もう、いいから構うなよ!   作:サガアキ

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第10話『やつの名は「七面(しちめん)」』

...

アパート『チェリー・ボーイ』の玄関前。

薙刀が突き刺さったビックスクーターを二人係で覆い隠す男女。腕を組み、頭には「滅殺」と書かれた鉢巻きを巻いて立っているボーイッシュな女子。右手に鳩の足を握り逆さまに鳩を持って立っている女子。その女子の手に握られながら尋常じゃないくらい暴れている鳩。

 

なにこれ?めちゃくちゃシュールなんだけど。

 

簡単に前回のあらすじを説明しよう。

瞬がふてくされて薙刀を心のビックスクーターに突き刺した。心に、見つかる前に何とかしようと考えている所に心参上。見つからないようにビックスクーターを二人で覆い隠す俺と涙美。ビックスクーターの持ち主の心は右手に握られている鳩を七面鳥と言い張る。...と、まあこんなとこだ。

 

「二人で何を隠しているの?」

俺と涙美を見て心が質問してくる。心なしか険しい顔の心。ヤバイ、気づいてる?

その質問はもっともだけど右手の鳩を離しなさい。

「「イイヤナニモ」」答える涙美と俺。もちろん二人とも目が死んでいる。

ガンッガンッ!と俺と涙美の背後から聞こえる音。ん?なんの音?いや、まさかな?顔を見合わせる俺と涙美。...恐る恐る後ろを振り返る。

 

瞬がビックスクーターを蹴りながら薙刀を抜こうとしていた。絶句。

 

「この状況はどういうことなのかな?」右手に鳩を持ち、野太い声で質問してくる心。いや、俺が聞きたいよ!それはそうとあなたはその鳩を離しなさい。

下に顔を俯けながらスッと俺を指差す、涙美と瞬。おい、なにしてんだ?このやろう。

それを見た心は「...やはり、貴様か?」と俺に質問を投げ掛ける。

やはり、ってなに!?俺じゃないよ?あと鳩がさっきから全然動かないけど大丈夫?

「俺じゃなっ...!」言い終わる前にビンタされた。涙美に。痛ってぇ。なにすんの?

「いいからっ!」とビンタしたあと俺の肩を持ち力強く言い放つ涙美。なにがいいの?

「いや、だから俺のせいじゃっ...!」言い終わる前にビンタされた。瞬に。マジでなにすんの?

「いいからっ!」と瞬。え?最終的にはこんな感じ?俺が全部悪くなる感じ?

そのやり取りを見てた心が俺に聞いてくる。「で?この状況の原因は?」

「...すみません。俺です」俺が言ったと同時に心からもビンタが飛んで来る。右手で。俺の頬を撃ち抜いた右手。鳩は?...俺の横に転がっていた。...は、鳩。まだ微かに動いていた。よ、よかった。

 

この鳩にはシンパシーを感じる。俺が保護し大切に育てることにしよう。名前はそうだな、「七面(しちめん)」なんてのがいいんじゃないかな。よし、そうと決まれば色々と用意しなくちゃな。

 

鳩(しちめん)の代わりに大きな石のブロックを握って立っている心。

 

俺が無事だったら。

 

つづく

 

 

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