァ…、は?…え?」

 

とりあえず、今度はゆっくりと扉を片目で見える程度に開け、こっそりと中を伺おうとした瞬間、玄関からインターフォンが鳴り響いた。

慌てて玄関に向かい、扉を開けた。

 

和人「よっ、直人」

 

明日奈「こんにちは直人君」

 

里香「お見舞いに来てあげたわよー!」

 

珪子「これ、お見舞いの品です」

 

施恩「拓哉さんの具合はどうですか?」

 

直人「み、みなさん…?どうして…ってお見舞いって?」

 

何故、和人達がここにいるのかも、家の場所を知っているのかも直人には分からなかった。

中には外見からして拓哉の担任の教師であろう女性の方も混じっている。

 

和人「なんだ?聞いてなかったのか?」

 

直人「ついさっき帰ってきたばかりだったので…」

 

明日奈「今日の朝に拓哉君が倒れたってストレアさんからメッセージ貰って木綿季が先に来てると思うんだけど…」

 

すると、ガタッと拓哉達のいる2階から物音が聞こえてきた。

 

直人「!!?」

 

里香「2階にいるのね?」

 

直人「あ…あー!!そうなんですよ!!

でも、さっき見たら兄さんは寝てたからリビングで待っててください!!

お茶をお出しするんで!!ささっ、どうぞ!!」

 

今の拓哉達を和人達に見せるのはさすがに頂けない。

何かあったらどちらも気まずくなるだけだし、トラブルの芽は早めに摘んでおいた方がいい。

 

明日奈「え?そんなの悪いよ」

 

珪子「私達も1目顔を見たらすぐにお暇するつもりなので…」

 

直人「昨日バイト先の店長からお土産のクッキー貰ってるんでもしよかったら召し上がりませんか?

地元でも評判になってるぐらい美味しいらしいですよ!!」

 

和人「へぇ…ちょうど腹が減ってたんだ」

 

直人「じゃあこちらに…!!」

 

和人達がリビングにいる間に拓哉達をどうにかして起こさなくてはこちらにも火の粉が降り注ぐ羽目になりかねない。

リビングに向かわせ、人数分のコーヒーを用意してすぐ様2階の拓哉の部屋の前にたどり着く。

 

直人「兄さん!!起きて!!和人さん達が来てるぞ!!」

 

扉を強く叩きながら必死になって拓哉を起こす。

なんで自分がこんな事しなきゃいけないんだって思いながらも中にいる拓哉を呼びかけ続けた。

 

拓哉「…ん〜…うるせぇ…」

 

扉から出されている音に起きた拓哉は寝ぼけながら扉の前まで向かった。

 

拓哉「なんだようるせぇな…」

 

直人「和人さん達が来てるって言ってるだろ!!

てか、そんな格好でみなさんの前に立ったりするなよ!!」

 

言いたい事だけ伝えて勢いよく扉が閉められた。

呆気に取られながらもふと自分の格好を見た。

 

拓哉「…なんでオレ…上半身裸なんだ?」

 

下は履いているものの上半身は裸のままでベッドの傍らで上着が投げ捨てられていた。

木綿季は未だに布団にくるまって気持ちよさそうに寝ているが、寝る前まで木綿季が着ていたハズの拓哉のパーカーも一緒に投げ捨てられていた。

 

拓哉「…」

 

木綿季「Zzz…」

 

拓哉「…マジか」

 

今の状況から察すると自然と答えが導き出された。

嫌な汗が吹き出し、途端に強烈な羞恥心に襲われた。

 

拓哉「あぁぁぁぁっ!!?起きろ木綿季!!!起きろってば!!!」

 

木綿季「ん〜…ふにゃ…」

 

拓哉「呑気に寝てる場合じゃねぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

 

 

 

その後、拓哉は間一髪の所で木綿季を起こし、急いで着替えた為、和人達にバレる事はなかった。

だが、和人達が帰った後、直人は拓哉と木綿季に2時間の説教をプレゼントしましたとさ

 

 

 




いかがだったでしょうか?
書きながらもほのぼの系で進めてたんですが、途中から思わぬ方向に行っちゃった気がします。
駄文にお付き合い頂き誠に恐縮です。



では、また次回!
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