家族の絆   作:坂本ヒツジ

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私、幸せになります。

 彼のスマホが鳴った。

 きっと裁縫が終わったんだ。

 彼と2階に行くと、同じ人が待っていた。

 

「花嫁の人はあちらの部屋です。花婿の方はこちらの部屋になります。着付け係の人がいますから、そちらでお着替えになります。」

「ああ、ありがとう。さてと、行きますかね。」

「はい」

 

 ついに花嫁衣装を着る時がきた。

 彼とお揃いで、しかも私が着たかった和服。

 母さんがこの場にいたらいいのになぁ。きっと母さんも喜んでくれるはず。それだけはちょと寂しかったけど、嬉しい気持には変わらない。

 それに、彼はハンサムで、背が高くって、思っていた以上に優しい。

 

 さて、着付けしてもらったので、外に出て、彼にこの姿を見てもらわないと。

 意外と歩きにくいなこれ。

 

 わー、彼、かっこいい。

 本当に私の旦那様になってくれるのかな。

 

 また、ドキドキしてきた。あ、彼を何て呼んだらいいんだろうか。

 しっかりと聞かないと。

 

「美貴、とっても綺麗だよ」

「ありがとうございます」

「さてと、いよいよだな」

「はい」

「あのう、貴方のことをなんとお呼びしたらいいですか?」

「そうだな、智でいいよ」

「え、それはいけません。呼び捨てにはできません」

「呼び捨てではなく、信頼しあった夫婦は、親しみを込めて名前だけで読んだ方がいいと思うんだよ。ま、時にはさっき言った、貴方でもいいけどね」

「はい、わかりました。智、さん」

「おいおい、さん付けになってるぞ」

「すみません、努力します」

「いやー、謝る事でもないよ。無理をしないでいいから」

「はい」

 

 うー、緊張するー。

 今朝初めて会った彼を名前だけで呼ぶなんて今の私には無理。

 でも、言わないと、怪しまれる。

 

 それにしても、彼の優しさが伝わってくるわ。

 記念撮影も彼は優しかった。

 

 私と彼は結婚式場に入っていった。

 

「2人とも、 並んでこちらに来なさい」

 

 曲が流れてきた。

 

 やっぱりこの曲なんだ。

 

 女の子が憧れる結婚式での曲はどっちかだもんね。

 

「 美貴。この曲、知っているかい」

「はい、この曲は結婚行進曲として昔から親しまれています。作曲者はワーグナーです」

「そうか、この場の雰囲気にぴったりだな」

 

 彼が私の手を取って、ゆっくりと前の方に進みでた。

 前の方に行くと、老人がそこで止まりなさいと指示をした。

 

「えー、これから結婚式を始める。その前に君たちの名前を教えてくれないかね」

「俺の名前は智で、彼女の名前は美貴です」

「ではタブレットの、こことここにサインして」

 

 彼は、契約の規則を素早く読んでサインした。

 私は契約をじっくりと読んでサインした。

 もし、私が人間と判った時の為に、結婚の規則を知っておきたかったからだ。

 

 規則では、 この時からアンドロイドは、人間としての権利がある事が書かれてある。思っていたよりも今後の生活はしやすいのかもしれないわ。

 

「よろしい。ではお互いに 向き合いなさい」

 

 お互いに向き合い、見つめ合った。彼も緊張している。

 

「今、私たちは、智さんと美貴さんの結婚式をこれからあげます。智さんと美貴さんは今結婚しようとしています」

「智さん、あなたはこの女性を健康な時も、病の時も、富める時も、貧しい時も愛し合い、なぐさめ助けて、人生が終わるまで変わることなく愛することを誓いますか」

「はい、誓います」

「美貴さん、あなたはこの男性を健康な時も、病の時も、富める時も、貧しい時も愛し合い、なぐさめ助けて、人生が終わるまで変わることなく愛することを誓いますか」

「はい、誓います」

「お二人は、自分自身をお互いに捧げる覚悟がありますか」

「はい、捧げます」

「はい、捧げます」

「では、誓いの印として指輪を」

 

 さっき2人で買った指輪を、彼が私の指に嵌めてくれた。

 

 私は彼の指に指輪を嵌めた時、私の手が少し震えていた。

 

 こんなに緊張するなんて 。

 

 彼も同じように緊張しているのが伝わってくる。

 

 私は、喜びの感情を抑えることができなかった。

 

「ここに、この2人が夫婦であることを宣言します。誓いのキスを」

 

 始めてのキスを、彼は優しくしてくれた。

 母さん、私幸せになります。

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