本当は前後編のつもりで書いていたんですがね……。
あと、どうでもいい報告ですが、今まで
⁉︎ ‼︎
だった表記を
!? !!
に変えました。PDF変換した場合、前者だとおかしな表記になるんですよね……。
『魔王軍襲撃警報! 魔王軍襲撃警報! 現在、魔王軍と見られる集団が王都近辺の平原に展開中! 騎士団は出撃準備! 王都内の冒険者各位にも参戦をお願い致します! 高レベル冒険者の皆様は、至急王城前へ集まってください!』
突然、王都中に大音量のアナウンスが響き渡り、カズトの身体がビクッと跳ねる。
「え? え? な、何? 何事?」
「……ふむ。話の途中だが、仕方ない。私は行かねばならん。後でまた話を聞かせてくれ」
状況を理解出来ていないカズトを余所に、腕相撲の人は行ってしまった。
「な、なぁキョウヤ? 魔王軍襲撃警報って……?」
「そのままの意味さ。魔王軍が魔物達を引き連れて王都を襲撃しようとしているんだ」
その言葉を聞き、カズトは顔を引きつらせる。
というのも、カズトにはウィズという魔王軍幹部の同居人が居るのだ。ウィズは魔王軍にも人類側にも基本的には手を貸さない、中立的な立場にある。彼女がカズトの事を魔王軍側に知らせる、などという事はまずあり得ないだろう。人格的にも考えて。
だが、魔王軍側はどうだろうか。今でこそリッチーであり、魔王城の結界を管理している魔王軍幹部の一人ではあるものの、元は人間の、それも第一線で活躍していた冒険者である。
そんな彼女に、監視の目が無いと言い切れるだろうか?
もしかしたら、カズトの事は既に魔王軍側に知られている可能性がある。自分の行動
そう考えると、今すぐにでもアクセルの街に帰りたいところなのだが。
「カズト、君の魔法の腕なら魔王軍の軍勢にも渡り合える。僕と一緒に王城前まで来てくれ」
事情を知らないキョウヤからすれば、まぁそう言うだろう。
しかし、カズトは帰りたい。魔王軍とは極力事を構えたくない。
「い、いや待ってくれ。さっきのアナウンスでは、高レベルの冒険者はって話だっただろう? レベル九の俺が行っても、戦いには参加出来ないと思うんだが……」
「大丈夫さ。僕は王都でもそこそこ名前が売れている方だからね。僕と一緒に居れば、戦いには参加出来る筈さ」
━━━やめてくれ、帰りたい。
……とは言えない。理由もなく断る訳にもいかないし、本当の事を話す訳にもいかない。かと言って、すぐに何か言い訳が思い付くという事もない。
が、とりあえず渋る。
「しかしな……俺が行ったとしても、何かの役に立つとは……」
「そんな事はないさ。カズトのあらゆる魔法を使いこなす才能は、この戦いにおいて絶対に役に立つ」
「そうかなぁ……」
「何弱気になってんのよ!」
バチンと、クレメアに背中を叩かれた。
「あんたの魔法の腕は、私達から見たらとんでもないものよ。キョウヤもそれを認めているの」
「悔しいけど、私達じゃキョウヤの力にはなれないの。でも、カズトならキョウヤの力なってあげられる。お願い、カズト」
じっと見詰めてくるクレメアとフィオ。彼女達のレベルは未だ三十に達しておらず、王都防衛の最前線に赴く事は出来ないのだ。何とも断り辛い雰囲気である。
しかし、ここは何としても断っておきたい。カズトにとって一番大事なのはウィズだ。
例えば魔王軍が他の街を攻め滅ぼしたとしても、彼はウィズに何か不都合が起きない限りは何もしないだろう。それだけカズトの心がウィズに傾いているのだ。
まだ何とかして断る事が出来ないだろうかと、そんな風に考えるカズトを見ながらキョウヤが再び口を開いた。
「カズト……もしかして、怖いんじゃないか?」
「「「え……?」」」
三人が同時に声を漏らす。
急にどうしたのかとカズトが問い掛けてみると。
