バーテックスと誇り高き勇者の物語   作:バーテックス

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第2話

私は彼女の消えかかっている魂を見つけると、話しかける。

 

「お、おまえは?」

 

彼女はさっきと同じと問いをしてきた。

 

「私はバーテックス。頂点であり、あなたたち人類の敵でもある」

 

私の正体を告げると、彼女は警戒するようにこちらをみる。

 

「あたしを殺すつもりなのか?」

 

「その逆。あなたを助けるつもり」

 

「どういう意味だ?」

 

「私は人でありながら、バーテックスとして生まれた不完全な存在……そんな私は自分と同じである人間に興味を持った」

 

自分と同じ姿、感情を持っている人間という存在に私は興味を持っていた。

 

化け物と呼ばれている私と普通に暮らしている人間たちとは何が違うのか……

 

「あたしたちと同じ人間だと?バーテックスなのにか?」

 

「私は特別なんだと思う。それに……仲間のように、私は人類を壊そうとは思わないから。それにあなたと話ができるのも特別な証なのかも」

 

「なんか、バーテックスなのに……変わっているんだな。あんた」

 

「うん。そのことは自分がよくわかる」

 

きっと……私は特別な存在なんだと思う。そう考えないと、自分がなぜこの姿でいるのかの説明が出来ないから。

 

「私はあなたの魂、生き様に魅力を感じた。だから……私の魂と同化する」

 

「同化するって……どうやって」

 

「私の魂を切り取って、あなたの体に移動させた」

 

今、この少女の肉体には二つの魂がある。一つは私、もう一つは彼女のものだ。

 

「それって……あたしもあんたと同じようにバーテックスとして生きていくってことだよな?」

 

「ううん。魂だけを切り取ってあるから、今までどおりあなたは人間として生きていける」

 

「それじゃあ……あんたはどうなるんだ?」

 

「わからない。けれど、元々は作られた存在。肉体にはそれほど興味はないし、これからはあなたと共にある」

 

肉体は一つだけど、魂は二つ。つまり一人でいるわけではないんだ。

 

「なんで……こんなことをするんだ?」

 

「いったでしょ。私は人間を知りたいの。世界を壊したら、人間がいなくなっちゃう。私が知りたい人たちがいなくなる世界なんていらないから」

 

私は他のバーテックスとは違う。

 

「それに私はあなたと一緒なら、今まで自分が求めていたものに近づけると思う」

 

彼女はきっと魅力的な人だし、私が今まで見つけられなかったものを見つけることが出来ると思っていた。

 

「何でそこまであたしにこだわる?」

 

「私はあなたの生き様に魅力を感じた。理由はそれだけ」

 

「バーテックスでもそう思うことがあるんだな……」

 

「うん。これから私はあなたと共にある。どんなときでも……だからあなたも私を信じてほしい」

 

これから一緒にすごすにあたっては、まずは彼女に私のことを信じてもらう必要があった。

 

「信じてほしいっていわれても……今まで敵だったやつをどうやって……」

 

「やっぱり無理?」

 

「無理というか……あんたがあたしを助けようとしてくれているのは感謝しているけど、あんたはやっぱりバーテックスなんだよな……」

 

彼女がまだ動揺している。そりゃ……当然のことだ。今まで敵だったやつのことを信用するというほうが難しい。

 

「だったら……私と一緒に過ごしている間に見極めて」

 

「見極めるだと?」

 

「うん。私があなたにとって害を持つ存在なら、私はあなたととも進むことを諦めて、私は元の体に戻る。それとも信じていいと思うなら、私はこれから先もあなたと一緒に進む」

 

二つの選択肢を私は彼女に投げかけた。

 

「わかった。少し考えさせてくれ」

 

「うん。えっと……」

 

「どうかしたのか?」

 

「こういう時ってどんな風に呼んだらいいのかなっておもって……」

 

そういえば、私は彼女の名前を知らない。

 

「名前でいいんだよ。私は三ノ輪銀。あんたは?」

 

「私の名前はない……」

 

私の名前は付けられることはなかった。バーテックスでイレギュラーな私は名前など必要ないと思われていたから。

 

「なんだ。名前がないのか……それだと不便だな」

 

「そうだね……なんならあなたがつけて」

 

「いいのか?あたしが決めちゃって」

 

「別にかまわない」

 

私は名前に興味はないから

 

「じゃあ、桜なんてどうだ?」

 

「桜?」

 

「春によく見る綺麗な花だ。適当なやつよりいいだろ?」

 

「そうだね」

 

綺麗な花といわれ、私はその花を見てみたいと思った。

 

「よろしくな。花」

 

「うん。よろしくね。銀」

 

こうして、銀の魂は私と同化し、傷ついた肉体は私の力によって再生を始めていた。

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