落第騎士の英雄譚~破軍の眠り姫~(一時凍結)   作:スズきょろ

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詩音「読んでくださった皆様、おかげさまでUAが5000を超えました!ありがとうございます!
 そしてお気に入り登録してくださった皆様、これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします!
 それでは、本編どうぞ!」


第5話

 

 一輝の実の妹である黒鉄珠雫が、実の兄である一輝に口づけをしたことで、その場にいたほぼ全員が絶叫し、騒然となる。

 

「ちょ、ちょっとイッキ!あ、あああ、アンタなにやってんのよッッ!?」

「ぼ、ぼほぼ僕だってわからないよッ!?」

 

 今この場で一番動揺しているのは、突然妹に口づけされた一輝本人だ。

 一輝はあわてて珠雫の腕を首から引っぺがし叫ぶ。

 

「珠雫!い、今のは一体なに・・・・・・っ」

「何って・・・・もちろん口づけですよ?」

「分かってるよ!それは分かってるよ!だから驚いてるんだよ!そうじゃなくて!どういうつもりなのかって話ッ!?」

「どういうつもりも何も、口づけとは親愛の証。恋人・・・・・・などという浅く脆く粗(・・・・・)末な絆で(・・・・)結ばれてい(・・・・・)るだけ(・・・)の男女でも行なっている程度のことですりならば、同じ血と肉と骨を分かつ、鉄よりも固い絆で結ばれた兄妹が口づけするのはごくごく自然なことです。いえ、むしろなければ不自然でしょう。そもそも外国では口づけなんてそれこそ挨拶ですし」

「え、そ、そうなの?ステラ、詩音、僕がおかしいの?」

「んなわけないでしょう!何迫力で押し切られそうになってるのよ!だいたい外国でだってマウストゥマウスは挨拶じゃ済まないわよっ!」

「一輝、常識的に考えて今の状況はおかしいよ。一応聞くけど、この中に兄妹でキスする人っている?」

『いないいない』

『いるわけないよ』

『つか想像するだけで吐きそう』

「えー。珠雫。やっぱり君の意見はおかしいという判決が、民主主義的に出たんだけど」

「うふふ。何も問題はありませんわ、お兄様。他所は他所、うちはうちですもの。・・・きっとみなさんの兄妹関係はツンドラのように冷え切っているのでしょう。病んだ時代ですから。でも私とお兄様は違います。むしろ口づけ程度では四年分の愛おしさを表現するには足りません。今の私たちにはセックスですらただの挨拶でしょう」

「「「そんなわけあるか!!!!」」」

 

 珠雫の暴論に一学期初日に早くも一年一組の心が一つになった。

 

「ていうか珠雫。な、なんてことを言い出すんだ!女の子が、その、そんなに軽々しく、せ、セックスなんて言っちゃダメだ・・・・ッ」

「ふふ。冗談です、そんなに顔を赤くしちゃって。お兄様ったら可愛いんですから」

 

 クスクスと妖艶に微笑む珠雫に、一輝は冷たい汗が吹き出すのを感じた。

 目の前の女の子は誰だ?と。一輝の記憶の中にある珠雫は人見知りの激しい恥ずかしがり屋さんだったのに、何がどう間違えたらこうなるのか。

 

「―――さあ、そんな些末なことよりもお兄様。もっと珠雫を感じてください。そして私にもお兄様を感じさせてください・・・・」

 

 するりと、再び珠雫の細い腕がまるで白い蛇のように一輝の首に絡みつく。

 彼女の翡翠の瞳はこの教室に現れてからただの一度も、一輝以外を映さない。

 

「・・・・・四年間、本当に恋しかったのですから・・・・・・」

「ぅ・・・・・ぁ」

 

 これ以上はいけないと分かっているはずなのに、一輝は動けない。

 一輝を見つめる翠色が、彼をその虹彩に閉じ込めて、逃げることを許さない。

 そして、二人の唇は再び交わり――――

 

「だめーーーーーっ!!」

 

 そうなところで、ステラによって引き剥がされた。

 まるで、今ステラがいることに気づいた、とでもいうように、一輝以外の存在を珠雫の瞳は初めて映した。

 

