もしも、アンパンマンが喋れなかったら...?
「ハヒフヘホー!!」
UFOに乗ったばいきんまんがUFOの下部から複数のアームを伸ばして町にいる子どもたちからお菓子を奪っている。
世界中をばいきんだらけにするためにばいきん星からやって来たのだが......彼が町でやっていることと言えば......人の物を盗む。食い物を奪う。...といった程度のものである。そして彼のそんな小さな悪事に一人のヒーローが立ち上がった。
赤いコスチュームに茶色のマントを身につけた顔が「あんパン」で出来たヒーロー「アンパンマン」
ただし諸事情により喋れない。
おまけに今日が両者の初顔合わせだ。
空の彼方から飛来する影にばいきんまんは目敏く発見し、子どもたちからお菓子を奪うのを止める。ほどなくして両者は顔を合わせた。
「「 ………………………… 」」
顔を合わせたのはいいが喋ることができないアンパンマン。
「おい、何か喋ったらどうだ?」
業を煮やしたばいきんまんが問い掛けるも、アンパンマンが喋れないことをばいきんまんが知る由もなく──時間だけが経過していく。
アンパンマンも身振り手振りで伝えようと努力するが......ばいきんまんには微塵も伝わらず──
「ええい、お前が何者か知らんが... おれさまの悪事の邪魔を存在に違いはぬわぁい!」
UFOに備え付けられているレバーとボタンをがむしゃらに操作。ハンマーや鉄球を持ったアームがUFOから伸びてきた。
「うりゃりゃりゃ!」とUFOを操縦しつつ、アンパンマンに襲い掛かる。
しかし...
「バイバイキーン!!」
最後には強力なアンパンマンのパンチの一撃で山の彼方に吹っ飛んで、根城にしているばいきん城まで吹っ飛ばされてしまった。
その間、アンパンマンは終始無言だった。
-アンパンマンとばいきんまんが初めて会った日から幾度目の戦闘にて-
「出たな、お邪魔虫!!」
毎度、町で悪さをするばいきんまんの下へアンパンマンが駆けつけてきた。
「どうせ、お前のことだ。「イタズラを止めるんだ」とかそんなことを言いたいんだろ?」
ばいきんまんの言うことに首を縦に振るアンパンマン。
「生憎、おれさまを止めたければ力付くで止めてみせるんだな!?」
ばいきんまんがUFOにあるボタンを押すとUFOから銀色の胴体と手足が生えて、あっという間に巨大なロボットへと変形し、アンパンマンへと襲い掛かる。
「バイバイキーン!!」
やはしというか最後には強力なパンチで倒されてしまう。
しかし以前と比べると若干手加減されているせいか... ばいきん城まで飛ばされることはなく。その道中、森の中へと不時着してしまう。
「いてて... あんにゃろ、今度会ったら覚えてろよ」
バラバラにされたメカの部品をかき集めているばいきんまん。
そこへ部品を持ったアンパンマンが現れた。
「ふん。わざわざ運んだのか...
礼は言わないぞ。お前が勝手にやったことだからな」
トンテンカン。トンテンカン。リズミカルな鎚の音が森の響く。
暫くして鎚の音がピタリと止む。ばいきんまんが一休みと切り株に腰を落ち着かせたからだ。
それを見て自分の頭のあんパンを千切って分け与えようとする。
「おれさまは別に欲しいわけじゃないが、捨てるのは勿体ないから頂いてやる」
アンパンマンから奪うように取って口に放り込む。
代わりに手のひらサイズの機械をアンパンマンに投げて渡すばいきんまん。
「その機械に文字を入力すると機械が代わりに喋ってくれる。
いちいちお前と意思の疎通を図るのが面倒だからな」
渡された機械を操作するアンパンマン。
慣れない機械に四苦八苦するも、やがて...
『ありがとう。ばいきんまん』
初めて出てきた言葉はそれだった。
『でも僕と君には、必要ないかもしれないね』
続けて出てきた言葉にばいきんまんは言う。
「お前とおれさまの間に必要なくても、他の奴と会話するには必要だろ。
それにうちにはそんな物を置くスペースがないんだよ」
それだけ言うとそそくさとUFOの改修作業に戻る。
アンパンマンもまたパン工場へ戻るべく空を飛んでいく。
(´・ω・)にゃもし。
思い付き短編よー。
ばいきんまんの科学力なら、あれぐらい作れるだろ。
でも彼らなら言葉を交わす必要もないぐらいに意思の疎通を取れるのではなかろうか?
そんな感じ。