ソードアート・オンライン-君と共に在るために-   作:ちぇりぶろ(休載中)

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休載から1年以上空けてしまい誠に申し訳ございません。
言い訳になってしまうのですが、新生活に仕事にと忙しい限りでして。
こんな事を言うのも恐縮なのですが、また何時休載してしまうのかも怪しいです。
これからも色々あると思いますが、楽しみに待たれてる方達の為にも精一杯頑張っていきますのでよろしくお願いします。


【84】最後の締め括り

 2025年12月31日 09時00分 横浜市立大学病院

 

 エクスキャリバーのクエストから3日が経った。あの日は結局消灯時間ギリギリまで盛り上がってしまい、倉橋が見廻りに来なければ朝までコースになってもおかしくなかった。

 明日奈と詩乃は翌日から実家に帰省しており、他の者も家族と過ごしたりと中々集まろうという空気は流れなかったというのもあってついに今年最後の日を迎える事となった。

 拓哉も今年は病院のベッドの上で過ごすものだと思っていたが、倉橋や外科の担当医曰く傷の治りが異様に早く、痣や肋骨のヒビもすっかりくっついているらしい。

 レントゲンを見ながら半ば呆れ口調で言われたのを憶えている。

 

 直人「兄さんって色々すごいね」

 

 拓哉「まぁそれでも左腕は流石にまだみたいだけど、それも3月かその前ぐらいには完治するってよ」

 

 怪我も残りは左腕の骨折のみで今日で退院出来る事となった。

 荷物も昨日の時点で直人に湯島のアパートまで送って貰ったので貴重品のみをショルダーバッグにしまい、倉橋や担当医に連れられ正面玄関まで来ていた。

 

 倉橋「くれぐれも無茶はしないでくださいね。せっかく治ったのにまた怪我して戻ってこられても困りますからね」

 

 拓哉「ははっ。流石にそんなバカじゃないっすよ。なぁ?ナオ?」

 

 直人「いや…うん…そうかも…ね」

 

 拓哉「なんでそんなに歯切れ悪ィんだよ」

 

「じゃあ気をつけて帰られてくださいね」

 

 拓哉「お世話になりました」

 

 2人と別れ拓哉と直人はタクシー乗り場へと向かってると、背後からクラクションを鳴らされ、振り向くと木綿季と森が手を振りながら車を停車させた。

 

 森「退院おめでとう拓哉君」

 

 拓哉「な、なんでここに?」

 

 木綿季「昨日も電話したじゃん。迎えに行くって」

 

 拓哉「そ、そうだったっけ?」

 

 ハァと隣でため息をついている直人と一緒にワゴンの中へと乗り込んだ。

 

 直人「ありがとうございます森さん。わざわざ迎えに来てもらって…」

 

 拓哉「ありがとうございます」

 

 森「これくらいなんでもないよ。所で、2人はこれから何か予定はあるかな?」

 

 拓哉「いや、特にはないっすけど…」

 

 すると、隣に座っていた木綿季がニコニコしながらこれから陽だまり園に行って一緒に年越しをしようと持ちかけてきた。

 2人もこのまま家に帰っても特にやる事もないし、木綿季達さえよければと拓哉と直人は木綿季の誘いを受ける事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年12月31日12時00分 横浜市 陽だまり園

 

 あれから何かと準備することもあり、1度拓哉達は実家に戻ってそれから陽だまり園へと向かった。

 

 森「さぁ、着いたよ」

 

 木綿季「荷物は空き部屋を使っていいよ。案内するから着いてきて」

 

 木綿季に案内されて陽だまり園へ入ろうとすると、外で元気に遊んでいる子供達がこちらに走ってきた。

 

「お兄ちゃーん!」

 

「久しぶりだねーお兄ちゃん!また遊んでー!」

 

「あー私が先だよー!」

 

 拓哉「ちょっ…今オレ怪我してるから少し落ち着い…っ痛ァっ!?」

 

 木綿季「コラコラ!拓哉は怪我してるから押さないの!」

 

 木綿季に宥められ、ようやく落ち着き出した子供達も一緒に園の中へと入った。

 

