ソードアート・オンライン-君と共に在るために- 作:ちぇりぶろ(休載中)
今回はついにアレが出てきます!
ではどうぞ!
「…や」
「ん…」
「…く…や…」
「ん…あと5分…」
「
拓哉「んあ…?」
おぼろげに見た天井はどこか懐かしく感じさせるものだった。
「早く下に降りてこい。母さんに怒鳴りつけられるぞ」
拓哉「…わかった」
オレは寝ぼけた頭を起きし、1階のリビングに向かった。
「やっと起きたわね!早くしないと遅刻するわよ!」
拓哉「わかってるよ…」
席に座ると目の前にはトーストとスクランブルエッグが並べられ、オレはそれを手に取り、食べ始める。
ピンポーン
「ほら!あんたがグズグズしてるから来ちゃったわよ!…はーい!」
「おはようございます!拓哉起きてますかぁー?」
「ごめんねぇ、あの子ついさっき起きたのよ。上がって待っててくれる?」
「いいですよ!お邪魔しまーす」
誰かが家に上がってきたようだ。寝ぼけた頭では何も考えられない。むしろ、考えたくない。
「拓哉ーおはよー!相変わらず寝坊助なんだね!」
入ってきたのは1人の少女だった。俺の通う学校の制服だが、
拓哉「るっせーな…朝は苦手なんだよ」
「そんな事を言って〜また夜更かししてたんでしょ〜?バレバレだよ」
「おはよう…
木綿季「あっ!お兄さん、おはようございます!」
木綿季と名乗られた少々は丁寧に挨拶を済ませ、俺の前の席に腰を下ろした。
木綿季「ほらぁ拓哉!早くしないと遅刻するってばぁ!」
拓哉「わかったわかった!着替えてくるから待ってろ…」
そう言ってリビングを後にし、自室で制服に袖を通す。
ようやく頭が回ってきた。オレは寝癖を直しながら、今日の時間割を見て教科書やノートを鞄の中に入れていく。
拓哉「今日は第8層のフリーベンでクエストを消化して余った時間は素材…集め…を…」
何かが変だ。
拓哉「あれ?オレは確か…」
ここは見慣れたオレの部屋…だが、どこか懐かしく感じるのは何故だ…。
何がどうなっている?フリーベン…?クエスト…?素材…?
木綿季「ねぇ!まだぁー?」
拓哉「!!!!」
思い出した…。オレは今…
バタン
木綿季「もう!本当に遅刻しちゃうってば!!」
拓哉「木綿季…ユウキ!!?」
木綿季「…どうしたの?」
拓哉「お前!こんな所で何やってんだ!早く戻られねぇと!!」
とにかく今の現状が知りたい…。これは夢…か。こんな夢さっさと覚めろ!
木綿季「戻るってどこに戻るの?」
拓哉「アインクラッドだよ!だぁーくそっ!
夢なのになんでこんなリアルなんだ!!」
木綿季「夢じゃないよ」
拓哉「は?」
木綿季「ボク達、アインクラッドを100層まで攻略して戻ってきたじゃないかぁ…忘れちゃったの?」
拓哉「な…何言ってんだよ…まだ8層しか…」
木綿季「あぁ、懐かしいねぇ…あのフィールドは今でも覚えてるよ」
拓哉「…っ!!?」
何がどうなっている。クリアした?アインクラッドを?いつ?