「どういうつもりはこっちの台詞よ!アンタこそ、一気になんてことするのよっ!」

「なんてこととは、口づけのことですか?」

「そ、そうよ!それいがいに何があるっていうの!」

「何をいうかと思えば―――」

 

 ステラの言葉に珠雫はため息を漏らし、

 

「私が私のお兄様をどうしようと、そんなの私の勝手でしょう」

「イッキ!アンタの妹おかしい!これのどこが『ごく普通の血縁兄妹』なのよ!」

「いや、僕も驚いてるっていうか、おののいてるっていうか・・・・・・」

「さっきから随分と私とお兄様の邪魔をしますけど、・・・・・・貴女、噂のステラ姫ですよね?そんな方がなぜ私たちのような庶民の兄妹のコミュニーケーションに口を挟むのですかん」

「こんな糸を引くような(・・・・・・・)生々しい兄妹のコミュニケーションがあってたまるか!」

 

 どうやら、ステラと珠雫は話を聞くつもりはないらしく、その後も激しい言い合いは続く。そして、周りがその言い合いを黙って見ている中、詩音が呆れたようにため息をつき、廊下へ出ようとする。

 

「はぁ、初日から大変だなぁ・・・・」

「どこに行くんですか、詩音先輩?」

「ん?ちょっと、あの二人を止める許可をもらおうと思ってね」

「許可?」

「うん、とりあえず加々美はみんなを廊下に避難させておいて」

「わっかりましたー!はーい、みんな廊下に出てー。ここにいたら多分死ぬよー」

 

 加々美主導の避難誘導が始まったのを確認し、詩音は生徒手帳を取り出すと、緊急連絡のボタンを押してある人に連絡を取る。

 

『どうした?龍切』

「一年の主席と次席が言い合いをはじめまして、下手すると、教室が吹き飛びかねないので、霊装デバイスの使用許可を欲しいんです・・・・・」

『なるほどな、ヴァーミリオンと黒鉄妹が・・・分かった。許可をだそう』

「ありがとうございます、理事長先生」

 

 詩音が連絡した相手は理事長である新宮寺黒乃だった。彼女はステラと珠雫が引き起こすかもしれない『最悪の事態』を聞き、すぐに詩音の霊装の使用許可を出すことを決めて、それを黒乃に伝え電話を切って、再び教室の中に入ろうとすると、避難誘導を完了させたのか、加々美が詩音に近づき、ビシッと敬礼の真似をする。

 

「詩音先輩!避難完了しましたー!」

「うん、ありがと」

「それで詩音先輩、一体何をするんですか?」

「あの二人を止めるのに霊装の使用許可をもらったからね、今から止めに行くんだよ。―――世界を喰らえ《龍星天牙(ミッドガルズ)》」

 

 詩音は自分の両腕に己の固有霊装(デバイス)を顕現させる。

 瞬間、詩音の両腕に黒い炎が、収束し一つの形をなす。

 それは、手の甲に紅い宝玉のような物が埋め込まれていて、肩の辺りまで黒い鎧を纏っているような指先が尖っている籠手型の固有霊装(デバイス)

 これこそが、詩音の固有霊装(デバイス)、銘を《龍星天牙(ミッドガルズ)》。

 

「へー、これが詩音先輩の霊装なんですねぇ」

「うん、名前を《龍星天牙(ミッドガルズ)》。・・・・・・みんなは、絶対に教室に入らないで、危ないから」

 

 廊下に避難したクラスメイトに詩音はそういうと、一人教室に入り中の状況を確認すると、中ではもうすでにステラと珠雫がそれぞれの霊装を顕現させていた。

 

「―――って、なんでステラもやる気満々なのっ!?」

「悪いけど。アタシはイッキと違って、霊装を持ち出した相手に情けをかけるほど甘ちゃんじゃないの。やるっていうなら相手になるわ」

 

 一輝の制止など聞こえない二人は全く止まる気配はなく、ステラの紅玉(ルビー)と珠雫の翠玉(エメラルド)に映るのは、向かいにいる敵の姿のみ。

 

「だけどまた随分と慎ましい霊装ね。・・・・・・アンタの胸と同じで」

「そちらこそ。下品な胸をした女は武器にも品がないんですね。どっちもただ無駄にでかいだけ。ええ本当に、とってもお似合いですよ」

「貧しいものの僻みは聞くに耐えないわね。だけど許してあげるわ。アタシは胸も心も大きい女だから」

「・・・・・・デブ」

 

 ブチ、とステラの方から嫌な音が聞こえた。

 

「「殺すッッッ!!!!」」

 

 避け得ぬ惨劇を確信し、一輝はもうダメだと、肩をすくめた次の瞬間、一輝の予想に反する結果が起きた。

 

 

 ギィィンン!!!