「……君のレベルはまだ九と低いし、いつものパーティー単位の戦闘ならまだしも、今回のような軍対軍の戦いともなればどうなるか分からない。君は戦いの経験も浅いし、もしかしたら怖くて参戦出来ないんじゃないかと……ああ、勘違いしないでくれ。別に君を責めている訳じゃないんだ。僕だって戦いが怖いと思う時はある。ただ、この地に来て初めて出来た
「……キョウヤ」
━━━
カズトにとって一番大事なのはウィズだ。それは間違いない。
でも、この世界で出来た友人達だって大事だ。キョウヤも幾ら強いとはいえ、戦場で大怪我を負う可能性はある。軍対軍の戦いになれば、その可能性はより増える。その時、カズトが近くに居れば回復魔法で傷を癒す事も出来るだろう。
それに、先程はウィズの監視の目の可能性を考えたが、逆に強大な力を持つウィズを怒らせたくない、という理由で監視を付けていない可能性だってある。
それでも確立は
最悪、ウィズと共に魔王軍へ下る事も視野に入れて。
カズトはそう考え、キョウヤに手を貸す事に決めた。
が、キョウヤの話は続き、
「それに、魔王軍の襲撃も何だかんだ言って、いつも無事に乗り切っているしね。今回もきっと大丈夫さ。だから、君たちは安心して待ってい━━━」
「あっ! ちょ、ちょっとまて、キョウヤ! 俺も行く! 行くから! それ以上いけない!」
何やら死亡フラグを立て始めたので、カズトは慌ててキョウヤの言葉を遮った。
★
場所は変わって王城前。
「凄い人だな……」
そこは、騎士団員と冒険者達でごった返していた。どちらかと言えば、冒険者よりも騎士団の方が数は多く、綺麗に整列している。
「騎士団と冒険者達が一箇所に集められているからね。……それより、本当に良かったのかい?」
「ん? ああ、参戦の事か? まぁ、なるようになるだろう。それに、ちょっと試したい事があってな」
「試したい事? それは一体━━━」
「ミツルギ殿!」
と、そこへ一人の女性が駆け寄ってきた。白いスーツに身を包み、帯剣している女性だ。年齢はカズトやキョウヤと同じぐらいから少し上といったところか。
「クレアさん、お久しぶりです」
「ええ、お久しぶりです、ミツルギ殿。王都へ戻って来られていたのですね」
「はい。友人のレベルを上げる為に王都へやって来たのです」
キョウヤがチラリとカズトの方を見る。それに吊られてクレアと呼ばれた女性の視線もカズトへ移る。
「ミツルギ殿、こちらは……?」
「最近知り合った僕の友人です。レベルは低いですが、膨大な魔力を持ち、あらゆる魔法を使いこなす事が出来ます」
「そうなのですか。しかし、レベルが低いとは……あの、失礼ですが冒険者カードを見せて頂いても?」
言われるまま、カズトは懐から冒険者カードを取り出し、クレアに手渡した。
「スズキカズト殿、ですね。クラスは……冒険者……? レベルは…………あの、本当に大丈夫なのですか……?」
クレアが怪訝な表情を浮かべる。無理もない、カズトのクラスは最弱職の冒険者であり、レベルに至っては二桁にギリギリ到達していないのだ。そんな、今時アクセルにも居なさそうな者が王都防衛の戦いに混ざるなど、正気の沙汰ではない。普通に自殺行為だ。
しかし、二週間程度━━内、数日間だけ━━ではあるが、共に行動していたキョウヤはカズトの実力を知っている。
「クレアさん、ステータスの魔力と魔力容量の項目を見てください」
「は、はあ……」
言われてクレアが視線を冒険者カードに戻し。
「…………!? なっ、何ですか、このデタラメな数値は……!?」
その表情が驚愕に染まる。
「こ、こんな……! 紅魔族の者でもこれ程の数値は……! スズキ殿、あなたは一体……!? というか、これだけの魔力を持ちながら何故クラスを冒険者などにしているのです!?」
「え、えーっと……」
何と答えて良いものか分からないカズトは、頬を指で掻いた。いつもの事ながら、正直に話す事は出来ない。
