はがねオーケストラ!   作:しがない弓兵

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……投下してしまった。だが悔いはないです(((


プロローグ

 

 

チカチカとついたり消えたりと頼りない電球が一つの部屋を照らす。部屋といってもボロボロで隙間風が微かに入る。だが決して寒いわけではなくむしろ丁度よく涼しく感じる。その部屋に手際よくカードをシャッフルしている目付きが悪く帽子を被っている男が一人いた。すると扉ごしから三回ほとノック音が聞こえる。

 

「お、来たか。入っていいぞー」

 

「…………教官一体どのような要件で。幾ら教官でも無駄話に時間をかける暇はないんだが」

 

「誰が無駄話だよ!俺が話している内容はこのご時世じゃ、とても重要なものだぜ?お前はもう少し頭を柔らかくしろ」

 

やれやれと肩を竦める教官。そしたら先ほど入室した少年の背後からヌッと緑のタッチパネルがニヤニヤとしながら言葉を発する。

 

『頭が緩くなりすぎたら、アイツのようなアホになるから気おつけろよ』

 

「アホってなんだよ!!アホが教官なんて務まらねえだろうが。たくよ……誰だよこんな捻くれDEN-TANにしたのは」

 

「………」

 

緑のタッチバネルことDEN-TANは『アホで教官に上り詰めたのがアンタだろ?』っと教官を煽り挑発する。そうすれば教官は「アホじゃねえよ!」っとまた2人の、いや機械と人の喧嘩が始まる。教官と緑のDEN-TANは顔を合わせれば毎度の如くこのような言い合いになる。これはもう一つの日常に定着しているため、今はもうこの喧嘩を止めることはしなくなった。もっともどう見ても教官が一方的にDEN-TANに弄られているようにしか見えないが。少年が喧嘩が終わるまで黙っていると一悶着ついたのか教官が咳払いをして少年の方へと向く。

 

「なあ、このカードが何かわかるか?」

 

教官はカードを机に置き一枚引けばその引いた1枚のカードを少年へと投げる。少年は指と指の間に挟むようにキャッチすれば表を見てなんのカードか理解する。そのカードの絵は若者が黄金の杖を持ち、赤と青の馬に台座を引かれている構図であった。

 

「……タロットカード。間違いないか教官?」

 

「ああ、ご名答。俺がお前になんのカードを渡したか知らねえけどな」

 

「今のこの時代で相応しいカードだ」

 

「戦車か。確かにこのご時世には丁度良すぎるカードだな。それに正位置が勝利ときた、これは縁起の良いカードを最初に引いたな」

 

教官はケラケラと面白そうに笑えば少年も釣られてか少し口元が緩み笑みを見せる。DEN-TANが少年が笑っているのを見れば「珍しいな」っと言えば教官も同意して頷く。この2人(?)が意気投合のは殆どなく、敬遠の仲である2人が言うのだ。それほど少年が笑ったことは珍しいのだろう。

 

「……さて、結構話が脱線しかけてるから戻すぜ」

 

「いや、初めから本来の目的に進んでいない」

 

「……そうだっけか?まあ、いいお前を呼んだのは他でもない。このタロットカードで占いをしてよろうと思ってな」

 

『お?とうとうアホを通り越してボケと馬鹿になっちまったか。ここの教官がこうならそろそろヤバイだろうな』

 

教官はDEN-TANに何か言いたそうに睨むが話をややこしくしないためか無視をする。少年は色々と疑問に思うところもあるがとりあえず淡々と簡潔に述べる。

 

「俺を占う必要性は皆無だ 。それに俺は戦場で散ること以外ない」

 

「若いのがなに言ってんだよ。その歳で占いどころか生きることすら諦めるなんて……お前の将来が心配だぜ俺は……お前には拒否権はなしな、これは上官命令。無論反論も受け付けねえから」

 