 木綿季「ここが空き部屋だよ。今日2人が来るから昨日姉ちゃんと一緒にここの掃除とテーブルとか布団用意しておいたからね」

 

 拓哉「悪いな木綿季…と藍子はどうした?」

 

 木綿季「姉ちゃんなら智美さんと一緒に買い物に出てるよ。今日の夜はご馳走だから2人とも楽しみにしておいてね!」

 

 直人「ありがとうございます」

 

 部屋に荷物を置いて食堂へ昼食を摂る為に向かい、子供達と一緒に済ませると藍子に智美、2人を迎えに行った森が帰ってきた。

 

 智美「いらっしゃい2人共。それと、退院おめでとう拓哉くん」

 

 拓哉「ありがとうございます。今日もわざわざ呼んで頂いて」

 

 智美「いいのよそんな事は。楽しい事はみんなで共有しなくちゃね」

 

「お兄ちゃーん、遊ぼうよー!」

 

 拓哉「わかったわかった。じゃあ何する?」

 

「トランプしよっトランプ!僕いっぱい練習したんだよ!」

 

「じゃあ、その次は私と遊んでねー!お人形さんごっこがいいー!」

 

 拓哉は子供達に囲まれながら子供部屋へと向かい、念の為に木綿季も一緒に向かった。

 

 藍子「こんにちはナオさん」

 

 直人「藍子さん!こんにちは。今日はありがとうございます」

 

 藍子「そんな全然!あっ、ナオさんに教えて欲しい所があるんですけどいいですか?」

 

 直人「えぇ、いいですよ」

 

 藍子と直人も勉強する為自室へと向かった。森と智美も2人を見送り、買ってきた食材を直していく。

 

 智美「あの子達、ずいぶんはしゃいでるわね。今日年越すまで起きていられるのかしら?」

 

 森「まぁ、あの調子なら無理そうだな。それにしても拓哉君に随分懐いて…それが彼の魅力なんだろう」

 

 智美「さすがは木綿季達のお眼鏡に叶った子だわ。これでこの園も安泰ね」

 

 苦笑しながらも森は智美の言う事に賛同する。

 そう話している内に木綿季が妙に疲れた顔をして食堂に戻って来てはテーブルに突っ伏した。

 

 木綿季「はぁー…みんないつもより元気が有り余ってるよー。体力には自信あったのになー」

 

 智美「それだけ拓哉君が来てくれて嬉しいのよ。後で飲み物とお菓子持って行ってあげるとして、私達はきょうの夕食作りに取り掛かりましょ?」

 

 森「じゃあ、夕食が出来るまで書斎で書類の整理をしてるよ。出来たら呼んでくれ」

 

 そう言い残して森は自らの書斎に向かっていった。

 園の責任者ともなるといろいろと大変らしく、年の瀬にも関わらず仕事が山積みのようだ。

 木綿季も森を見送り終えた所でキッチンに立ち、智美と一緒に夕食作りに取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年12月31日18時00分 陽だまり園 食堂

 

 拓哉「やっぱり片手じゃ上手くいかないもんだなぁ」

 

「それでもお兄ちゃんゲームチョー強いじゃんか!」

 

「お兄ちゃんいるとお人形さんごっこもいつもより楽しかった!」

 

 拓哉「久々だったもんなー。暇が出来たらまた遊びに来るよ」

 

 子供達と約束を交わしながら食堂へとやってきた拓哉達はテーブルに所狭しと並べられた料理の数々に驚いた。

 既に直人と藍子は席に座っており、後ろから森を含めて全員食堂に集まる。

 森の号令で全員が料理に箸を伸ばし、その美味たる表情を浮かべ暖かい時間が流れていた。

 頬いっぱいに詰められた子供達の笑顔を拓哉は一生忘れる事はないだろう。

 昔、こんな風に自分達も両親を交えて食卓を囲んだあの日々を思い出しながら拓哉は箸を進めた。

 

 拓哉「いつか…オレ達もこんな風になりたいな…」

 

 そう零した拓哉を隣に座っていた木綿季がまじまじと見つめる。

 木綿季も拓哉の気持ちは痛いほど分かる。かつて、まだここに来て間もない頃はそう願っていたし、いつか自分もこんな風に愛した者と一緒に笑顔になれる場所が欲しかった。

 そして、木綿季にとってそれはここであり、将来拓哉と共に…もしかしたら自分達の子供と一緒にと胸の内に夢見ている。

 