だが、これが夢だって事は
拓哉「お前が目を覚ませっ!!ここが本当に現実なら…
オレの母さんがいるわけないんだ!!!!」
突如、世界は暗転しオレは1人、闇の中に閉じ込めれた。
タクヤ「!!…いつもの装備だ!!…でもここは…!!」
『あなたがわるいの』
タクヤ「!!」
『おまえがわるいんだ』
闇の中から声が聞こえる。辺りにはそれらしい人や物はない。
完全なる闇の世界だ。
『おまえがもっとはやくきていれば』
タクヤ「誰だっ!!姿を現しやがれ!!」
オレは背中から剣を抜き、辺りを警戒する。
『あなたがそのけんであいつをきっていれば』
『『私/俺達は死なずに済んだのに…』』
足元には母さんと父さんの形をしたバケモノがオレの足に絡みついてくる。徐々に体を這ってくるそいつらを払おうとするが、力が強すぎてビクともしない。
タクヤ「くそっ!!こんな奴ら…!!」
『おれたちをきるのか?』
タクヤ「!!?」
『こんどはあなたがわたしたちをころすの?』
タクヤ「ち、ちが…」
絡みついてくる力が強くなって行き、剣を落としてしまった。
『ゆるさない』
タクヤ「く…そ…!」
目の前が霞んできた。いよいよ本気でやばくなってきた。
そして、オレの記憶はそこで途絶えた。
「…ヤ…」
「う…うぅ…」
「…クヤ…」
「や…めろ…はな…せ…」
「しっかりしてタクヤ!!!!」
タクヤ「…っ!!?」
目が覚めるとユウキが心配そうにオレの顔を覗いていた。
ユウキ「大丈夫?すごいうなされてたけど…怖い夢でも見たの?」
タクヤ「ハァ…ハァ…ユウキ…ここは…」
ユウキ「8層の主街区のフリーベンの宿屋だよ!」
タクヤ「そう…か…そうか…良かった…」
あの悪夢からは開放されたようだな。1日のスタートがこんなんじゃ幸先悪ぃな。
ユウキ「タクヤ…本当に大丈夫?今日はゆっくり休んでた方がいいんじゃ…」
タクヤ「いや…大丈夫だ…ちょっと悪ぃ夢見ちまっただけだから…。
心配かけて悪かったな、ユウキ…。」
そう…あれは夢だ。母さんと父さんはもう…この世には…いねぇ…
ユウキ「それならいいんだけど…朝ごはんできてるから食べよ!」
タクヤ「あ、あぁ…」
オレはベットが出て席につき、ユウキが作ってくれた朝食に箸をつける。
ユウキは失敗したその日から料理スキルをとり、毎日毎日練習を重ねていた。今では簡単な料理なら食べられる程、熟練度を上げていた。
タクヤ(「…にしても、なんであんな夢…見ちまったんだ…」)
ユウキ「タクヤぁ、今日はどうする?」
タクヤ「え?どうするって?」
ユウキ「ボク達、レベルも20代に乗ったし、そろそろ新しい武器とか装備を持たないとこの先苦戦すると思うんだ」
確かに、レベルが20代に乗ってからというもの、なかなかレベルが上がらなくなっている。
タクヤLv.23
ユウキLv.21
タクヤ「確かにそうだな…。武器の性能がステータスに追いついきれてないしな…」
これまで自身のレベルアップに時間をかけて来たが、武器もそろそろ替え時かも知れない。合ってない武器を使うほど怖いものはないからな。
タクヤ「それで?なにかあてがあるのか?」
ユウキ「前にキリトから教えてもらったんだけど、この層の外れにある沼地の洞窟に片手用直剣が手に入るクエストがあるんだって!
