照-teru- 魔法編 episode of side-IF   作:ホーラ

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第3局[人気]

入学式の次の日

 

今日は迷うことなく学校までは登校することができた。キャビネットで最寄駅までは昨日も来ることができたし、駅から学校までは一本道なので、駅前にあるドーナツ屋がある方に歩けばいいと昨日案内されている時にわかったので今日は迷わなかったのだ。逆の方にパンケーキ屋とかあったら間違えそうで危なかったが。

 

これらの理由で学校までは登校することができた。しかし、そこからが問題だった。まず最初に昇降口がわからない。第一高校は高校とは思えないぐらいの広大な敷地を持つので、まずどこから入ればいいかわからないのだ。そして1.2.3年、1科2科と合計6つ昇降口が分かれているので私と同じく入学した生徒についていってもダメだ。どうしようかと校門前で立ち尽くしていると後ろから声を掛けられた。

 

「すみません、どうかしましたか?」

 

振り返って私に声を掛けてきた相手を見てみると、相手は今年の新入生総代の七草真由美であった。私が校門前で立ち尽くしていたので声を掛けてきたのだろう。

 

「昇降口の場所がわからなくて…」

 

隠すこともないし真実を述べる。

 

「同じ一科生の一年生よね。私もちょうど行くところだし案内してあげるわよ」

 

「ありがとう、賢い人」

 

「賢い人って…」

 

彼女の特殊能力抜きでも彼女は新入生総代であるので賢い人と呼んだのだが呼ばれた彼女はむず痒いような顔をしていた。そんな彼女に連れられながら一科生一年の昇降口まで向かう。

 

「あなたは何組?」

「A組」

「だったら私と同じよ。私は七草真由美。同じクラスメイトとしてよろしくね」

 

さえぐさまゆみ。よし、今回は覚えられた。

 

「私は宮永照」

「照…いい名前ね」

「ありがとう」

 

よそ行きのスタイルで彼女と喋りながら昇降口を案内してもらいそのまま並んでA組の教室まで向かう。

 

「ここまでの道のり覚えられた?」

「大丈夫」

 

一回通ればだいたい覚えられるのでもう迷うことはないだろう、たぶん。一科生の教室は昇降口に近い方からD.C.B.Aと順に並んでおり、私たちのA組は一番奥だ。彼女は新入生総代であり当然注目を集めるので、彼女は廊下で喋っている生徒の視線を集めながらA組に向かう。

 

「賢いから注目されるの?」

「賢いからはあんまり関係ないかも。私が七草だからじゃない?」

 

十師族の力は本当にすごいらしい。家では誰もそんなこと言ってなかったのに。

 

教室に入ると彼女は教室中の視線を集めた。席は出席番号順であり、そして出席番号はあいうえお順である。彼女は「さ」、私は「み」でなのでそこで別れ、自分の席に座ると読書を始める。本を読みながらチラリチラリと賢い人の方を見ると彼女は同じクラスの生徒に囲まれていた。まるでアイドルだ。

 

履修登録をしなければいけないことを思い出した私は机に設置されている情報端末を起動すると、最初の画面には履修登録用のページが現れた。難しい操作をすることは私はまだできないので一安心だ。私は視線ポインタを使い(キーボードは上手く使えないし脳波アシストは頭の中を見られているようで気持ち悪い)履修登録をしていく。

 

一年生の段階では選択科目は少ない。授業数は多いがほとんど必修なのだ。選択科目は消去法で決めていくと案外すぐ履修登録することができた。

 

履修登録を終わらせるとちょうど予鈴が鳴りホームルームが始まった。ホームルームといっても授業最初の日であるので連絡事項はほとんどなく、担当の先生の紹介、学校の概要説明、カウンセラーの紹介だ。

 

それが終わると学校施設の見学の時間となっている。先生が引率してくれるコースもあるらしいが各個人でも回ってもいいらしい。それならばと思い私は1人で学内にある図書館へ向かった。

 

 

私が向かった図書館は閑散としていた。当然であろう、なぜなら2、3年は授業中であり一年生は普通、魔法に関係する実験室や闘技場、工房などを先に見に行っているはずである。

