SAOIF あの日の勇気   作:ATECS

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プロローグ 彼と彼女の初めた理由

私、桐谷直葉はお兄ちゃんが好きだ。無論恋愛的な意味ではなく親愛や家族愛などではあるが。

 

昔からお兄ちゃん子だった私は、お兄ちゃんがきっかけで剣道を始めた、そこには少しでもお兄ちゃんと一緒に居れるからという、当時は真剣ではあったが、今ではちょっと恥ずかしい理由では有るけど。

だけど今まで続けられるほどだったのだ、私と相性は良かったのだろう。

 

では先に始めていたお兄ちゃんはと言うと、8歳の時に剣道を辞めてしまった。本人としては友達と遊んだり、好きだったゲームをしたかったのだと思う。

亡くなったおじいちゃんになんで剣道をやらないといけないのか、体を動かすなら、学校の友達と同じようにスポーツ少年団でもいいじゃないかと食ってかかていたのを見ていた。

 

おじいちゃんは、将来自分を見失うことが有る、だから自分を信じられる様に芯を作る為に絶対に続けろと言っていた。

 

言っている理由は分るが、何故そんな事を言っているのか分からなかった、だが私はお兄ちゃんがそんな理由でやりたい事が出来ないのなら、お兄ちゃんの分まで変わりにやる、そう言っておじいちゃんを納得させた。

 

お兄ちゃんは剣道を辞めてしまったが、その時はお互いの仲は良かった。二人の時間は減ったけど、今日は何があった、どんなことをした等を毎日話し合っていた。

私はパソコン関係に関しては何をやっているのかは良く分からなかったが、ゲームの事なら理解できたし、時折二人でやることもあった

 

だけど、今から四年前お兄ちゃんの様子がどこかよそよそしくなった、お互いのことを話さなくなったし、パソコンでやるゲームばかりをやっていた。

お母さんは思春期だからスグと一緒にいるのが恥ずかしくなったのよ。

などと言っていたが、何か違う、恥ずかしいなんて理由じゃ無いと思う、何と言うか久しぶりにあった友人と話すみたいだ。

それに、違和感を感じてから周りの男子を見ていたけど、お兄ちゃんみたいな関係になる人はいなかった。

 

だから私はお兄ちゃんがこうなってしまった原因を知る為に、そして、もう一度お兄ちゃんと昔みたいに仲良くなりたいと、そう思ってできる事をやることにした。

 

それが。

 

 

「お兄ちゃん、私もソードアート・オンラインやってみたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

妹の直葉がいきなりソードアート・オンラインをやりたいと言い始めた。

 

いや、世界初のフルダイブ対応型ゲームだ、多少なりともゲームに興味が有るのならやってみたいと思うのは当然だ。

 

だが問題はソードアート・オンラインをやる環境だ、PCのスペックなんてものは今の時代問題無い、と言うかそんな物より通信速度の方がネックになっている時代だ、排熱さえ何とかなればノートでも現環境のMMOは出来るだろう。

 

では何が問題なのかと言うと、ソフトとナーヴギアだ。

 

俺は幸運にもβテスターだったために、ただでナーヴギアとソードアート・オンラインを入手出来たが、ナーヴギアとソードアート・オンラインの同梱版を購入するのに12万円必要だ。更に購入する為のお金を入手出来たとしても、ソードアート・オンラインはサービス開始時は、1万人しかプレイすることが出来ない。自分達βテスターを除くと、残りは9千人分しかプレイ資格が無いのだ。

 

だが直葉がやりたいと言っているんだ、ここで諦めてたらどうする。

 

とある理由から家族と距離感が分からなくなり、MMORPGに傾倒していた俺に、直葉は変わらずに接しようとしていた、そして今、俺を理解しようと歩み寄って来てくれているんだ。

 

ここで出来ないなんて言って初めから諦めたら、この先ずっと家族との関係を、そして直葉との関係を戻す事なんて出来る筈がない。

 

お金に関しては今持っている要らない物を全部売れば何とかなると思う、足りなければ母さんから前借りすればいい、そしてナーヴギアとソードアート・オンラインは今から抽選を行っている全ショップに予約を申し込む。

 

ここまでやっても安心出来ないが、もし購入出来なければ、いの一番に直葉にデータを作らせてあげよう、だがけどそれは最終手段だ。二人で楽しむ為にはナーヴギアとソードアート・オンラインを入手しなければ。

 

二人でソードアート・オンラインをプレイする未来を想像しながら、俺は母さんにゲームを買う為の融資を募るのだった。

 

 

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