性能的にも11層ぐらいまでなら使えるんだ!!」
タクヤ「じゃあ、今日はそのクエストをやるか…」
2023年1月14日 10:25 第8層 密林フィールド
オレはユウキの案内で片手用直剣が入手できるクエストがある洞穴へとやって来た。第8層は地面が存在せず、巨木が無数に立ち並んだ密林フィールドが主だ。
その為、木々の間には吊り橋が無数に存在し、経路を作っている。
その外れの洞穴にクエストがあるとは思わなかった。
タクヤ「その洞穴にクエストがあるなんて聞いた事ないんだけど…」
ユウキ「発生条件があって、片手用直剣使いが2人の時のみに出るってキリトが言ってたよ」
タクヤ「そりゃあ…えらく限定的な条件だな…」
ユウキ「βテストの時もやる人はほとんどいなかってさ」
特殊な条件って事はそれなりに難易度が高いって事かもな。
オレは1層からずっと
キリトにもそろそろ替え時だぞとまで言われたがオレは何故か
手放さずに今に至る。
だが、これからの戦いにおいて強い武器は必須だ。
名残り惜しいがここで新しい剣を手に入れよう。
ユウキ「ついたよ!」
長い事歩いてようやく目的地に到着した。中はかなり広そうだ。
タクヤ「!…あそこで座ってるじいさんがそうなのか?」
ユウキ「きっとそうだよ!早く行こっ!」
オレ達は洞穴の手前で腰掛けているNPCに声をかける。
ユウキ「おじいさん…なにかお困りですか?」
すると、頭の上にクエストマークが出現した。
『おぉ…旅の剣士様よ…どうか…わしの願いを聞いてくだされ…』
じいさんの話によれば、この洞穴の最奥部に"マザーの樹液”という万病に聞く樹液があるそうだ。それを持って帰って来れば、剣が報酬として貰える。
『ただし、気を付けてお行きになって下さい…。
中にはちと変わった化け物が住んでいる…。
化け物の攻撃を食らってしまうと、体が動かなくなり、幻影を見せると言われておるのじゃ…』
タクヤ「んー…麻痺攻撃か。消痺結晶持って行って置いた方がいいな」
ユウキ「そうだね!じゃあ、おじいさん!行ってくるよ!」
オレ達はじいさんと別れ、洞穴へと入って行った。
ユウキ「やぁぁぁぁっ!!!!」
グギャァァァッ パァァァン
洞穴の中は植物型から昆虫型…森の中で見るようなヤツらばかりが生息していた。
タクヤ「それにしても…数が多いな…!!」
キシャァァァァ パァァァン
ユウキ「んもうっ!!さっきから右を見ても左を見ても虫!虫!!虫ばっかり!!!!もうやだ!!帰りたーい!!」
それほど嫌いなのだろう…さっきから昆虫型をオレにタゲを取らせるようにしているユウキ…。オレだって別に好きじゃねぇよ。
タクヤ「とりあえず、マップによればこの先に安全エリアがある。
そこまで頑張れ!!」
ユウキ「うわぁぁぁぁぁん!!来ないでぇぇ!!!!」
ユウキは泣きじゃくりながらモンスターを次々ポリゴンに変えていってる。もう、スピードに関しちゃオレより早いんじゃないだろうか。
タクヤ「おい、ユウキ!あんまり急ぐと危ないぞ!」
オレもユウキを追いかけて安全エリアに向かった。
2023年1月14日 11:35 第8層 洞穴ダンジョン 安全エリア
ユウキ「…もう二度とここに来ない…」
タクヤ「片手用直剣手に入れるまでの我慢じゃねぇか…」
オレ達は安全エリアで難を逃れていた。
グゥゥ…
タクヤ「…」
ユウキ「…少し早いけどご飯にしよっか?」
タクヤ「お前の体、正直だな…」
ユウキは少し頬を染めながら慣れた手つきでストレージからバスケットを取り出した。
ユウキ「今日は簡単なサンドイッチを作ったよ!色々作ったから食べて!」
タクヤ「おう…じゃあ、頂きます…」
ユウキ「…」
タクヤ「モグモグ…」
ユウキ「…」
タクヤ「モグモグ…」
ユウキ「……どう?」
タクヤ「ん?…うまいよ」
ユウキ「…はぁぁ、よかった〜…、てかタクヤ!何か言ってくれてもイイじゃん!」
タクヤ「え?いや、いつも食べてる味だし…
なんか特別な事でもしたのか?」
ユウキ「…タクヤに聞いたボクがバカだったよ…」
オレは意味がわからず、ユウキは何故か呆れ顔していた。
何故か無性にイラッとした。
昼飯も食べ終わり、再度ダンジョンを攻略しに行った。
程なくして道が消え、広い空間に出た。
タクヤ「ユウキ…気ぃ引き締めろよ…」
ユウキ「わかってる!タクヤもね!」
互いに背中合わせになり、全方向からの攻撃からも対処できるように構えながらゆっくり進む。
タクヤ(「オレの索敵スキルにはバンバン引っかかんてんのに…
何でこいつら襲って来ねぇんだ?」)
俺の目の前には最低でも10体はいる。
おそらく、ユウキの方にも同じぐらいいるだろうな。
ユウキ「タクヤ…」
タクヤ「わかってる…これじゃ迂闊にうごけねぇなぁ…」
リーン… リーン… リーン…
タクヤ「…なんだ?この音…」
ユウキ「音?…そんなの聞こえないけど…」
リーン… リーン… リーン…
タクヤ「いや、確かに聞こえる。鈴の音が…!!」
グルルルルル…
ユウキ「!!…タクヤ!!敵が来るよ!!」
タクヤ「……」
ユウキ「?タクヤ!どうしたの!?」
目の前が暗くなっていく…。何も見えない…。
何も聞こえない…。ここはどこだ…。ユウキ…?どこに行った…?
