喜べお前ら!!今回はまりとらフルスロットルだぞ!!
ーー 二時間目 身体測定
私が保険室に着くと、走っていったぼっちのゆんゆんと我が姉めぐみんが既に最後尾に並んでいた。
「めぐみんさん?あの……いつも言っている通り、背伸びしたり胸を張っても意味はないわよ?計測魔法って対象の情報を読み取ってるだけだから………。泣きそうな顔をしても結果は変わら……ああっ、そんな睨まないで。」
困りきった先生を睨む我が姉めぐみんを止め、結果を聞いた。
「うん……、その……、めぐみんさんは少しだけ背が伸びたわね。じゃ、じゃあ、次はまりとらさんで……」
さり気なくぼっちのゆんゆんを抜かしたことに罪悪感を感じつつ、先生の魔法を受けると我が姉めぐみんより背が伸びていた。
「我が姉めぐみん、背が伸びなかったのは食料を得る努力を怠った貴女の責任だ。だからあまり睨まないでくれないか?」
「まりとら貴様!」
「ああっ、めぐみんさん!ストレスは発育に良くないですよ!」
「せいっ!」
何故か襲い掛かってきたので床に投げ飛ばした。
二時間目の途中の筈なのだが、先生がいないことをいいことに早弁をしている不良生徒を見つけた。
「我が貧相な姉めぐみんよ、仮にも授業中に早弁とは感心しないな。」
「ぶほっっ!!がはっっごほっっ!」
「ああっ!ちょっ、めぐみん大丈夫!?」
何故か盛大にむせた我が貧相な姉めぐみんに慌てて水を飲ませるぼっちのゆんゆん、ここは妹としてお礼を言っておくべきだろう。
「いつも我が貧相な姉めぐみんの相手をしてくれてありがとう、ぼっちのゆんゆん。」
「ぼっち!?」
何故か酷く落ち込んでしまったゆんゆんを私は慌てて慰めた。
「どうしたのだぼっちのゆんゆん!なぜそんなに落ち込んでいるんだぼっちのゆんゆん!何かあったのかぼっちのゆんゆん!?」
「やめてあげなさいまりとら!それ以上はゆんゆんが精神的に死にます!」
何故か、復活した我が貧相な姉めぐみんに止められた。しかしいかに我が貧相な姉めぐみんといえど、ゆんゆんを慰める事を諦めるわけにはいかない!……そうだ!
「ならば我が貧相な姉めぐみんもぼっちのゆんゆんを慰めるのに協力してくれ!貴女の方がぼっちのゆんゆんの事をよく知っているだろう。」
「あなたはもう黙ってなさい!!」
自分一人の方がぼっちのゆんゆんを慰めやすいからと、我が貧相な姉めぐみんにゆんゆんの机の近くから押し出されてしまった。
「ゆんゆん!落ち着いて下さいゆんゆん!あなたは私のライバルでしょう!?」
「うう……。ぼっち………、ぼっちって………。」
仕方がないので周囲を見渡していると、二人組に声をかけられた。
「あなためぐみんの妹なんでしょ!?私は紅魔族随一の弟想いふにふら!よろしくね!」
「私は紅魔族随一の…………えと、どどんこ!よろしくねまりとらちゃん。」
……ふむ、名乗られては紅魔族として返さないわけにもいくまい。
「我が名はまりとら!紅魔族随一の早熟にして、聖剣を携えし者!よろしくな、ブラコンのふにふらに地味な腰巾着のどどんこ!」
「「……………」」
……………返事がない、どうしたのだろうか。
「なんか凄い呼び方して来たわ!どうするのよ!」
「でも本人は悪気があるわけないでもないみたいよ。ほら、今も首をかしげて………、可愛いなあ。」
「くっ!あの姉にしてこの妹ありと言うわけね……。」
二人はこちらに背を向けて何かを話しているようだ。どうすればいいのだろうか………。………っは!この気配は!!
「それじゃあ魔法についておさらいするぞ〜〜って、何やってんだお前ら。」
当然四人は減点された。
「………という風に、魔法には初級、中級、上級の他にも幾つかの魔法が存在している。それはお前らももうよくわかっていると思うが、今日は特殊な魔法の中でも特に威力が高い魔法を紹介していくぞ。これらは炸裂魔法、爆発魔法、爆裂魔法と呼ばれ、あまり習得する人間はいない。」
ふむふむ。
「まずは炸裂魔法。これは岩盤をも砕く威力を持つが、上級魔法を習得するのに匹敵するほどのスキルポイントが必要だ。使い道は土木関係で、これを持っていると偶に国の工事に呼ばれることもある。もちろん戦闘にも使えるが、国家公務員にもなるのでなければ覚えなくてもいい魔法だな。」
これは昔怠惰の化身ウォルバクが使っていた魔法か。まさかそんな特殊な魔法だったとは。
私はノートに炸裂魔法の説明を書き、ダメ人間教師ぷっちんの言葉を一言一句聞き逃さないように集中した。
「次は爆発魔法だな。これは昔伝説とまで呼ばれたアークウィザードの得意魔法で、その爆発魔法の連発の前には彼女と相対したモンスターはなすすべなく葬りさられたらしい。だが、この魔法は魔力の消費がかなり激しく一流の魔法使いでも数発撃つのが限界だろう。バケモノ級の魔力を持っていなければ覚えるのは現実的ではないな。」
爆発魔法か……、私の戦闘スタイルとはあまり合わなそうだな。
私は炸裂魔法の隣に爆発魔法と書いて、2つの下にバツを入れた。
「最後は爆裂魔法。これはウォルバク先生が得意とする魔法だな。どんな能力をも貫通してダメージを与える人類最強の攻撃手段とされるが、習得にはかなりのスキルポイントを必要とする上、その消費魔力の膨大さ故に一発も撃てないことが多い。また仮に万一撃てたとしても、ダンジョンで撃てばダンジョンそのものを崩壊させ、更にはその轟音で周囲のモンスターを魔力の切れたところに呼び寄せてしまう。まあ、ようはネタ魔法だ!」
しかし、怠惰の化身ウォルバクは毎日のように撃っているのだが………。
同じ事を考えたのか、我が貧相な姉めぐみんも手を上げてダメ人間教師ぷっちんに質問していた。
「しかし!ウォルバク先生はよく使っている上に魔物をたくさん倒してますよ!」
「それは女神ゆえの強大な魔力を持つからだな。第一自分に被害のない位置から撃ってもあんまりカッコよくないし、撃ったあと倒れるんじゃ名乗って名を知らしめる事もできんだろう。やはり覚えるのは現実的じゃない。」
我が貧相な姉めぐみんは火力至上主義のためまだ納得していないようだが、確かにそれは紅魔族らしい納得のいく理由だった。
いつか紅魔族はまりとらの二人称に突っ込まないといったな…………、あれは嘘だ。
まりとらに悪気はないんです。ただちょっと正直すぎるだけで。
しかしこれでよく社会人やれてたな……。