自分(一夏)の身は自分(第二人格)で守るぜ!   作:揉む

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どうも、揉むと申します。
ええ、揉みます。 何をとは言わないですが揉みます。


プロローグ

我輩は憑依者である。 名前は織斑春秋。

さて、書き出しはこんな感じだろうか? 御機嫌よう、数あるIS二時創作の中からこんな作品を選んだ物好きの皆さん。

これは俺が、原作と違って弱くて、それでも正義感だけは無駄にある織斑一夏に第二人格として憑依、自衛手段のないくせに危険に突っ込むこいつを守る物語だ。

 

♢♦︎♢

 

「一夏、学校はどうだ?」

 

「…楽しいよ、友達もいるし。」

 

ダウト、と俺はそう呟く。

目の前の姉を心配させないために嘘をついた俺のご主人(表くん)は学校で虐められている。

というのもこいつは障害レベルのコミュ障、剣道をやっていてそれなりの腕だが、人を殴る覚悟はない。 それでいて面倒ごとに率先して首を突っ込む。

それのせいでこいつはクラスで虐めを受けていた。

 

「ねえ、春秋。 僕って何で嫌われるんだろう?」

 

『そりゃあお前が馬鹿で間抜けでコミュ障で甘えからだな。 先ずはその伸びた髪の毛を切るところから始めようぜ?』

 

春秋、そいつが俺の名前だ。

俺の表である織斑一夏の姉弟は数字+季節といった形で名前が作られている。 俺の名前の候補には春十だの百秋だのが浮かんだが、贅沢に残った2つの季節を頂くことにした。

なに、こいつにこれ以上家族が増えることはない。 なんてったって両親ともにこいつらを捨てて夜逃げしたのだから。

 

「無理、髪を切ったら人の顔を見れないよ。」

 

『んじゃ、俺を表に出せ。 お前を虐めてる奴ら全員全殺しにしてやるからよ。』

 

「それ全部殺してるじゃん…」

 

『アゼルバイジャン?』

 

「……?」

 

『ok、俺が悪かった。』

 

ついでに言うと俺はこいつとは違う記憶を持っている。

それがどうして得たものかも知らないが。

見ての通りネタの食い違いがよく起こる。

 

「でも… なんとか殺す以外でできないの?」

 

『お前のコミュ力じゃ無理。 生活にストレス感じてイマジナリーフレンド生み出しちゃうようなやつじゃ無理。』

 

「一夏、もう寝ろ。」

 

「あ、うん。 歯を磨いたらすぐ寝るよ。」

 

姉からの催促が入り、一夏は歯ブラシを手に取る。

 

『全く、お前もよくやるよな。 あんなことされても学校行くなんてよ?』

 

「うん、でも、行かなきゃ。」

 

あんなこと、ってのは虐めのことだ。 机に落書きだの軽いリンチだの。

 

『明日、何かあったら俺が出るからな?』

 

「駄目だよ。」

 

歯磨きを終えた一夏は歯磨き粉の混じった唾液をベッと吐き出し、口をゆすいだ後に布団に向かった。

 

♤♠︎♤

 

「おい、男女。 今日は木刀持ってきてないのかよ?」

 

「…今日は竹刀だ。」

 

教室の隅で掃除をする一夏(因みに押し付けられたものだ。)の視界には3名の同級生男子に絡まれる幼馴染の姿が映っていた。

篠ノ之箒、一夏の通う剣道教室の先生の娘であり、一夏の剣道の実力を知るものでもある。

 

「や、やめなよ。」

 

と、明らかに勝ち目の無いところに突っ込むのが俺のご主人である。

こっちは覚悟の無い雑魚一名、相手は男子3名、負けは確実。

 

「チッ… うっぜぇんだよお前!」

 

非常に切れやすいいじめっ子1人が一夏を殴り飛ばし、こいつは尻餅をつく。

 

『おいおい、勝てねえなこりゃあ?』

 

「うるさい、黙って!」

 

立ち上がろうとする一夏の顔面をいじめっ子の足がとらえた。

小学生の喧嘩においての強さは、間違いなく相手のことをどれだけ考えないか、で決まる。

その点目の前のこいつは何一つ相手のことを考えないクズ野郎、だから強い。

 

『なあおい、お前は箒を助けてェんだろ? ならよ、そんなのにこだわってる場合じゃなくね?』

 

「で、でもそんな男らしく無いこと…」

 

女々しいこいつだが、姉の言った漢らしくあれ、という言葉を非常に大切にしている。

それがこれまで俺が表に出られなかった理由だ。

 

『しかし、よぉ。 やりようによっては救える相手を、自分の事情で見捨てんのは漢らしく無いんじゃ無いか?』

 

「…それでも!」

 

「ブツブツうるせえんだよ!」

 

一夏と会話していたら、いじめっ子が立ち上がろうとした一夏の腹を蹴飛ばした。

 

「うっぐぅぁ…」

 

「お、おい。 やめとけよケンちゃん。」

 

鳩尾に入った蹴りに苦しむ一夏。

いじめっ子は一夏に興味をなくし、箒の方に目を向ける。

 

「ところでよ、お前が前にスカート履いた時あったろ?」

 

『あーあ、結局そうなんじゃん。 よこせよこせ。」

 

弱った一夏の意識を、無理やり奪い去る。 上手くいったな。

にしても苦しいな。 鳩尾に蹴りもらってっからか。

 