ユウキ「タクヤ!!ねぇ!!どうしたの!!?しっかりして!!」
2023年1月14日 13:12 第8層 洞穴ダンジョン
sideユウキ_
それはあまりに突然の事だった。ボクには何が起きたのか分からない。
さっきまでは普通に話してたのに、いきなり…なんで…
ユウキ「タクヤ!!しっかりして!!タクヤっ!!」
タクヤは何も答えてくれない…。HPはまだグリーンのままだ。
おそらく死にはしないけど、このままじゃ…いずれ…
ユウキ「とりあえず…ここから安全エリアまで逃げないと…!!
モンスターを刺激しないようにそーっと…」
グルルアァァァァ
ユウキ「!!?」
なんでこういう時に…!!タクヤを担いで安全エリアまで逃げようとした矢先、モンスター達はアクティブになりボク達に襲いかかってきた。
いくら最前線と言ってもまだ8層…ボクらのレベルで抜けられない事はない。
ユウキ「けど…!!何でこんなに…!!」
タクヤ「ぁ…ぁ…」
ボクは目の前のモンスターを次々斬り裂いていく。だが、また別のモンスターがポップして全然道が開かない。
グルルアァァァァ
ユウキ「きゃっ!!?」
ボクは背後からモンスターの攻撃を受け、その拍子にタクヤの手を離してしまった。受け身も取らず、そのままタクヤは倒れた。
すると、それを見たモンスターがタクヤに集まっていた。
ユウキ「なっ!!?タクヤぁぁ!!!!」
それでもタクヤは一向に動かない…。
そして…
グルルアァァァァ
タクヤは無防備な状態で攻撃を食らい、ダメージを受けた。
だが、それでもタクヤは動かない…。
なされるがままタクヤはダメージを受け続ける。
ユウキ「タクヤっ!!…やめろぉぉぉぉぉっ!!!!」
この時、不思議と体が軽く感じた。行き良いよくタクヤの前まで詰めた。
モンスターは驚き、後退する。でも、逃がさない…。
ユウキ「君たちはやっちゃいけない事をしたんだ…!!