どうしようかと悩み、キョウヤに助けを求めて視線を送った、その時。
「━━━お前達も来ていたか」
背後からの声。振り返ってみれば、筋骨隆々の屈強な男が一人。
「……さっきの腕相撲の人!」
そう、王都にアナウンスが鳴り渡る前、アームレスリングでキョウヤを負かした男であった。先程までは持っていなかった身の丈を超える程の大剣を背負っており、この場に居るという事は彼も冒険者なのだろう。
彼はムッとした表情でカズトの方を見ると、
「ホークアイだ」
「……え?」
「名前だ。腕相撲の人はやめろ」
「あ、はい。すいません」
名前を教えてくれた。腕相撲の人、という呼び方は気に入らないようだ。
と、ここでクレアが前に出た。
「あなたが狂戦士のホークアイ殿ですか。噂は聞いています」
「む。お主は……。そうか。お主に知られているとは、光栄の極み」
礼儀正しくクレアに一礼するホークアイ。狂戦士とは、何とも物騒な名であるが。
キョウヤがホークアイに声を掛ける。
「ホークアイさんは、狂戦士のクラスに就かれているのですか?」
「うむ、そうだ」
「あ、狂戦士ってクラスの事か……」
ポツリと呟くカズト。狂戦士というのを二つ名のようなものだと認識していたのだが、実際のところはクラスの事だったようだ。物騒な名であるのは変わらないが。
ホークアイは再びカズトの方へ向き直り、
「丁度いい、先程の話の続きだ。お前の冒険者カードを見せてみろ」
「俺の冒険者カードですか? それなら、今クレアさんが持っているそれがそうですが……」
「む。失礼、少し見せて頂いても?」
「構いません」
クレアから冒険者カードを受け取り、それを見たホークアイは目を見開いた。
「これは……凄いな。期待以上だ」
「何が期待以上なんですか?」
「魔力容量が、だ。私の想像を遥かに超えている。しかも冒険者ときた。……これ程の逸材に出会えるとはな」
言って、カズトに冒険者カードを返す。何の事だか分からないカズトとキョウヤは首を傾げた。
「それで、お前達二人は組んでいるのか?」
「一時的に、ですが。カズトは基本的に臨時で僕のパーティーに入ってもらっているんです。本当はあと二人パーティーメンバーが居るのですが、レベルを考えると危険もありますので、街の警備に当たってもらっています」
「そうか。ならば、今回は私もパーティーに入れてもらおう」
「……ええ!?」
ホークアイも一時的にキョウヤのパーティーに加わる事になった。
何故かと聞いてみると、
「そっちの小僧……スズキカズトに私のスキルを教える為だ」
「スキル……狂戦士の、ですか?」
「そうだ」
という事らしい。
ホークアイはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「これを覚えたら、お前は間違いなく今よりも強くなる。それこそ、レベル差を覆す事が出来る程にな」
「それ程のスキルが!?」
カズトが食いついた。強くなれるスキルと聞いては黙ってなどいられない。
……というのもあるが、最近の彼はスキルに対して蒐集癖が付き始めている。スキルコレクターと言っても過言ではない。狂戦士というレアな職業のスキルに、コレクター魂が刺激されたというのも大きな理由である。
「そのスキルは戦場で教えるが、覚えても戦場では使うな。魔力を大量に消費するスキルだからな、下手をすれば魔力切れを起こして動けなくなる」
「そうなんですか……分かりました。けど、戦闘中でそんな余裕ありますかね?」
「大丈夫だろう。……まぁ、もしも無理そうであるなら戦闘が終わってから教える」
「分かりました。……あ、そうだ。クレアさん、ちょっとよろしいですか?」
「何でしょう、スズキ殿?」
「ちょっとだけ試してみたい事がありまして。指揮を執る方が居られましたら、少し話を通して頂きたいのですが━━━」
★
場所は変わって、王都近辺の平原にて。