「なあ、おい。 こっち向けや。」

 

「あ!?」

 

一夏… 今は俺だが、俺にそんな口を聞かれるのが気に入らなかったのか、いじめっ子ことケン太は威嚇をしながら振り向いてくる。

 

「覚えとけ、先に手ェ出したのはてめえだ。」

 

振り向くケン太の左の頬を、右手に渾身の力を込めて殴り抜く。

 

「がっ!?」

 

「まあやられたことをそのまま返すのがセオリーだな。 先に手を出したのがあっちだってのも言い訳になる。」

 

『あ、春秋! 駄目!』

 

「やだね。 さて、次は顔を蹴り飛ばすのか。」

 

起き上がろうとするケン太の顎を下から蹴り上げる。

 

「んで、最後に鳩尾キック? おら、早く起ち上がれ。 倒れてちゃあ蹴りにくいだろうが。」

 

「や、やめろ春秋!」

 

ビビっているケン太の取り巻きの代わりに声をあげたのは箒だった。

 

「正解、今の俺は一夏じゃない。 なんでやめろって?」

 

「やはり春秋か…やり過ぎだ。 そんなになった相手をこれ以上傷つけるのは…」

 

「男じゃない、ってか? ならそれで構わねえ。 泣き寝入りするのが男のやり方なら俺は男じゃなくて結構。 ほら、早よ起きろや。」

 

因みに箒は俺のことを知っている。

何度か春秋モードで話したことがあるので。

 

『春秋! これ以上は…』

 

「黙れよ、甘ちゃん。 手前のために戦ってんだから黙って見てろや。」

 

埒があかない、とケン太の胸ぐらを掴んで持ち上げようとした時。

 

「何をやっているの!?」

 

教室の戸を開けて先生が入ってきた。

 

「俺は友人が虐められているのを止めようとしたら顔面を殴られ、蹴られ、鳩尾も蹴られたので正当防衛をしていただけです。」

 

両手をヒラヒラと振りながら無罪証明をする。

 

「とっ、とにかく来なさい! そこの2人はケン太君を保健室に連れて行って!」

 

先生は俺の腕を掴んで強引に引っ張って行く。

ムカつくな…

 

「なぜ俺が叱りを受ける? なぜ俺があんたに無理やり連れて行かれる?」

 

「友達に暴力を振るったからよ!」

 

「は? 友達、あいつらが? ねえよ、自分のこと虐めてる奴を友達と思うわけがねえだろうが。 友達じゃねえから暴力は振るってもセーフだろ?」

 

「っ! …………」

 

俺の発言を聞いて、教師は沈黙する。

そりゃあそうだ。 虐めを見ていながらも子供の戯れとして放置しといたこいつには、何も言えまい。

 

「とにかくここで待ってなさい!」

 

応接間にぶち込まれて、扉を閉められる。

おそらくは電話をかけに行ったのだろう。

 

♤♠︎♤

 

「とにかく! あなたのところの弟さんが私の息子を…」

 

応接間のソファに腰掛けて、足を組んだ俺は目の前の肥えたババアの話を聞き流していた。

こいつはケン太の母親だそうだ。

 

「すみません。 私からもよく言って聞かせます。」

 

「あなた、これがどういうことか分かってるの!? 子供のしたことの責任は保護者が取るべきでしょう!?」

 

平謝りする姉に、豚は数度かループした話をまたしだす。

正直もう帰りたいので、この辺で締めてもらうとしよう。

 

「んじゃ聞くがよ、俺も御宅のクソ息子に怪我させられてんだけど、慰謝料と謝罪まだ?」

 

話が始まって三十分以上経っても一度も発言をしなかった俺が声を出して、姉と豚が驚く。

 

「ま、まて春秋!」

 

「うるせえ、謝るべきはこっちじゃねえよ、姉貴。」

 

俺を止めようとする姉貴を制して、口を開く。

 

「んで、謝罪まだ? hurry hurry(早く 早く)。」

 

「子供のしたことでしょう!?」

 

「はい、特大ブーメラン。 あんたも子供のしたこと怒ってるんだけども、因みに俺のは反撃だから、正当防衛だから。 ほら見ろよこれ。」

 

シャツを捲り上げて腹の痣を見せた後、頬を突き出す。

 

「これ、あんたんとこの息子につけられた傷ね、頬二発と鳩尾一発。 さて、子供のしたことは親が責任とるだっけ? そんじゃあ落とし前つけて貰おうか?」

 

「だから! それは子供のしたことで!」

 

「んじゃこれから俺がするのも子供がすることだ。 頬に拳一つ、頬と鳩尾に蹴り一発ずつ。 やりやすいように立ってくれや。」

 

立ち上がって、クラッキングをしながら相手にも立つように促す。

因みに一夏には寝てもらっている。 今話しかけられてもうざったいだけだ。

 

「な、何を言っているの!? なんで私が…」

 

「これもう際限ねえな。 悪いけど俺帰るわ。 あんたは俺の言ったことをよーく、よぉく反芻しろや。」

 

姉の首に腕を引っ掛けながら出口に向かう。

 

「ちょっ、春秋! 待て!」

 

「なんだよ。」

 

「まだ話し合いは終わって…」

 

「あれと話してて、決着つくと思う?」

 

「…それは。」

 

「ほら、結論出たぞ。 よし帰ろうすぐに帰ろう速やかに帰ろう。」

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