だから…絶対に許さない!!!!」
それは一瞬だ。ボクは最高速の剣技を叩き込む。
片手用直剣スキル"シャープネイル”
囲んでたモンスターはポリゴンと化し道を作る。
ユウキ(「今の内にタクヤを…!!」)
ボクはタクヤを担いで安全エリアへと逃げる事ができた。
タクヤ「う…ぁ…」
ユウキ「タクヤ…どうしちゃったの…?」
ボクはタクヤを担いで安全エリアまで戻ってきたが、タクヤの容態が良くなる事はなかった。
だとすれば、何が原因でこんなことになっているんだろう。
ユウキ「う〜ん…どうすれば…。あっ!」
_『"マザーの樹液”さえあればどんな症状の病気でもたちまちよくなり元気になる幻の樹液じゃ!…ただ、その万能すぎるが故なのか…マザーの樹木には強力な催眠作用があってのぉ…近づく者や怪物なども夢へと誘ってしまうのじゃ…』
ユウキ「とかなんとか言ってた気がする!それをタクヤに飲ませたら良くなるかもっ!もしかしてこれってイベント?」
ピッ
すると、何かどこかで音が聞こえた。
ピッ
まただ。鮮明に聞こえるからすぐ近くなんだと思うけど…。
ピッ
ユウキ「!!…これ…
カウント…ダウン…?」
そのカウントダウンによると後30分残っているようだ。
ピローン
ユウキ「クエストが更新されてる…!!」
【カウント内まで最奥のマザーの樹液を飲ませなければ樹木の虜になってしまったプレイヤーのHPがすべて消えてしまう。】
ユウキ「…え…」
プレイヤーの…HPが…消える…?
ユウキ「そ…そんな事しちゃったら…タクヤは…死んじゃ…」
だめだ…その先は言っちゃ…だめだ。
まだそうなるって決まった訳じゃない。
あのタクヤが…そんなの考えられない。
「いくぞユウキ!」
ユウキ「!!」
タクヤが呼んでくれた気がした。でも、タクヤはまだうなされたままだ。
ボクの視界が霞んでくる。手の甲に1粒…2粒と涙が落ちてくる。
ユウキ「やだよ…」
「なにやってんだ?ユウキ」
ユウキ「やだよ…」
「オレがお前を支えてやる…」
ユウキ「そんなの…やだよ…!!」
「お前とならやれる…!!行くぞ!!ユウキ!!」
タクヤにはいつも守ってもらっていた。
ボクも力を付けて隣に立ってる気になってた。
タクヤはボクよりも前へ…前へ…進んでいく。
でも、タクヤは時々後ろを振り返ってくれる。
ボクが遅かったら待っていてくれる。一緒に歩いてくれる。
ボクこんなに大事だって…守りたい…って思ったの…
もしかしたら初めてかもしれない。
だから、今度こそ…ボクが
タクヤを…救ってみせるっ!!!!
2023年1月14日 14:57 ???
sideタクヤ_
タクヤ(「何も見えない…何も聞こえない…何も感じない…オレは…」)
『…剣士タクヤ…』
タクヤ(「誰だ…?この心が休まるような声は…」)
『あなたは今私と1つになっているのです…』
タクヤ(「何が…言いたいんだ…?オレをここから…」)
『出せ…と言うのでしょう?ですが、戻った世界に一体…何があると言うのですか?』
タクヤ(「何言って…」)
『あの終わらない悪夢に再び戻ってあなたは何がしたいのです?
ここはあなたを休ませてあげられる唯一の場所…それが私です…』
タクヤ(「休ませる…?そういえば…すげぇ。疲れたな…体も…心も…」)
『拓哉…』
タクヤ「!!」
『拓哉…』
タクヤ「父さん…母さん…」
『あなたが望めば全てを与えてあげるわ…』
タクヤ「オレは…」
「タクヤぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
タクヤ「!!?」
「待っててね!すぐに樹液持って帰るからっ!!」
タクヤ「この…声…!!」
「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ザァン パァァァン
