バーテックスと誇り高き勇者の物語 作:バーテックス
私が銀と一緒にすごしてから、一日が経過した。
(体は大丈夫?)
(ああ。問題ない)
一日がたち、銀の体はすっかり回復しており、医療機関の人はその回復振りに驚いているようだった。
(お前のおかげだよ)
(どういたしまして)
感謝されるのはやっぱりうれしい。
(それにしても、この国の医療はすごい。どれだけ傷ついても、簡単に直しちゃうんだから)
(何言ってんだ。半分はお前が直してくれたんだろ?)
(そうだけど。私一人ではここまで回復できなかった。それができるのがこの国の医学や治療にかかわる人たちがすばらしいってこと)
私ができたのは傷の回復だけで、体力のほうは回復することはできず、本来ならあと一日は寝たきりの状態のはずだったが、こうして早く動けるということはそれだけこの国の医療が優れているということだ。
(なぁ。ひとつ聞いてもいいか?)
(何?)
(お前らは何で人類を壊そうとするんだ?)
銀の質問に私は少し考えてから返答を返す。
(その答えは世界の理にある)
(どういう意味だ?)
(私たちがなぜ作られたのか、なぜ存在しているのか。この世界の裏では何が起きているのか、その答えは世界の理に隠されている)
(つまりは全部を倒せば、謎を知ることができるってことか)
(正解。そこには私も含めている)
私は世界の理がどう乱れているか知っている。しかし、今それを話すわけにはいかなかった。これからのお互いのためにも……
(そもそも人類が神を怒らせたことで私たちが生まれたといっても過言じゃない)
(神っていうのは神樹さまのことか?)
(そう。あれも元々は神様のひとつ。人が何かを犯した人に罰を与えるように、神も間違いを犯した人間たちに私たちという異物を与えることで静粛を与えようとした)
私たちは元々は作られた存在。
(銀たちの勇者システム?あれももしかしたら何かしらの意味はもっているかもしれない)
(まぁ、神樹様に選ばれたわけだしな)
(そうだね。神様はあなたたちを選んだ。自分を守るための道具としてね)
(道具だと?)
(そう道具。考えてもみなよ。世界を守るために強大な力を得た、神に選ばれた少女、それが勇者。勇者は戦いの中でその傷を負い、自らの命を削りながら、世界を守るという使命を背負い、私たちに向かっていく。その中でどんなに傷を負おうが、神はその少女の傷を癒すことなく、使命を全うさせる)
それがまだ幼い子供たちであっても、神にとっては関係ないんだ。
(私たちが利用されてるっていいたいのか?)
(そうかもしれないね。銀たちからしたら、それが過酷な運命を導こうとしたとしても、戦わずにはいられない。そうしないと、ここが世界と同じになってしまうから)
(お前は……何を知っているんだ)
銀は驚愕をあらわにしている。こんな話をされたら、驚くなというほうが無理があるか。
(いつか、一緒に世界の裏側を見に行こう。そこですべてがわかる)
彼女たちは知らなければならない。この世界の裏側で何が起きているのかを。