アパートだけではなく、1階にある喫茶店にまで『チェリー・ボーイ』と名付けていたマスター竹内、この人はアホだ。
立ち話もあれだからと『喫茶 チェリー・ボーイ』に案内される俺と涙美。
気は進まなかったが、仕方なく店内へ。入り口には『準備中』の札が掛けてあった、店の中に入ってみて驚いた。ふざけた名前とは正反対のようなお洒落な内装だった。アパートといいこの喫茶店といい見た目は良いけど名前はアレ?みたいなのはなんのポリシー?
それと、一つ気付いたことがある。店は準備中のはずなのに店内には既に三人座っていた。眼鏡を掛けた男子高校生が一人と眼鏡を掛けていない男子高校生が一人、それと中学生ぐらいの女の子が一人。あれ?客じゃないのかな?ていうか暗っ!雰囲気が暗っ!なんか三人とも俺のこと睨んでるし。なんで?
疑問の表情を浮かべる俺にマスターが話し掛ける。
「ああ、この子達はお客さんじゃないよ。三人ともここの住人で店が開店するまで皆こうしてここでくつろいでいるんだよ。ちょっとまってね、皆に木村くんのこと紹介するから」
そういってマスターは三人に呼び掛ける。
とりあえず挨拶を。本当に三人共暗いな。まだ、睨んでるし。
「今日からこのアパートに住むことになった木村 攻斗です。よろしくお願いします。仲良くしましょう」まあ、無難に。
三人「・・・」
うん。シカトはやめて?傷付く。
その光景を見て、はっと気付いたようにマスターが一言。
「あ、大丈夫だよ。木村君は涙美ちゃんと一緒に並んでるけど涙美ちゃんの新しい彼氏じゃないよ。彼は涙美ちゃんの従姉だよ。・・・それに」
それに?
「彼は僕達と同類だよ。彼にはここに住む資格がある!」元気よく言い放つマスター。
・・・おい、どういう意味だ?
それを聞いて三人が一斉に、口を開く。
まず眼鏡男子高校生「僕は『佐藤 瞬(さとう しゅん)』といいます。高二です。よろしくお願いします!お互いに頑張りましょう!」おう、節操がない。でどう意味だ?
次に眼鏡なし男子高校生「『鈴村 進(すずむら しん)』高一です。攻斗さんも苦労してるんですね。なにかあったら気軽に声を 掛けてください。お互い諦めず頑張りましょう!」
もう!なんかやだ!コイツら恐い!
最後に女子中学生。
「『邪堂 心(じゃどう こころ)』です。涙美さんの従姉なんですか、そうですか、これからよろしくお願いします」・・・名前。あと声が野太い!
三人が言い終わると同時に涙美が
「三人とも凄い、いい子だからすぐ攻斗も馴染めるよ?」
?を付けるな。
マスターが辺りを見渡して瞬(眼鏡)に話し掛ける。
「あれ?涼太は?」どうやらもう一人いるらしい。
「...彼女が出来たとかで今日はデートだって...チッ!死ねばいい!」瞬(眼鏡)君、妬みすぎ。
「そうか、そうか」マスターはニコニコだ。・・・なんか恐い。
店の扉が勢いよく開いた。
「ただいまー!」イケメンの男子が入ってきた。お、噂の涼太か?
マスターがゆっくりとイケメンに近付き、イケメンの首根っこを掴み片手で持ち上げた。
そのまま入り口へ。
「え?え?マスター?ちょっ!」動揺するイケメン。そりゃそうだ。
イケメンを外にポイ捨てし、マスターが一言。
「貴様の帰る家はない」
こ、恐ぇぇ!
つづく