アブソリュート・デュオ 《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》※作者就活のため休止   作:真実の月

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《異能》と《特別》

「やっば……遅刻だ……」

 

階段をなんとか上りながらつぶやく。授業開始時間はとうに過ぎている。

もとはと言えばいつもの感覚で寮を出たのがいけなかった。まだ歩くことすらやっとの中でいつも通りのペースで行けるわけがない。怪我のことを考慮してなかったことを後悔しながらやっとの思いで教室に到着した

 

「すみません……遅刻しまし……た?」

 

「おっはよーん!10分の遅刻だよ!」

 

目に入ってきたのは目の前でいつものようにポーズをとりながら指を振るうさ耳教師。俺は手を胸に当て、《力ある言葉》を口にしようとする

 

「やれやれ、またですか?早く席に座りなさい」

 

「っ!」

 

教室の後ろから別の先生……副担任の三國先生の声が耳に届き、思いとどまる

 

「……わかりました」

 

一瞬だけ月見を睨みつけ、俺は自分の席に座る。横を向くと、なぜか一つ分席が増えていた。

後ろにいる三國先生に聞こうとするとほぼ同時に三國先生に呼ばれた

 

「理事長が君を連れてくるようにと今連絡があった。来てすぐで申し訳ないがちょっと来てくれ」

 

「え、あ、はい」

 

「月見先生。私と荒巻君は急用で授業を抜けるので後は任せます」

 

「りょーかーい!」

 

そう言って三國先生は教室を出た。俺も荷物を置いてその後をついていく。

ほどなくして、理事長が待っているという部屋に着いたのだが……

 

「あのー、ここって理事長室ですよね?」

 

「そうだが?」

 

「俺、何かまずいことでもしましたか?」

 

「そんな事はない。別の用事だ」

 

他の部屋とは明らかに違う扉が俺の前にある。

三國先生は躊躇することもなく、ノックをしてその扉を開いて中へと入る。俺も失礼しますと言って入ると、一際大きな机に向かって座る理事長と、その横で机によりかかるようにして立つ、どこかで見覚えのある金髪の女子生徒と執事っぽい人が待ち構えていた。

 

「フレイ!」

 

「おわ!?」

 

その女子生徒がものすごい勢いで飛びついてきて、怪我の影響で踏ん張りが効かない俺はなすすべなく尻餅をつく

 

「やっと会えた……!」

 

突き刺すような痛みをこらえ、飛び付いてきた者の顔を確認する。それは何処かで見覚えのある顔だった

 

「り、リーリスなのか……?」

 

「そうよ!よかった……覚えててくれた……」

 

「お嬢様、彼が痛がってます」

 

「ご、ごめんなさい!すぐに離れるわ!」

 

リーリスが体から完全に離れたところで三國先生に助けてもらい、ゆっくりと立ち上がる。

 

「ありがとうございます。リーリス、今までどこにいたんだ?ていうかどうしてここに?」

 

「祖国よ、イギリス。向こうの学校から転校してきたの」

 

「そうだったのか……目が醒めたらいつの間にか何処かに消えていたから……ァ!?」

 

(そこのガキを渡せ!)

 

(コイツがどうなってもいいのか!)

 

頭に痛みが走り、映像が脳裏に浮かぶ。

見えたのはリーリスが俺の前からいなくなる直前に見た光景。だが、そのあとが思い出せない

 

「……あのとき……あのあと、俺は何をしていた……?」

 

「どうしたの?」

 

「いや、何でもない」

 

「本当に?」

 

「さて。お二人とも、よろしいですか?」

 

空気を察してくれたのか、理事長が話を切った。内心で礼をしつつ、リーリスに後で話そうと囁き、頷いたのを確認して、理事長の方を向いた

 

「率直に言いますわ。荒巻風麗」

 

「それは私に言わせて」

 

リーリスが話に被せる。失礼な行為だが、理事長はその発言を認めた

 

「あなたは今日から私の《絆双刃(デュオ)》よ」

 

異論は認めないわ、と付け加えられる。

それと同時に先日理事長が言った言葉も思い出し

 

「……理事長が言っていたのはこういうことですか?」

 

理事長に質問を飛ばす

 

「ええ。その通りですわ。……なにか不満がおありですの?」

 

「ありません。寧ろ、嬉しいくらいです」

 

「それならよかったですわ。要件は以上です、授業に戻りなさい」

 

「わかりました。失礼します」

 

そして俺たちは理事長室を出て、三國先生を先頭に教室へと向かう。すると唐突にリーリスが俺に話しかけてきた

 

「フレイ、今日の放課後に校舎と学生寮の間にある庭園に来て。ちょっと話したいことがあるの」

 

「話したいこと……?わかった、なら後でな」

 

「ええ、待ってるわ」

 

俺はなぜか近いうちにリーリスが原因で何か厄介なことになると直感で感じ取った。が、できるだけ考えないようにして俺はリーリスと別れ教室へ向かった。

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