有名人の葬式ってのは無駄に派手になるものなのよね。
つい先週まで一緒に探検に行った仲だってのに、カルナボ爺さんもあっさり死んでしまうだなんて。
「お悔やみ申し上げます」
まるで感情が籠っていない言葉を繰り返す参列者たち。
それもさもありなん。参加者のほとんどがFIMBA協会の人間であり、組織の不正を糾弾しようとしていた爺さんを殺したのも彼らの誰かなのだろうから。
なんせ、新聞にも爺さんの死因は「豚足もどきを食べている時の転倒死」だなんて書かれていたけど、事件の調査をしたのも、マスコミに公表したのも全てFIMBA。
実際の死体写真は炎で黒焦げになっていたんだし、どう見ても誰が見ても事故死じゃないのは分かるはず。
FIMBAが団結して事故死に見せかけたんでしょうね。
「ご主人様……、カルナボさんは私が助手の頃から良くしてくれた大切な人なんです。
それがこんなことになるだなんて、……どうにか出来ませんか?」
「出来ないわね。
仮にも爺さんは組織の幹部の一人で、それがどう考えても殺人事件なのに事故として処理されているんだもの。
殺す側も準備万端だったろうし証拠なんて残っているはずないわ」
爺さんの死に本気で涙する数少ない参列者の一人ホリィ。
私だって何とかしてあげたいけど、あの爺さんは自分が殺されることも覚悟の上で組織を糾弾したのでしょう。
その結果死んだってことは、単純に爺さんの力が及ばなかっただけってこと。
悪魔としては力こそ全てだから、負けて殺されて全てを失った爺さんに思うところなんて何一つない。
……けど、ホリィのご主人様としては別。
爺さんに殺される理由があるってことが、そのまま殺して良い理由になる訳ではないわ!
「おい見ろ! 今日開催予定の四大大会<グレートモンスターズ>参加予定のレドンド選手が来ているぞ!」
参列者の一人が声を上げる視線の先には巨大なドラゴンがいた。
悪魔だからこそ分かるけど、爺さんの死体に残った炎の残滓はこいつのもののようね。
「……カルナボ殿には、氏が生前の頃に世話になったのでな」
いけしゃあしゃあと顔を出しておいて、何を言うかこの殺人鬼め!
と、そうは思っても証拠はないし、あっても潰されているだろう。
こいつが爺さんを殺した犯人だと思うけど、立場上Dランクの私が、Sランクの四大大会覇者をどうこうできる訳ないわ。
「ホリィ、帰るわよ。
胸糞悪い奴が来たことだし、いつか私がSランクになったら仇を討ってあげるんだから」
「……はい、ご主人様……」
こうして四大大会の当日なのに葬式を優先し、その上で大会にも参加して優勝を掻っ攫ったレドンドの人気はウナギ登り。
これも奴の計画なのかしらね? 邪魔な爺さんを消して、空いた上の椅子に傀儡を据える。
きっと本当に証拠も残さずに邪魔者を消したと思っているからの行動なんでしょうね。
まったく……私がホリィを名人にする理由が増えちゃうじゃないの。
表面上は不機嫌そうに。
だけど内心では、相手の破滅へのカウントダウンにほくそ笑む。
それでこその悪魔なラクギサは今後どうするというのだろうか……。