少年は納得がいかない様子で顔を顰め渋々頷く。頷いた様子を見れば教官は納得した様子で笑を浮かべる。DEN-TANは何かしらと言ったが面白そうかなのか横やりを入れる様子はなくニヤニヤしながら見ている。

 

「今から幾つか質問をする、準備はいいか?」

 

「ああ」

 

「そうか、なら質問を始めるぞ」

 

教官は一つの質問の中から三つの選択肢から一つを選べと言えば少年は答えていく。約5つ程の質問をして最後の質問らしく教官は少し声のトーンを低くして最後の質問を少年に問う。

 

「全滅の機器で全滅を回避するためには1つ犠牲にしなければいけない。お前はその1つを犠牲するならどうする?1つ貴重な人員。2つ貴重な資材。そして3つ────自分自身。この3つから選んでくれ」

 

まるで何かを試すように教官は少年の答えを待つ。教官は気楽に答えてくれと言ったが彼の雰囲気は少年の回答を真面目に待ち無言でいる。その空気を理解しているかどうかは不明だが少年は考えることもなく最後の質問の回答をする。

 

「そんなものは決まっている、最後の選択肢である3つ────自分自身だ」

 

「………その理由はなんだ?」

 

「簡単なこと、俺には誰もいない。友達、そして────家族。だが他の他人は違う。俺とは違い、帰る場所はあれば家族や友人もいる。その反面、俺にはなにも無い。帰る場所も無ければ家族も友人も、誰1人俺にはいない。一つの犠牲で回避できるなら俺を犠牲にすればいい」

 

「お前はもう少し自分を大切にするべきだ。そんな自己犠牲をしているばかりならお前はいつか本当に死ぬぞ?」

 

『ああ、こいつに便乗するつもりはねえが同意だ。A-08119は自身のことを大切にするべきだと思うぜ。いくらお前が[黒い死神]と敵から怖がれていてはがねの操縦が凄かろうが、所詮はポンコツ機体をお前用にメンテナンスしてるだけだ』

 

「善処はしてみせる。だが、言ったと思うが俺は戦場で散ることしか知らない。友軍そして同じく軍に所属している者を救うのは当たり前だ」

 

これは重症だなっと教官とDEN-TANはため息を吐く。少年はため息を吐く理由が解らず首を僅かに傾げるが教官は思い出したかのように占いの結果を少年に教える。

 

「占いの結果を発表する。お前はいつか運命の出会いをする、それはもちろん男じゃない。ちゃんとした女性とだ」

 

『おいおい、流石に大雑把すぎる答えなんかじゃねえか?それに運命の出会いとか……さっきの質問と関係が無さすぎて呆れるぜ(´Д`)』

 

「いや、なんでお前が呆れるんだよ!それに顔文字みたいなの使ってんじゃねえ!」

 

教官はDEN-TANを掴みミシミシと音を立てさせる。DEN-TANは教官の頭をバシバシと電波を受信する耳のようなもので抵抗する。ギャーギャーっと1人と1機が騒いでいればタロットカードが机から1枚ハラリと落ちる。少年はその1枚を拾えば面を見る。

 

「……9番のカード隠者。心理面では孤独と呼ばれしカード」

 

「んあ、どうした?」

 

「教官、この9番のカードを貰っていいだろうか」

 

「ああ、別にいいぞ。タロットカードは幾つか持ってるからな。そうだ、ついでに10番のカード『運命の輪』も持っていけ。お前さんの結果だからな」

 

教官は優しそうな笑顔を見せれば10番のカード『運命の輪』を少年に渡す。少年は結果と言われた10番のカードを暫し見つめていたがやがてポケットに入れる。そして首元に掛けている時計を取り出し時刻を確認する。

 

「教官、そろそろ作戦行動の時刻が近いため退出させてもらう」

 

「もうそんな時間帯か……すまないな時間を取らせてしまってよ」

 

「いや、なにも問題は無い」

 