 

私は気になった本を手に取り、図書館に置かれている椅子に座りその本を読み始める。

しばらく本を読んでいると、不意に声を掛けられる。

 

 

「また…こんなところで何をしているんだ」

 

不意に話しかけられたのでよそいきモードに変えるのが遅れた私は、普段の表情で声を掛けてきた主を一瞬見てしまう。

 

「ああ….このあいだの親切な人」

 

頑張ってよそいきモードに変えた私は笑顔を浮かべながら声を掛けてきた主、親切な人に言葉を返す。少し不審に思われたぐらいだろう

 

「読書をしてたんだよ。図書館は静かで読書には最適だからね」

 

「ああ、そうだな」

 

読書をしていると見ればわかるので話のきっかけで何をしているかと聞いたのだろう。

 

「親切な人が図書館に来るなんてね。どっちかというと闘技場ってタイプだと思ったんだけど」

 

「いや…ああいう表面上薄っぺらく付き合うのは苦手でな。クラスのやつから逃げてきたんだ」

 

彼女も女子特有の表面上の付き合いが性格上あまり得意ではないのだろう。図書館に逃げてくるぐらいだからだ。昨日そこまで見抜くことができなかった。

 

「親切な人は本を読むの?」

 

「いや、本は苦手でな…」

 

それはわかっていた。

 

「もったいないね」

 

「まあそう言うな。それで宮永、お前は見て回らないのか」

 

「親切な人はどうするつもりなの?」

 

「一応見て回ろうかと思ってる、お前も一緒に回らないか?」

 

「別にいいけど、私との付き合いは表面上の付き合いにならないの?」

 

「なんとなくお前とは腐れ縁になる気がするんだ」

 

「わかった」

 

私は本を閉じ椅子から立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちが最初に向かったのは実験室。闘技場や工房や射撃場などは人気だから混んでいると読んでの行動であったのだが、実験室も十分に人が多かった。なぜならこの学校でも注目されている人の実験であったからだ。

 

「矢島先輩の授業だったか。混んでいるが見る価値は大いにあるだろう」

 

私が彼女に聞いた情報では矢島先輩はこの学校の副会長。十師族や百家でもないが一高内でも屈指の実力者で古式魔法を得意としている。

 

やっている実験はビーカーに入った乳化した液体から油だけを別のビーカーに移すという実験である。水と油いう不定形の物体、それを分離して移すという高難度の魔法を必要としており流石三年生と思える実験内容だ。

 

目標タイムは30秒以内、クリアタイムは1分以内となっていて、それぞれ工夫を凝らした魔法を使っているがかなりの先輩が苦戦している。そんな中、矢島先輩はビーカーを傾け、新しいビーカーに注ぐような魔法を発動しただけで課題をクリアしてしまった。

 

「へえ…」

 

「矢島先輩は何をしたんだ?」

 

「水とその他混ざっているものを分ける古式魔法だと思うよ。ビーカーの口に水は通らない膜を張って油だけを通したんじゃないかな」

 

「確かにこの実験にはぴったりな魔法であるがそんなことはできるのか?」

 

「古式魔法では不純物を完全に取り除いた『清水』を使う儀式があるからね。『清水』を作る過程で使う魔法をこの実験に使ったんだと思うよ」

 

私がそう解説すると彼女は顔を驚かせる。

 

「古式魔法は詳しいのか宮永」

 

「ううん、古式魔法に対しての知識は親切な人とそんなに変わらないと思うよ」

 

「じゃあなんで『清水』とか知っているんだ?」

 

「あ、うん、それは実家で偶々聞いただけ」

 

「そうか」

 

誤魔化しきれたとは思えないが一応納得してくれたようだ。

 

「もうすぐ昼時だし混む前に食堂に向かうのするか。宮永、お前も来るか?」

 

「うん、案内してくれると嬉しい」

 

「じゃあ行こう」

 

彼女と付き合ってる内に、彼女がいう通り腐れ縁になりそうな予感が私もしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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