 木綿季「でも、もうちょっと後になるな…」

 

 拓哉「なんか言ったか?」

 

 木綿季「ううん…何でもないよ!それより早く取らないと無くなっちゃうよ?」

 

 愛した者…拓哉と一緒にいつまでも幸せな日々を願いながら木綿季も箸を進めていった。

 

 森「そういえば、拓哉君はこれからどうするんだい?」

 

 拓哉「実は知り合いから研究室で働かないかと声をかけてもらっていて、4月からそこでお世話になろうと思ってます」

 

 知り合いというのは以前交流があった七色・アルシャービンという天才少女だ。

 彼女はVR研究を日々行い、その裏でALOでアイドルとして活躍している。

 拓哉としても最終目標であるゲームデザイナーになるにはVR研究は欠かせないと考えているし、兄である茅場晶彦と同じ景色を見てみたいと思う気持ちが七色の提案を受けた理由でもあった。

 

 智美「そうなのねー。じゃあ、拓哉君が働きだしたら木綿季も今みたいに会えなくなっちゃうわねー」

 

 木綿季「そんな事ないよねー拓哉」

 

 拓哉「立ち上げたばっかりなら多分そうなるんじゃないか?七色に聞いてみない事には分からねぇけど」

 

 研究室を立ち上げた事がない拓哉にも最初の頃はいろいろと忙しい事は分かる。

 七色が言うには彼女を支援している企業に日本でのVR研究はあまり良い顔をしなかったようだ。

 確かに、日本はアメリカなどと比べても決してVR技術が発展しているとは言い難い。スポンサーが反対するのも納得出来てしまう。

 だが、七色は日本はどの国よりもオリジナリティがあり、それは時として技術面をカバー出来る程のポテンシャルがあると断固として日本の研究室立ち上げをするべきだとスポンサーを説得した。

 そんな話を七色の助手兼秘書の住良木から聞かされた時は拓哉も驚いたものだ。

 

 木綿季「えー!じゃあ、今の内にいっぱい遊びに行こーね!」

 

 森「コラコラ。拓哉君はまだ怪我が治っていないんだから無理に連れ回したらいけないよ」

 

 思い出したというように木綿季は拓哉の左腕に視線を移す。確かにこの状態ではバイクにも乗れないし、怪我の治りも遅くなってしまうかもしれない。

 少し寂しそうな表情を見せた木綿季に拓哉は肩を叩きながら森に言った。

 

 拓哉「大丈夫ですよ。遊びに行くくらいなら全然問題ないですから」

 

 木綿季「ホントに?…やったー!さすが拓哉大好き!!」

 

 智美「ったくこの娘は…」

 

 他愛ない話も随分話し込み、食事を済ませた拓哉達は隣のリビングでテレビをみながらゆっくりしていた。

 時刻が0時を迎えようとしていると、子供達は深い眠りについているのを見て森と智美がベッドへと運んでいく。

 そうこうしている内に外から鐘の声が聞こえ始めた。

 

 木綿季「あけましておめでとう!!」

 

 藍子「おめでとうございます!!」

 

 直人「はい。今年もよろしくお願いします」

 

 拓哉「藍子は受験頑張れよ」

 

 藍子「はい!ありがとうございます!」

 

 戻ってきた森と智美にも新年の挨拶を済ませ、しばらくして拓哉達は各々の部屋へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2026年01月01日00時20分 陽だまり園 拓哉直人の部屋

 

 直人「そろそろ僕達も寝ない?」

 

 拓哉「そうだな。明日はまずアパートに戻ってそれからしばらくは家でのんびりしようかな」

 

 直人「兄さんのアパートら掃除しなくていいの?しばらく帰ってないんでしょ?」

 

 拓哉「それもそうだな…」

 

 そんな話をしていると扉からノックが聞こえ、直人が開けると木綿季と藍子が飲み物とお菓子を持ちながら訪れた。

 

 木綿季「今日くらい夜更かししてもいいよね?」

 