『来てしまったようね…私の誘いを
ユウキ(「ボクはモンスターの大群を最奥にある"マザーの樹液”目掛けて薙ぎ払う。今は怖いものなんてない…あるとすれば、それは…」)
ユウキ「タクヤは絶対に死なせてやるもんかァァァっ!!!!」
キィィィン パァァァン パァンパァァァァン
タクヤ「ユウキっ!!!?」
『とうとう来てしまったのね…』
sideユウキ_
ユウキ「ここが…」
目の前には巨大な大樹がそびえ立っている。
その切れ目から黄金の蜜が滴っていた。
ユウキ「あれが"マザーの樹液”…!!あれを持って帰ればタクヤは…!!」
『そうはさせないわ』
ユウキ「!!」
マザーの樹木から黄金の光が放たれた。
光の中から白のヴェールに身を包んだ女性が現れた。
黄金の光を浴びながら、まるで女神のような佇まいでボクを見つめている。
『あなたに私の蜜は渡さないわ…これは言わば私の大事な子供達…。奪おうと言うなら私があなたを殺すまでよ!』
ユウキ「その樹液がなきゃタクヤが助からないんだ!!絶対に渡してもらうよ!!」
ボクは剣を構える。
すると、辺りからモンスターは消え、光の障壁がボクと敵を包んだ。
モンスターの名前は【ザ・マザーズシェキナー】
シェキナーが光の弓矢を手に取り、狙いをボクに絞る。
『消えなさい!!』
シェキナーから矢が放たれた。
光の矢は一直線に向かってくるが、これを避けてシェキナーとの距離を詰める。
ユウキ「やぁぁぁぁっ」
ボクは片手用直剣スキル"ソニックリープ”を発動。
それにより空いていた距離は一気に詰まり、シェキナーのどうに突き刺さる。
ユウキ「まだだよ!!」
すかさず、片手用直剣スキル"ホリゾンタル・アーク”を発動して追撃する。
シェキナー『くぅっ』
3本あるHPゲージは大きく下がった。
ユウキ「このレベル差なら一気に行けるっ!!」
シェキナー『…甘いわ』
ユウキ「え?」
一瞬のスキを突かれた。
シェキナーの体から放たれた光の障壁がボクを後方へ吹き飛ばした。シェキナーは息付く間もなく無数の矢を放つ。
これはボクのスピードで避けられるものだったが、このままではシェキナーに近づく事すら出来ない。
ユウキ(「あの障壁ってダメージ判定あるんだね…。1発もらっただけなのに3割近く削られた…。やっぱりネームドモンスターだけの事はあるね!!」)
シェキナーが攻撃の手を緩めると、その隙をついてもう一度距離を詰める。だが、シェキナーもバカではなかった。
シェキナーは頭上に無数の矢を放つ。
そして、それは流星群のように降り注いだ。
シェキナー『
ユウキ「くっ!!?」
ランダムに放たれた流星群がボクを襲う。避けられない事はないが数が多すぎる。このままじゃいずれ直撃を食らうだろう、
ユウキ(「!!…しまったっ!!?」)
ボクはここに来て最悪のミスを犯した。 ただ闇雲に避けてたと思いきや、シェキナーはボクの動きを誘導して隅に追いやっていた。
シェキナー『終わりね…』
ユウキ「うわぁぁぁぁっ!!!!」
流星群を避けきれなかったボクは直撃を受けた。
1発の強さよりも数で攻めてきていた矢はみるみるボクのHPを削っていく。
ユウキ「う…ぅ…」
攻撃が止むのを確認してからHPバーに目をやるとあと数ドットでレッドゾーンに入りそうだった。すぐさまポーションを飲み回復する。
ユウキ(「あ…危なかった…あと数発貰ってたらやばかったよ…」)
シェキナー『さぁ…これに懲りたらここから立ち去りなさい…。蜜もあの男もあなたには勿体ないわ…』
ユウキ「!!」
そうだ…。今ここで戦っているのは、武器が欲しいんじゃない…。
タクヤを救う為にボクは戦っているんだ。
諦めたりなんかしない。タクヤなら絶対にそう言うから…。
ユウキ「まだまだ!もういっちょ勝負だよ!!」
シェキナー『呆れたわ…なら、望み通り今楽にしてあげるわ!!