少年は無表情で淡々と言えば会釈をしてDEN-TANと共に退出する。教官はドスッと全体重を預けるように椅子に座る。そして少年が退室した扉を見つめながらシミジミと誰もいない部屋で呟く。

 

「アイツには大切な人が出来てほしいものだな。本当に心の底から守りたいと感じる人とな。人生の先輩としては本当に心配しちまうのは別に悪くはねえだろう?」

 

誰かに聞くように聞くが室内はシーンと静まる。そして懐から葉巻を取り出し火をつけて一服する。人生の先輩としてかそれとも少年を知る唯一の人としてか先ほどの少年を思い浮かべれば葉巻の火を消し作戦行動の準備を始めるのであった。

 

『相変わらずポンコツそうだな。同期型のポンコツはがねと見た目は黒一色で色彩しか変わらねえくせに、性能に関してはぶっちぎりだからな。お前なら高性能のはがねに乗り換えれば敵なしになるんじゃねえの?』

 

「それは否と言っておく。いくら高性能のはがねに乗り換えようが俺が操縦出来なければ意味がない。それこそ宝の持ち腐れなることが明白。ならば使い慣れているこのはがねの方が敵を多く破壊できる。それに────」

 

『俺より操縦がうまい人に性能が高いはがねに乗せるべきだろ?いい加減聞き飽きたぜその台詞。お前は卑下しすぎなんだよ、お前は誰からも見たら熟練の兵士だ。卑下しすぎてるのはお前の悪い癖だぜ?自身を持てよ相棒』

 

DEN-TANは少年を励ますように言う。DEN-TANが知りうる人物のなかでも少年はトップクラスの実力者だ。それは相棒であるDEN-TANが胸を張って自慢げに話せるほどにだ。なのに少年はその実力を卑下をして自分は強くないと言っている。少年が自身を持てていないことにもどかしさを感じているのだろう。

 

『お前の卑下を直せるとしたら、教官が言っていた運命の人かねぇ。占いやオカルトなんかは信じねえ主義だが相棒に限ってはそれに頼るしかねえか』

 

「何か言ったかDEN-TAN」

 

『いや、何もねえよ。それよりはがねの整備に関してはどこも不備はなくオールクリアだ。いつでも出撃可能だぜ相棒』

 

「了解だ。一二〇〇にてF-97、今から配備地へと向かう」

 

少年はポケットから通信機を取り出して報告をする。通信機ごしから了解っと声が聞こえると少年通信機をしまい愛機であるはがねF-97へと乗り込む。レバーをいじりそしてペダルを踏み込めば力強い音が聞こえればはがねは目的地へ向かうため前進する。

 

『ヒュー、相変わらず気高いエンジンを鳴らすな。ポンコツだったら耳障りなんだが相棒の機器は違うな』

 

DEN-TANは口笛を鳴らすようにするが少年は操縦に集中しているのか反応をしなかった。前進していると他のはがねから通信が入ってきたためDEN-TANが少年の変わりに応答をする。

 

『こちらF-97だ。用件があるなら簡略化してくれ、オーバー』

 

『あー、こちら教官だ。F-97、一番前まで行き部隊を導いてくれないか?オーバー』

 

『だとよ相棒、どうする?』

 

「与えられた任務だ。断る理由はない」

 

責任感があってどこかの教官殿とは大違いだっとDEN-TANは半分褒めて半分呆れている。DEN-TANの言葉が聞こえていたのか誰が無責任だ!っと聞こえてくるが少年が引き受けたことに礼の言葉を言う。そして少年は加速するために更にペダルを踏み込んだ。

 

『うおっと、結構この道も荒れてるな。まあ、このご時世ではしょうがねえと言えばしょうがねえけどよ。いつになったらこんな馬鹿らしいことも終わるのかねぇ』

 

かなりの速度を出しているため荒れた道で内部が揺れる。少年はそれでも表情を一つも変えることなくDEN-TANの言葉に冷静に返す。

 