 

 

「えっ!?」

「くっ!?」

「なっ!?」

 

 一輝はステラと珠雫の間に一人の女が割り込んで来て、ステラの大剣型の霊装《妃竜の罪剣(レーヴァテイン)》を右手で受け止め、珠雫の小太刀型の霊装《宵時雨》を左手で受け止めている女の姿を目にした。

 

「あはは・・・・・・元気なのはいいけど、少しは場所と力を考えて?」

 

 一輝はその声で二人の剣を受け止めた存在にやっと気づく、ステラと変わらない位の背を持ち特徴的な紅い色の瞳、肩まである雪のような銀髪を持っている姿は紛れもなく、一輝の友達の龍切詩音だった。

 

「し、詩音!?」

「はぁ、・・・・・・ねえ、一輝ももう少し頑張って止めてよ。下手したらこの教室吹き飛んでたよ?」

「う、うん、そうなんだけど・・・・そんなことしたら・・・!」

「その辺は、理事長に許可とったから大丈夫。というわけで、二人とも霊装はしまってくれない?」

 

 詩音の言葉にハッとしステラと珠雫はすぐさま霊装をしまい、気まずそうな顔をする。

 

「指定された場所以外での無断の霊装使用。これは校則違反だよ?一応理事長にも報告したから後で罰とかの通達があると思うから、これに懲りたら、無闇に霊装を展開することはやめようね?」

「はい・・・・・・ごめんなさい」

「すみませんでした」

「よろしい!」

 

 ステラと珠雫が詩音に頭を下げ謝罪する。詩音はそれに頷き自分も霊装をしまうと廊下へ向かう。

 

「じゃあね、一輝。私はよりたい所があるから、このまま帰るよ。またね」

「あ、ああ。うん、迷惑かけてごめんね」

 

 そのまま詩音は一輝の言葉に手を挙げると廊下に出て行き、そのまま何処かに行こうとしたが、誰かが詩音を呼び止めた。

 

「待って」

「どうしたの、ステラ?」

 

 その声の主はステラだった。

 

「シオン、お願いがあるの」

「うん」

 

「私と模擬戦をしてほしい」

 

「「「え、えええぇぇぇ!?!?」」」

 

 一年一組の心がまたも一つになった。それもそうだ、今年の首席合格者が留年生に対して勝負を挑んだのだから。その勝負を挑まれた詩音は、

 

「いいよ~」

 

 何とも軽い返答だった。そしてこの返事で決まったことそれは、

 

「こ、これって・・・・・」

「ありがとう、シオン」

「スクープよ!!大スクープ!!」

「・・・・・・お兄様、まさか、あの人が―――」

「うん、龍切詩音、僕の友達だよ」

 

 《紅蓮の皇女》と《眠り姫》の模擬戦。そんなスクープに興奮する加々美と、何かを知っている珠雫に応える一輝、そして詩音に勝負を挑んだステラ。詩音はステラに尋ねる。

 

「じゃあ、ステラ。今からやる?」

「いいわよ。場所は私が確保しておくわ。決まったら連絡するわね」

「よろしくね。じゃあ私、用事済ませてきちゃうから。また後で」

「ええ、また後で」

 

 詩音はそう言って、教室から出ていってしまった。

 

「ステラ、詩音に勝負を挑むなんてどうしたんだい?」

「イッキ、シオンのランクって知ってる?」

「えっ?そういえば知らないな・・・・」

「Aランクよ」

「えぇっ!?ス、ステラ今なんて・・・・」

「Aランクって言ったのよ。理事長先生から聞いたから間違いないわ」

「そうだったのか・・・・」

「それにしてもだよステラちゃん、何でいきなり勝負を挑んだの?」

 

