始まりは、いつも唐突に始まる。
それをどの様に受け止め考え行動するかは、その中心にいる者が決断する。
そしてそれがどのような結末を迎えるかもその者と行動を共にした者たちが紡いでいく。
これは、その物語の一つである。
「・・・・・さい」
(うーん、まだ眠い)
「・・・・きなさい」
(なんか聞こえるけど眠気が勝って・・・)
「起きなさい!! 啓介!!!」
そう言いながら勢い良く布団を剥ぐ。
ガバ!!
「うげ・・・」
「いつまでも起きんのがいけないんよ! 啓介!」
「そう言うならもっと優しく出来ないのかよ。 希姉」
「はぁ・・・ ほら、ちゃっちゃと朝ごはん食べるよ!」
「はーい」
「あ、朝ごはんの前に顔洗っといで」
「了解」
そう言いながら俺の部屋を出ていく希姉。
あ、初めまして。俺の名前は、東條啓介。
音ノ木坂学園に通う高校2年生。
音ノ木坂学園は女子高だったが、少子化の影響により、入学希望者が激減。
学園存続の為、3年前より共学化になった。
でも、未だに入学希望者は減っていた。
なんでこんな情報を知っているかというと、我が姉、東條希が副会長をやっているためである。
親は共働きで出張が多く家にいることが少ないので姉弟で過ごす時間が多い。
そのためか希姉が母親的な立ち位置になる事が多い。
「いい加減にせんと、遅刻するよ!」
「わかったよ。 すぐ食べるよ。」
「まったく。早よしてよね。 エリチ来ちゃうやん」
「え・・・ 今日、絵里さんと一緒に登校すんの?」
「今日から新学期やん。それでちょっと生徒会に招集があるって昨日の夜にエリチから連絡がきてな。それでそのままエリチと一緒に行こうって話になったんや」
「そっかー、生徒会も大変だなー」
(めんどそー)
そんな事を考えていると呼び鈴がなった。
ピンポーン!
「希」
「あ、エリチ来ちゃった。啓介先行くね!」
「行ってらっしゃい」
「食器お願いね。行ってきます」
「了解。いってらっしゃい」
そう言って先に行く姉を見送りながらテレビをつけて朝ごはんを食べる。
『続いて今日のいて座の運勢は、楽しいことが起きるでしょう!ラッキーアイテムはtutuの消しゴムです』
「楽しいことってなんだよ。アバウトすぎるだろ。やべ、時間だ。行くか」
そうしてテレビを消し、学校へ行く準備をし学校へと向かった。
・・・少年移動中・・・
「おっす。啓介」
こいつは桜内悠馬。
悪友にして親友の一人で体育会系(水泳部)に所属している。気さくでいい奴だ。
但し、こいつには年の離れた弟と妹がいるのだが、妹が絡むと非常に面倒なことになる。
確かピアノか何かやってる的な事を興奮しながら説明してたな。まあ、一種のシスコンって奴だな。
「うっす。悠馬」
「今日、全校朝礼あるってさ」
「まあ、今日から新学期ですからね」
「マジか。じゃあ、カバン置いて講堂行くか」
「朝から移動はめんどいわ」
「早く行かないとお前の姉ちゃんに怒られるぞ」
「そりゃ怖いわ」
「そういえば、高坂さんたちは?」
「そういや、まだ見てないな。そろそろ来るんじゃない」
ガラガラ
噂をすればなんとやら。渦中の人達が教室に入ってきた。
「あ、おはよう! 悠馬くん、啓介くん!」
元気よく教室に入ってきたのは、高坂穂乃果。
「二人ともおはよう」
おっとりとした感じの声で挨拶する南ことり。
「二人ともおはようございます」
丁寧口調で話す園田海未。
この三人とは高校に入ってからずっと同じクラスでよくつるんでいた。
ちなみに男子生徒による裏投票【彼女にしたい学年女子ランキング】の上位者で、2学年でことりがトップだったのは言うまでもない。(海未と穂乃果は同一3位)
「「うっす」」
「それにしても珍しいな。穂乃果が遅刻スレスレじゃないなんてな」
「ひどいよ。悠馬くん。穂乃果、そんなにいつもスレスレにこないもん」
「そんなこと言ってますが、ことりちゃん実際どう?」
「え、私。う~ん・・・」
「ほら、ことりちゃんが即答できないじゃんか。その時点で答えは決まっている!」
「えー。ことりちゃん。嘘だよね」
「え~と・・・」
「おいおい。南さんが困ってんだろ。それに朝から夫婦漫才すんなよ」
「「してない!!!」」
「息ピッタリじゃないか。おまえら」
「あはは・・・」
「まったく、二人共。早く移動しないと遅れますよ」
「そうだな。もうほとんどが講堂に移動してるしな」
「ほら、穂乃果。行きますよ」
「悠馬も行くぞ!」
「おう!」
・・・少年少女移動中・・・
「そういや、理事長からなんか重要な話がある的な事言ってたけど、ことりちゃん知らない?」
「お母さんと一緒に朝ごはん食べたけど、特にそんな話してないよ」
「啓介こそ希さんから聞いてないの? 副会長だろ」
「希姉、愚痴は言うけど本心隠すとこあるから。あ、でも入学希望者の減少してるみたいな事言ってったからそれに関わる話じゃないかな?」
「まさか廃校とか言う話だったりしてな」
「えー。穂乃果の大好きな学校なくなっちゃうの」
「あくまで可能性の話だからな。ほら、理事長出てきたぞ」
渋々前を向く穂乃果。
しかし、この話は壇上の理事長の発言により確定してしまった。
「当学園は入学希望者低下の為、廃校を検討しております」9-
それを受け、気絶する穂乃果。
介護することり。
保健室へ運ぶ俺と悠馬。
先生へ説明する海未。
保健室に運び込み保健の先生に穂乃果(ついでに悠馬も)を預け、南さんと共に教室へ戻った。
俺らが保健室を出てから20分して穂乃果が気絶から覚め、悠馬と一緒に教室へ戻ってきました。
・・・所変わって、生徒会側・・・
全校朝礼後の3年生教室にて話し合う2つの影があった。
「あの情報、やっぱりホントだったんだ」
「そうやったな。で、エリチどないする?」
「理事長室に行きましょう」
「その前に一度、2年生の教室行かへん」
「え、なんで2年生の教室に?」
「ほら、2年生の子に理事長の娘さんがいたやん」
「そうだったかしら?」
「啓介が確か言ってたんよ。たしか南ことりさんだったかな」
「え、啓介君が///」
少し顔を赤くしながら驚いたように言う絵里。
(青春やなー)
「今、啓介に連絡するから待ってて」
『啓介へ
前話してた南ことりさんって、今どこにいるか分かる?
ちょっと話したいことがあるんやけど』
「送信と」
---メール受信中---
「あ、メールだ」
「誰から?」
「いや、希姉から・・・ 南さん、希姉が会いたいらしいけど今時間ある」
「え~と、うん、大丈夫だよ」
「了解」
『希姉へ
今、俺と一緒の教室居るけど。南さんも時間大丈夫だって。』
「送信」
---メール受信中---
「あ、啓介から返信きたよ。今、啓介のクラスに居て、南さんも時間大丈夫だって」
「・・・そう。じゃあ、希、行きましょう」
(あ、今、嫉妬したな。そんなエリチも可愛いな~)
「待ってって、エリチ」
希は、絵里を追いながら先程占って出てきた1枚のタロットカードを握りしめていた。
そのカードは【運命の輪の正位置】。
これから起こる奇跡の物語を紡ぐ歯車はゆっくりと回り始めた。