王国の騎士団は左翼に陣取り、右翼は冒険者達が構えるという陣形で整列━━冒険者側は整ってはいないが━━している。
だが、騎士団の最前列に三人、騎士ではない者達が立っている。カズトとキョウヤ、そしてホークアイである。
基本的に冒険者は騎士団と別行動で自由に戦闘させる事となっている。冒険者達は軍事訓練を受けている訳ではないので、騎士団との連携が取れないからだ。もしも共に戦った場合、足の引っ張り合いに発展しかねない。
相対する魔王軍は、距離を置いた向かいにズラリと並んでいる。数の上では向こうの方が有利ではあるものの、コボルトなどの弱いモンスターが多い。その点を考えると、質の高い冒険者達が多数いる人類側が優勢か。
だが、数の暴力という言葉もある。決して油断は出来ないだろう。
「それで、カズト。本当に上手くいくのか?」
「……正直なところ、分からない。まだ試した事がないからな。でも、少なく見積もっても数十体規模で削れると俺は見ている」
「数十体、か……」
厳しい表情を浮かべながら、キョウヤが呟く。
見たところ、魔王軍の軍勢は千を超えているだろう。カズトが何かを行うようだが、数十体の敵を削っても焼け石に水だと思ったのかもしれない。
だが、ホークアイはそうは思わなかったようで。
「数十体を一度に削れるというなら、敵の戦意をある程度挫く事も出来るだろう。そこを畳み掛けて攻撃し、敵陣にまで斬り込む。敵にとっては大打撃だ」
「……そうですね」
納得するように頷くキョウヤ。
「頼むよ、カズト」
「ああ、任せてくれ」
「……動き始めたぞ」
ホークアイの言葉に、カズトとキョウヤは気を引き締めて敵軍を見据える。進軍を開始したようだ。開戦である。
敵軍がある程度近付いてきたところで、三人は走り出した。キョウヤとホークアイが前に出て、カズトは二人の後ろに付く。
「総員、あの者達に続けぇーッ!!」
騎士団長が叫び、騎士達も雄叫びをあげながら走り出す。
すると、敵軍から投石が飛び始めた。何とも原始的な攻撃だが、当たれば被害は免れない。
しかし、騎士達は大楯部隊が防ぎ、冒険者達は躱し、または迎撃して難なく切り抜ける。カズト達のところは最前列なので、そもそも投石が来ていない。
そのまま両軍の先頭がぶつかり、最初に仕掛けたのはホークアイだった。
「見ておけ、スズキカズト! これが狂戦士最強のスキルだ! バーサーク!」
叫び、地を蹴った。
ドン、という音と共にホークアイが加速。目にも留まらぬ速さであっという間に敵との距離を詰め、大剣の腹で叩くような横薙ぎの一撃。
水袋が破裂するような音と共に数体のモンスターが爆散し、辺りに鮮血が飛び散る。更に、その背後に控えていたモンスター達は余波で吹き飛び、敵軍の戦線が押し戻された。
「す、凄え……」
思わず呟くカズト。
ただの大剣による一撃にも関わらず、あの破壊力。恐らく、高レベル上級職の冒険者であっても耐えられないだろう。
……知り合いのちょっと変わった性癖を持つ、やたらと防御力の高いクルセイダーなら耐えるかもしれないが。
ホークアイはそのまま畳み込むように斬り込む。最初の一撃程の破壊力はないが、それでもモンスター達が蹂躙されてゆき、キョウヤと騎士達がその後に続く。そのまま戦いは乱戦へともつれ込んだ。
ゴブリンやコボルトなどの弱いモンスターが最前列に配置されていたので戦いは人類側が優勢だったが、後続のモンスターはオーガなどの強いモンスターで構成されており、それらが前に出てきた事で徐々に苦戦を強いられるようになり始めた。
「キョウヤ! そろそろ!」
「分かった!」
カズトが叫ぶと、キョウヤはカズトを庇うようにモンスターの前で立ちふさがり、ホークアイも同様にカズトを庇う。また、騎士達はカズトの魔法に巻き込まれないよう戦線を下げた。