 藍子「あっ、もしかしてもう寝る所でしたか?」

 

 直人「あ、いや…大丈夫ですよ。入ってください」

 

 安心した表情を浮かべながら直人に部屋の中へ案内される。

 ちゃっかりと人数分の飲み物まで持参している所を見て前から計画していたらしい。

 

 拓哉「早く寝ねぇと育つもんも育たなくなるぞー?」

 

 木綿季「こ、これからドーンと大きくなる予定だもん!それに()()()()()()()()()()!!」

 

 おもむろに隠し持っていたタブレットを取りだし、モニター中から元気な声が聞こえてきた。

 

 ストレア『やっほ〜!!ハッピーニューイヤーだね!!』

 

 拓哉「ス、ストレア!?お前、オレのスマホにいたんじゃ…」

 

 ストレア『ふっふっふ〜。どうせだったらもっと大きいモニターの方がいいと思ってね。でも本当はプローブがあればそっちの方がよかったんだけどね〜』

 

 木綿季「仕方ないよ。あれは今和人がメンテナンスしてるから」

 

 ストレアの言うプローブとは和人と拓哉が共同で制作した双方通信機器の事だ。

 和人と明日奈の娘であるユイと拓哉と木綿季の娘であるストレアがいつでもリアルタイムで時間を共有出来るようにと制作していたのだが、完成したのが去年の12月の頭で途中から拓哉が抜けてしまい和人1人で作っていた為、いろいろと改良の余地があった。

 どうせ年末年始は暇だからと和人はプローブのメンテナンスとカスタマイズを請け負った次第だ。

 

 拓哉「まぁ、でもタブレットでも充分でかいし今日の所はそれで勘弁してくれよ」

 

 ストレア『別に文句言ってる訳じゃないも〜ん!それに実はね、ユイもここにいるんだよ!』

 

 ユイ『みなさん!あけましておめでとうございます!!』

 

 藍子「ユイちゃんもいたの!?」

 

 ユイ「はい。パパはプローブのメンテナンスとカスタマイズで忙しいし、ママは今京都の結城本家に里帰りしていますので…1人でお留守番していたらストレアから誘われて…」

 

 木綿季「そういえば、明日奈がすごく嫌そうに話してたっけ」

 

 直人「色々と大変そうでしたね…」

 

 確かに、先日の忘年会の時にもそのような愚痴を零していたのを覚えている。

 明日奈がそのような弱音を言うのも珍しいが本家はいわゆる商家の出らしく、先祖代々結城の家を大きくしていったと聞いている。

 そのせいなのか、本家の人間は時代錯誤な考え方が今でも根強く続いており、明日奈に対しても勝ち組のレールから外れた汚名者として冷たい目を向けられているようだ。

 

 藍子「そんなの…明日奈さんが悪い訳じゃないのに…」

 

 ストレア『今の時代にそんな考え方をしてる人もいるんだね〜』

 

 これは何も本家に限った話ではないらしい。

 それはこの場で木綿季だけが明日奈に聞かされた話だ。

 明日奈の母も本家の意向に賛同しており、今通っている学校に口を挟んだり、最悪にも恋人である和人の事も否定したのだとか。

 それを明日奈は激昂し、以来母とはろくに口をきいていないようなのだ。

 父である彰三と兄である浩一郎は明日奈の味方をしてくれるが、それでも母が自分の意志を曲げる事はないだろうと明日奈は歯噛みしながら木綿季に打ち明けた。

 

 拓哉「…色々言いたい事はあるけど、こればっかりはオレ達が口を出していい話じゃねぇし、それにせっかくの新年なんだから暗い話してても楽しくないだろ?」

 

 木綿季「…そうだね。せっかくこうして集まったんだから楽しもうよ!」

 

 そうして彼らは夜明けまで楽しく語り合った。

 これまでの思い出を…そして、これから先の未来を肴にして…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…いよいよ…決戦の時…」

 

 

 

 

 




という事で、いかがだったでしょうか?
リハビリとして少しボリュームは減っていますが、徐々に元に戻せたらなと考えております。
今まで楽しみに待たれてた読者にも改めて謝罪と感謝を述べさせていただきます。
では、また次回!
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