 加々美の質問にステラは、答えを返す。

 

「私ね、シオンのランクを聞いた時から身体がウズウズするの。私と同じランクなんてなかなかいないから、戦ってみたいって気持ちが押さえきれない」

 

 そう答えたステラの回りには炎の燐光が煌めいていた。

 

──────────────────────

 

 

「皆に会うのも久しぶりだなぁ~」

 

 詩音は校舎の廊下を歩きながらそうつぶやく、彼女が向かっているのは、この学園の生徒会室だ。

 そして、そこに彼女の知り合いがいる。

 

「ここね」

 

 生徒会室についた詩音は軽くドアを二、三回ノックする。中から「はい」と声が聞こえ、詩音はドアを開ける。中には見知った顔ぶれがあった。

 

「いらっしゃい・・・・・・って、しーちゃん!」

「ハァーイ、刀華ちゃん!遊びに来たよん!」

 

 詩音は栗色の髪の毛を三つ編みにした眼鏡をかけた少女、刀華に声をかける。刀華は嬉しそうな顔をしながら詩音に近く、それに続いて、もう二人の人物も詩音に近付く。

 くすんだ銀色の癖毛に光のない金色の瞳を持つ、幼稚園児にも見える小柄な少年と、室内にもかかわらずに鍔の広い帽子をかぶり貴婦人のような純白のベルラインドレスを着込んでいる背の高い女性。

 

「やあ、しーちゃん。久しぶりだね」

「詩音さん、お久しぶりですわ」

「うん、うたにカナタちゃん、久しぶり」

 

 少年の名は御祓泡沫、少女の名は貴徳原カナタ、生徒会の副会長と会計を担当している。

 

「しーちゃん、今お茶とお菓子用意するから、ソファーに座っといて、カナちゃんお茶お願い」

「はい、会長」

 

 そして、刀華はお菓子を取りに、カナタは紅茶を入れるために、ソファーから離れる。泡沫は詩音の隣に座り、詩音に話しかける。

 

「しーちゃん、本当に留年しちゃったんだねぇ、僕もカナタも刀華も聞いた時はみんな驚いたよ?」

「それ、刀華ちゃんにも言われたよ」

 

 詩音は懐かしむように言う、すると、泡沫はゲームのコントローラーを取り出し、詩音に渡す。

 

「しーちゃん、今からマ○オやるけど、やる?」

「あぁ、久しぶりにやりたいんだけど、ごめんうた。今からステラと模擬戦をやるんだ」

「へーまたいきなりだね」

「うんちょっとね、今ステラの場所を確保するのを待ってるんだ」

「そうなんだ。でも一回ぐらい出来るでしょ?やろうよ」

「しょうがないなぁ、でもやるからには負けないよ!」

 

 そう言って二人はコントローラーを持ってバトルを開始する。

 

 

「ふふっ、懐かしいなぁ」

 

 そして、お菓子を取りに行っていた刀華は二人の様子を見て微笑ましい笑顔を浮かべる。

 

 

「どうしました?刀華ちゃん」

「うん、なんかこういうの懐かしいなぁーって」

「そうですわね。でも、昔通りだったら、この後は・・・」

「うわあぁぁぁ!負けたぁぁ!」

「やった!しーちゃんに勝った!」

 

 泡沫がガッツポーズをしながら、叫ぶ。テレビの画面には泡沫の勝利を知らせる文字が浮かび上がっていた。ゲームに負けた詩音は悔しそうな顔をした。

 

「あぁ、久しぶりにやると楽しいなぁ。もうやりたくないけど・・・・・」

「あっはは!昔からしーちゃんはテレビゲームは弱かったからね」

「うるさいやい!」

 

 そんな二人に刀華とカナタは近づき、机の上にお茶とお菓子を置く。

 

「もう、二人とも、ゲームで楽しむんはよかばってん、ほどほどにね、そいにしーちゃん、今日はなんか用事のちゃてきよったと?」

「あっ、ちょっと言いたいことがあったんだ!」

 

