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何!カードを操るなら決闘者ではないのか!?
目が覚めたら知らない天井だった。
昨日まで会社に出勤してベットで寝て、次起きたら知らない部屋でしかも一軒家だったから「俺アパート引き払った覚えないんだけど……」とか訳わからんこと言ってしまった。
しかも俺なんか若くなってない?アポトキシン飲んだ覚えないんだけど?
暫くしても誰も部屋に来ないから勝手に見て回ったが、部屋の押し入れにはなんと俺の数年掛けて集めた“遊戯王”のカードが、種類に分けて整理整頓されていた。
よくよく部屋を見てみると、俺の長年の相棒であるメインの“HERO”やサイドの“暗黒界”など、いくつか作っていたデッキが机の上においてあり、思わずコロンビアしてしまった。
これがなかったらマジで立ち直れなかったかもしれない。
部屋から出てリビングに行くとキッチンに母がいた。
俺に気付いて振り返った母は記憶の中の母より疲れた顔をしており、何より若かった。確か今年で「は?」おっと、誰か来たようだ…。
それより「家、何時の間に改装した?」と聞くと母は不審そうな顔をして「何言ってるの、建てた時からこうじゃない。」と言う。…どう…いうことだ…?
混乱する俺に母はテーブルを指さして「アンタに手紙来てたわよ?」と告げる。見ると白く薄い封筒が置かれていたので遠慮なく封を切って読んだ。
中身を要約すると『此方の不手際で死んじゃったのでもう一回若がえらせて別の世界へ転生させたよ!!神様より』とのことだ。マジかよ、としか言えなかった。
そして中には俺自身の住民票のコピーが入っており、確認すると俺の苗字変わってる上に13歳になってた。何だ『札戯』って。テレビ前のデジタル時計を確認すると西暦も巻き戻っており、この年は確か俺が中学生だった年であることが分かった。どこぞの神父みたいに一巡させちゃったとしたらマジで笑えない。
母が「大丈夫?」と聞いてきたとき、俺はようやく我に返った。
次にテレビをつけてみると、『昨日午前中までに、平和の象徴オールマイトが
俺はキャスターの後ろで流れる映像にくぎ付けだった。
合成映像じゃないのこれ?
なんか文字通り化け物みたいな人型と画風の違う人間が戦っている映像だった。
どういうことだ!?まるで意味が分からんぞ!
世界を一巡(語弊)させられた以上のインパクトにお茶を吹いてしまった。
おおおお落ち着け!
こういう時!大事なのは情報収集からである!俺は社会人、社会人……まだ慌てるような時間じゃない!
不審物を見るような母を置いておき、まずは新聞や本や、スマホで調べてみると色々分かったことがある。
この世界の約八割が何らかの“個性”を持つ特異体質でそれに伴い、
爆発的に増加した犯罪を行う
“個性”があることが当然であり、その個性が強ければ強い程
社会的地位が向上し、それに連なり収入と名声を得る、正に個性格差社会……というのがこの世界である。
こういう記事を見ると『俺本当に別の世界に来たんだなぁ』と実感する。
だがそれ以外に一つ気になることがあった。
兄貴と父の気配が、この家に無い。
部屋も少なく俺と母以外の人間が住んでる気配がない。
気になった俺は「兄貴と父さんの部屋は?てか今日いつ帰ってくんの?」と母に率直に聞くと「…私とアンタの二人暮らしでしょう、何言ってるの」と顔を歪ませた。
俺の記憶の中の両親と兄貴はお互い悪態を吐いてはいたが、決して仲は悪くなかった筈である。深く聞こうと思ったがかつて見たことない程の険しい顔に聞くのを憚られる。
リビングに漂う険悪な空気に気まずくなって目を右往左往する。神様の言っていたこの世界は”個性”を持つことが普通の世界である。もしかしたら”此方の俺”は個性を持っているかもしれない。そう思い至って母に話題変換のつもりで聞いた。
「あー…俺の個性って覚えて「無いわよ」
「…え?」
「無いわよ」
目を上げて見てしまった能面のような母の表情に、情けない事に一歩仰け反った。凍り付く俺をお構いなしに母は続ける。
「貴方は”私”と同じ”無個性”よ」
それからの記憶は覚えてない。気が付いたら俺は押し入れの中に引き籠っていた。今日からこの部屋が我が城であると言わんばかりの勢いで引き籠っていた。
母の顔を思い出しながら、どうせなら遊戯王の世界がよかったなぁ、と零しデッキ調節しようと“E・HERO”に手を掛けた瞬間――
カードが光って目の前に【バーストレディ】と【スパークマン】が現れた。
………どういう……ことだ……!!!?
「世界が一巡したと思ったら闇属性を背負わされた」