幻想の摂理に挑む者たち   作:マナティー

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目覚め

 

木々のざわめく音がする。その音を、目覚まし時計にし起きる。

 

ーーーーここは

 

「ここは……どこだ?俺は……あの後……」

 

目を覚ますと、そこは森の中だった。戸惑いながらも体を起こし、手を軽く握ったり離したりする。

 

頭が痛い、体の節々も痛い。が、それほど酷くはなかったため問題ないと判断する。

 

ふと自分の体を見ると、服はボロボロ血がいたるところに滲んでいた。

 

よくあることだから、特には気にしないがあの戦いのあとであるからもっと酷い怪我をしているかと思ってはいたが……

 

「問題はねぇな……で、どうして俺はここにいるんだ?」

 

記憶を遡る。ア■■ー■と戦いーーーー輝■■■■■■ロ■と、ク■■■ラの二つの極限の光と闇が激突し一ーーー

 

その後の記憶が曖昧だ。こちらの敗北なのか?それとも、勝利なのか?一切不明だ。もしかしたら、ここはあの世なのか。極楽浄土に行けるとは思っていないが、ここが地獄だとしても穏やかすぎる。これでは、ただの迷子の子猫ちゃんだ。

 

ともかく、現状を確認し自身の能力も確認する。

 

ル■■エ■本、接続(アクセス)ーーーーーーーー魔力供給、40%まで安定。

 

ロイガー・ツァール、召喚可能。

 

ノーデンス、specを下げた状態で召喚可能。

 

アラオザル・ブラスト、60%の出力で安定。

 

アルデバラン・ストライカー、出力50%で安定。

 

■く■■■ゾ■■ロ■、接続不可。確認、不能。

 

シャンタック、発動不可。

 

ーーーー散々、だな。

 

散々としか言いようがない。あの時の戦いで、かなりの無茶をしてしまったようだ。無理もない、その戦いが全てを燃やし尽くした戦いだったのだから。

 

■く■■■ゾ■■ロ■の召喚も、本来ならばもっとしっかりとした手順を踏まなければならなかったのだがーーーー

 

これで、ア■■■スが滅んだと言うのなら何も、文句はない。だが、邪神とは理不尽なものであるため、何があってもおかしくはない。

 

「さて、こっからどうするかな……」

 

頭を掻く。

 

辺り一面は木で埋め尽くされている。ここがどこかなど、わかる筈もない。

 

一度でも来たことのある地域なら魔力の質で覚えているのだがーーーー知っている魔力と、どこかが違っている。何か、別物のような。

 

こうなれば、自分の目で確かめるまでである。一度木の上まで登ってみるか、と考える。見る限りでは、そこまで高くはない。

 

「んじゃ、一度のぼるか」

 

適当な木の幹に、足の裏を合わせる。そして、力を込め体を一気に上まで持ち上げる。

 

跳躍。木の枝に体が当たるが気にせず一気に木の天辺まで昇る。

 

そこで見たものは。

 

「んだぁ?空が紅い……?」

 

青ではない、紅い空だった。

 

見渡す限り一面、紅い空。それに、霧のようなものまででていてそれすら紅い。

 

自分の知る空はこんな色だったか?と記憶を疑う。

 

「全く、どうなってんだ……と、アレは……」

 

視界の中に入った、大きな建物。城とまではいかないが、館くらいだろうか。

 

詳しくはわからないが、あの館から魔力の波動を感じる。それも、かなり大きなーーーー。

 

この空を紅くしたのもあそこに原因あるのだろうか。

 

「そういやぁ、あいつの姿がねぇな。くたばったか?」

 

共に戦った、あの男の姿を浮かべる。2丁拳銃を扱い、襲い来る有象無象を砂煙のように打ち払う、鬼のような男。

 

くたばったのだろうか?それはない。根拠はないが、わかるのだ。生きていると、今も暴れていると。

 

「俺も甘くなったモンだ……これも、制御が完全になりつつあると言うことなのかね」

 

本当に、甘くなった。情け容赦ない自分はどこ行ったのかと疑いたくなる。

 

ともかく、行動をしよう。このままじっとしていても無駄なだけだ。

 

「あー……服も直さねぇとなぁ……ボロボロのままじゃあんまりだ」

 

魔力構築。

 

魔力を束ね、服を再現し身なりを整える。

 

それにしても、ここはどこだろうか。少なくとも知っている場所ではない。

 

ならば、別世界か。それも有り得る。

 

あらゆる場所へ繋げるというヨグソトス。それが、あの戦いの余波で開きそれに飲み込まれた可能性が高い。

 

と、なれば元の世界に戻るためにはヨグソトスを再度開かなければならないが……そのためにはアレが安定して使えなくてはならない。

 

「さーて、行くとすっか」

 

非常に目立つことになるが、木の上を跳躍しながら向かうことにする。こういう時に、シャンタックが使えればどれだけいいかと思う。

 

「チッ、無いもの強請ってもしょうがねぇ。行くか」

 

そしてーーーーアイタス・ロータは駆ける。館へ向かって。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「どう?″霧″の調子は」

 

紅い館にあるとある一室。そこでは、二人の少女がそれぞれ異なる椅子に座り言葉を交わしていた。

 

「間違いなく、この幻想郷全土に渡っているわ。これで、吸血鬼でも昼間に行動することが可能になる。でも、これで貴女は何をするつもりなの?」

 

紫色の髪をした女が、幼女体型ともいえる少女に問う。少女の親友である彼女でさえ、今回のことは少女が何を意図してやっているのか理解出来なかった。

 

「ただの気まぐれ、余興よ?せっかくこんな自由な世界に来たのだから、楽しまなければ損じゃない」

 

「随分と余裕じゃない」

 

「この紅魔館の主なのだから、常に優雅であらないと。それに、もし私を止めに来てもそれはそれでよし。私を止められないなら、所詮その程度という話よ」

 

なんという自信だろうか。しかし、ここまでの気持ち、心持ち、器がなければこの紅魔館の主としては有ってはいけない。

 

「あと、もう一つーーーーあの男は?」

 

「今は、封印を掛けた部屋に閉じ込めているわ。彼の体内から、とてつもない魔力を感じたのは間違いない。

 

それも、最上級の魔導書の魔力。今回のことが終わったら、詳しく話を聞きたいところよ」

 

「そんなに?興味深い。ふふ、この世界は私を思った以上に楽しませてくれそうだ……」

 

物語は動く。今回のお話の題材は吸血鬼ーーーーどうぞ、ご覧観あれ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

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