 カナタに注いでもらった紅茶を飲んでいた詩音が何かを思い出したかのように、紅茶を飲む手を止め、皿の上にカップを置き、話し出す。

 

「刀華ちゃんには言ったんだけど、今年の選抜戦は出るから」

 

 詩音の言葉に刀華とカナタは目に見えるほど好戦的な笑顔を浮かべる。泡沫は選抜戦にはエントリーしないため、ただ普通に笑っているだけだった。

 

「しーちゃん、もちろん、本気で戦うんよね?」

「ほどほどにやるよ」

「それは楽しみですわね」

 

 刀華とカナタはこの日を待ち望んでいた。昔、いくら挑んでも手も足も出なかった女。そんな女がやっと公の場に出てくるのだ。強い騎士と戦えるということは、騎士にとっては至上の喜びだ。それが幼馴染であるならなおさらのこと。

 詩音も二人の笑みに同じ好戦的な笑みで返すと、紅茶を一気に飲み干し、お菓子を一つ取ると、袋から取り出し、頬張る。

 

「あむ・・・んぐ、一応言っとくけど、刀華ちゃん、カナタちゃん、当たった時は容赦しないよ?」

「うん。当然だよ。私も本気で行くよ」

「私もですわ」

 

 詩音はそれに満足そうな笑みを浮かべると、ソファーから立ち、生徒会室の出口へ向かう。

 

「あれ?もう帰っちゃうの?」

「うん、今日はそれを伝えにきただけだし、これからも顔は出すよん。それに対戦相手に呼ばれたからね。皆も見るでしょ?」

「「「もちろん(ですわ)(だよ)」」」

「じゃあね!場所は第二訓練場だよ~」

 

 三人が返事をしたのを確認した詩音は、生徒会室の扉を開け外に出て、その足で第二訓練場へと向かった。

 

「ふふふ、久しぶりに暴れようか・・・・ねぇ、《龍星天牙(ミッドガルズ)》」

 

 

 その時、詩音の言葉に呼応するかのように、一瞬だけ、彼女の周りを黒い炎が包んだ。

──────────────────────

 

 そして時間は少し進んで、場所は第二訓練場。

 その中心に二人の騎士がいた。一人は《紅蓮の皇女》ステラ・ヴァーミリオン、もう一人は《眠り姫》龍切詩音。

 そしてそんな二人を見つめる幾つもの視線が観客席にあった。ステラと詩音のクラスの皆と珠雫、そして生徒会の三人がここ第二訓練場に集まっていた。

 

「シオン、模擬戦を受けてくれたことを感謝するわ」

「いや、別にいいよ~。私もステラとやってみたかったしね」

「そう・・・でも、やるからには容赦はしないわ!」

「それはこっちも同じよ!」

 

 そんな二人を見つめる生徒会の三人は、

 

「ねえ、カナちゃんとうたくんはどっちが勝つと思う?」

「私は、詩音さんですわ」

「僕的には、皇女様には頑張ってほしいけど・・・・・しーちゃんの実力は桁違いだからね。僕もしーちゃんに一票かな。そう言う刀華はどっち?」

「もちろん、しーちゃんだよ」

 

 そんな会話なんて知らない詩音は、戦いたくて今か今かとウズウズしていた。

 

「一輝、初めていいよ!早く戦いたい!」

 

 その言葉を聞いたレフェリーの一輝は合図を出した。

 

「それでは、これより模擬戦を始めます。二人とも、固有霊装(デバイス)を《幻想形態》で展開してください!」

「世界を喰らえ《龍星天牙(ミッドガルズ)》!」

「傅きなさい《妃竜の罪剣(レーヴァティン)》!」

 

 一輝の言葉にそれぞれ固有霊装(デバイス)を顕現する。詩音は闇のように黒く、そしてその手の甲に怪しく煌めく紅い宝玉のような物が埋め込まれている籠手を、ステラは炎を纏う黄金の大剣を顕現させた。

 

「よし、・・・・・・・・じゃあ、LET's GO AHEAD(試合・開始)!」

 

 数多の観客が見守る中、《紅蓮の皇女》と《眠り姫》の戦いは始まった。




詩音「遂に次回!私の実力が明らかになりますよ!!お楽しみに!」
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