またしても先ほどの攻撃が放たれた。
無数に降り注ぐ攻撃の回避パターンがどれだけあるのか分からないけど、
そんな事関係ない…。
ユウキ「はぁぁぁぁぁっ」
ボクは剣で矢を叩き落とす。やはり、ダメージが少ないからまた思った事だが、普通の剣撃でも撃ち落とせるようだ。
ユウキ「そうとわかれば…!!」
剣撃で矢を落としながら徐々に距離を詰める。幸い、シェキナーの防御力は大した事ない。あと数発ソードスキルを叩き込めばクエストは終わる。
だが、そんな簡単な事ではなかった。
前にタクヤに注意しろって散々言われてたのに、またしてもやってしまった。
それは徐々に近づくとシェキナーから矢を放たれた。
ユウキ「うわぁぁぁぁっ!!」
シェキナー『どうやら、ここまでのようね…』
またしても、HPがレッドゾーンに入りかかっていた。
ユウキ(「…ホント…ボクって、学習しないなぁ…
これで何回目だよ…早くポーション飲まないと…」)
ポーションを飲みながらカウントを確認する。あと12分…。
このままじゃタクヤが…
ユウキ「ボクにもっと力があれば…あんなヤツ…やっつけられるのに…
もっと力が…!!タクヤを守ってあげられる力が…!!
ボクはまだタクヤに何もしてやってない…!!タクヤを守りたい…!!
ずっと近くで戦っていたい…!!
ずっと側にいたいんだっ!!!!」
ピローン
ユウキ「!!?」
何かのメッセージがボクの元に届いた。
【数値が一定以上に達しました。ユニークスキル"絶剣”を解放します。】
ユウキ「え?」
シェキナー『これであなたともお別れね…さようなら』
シェキナーは止めの一撃を放った。
今までよりも強くなった矢がボクに襲いかかってくる。
ユウキ(「あんなのどうやって…」)
キィィィン
ユウキ「!!?…剣が勝手に…」
ユウキの剣は紫がかったエフェクトを発している。
特にソードスキルを発動してないにもかかわらずだ。
ユウキ(「でも今は、これにかけるしかない!!お願い!!これであいつを倒して!!そして、タクヤを救って!!!!」)
キィィィン
ボクの声が聞こえたのだろうか…。
エフェクトはその強さを増し、辺りを包み込む。
シェキナー『!!あれは…いったい…!!』
ユウキ「いっけぇぇぇぇっ!!!!」
これが…タクヤを守る力の結晶…
絶剣スキル"マザーズ・ロザリオ”
そのスキルは超高速の突きを計11連叩き込むものだった。
その1発ごとが通常のソードスキルを遥かに凌ぐ威力を秘めていた。
シェキナーのHPをあっという間に全損させた。
シェキナー『ば、バカな…私が…負けた…!!?』
その最後の言葉を残し、シェキナーはポリゴンとなって空に消えていった。
ユウキ「…はぁぁぁぁ…勝てた…勝てたよ…。
はっ!それより樹液をっ!!」
ボクは息付く暇もなく大樹を上り、マザーの樹液をゲットした。
ユウキ「これでタクヤが…!!タクヤが…!!!!」
ボクは疲れを忘れてタクヤの元に戻った。
sideタクヤ_
タクヤ「ここは…」
どこか懐かしい匂い…オレはこれを知っている。
タクヤ「父さん…母さん…」
『こっちにきなさい…』
『心配かけてしまったな…さぁこっちに…』
オレは抵抗せず、手を伸ばす。だが、それを止める者がいた。
後ろを振り返ってみるとそこには今までいつも一緒だったパートナーがいた。
タクヤ「なんで…止めるんだ。行かせてくれ…」
「そっちには何も無いよ…」
タクヤ「お前に無くてもオレには確かに目の前にあるんだ!!だから…」
「ダメだよ…そっちには何も無いんだよ…」
タクヤ「…黙れよ…なんで…なんでオレがこんな目に遭わなくちゃいけねぇんだよ!!オレが何かしたのかよ!!どうしていつもオレの前から大切なものがなくなっちまうんだよ…オレはただみんなと一緒に生きて…」