「戦争とは些細なことで起こるもの。例え今の戦争が終戦したとしても、また問題が起きればそれを理由にして戦争を起こす。だから戦争自体が終わる確率は0%に等しい」

 

『まあな。戦争反対で武器を捨てたシェルターもあったが結局は武力攻撃を受けて乗っ取られたからな。本当に終戦を目指すならこの世からはがね、いや武器となりうるもの全てを廃棄しねえとな。だが必ずしもどのシェルターが兵器全てを廃棄するとは考えにくい。結局は廃棄せず少量を残し、襲われても反撃できるように生産する。その繰り返しが延々と続いくのは目に見えているな』

 

DEN-TANは世の末だなっと口にしたらガタンと車体が大きく揺れる。少年は声を一つも上げることなく機械的に操縦し続ける。そうすれば通信機越しから越しから教官の声が聞こえる。

 

『そう言えば俺が付けた名前は気に入ってるか?ずっと言うの忘れてたが今後名乗る時は俺が付けた名前で名乗れよ』

 

『…………A-0819ではいけないのか?』

 

『ああ。それはお前の名前ではなくあくまでもコードネームだ。若いお前さんに名前が無いなんてそれは教官として見過ごせねえ。お前にはもう立派な名前があるんだから今後はそっちで名乗れよ?』

 

『了解した。それが教官の命令ならば』

 

『命令のつもりじゃなかったんだが……まあ、命令ってことで』

 

教官は苦笑いを浮かべているだろう。そしてそのまま教官と少年の雑談がポツポツと続いていく。教官が言えば少年は簡潔に返すだけだが少年の変わりにDNE-TANが煽るように返答すれば教官がそれに食らいつき騒がしくなる。そうすれば他のはがねを操縦している者達がケラケラと笑う。そうすれば目的地に辿りつこうとした時異変が起きた。

 

『うお!?急にどうした!?』

 

少年のはがね内部にてビィービィーっと警告音がなり始めDEN-TANが声を荒らげる。警告音がなっているためか内部が赤くなっていた。すると通信機越しから隊員らの声が聞こえてくる。どうやら少年のはがねだけではなくその部隊全機に警告音がなっているようだ。

 

『全員落ち着け、1度冷静にな────』

 

教官が隊員全員を落ち着かせようと指示を出そうとすれば突如と通信機がプツンっと切れた。通信機が切れたことが合図のように原因不明にはがねが大きく揺れる。それは荒れた道を走る時で揺れるよりなん10倍も揺れた。

 

「っ!?機体の操縦が困難、DEN-TANその原因を調べて────」

 

機体が更に大きく揺れる。あまりの揺れに少年の手は操縦桿から離してしまい内部で宙を浮く。そして天井に頭を強打して後部座席に横へと倒れ込む。

 

『おい!相棒!返事をしろ!くそっ、さっきから他のはがねに応答を求めるように電波流してんだが全く反応しねえ!相棒だけが頼りだ、頼むから目を覚ませ!』

 

DEN-TANは少年を起こすため大声を出し続けるが少年が起きる気配はなかった。クソッ!っとDEN-TANが舌打ちをしながら応答を求めるように再度電波を送るが応答がくることはなかった。

 

『いったいなんだって言うんだよ!どうなるか検討もつかねえし原因も解らねえ……運とやらに頼るしかねえかッ!!』

 

DEN-TANは力の限り叫ぶ。原因不明の緊急事態でこのはがねF-97と少年と他の隊員、そして教官がどのような状態に陥っているか確認が出来ないままDEN-TANは少年が目を覚ますまで待ち続けることしか出来ないのであった。




最近ハマっているアプリゲームはがねオーケストラこと、はがオケの小説を投下しました((黙

基本的には原作通りに行きますがご都合主義とか独自解釈があると思いますのでご了承くださいm(_ _)m投稿ペースについては基本的には織田信奈の野望が優先予定です。
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