そして、カズトが両手を胸の前に構えて魔法の詠唱を開始。上級魔法だが、たったの数秒で詠唱を終え━━━魔法を放たず、そのまま魔力を練り上げる。
「オ、オイ、何ダアイツハ……!」
「ヤベエゾ! 何カヤベエ! アイツヲ止メロ!」
カズトの異常な魔力に気付いた、言葉を理解する程度には知恵のあるモンスターが指示を出し、モンスター達がカズトに向かって殺到する。が、キョウヤとホークアイによって斬り伏せられ、
その間にもカズトは魔力を練り上げ続けた。カズトの胸の前に黒い霧状の塊が渦巻き、強過ぎる魔力が大気を細かく震わせ、そしてビリビリと小さく雷状のエネルギーが迸る。
「ヤベエ! ダメダ退ケ! アレハヤベエ!」
「撤退ダ! オイ、退ケ! ハヤク退ケ!」
モンスター達が泡食って退がり始めてしまった。が、後ろが
というか、味方の騎士達までもが青い顔でカズトを見ている。魔法の使えない素人から見ても、カズトが練り上げる魔力は異常なものだった。
「チッ、まだ練り上げられそうだけど、しょうがねぇ! 全員退がってくれ! もうぶっ放す!」
敵が退がり始めたのを見てカズトが叫び、騎士達も更に退がった。が、キョウヤとホークアイだけは退がらず、カズトを庇うように油断なく構えている。騎士達が退がり終えるまでカズトを守っているのだ。まぁ、敵はカズトの異常な魔力を恐れ、近寄っては来ないのだが、一応は警戒しておくに越したことはない。
やがて騎士達が安全圏まで下がり、
「あっ、ヤバイ! 限界だ! キョウヤ、ホークアイさん、下がって! ヤバイ!」
カズトが、まるで尿意や便意が限界であるかのような切羽詰まった声で再び叫んだ。それを聞いたキョウヤとホークアイがギョッとしたような表情を浮かべ、慌てて退がる。
そして━━━
「インフェルノオオオオオオオオオオォォォォォォッ!!!」
練りに練った魔力が、炎の上級魔法として解き放たれた。
轟、という音と共に灼熱の炎が走る。放射状に放たれたその炎は全てを焼き尽くすかのように激しく燃え盛り、しかして花火の如くあっという間に消えてしまった。
だが、その爪痕は凄まじいものであった。
「…………これは……!」
その呟きは誰のものであったか。
目の前に広がるのは、黒く焼け焦げた大地。炎の上級魔法によって全て焼き尽くされ、死体も何も残ってはいない。
しかも、そんな光景が少なくとも百メートル以上先まで続いているのだ。この範囲から考えて、敵の被害は百や二百どころではないだろう。
戦場の一角が打ち水を掛けられたように静まり返る。敵も、味方も、魔法を放ったカズト自身も。
だが、そんな静寂を破るようにホークアイが叫んだ。
「敵は今ので浮き足立っている! 一気に攻め立てるぞ!!」
単身、走り出すホークアイ。遅れて続く騎士達。
カズトもそれに続こうとしたが、キョウヤに呼び止められた。
「カズト、大丈夫なのか?」
「うん? 何がだ?」
「いや、何がって……さっきの魔法、凄まじいものだったが、その分魔力の消費も大きかったんじゃないか?」
「ああ……まぁ、三割か四割ぐらいは魔力が持ってかれたな……。同じのはあと一発しか撃てない」
「あ、あれと同じのをもう一回撃てるのか……。本当に凄いな君は……」
「凄いのは俺じゃなくって、俺の中の神器だけどな」
カズトが自分の胸元を親指で指し示す。実際のところ、無限の魔力が無ければカズトはただの人間にしか過ぎない。
「んな事より、今は戦いに集中しようぜ。敵の指揮官を討っちまえばそれで終わりだ」
「……そうだな。でも、魔力が少なくなったらすぐに言ってくれ。僕が敵を引き受ける」
「ああ。頼りにしてるぜ、親友」
そして、二人も敵陣に駆けて行った。
モブに名前付けるつもりなんてなかったのに付けてしまった……。
因みに、名前はファイアーエムブレム 烈火の剣に出てくるバーサーカーのホークアイさんから取ってます(どうでもいい)