「なら…ボクがいるじゃん…」
タクヤ「っ!!」
「ボクが君の側にずっといるよ?絶対になくなったりしない…。
ボクも君の側にいたいんだ…。例え、全てを失っちゃっても…
ボクだけは必ず君の側にいるから…」
タクヤ「…」
「だから…一緒に行こう…タクヤ!!」
タクヤ「ユウキ…。あぁ…一緒に行こう!!」
オレはユウキに手を引かれるまま歩き出した。
そっと後ろを振り向くと父さんと母さんが優しい顔でオレに手を振ってくれていた。それにオレも応えた。
タクヤ「バイバイ…父さん…母さん…」
「く…や…」
「ん…」
「タクヤ!!起きて!!」
タクヤ「んあっ!!?」
なんとも間抜けな声を出しながらオレは飛び起きた。
タクヤ「あれ…?ここは…?」
ユウキ「タクヤぁぁっ!!!!」
タクヤ「ちょっ!!な、なんだよユウキ!!?」
起きて早々にユウキから抱きしめられ、何が何だかわからなかった。
ユウキ「うぅ…よかったぁ…よかったよぉ…タクヤぁ…」
タクヤ「…そっか、オレ、クエスト中に倒れたんだったな…。
心配掛けたな…ユウキ」
ユウキ「ホントだよ!!いきなり倒れちゃうからびっくりしたもん!!」
タクヤ「悪かったよ…それより依頼の物は手に入ったのか?」
ユウキ「うん!さぁ、早くおじいさんに渡しにいこっ!!」
ユウキはどこか上機嫌な様子でオレの手を引っ張る。
そういえば、夢の中でも誰かに手を引っ張られたような…
記憶が曖昧の為、オレは考えるのをやめた。
「おぉ!これじゃこれじゃ!ありがとう!旅の剣士様!」
入口に戻り、依頼の物をじいさんに渡すと報酬として片手用直剣を貰った。
タクヤ「"マクアフィテル”…。クエスト報酬にしてはいい剣だな!」
ユウキ「これすっごく手に馴染むよ!
苦労したかいがあったね!タクヤ!!」
タクヤ「なぁ…ユウキ…これ、オレが受け取っていいのか?」
ユウキ「え?なんで?使わないと損じゃん」
確かに、これだけの性能を持った武器はこの先でも重宝するだろう。
だが、オレは今回のクエストで何もしていない。
だから、これを受け取った時本当にオレが使っていいものなのだろうかという思いが込み上げてきたのだ。
タクヤ「2本もあるんだ。インゴットにして強化の足しにすれば…!」
ユウキ「ううん…それはタクヤのだよ。
タクヤがいなきゃそもそもクエストは受けられなかったんだし…
それに…」
タクヤ「それに…?」
ユウキ「…ううん!何でもない!そんなイイの使わないと勿体ないんだから!ねっ!」
タクヤ「…ユウキがそう言うなら…」
ユウキ「うんうん!素直でよろしい!」
タクヤ「ぐ…今日は何も言えねえわ…」
何もしてないのに文句を言うのは流石に気が引ける。
今日は大人しく従っておこう。
「ほっほっほっ…それにしても旅の剣士様はお強いんじゃな。奥に樹液の番人がいたじゃろうに…あやつは来る者全てに催眠をかけるからのぉ…」
ユウキ「あっ、でも、ボクには何も起こらなかったよ…どうしてかな?」
「催眠を打ち砕くには番人の誘いよりも心から愛する者が居れば催眠なんぞにはかからんて…それが剣士様が催眠にかからなかった理由じゃよ…」
ユウキ「愛する…者…//」
タクヤ「?ほら、早く行こうぜ…」
ユウキ「う、うん!じゃあね、おじいさん」
「ほっほっほっ…これから少しずつ気づいていけばいいんじゃ…
その気持ちに名が付くまでな…」
いかがだったでしょうか?
結構早い段階でマザーズロザリオをユニークスキルという形で出したんですが…さてさて次からどうしようか悩みものですね
では、また次回!