アブソリュート・デュオ 《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》※作者就活のため休止 作:真実の月
(先日の修正はこれが理由です)
暗い廊下を俺は走る。
不思議なことに、俺が来た方向から鳴り響く戦闘の音と俺の足音以外音が無い。
「無事でいてくれよ……!」
しばらくすると、明かりの無い廊下の向こうにいくつかの人影が見えてくる。
一つはリーリスか。離れたところで襲撃者の一人と睨み合っているのは透流とユリエさんだろう
「リーリスー!」
「フレイ!?来ちゃダメ!」
予想外の発言に、俺は思わず足を止めてしまった。
その直後に銃声が鳴り響いた。
「ーーーーッ!?」
肩を焼けるような痛みが襲い、反射的に手で押さえる。痛みの中心点からぬめっとした血が服と手を濡らす。
真っ暗な屋内という、命中させることすらままならないようなこの状況で、襲撃者の撃った弾丸は的確に俺の右肩を撃ち抜いたらしい。
「フレイ!?」
心配したリーリスが駆け寄ってくるが、心配させまいと俺は立ち上がる。
「……そういえば、6年前も同じようなことがあったのう。あの時とは全く逆の立場じゃが」
俺を撃った人影が無警戒にも銃を下ろして、近づいてくる。
「あの時死んだと思ったが、まさか別人として生まれ変わっていたとは思わなかったぞ……!」
目の順応が済み、顔が見えた。
「う……ああああぁぁぁ!?」
その顔を見たくないと体が拒絶し、拒絶に反して脳裏には映像が浮かぶ。
《新刃戦》の夜にみた夢の、地獄のような光景。俺は、襲撃者の名を、知っている
「ああああああああああっ!?」
嫌な記憶が、思い出したくもない記憶が次から次へと浮かび上がる。そして、俺の意識は闇へと落ちた。
「……どうやら脳が耐え切れなくなったようじゃのう」
私の目の前で、男は冷静にフレイの状態を分析する。次にバリバリッ!という何かを剥がす音が響く。男は顔から何かを取るとそれを投げ捨てた。
「変装は初めてだが違和感しかないのう」
眼鏡をかけながら目の前の老人はぼやいた
「さて、《
「ふざけないで!これ以上近づくなら撃つわよ!」
私は《
「最終警告よ、フレイに近づかないで!」
「……甘く見られたものじゃの」
足元に撃ち込まれた弾丸を見て、老人は呟く
「何がおかしいの!」
「『何がおかしいの』じゃと?なら逆に問おう、お前はいつから『ここにいるのが儂とその護衛』だけど思っていた?」
その言葉と同時に、私たちを包囲するように兵が何も無いところから現れた。
「光学迷彩……!」
光学迷彩で潜伏した兵士の輪の中にターゲットが入った瞬間潜伏を解いて閉じ込める。あの事件の時、フレイに対して使われた策だ。
そもそも敵陣の中心に大将が護衛一人だけで現れた時点で何かあると察するべきだった。しかし後の祭り、蟻一匹足りとも逃さない包囲網はすでに構築されてしまっている。離れたところで護衛と戦っている《
「さて《
老人は拳銃を向けたうえで告げた
「く……それでもッ!」
「彼女の代わりに答えましょう。その質問に対する答はNO、ですわ」
私の背後、包囲の壁を作っていた兵士が突然倒れ伏せた。
「……ほう?」
続けて、その左右の兵士、その隣の兵士と連鎖するように少し苦しむ素振りを見せたかと思えば崩れ落ちていく。
「はじめまして、お客人。本日はどのようなご用向きで?」
「……なぁに、ちょっとした散歩をな」
「嘘は聞きませんわ。答えられないなら代わりに答えを言ってもよろしいのですわよ?」
「ほう?」
「貴方の目的はその見慣れない装備の調整と言ったところ。加えてそこの二人ーー《
「……どうやら、貴女を見くびっていたようだ、九十九朔夜殿。いや《
普段ポーカーフェイスの理事長の顔が動いた。
「さすがにこちらでは反応がありましたのう。申し遅れたが、儂は《
「まさかと思いますが、6年前でしょうか?」
「覚えとるようだな。本日はその時の産物の回収、及び《
思い出した。あの事件の時、私を餌にして同じ策を使っていた老人だ。
あの時の産物という言葉がフレイを指しているのだとするなら……!
「《
「ッ!」
「ほう。さすがといったところだ」
《
そして……
「お父様……まだこんな……ッ!」
理事長の父親だ
「さて、ここまで話したところで、そこの二人を預かろうと思うが……」
老人は不意に時計を見た
「そろそろ《
撤退と老人が指示を出し、残っていた兵士は次々とあらもーどから去っていく。
「では、失礼いたします。《
「……お断りさせていただきますわ!」
珍しく感情を爆発させて、理事長は叫んだ。
「おお、これは手厳しいのう」
そして、老人は笑い声を残して夜の空に消えて行った……