かっとビングだ、俺!!
全く休めなかった休校日から翌日、落ちそうになる瞼を持ち上げながら登校すると、「皆ーー!!朝のHRが始まる席につけーー!!む!?札戯君ギリギリじゃないか!」「…ああ、」既に飯田がフルスロットルだった。寝不足で頭が痛いので返事が雑になる。
流石に相澤先生は来れないんじゃないか?と予想していたが、包帯グルグル巻きながらも普通に教室に入ってきてビビる。さ、流石プロ…
心配で騒めく生徒達を「俺の安否はどうでもいい」とばっさり切り捨て「戦いはまだ残ってる」と言う。…なんだ昨日の俺の反省文の事か…!?
「雄英体育祭が迫っている!」
「クソ学校っぽいの来たあああ!!」
教室の誰かが代弁した叫びにそういや今更ながら高校だったのを思い出した。入学してから色々なイベント(物騒)が目白押しだったからな(白目)。
にしてもマスコミのセキュリティ突破やら一昨日の襲撃事件の事もあるのに決行できるのか?俺の疑問を誰かが代弁した結果、相澤先生は「逆に開催して雄英の危機管理体制が盤石だと示し警備は例年の5倍にする」らしい。成程。
確かに雄英の体育祭はスカウトの場でもあり、生徒達にとって在学中一年に一度のアピールの場で毎年開催しているからなぁ。
相澤先生は「時間は有限。年に一回…計三回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ!」と締めくくった。
「あと札戯、お前放課後反省文提出しろよ」「ウィッス」
謂わばこの体育祭は就職活動の一環でもあるのだ。俺だって躓いてはいられない。
それに何しろ個性使用有りの巨大規模の体育競技、今回は奮発して普段使わないようなデッキを使うべきか?机中にデッキを置きながらシミュレーションしていく。
X召喚やP召喚はやったことないが徒競走なら『RR』で無言の飛行、いやいっそ『EM』、だが団体戦だった場合は……「…その前に、反省文終わらせるか…」
午前の授業終了後、意気込むクラスメイトを尻目に放課後までの休み時間の合間、必死に書いた結果ようやく書き上げ、提出しようと顔を上げた時、なにやら教室の外が騒がしいのに気が付いた。
なんぞや、と教室の窓から廊下を除こうと窓開けた途端、一斉に此方へ向けられる他生徒の目線に勢いよく窓を閉め直した。なんだよ、なんで見てんだよ…?
「なんだあれキモッ…」「き、キモッて…」「おお、出久、何これ?」
取りあえず近くにいた出久に聞くが彼もよく分ってないらしい。代わりに応えたのは勝己だった。
「敵情視察だろザコ。敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭の前に見ときてぇんだろ。
意味ねぇから退けモブ共」
お前は喧嘩腰じゃないと発言が出来ないのか…そう物申したいが、正直これはウザいので今回は同意見である。こちとら今日先生方が5時から職員会議なんだよ…。
「どんなもんかと見に来たが、ずいぶんと偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」「いや、違うコイツだけだ。(真顔)」
「一緒にしないでくれ」と後ろから手を振って言うと「ア゛ア゛ッ!?」と飛んできたがスルー。人ごみかき分けて来た紫髪の隈の男子生徒は普通科の生徒で宣戦布告に来た様だ。
生徒達にとって実力の見せ場であると同時に振るい分けの場でもあるのか。続けて同じクラスの厳つい男子生徒が同じく宣戦布告してきた。この学年は大胆不敵な人間ばっかりだな。
完全アウェイとなってる空気の中を気にせず勝己は言い放つ。
「上に上がりゃ関係ねえ」
フッ、成程、俺好みの答えだ…。まさに単純明快、シンプルイズベスト。納得する俺達に電気が「無駄に敵増やしただけだぞ!」と言うが「当日になれば自分以外全員敵じゃね?」と返すと「…そうだけどよぉ…」と言い淀む。
「退いてくれ。どっちにしろ通行の邪魔だから」若干退いた人ごみをかき分け出て行って職員室へ向かうとギリギリ間に合い相澤先生に提出出来た。安堵する俺に相澤先生から「そういや体育祭の選手宣誓オマエな」と告げられる。!!?
「例年ウチの体育祭の選手宣誓はヒーロー科の入試一位通過がやってんだよ」「」
……マジか……
それから二週間までは個々人の準備期間。俺も同じく真剣にトレーニングを行った。
”個性発動”の終了を宣言して意気込む。
「お楽しみはこれからだ!」
体育祭当日。
「皆 準備は出来てるか!?もうじき入場だ!!」「コスチューム着たかったなー」「公平を期す為着用不可なんだよ」「ならしょうがねーか。俺もディスク付けたかった」
控室で友達と駄弁りながら使う予定のデッキを一つ、体操服のポケットに入れ、待機していると轟が出久が対峙した。意外な組み合わせに目が行く。
轟は客観的に見ても自分の方が実力が上だと言いつつも『オールマイト』が目を掛けるという出久へ宣戦布告する。
だがそれを受け止め、自分だって取られるわけにもいかないと言う出久に、当然ながらクラス全員各々決意があるのだと感じ、自分の手の中のデッキを見つめる。
精神年齢がいい歳した大人が、大人気ないと思うだろうが、その時俺は彼らを見て、自分の胸中で一つの目標を打ち立てた。
熱気に包まれる会場、騒めく観客、舞台へ射す眩しい光
『雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそは、とシノギを削る年に一度の大バトル!!
どうせテメーらアレだろ、此奴等だろ!!?敵の襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!!
ヒーロー科!!1年!!!A組だろぉぉ!!!?』
一気に湧いた会場に自分達がどれだけ注目の的であるかが分かる。しかもコレ、テレビで全国生放送してるんだよな…、変なデッキ使えねーわ。
今年の主審、18禁ヒーロー『ミッドナイト』の登場に常闇が「18禁なのに高校にいてもいいものなのか」と零す。俺的には嬉しいけど同感だ。と頷いていると突然呼ばれる俺の名前。Oh…そういやそうだった…。
痛む頭を押さえ、騒めく周囲をスルーして壇上へ上ると、当然ながら会場中の視線が集まる。……ちょ、ちょっと待って、真面目に考えてた台詞忘れた……な、なんて言おうとしてんだっけ俺…!!?
…ああもうかっとビングだ!!俺!!
「宣誓、俺達生徒全員、なるべくリカバリーガールのお世話にならないようにすることを誓います」
『そりゃそうだけれども!!!!!!』
間違ってないけど、緊張し過ぎて考えて無かった事口走ってしまった。
おのれドン・サウザンドォ!!
ちゃ、ちゃんと気を取り直してもう一度、
「…そして、」
「キング(になるの)は一人、この俺だ!!」
……いや確かに目標はそうだけど、ココで言いたかった言葉と違う!!!