学園都市に舞い降りた天使たち   作:灰色

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禁書も絶チルも大好きなのでやっちゃいました。



1話「交差」

その1室はまさしくも戦場だった。

学園都市にある何の変哲もなかった(・・・・)古びたアパートの一室を形容するのに他の言葉でも物足りない。

しかしその戦場に立つのはただの4人の人間のみ。

1人はルーンを操る天才魔術師。

 

「Fortis931……!」

 

1人は長大な太刀を携えた聖人。

 

「Salvare000!!」

 

1人は『光の柱』を眼前に浮かび上がった魔方陣から発している修道女。

 

「―――警告、第二二章第一節注釈。発動中の術式『聖ジョージの聖域』、展開中の『神よ、なぜ私を見捨てたのですか(エリ・エリ・レマ・サバタクニ)』に加え更なる術式の展開の必要性を確認。

外界からの干渉を『上条当麻』に試みます」

 

1人は不幸な少年。

 

(この物語が、神様の作った奇跡の通りに動いてるってんなら―――)

 

主人公たちはハッピーエンドへと手を伸ばし、

 

「―――対象『上条当麻』へ直接的な外界による干渉を失敗。魔導書『斜向かいお隣さん(エトランゼ)』禁

忌の章より術式を抜粋。

真白い明(ノワール)』展開完了、接続を確に」

 

(―――まずは、その幻想をぶち殺す!!)

 

”右手”は確かに敵を捉え、カミサマのシナリオに亀裂を開けた。

 

 

 

21世紀を迎え、超能力者(エスパー)は日々増加の一途をたどっていた。

そんな超能力者について日本政府の政策を一任されている組織があった。

内務省特務機関超能力支援研究局(BAse of Backing Esp. Laboratory)、通称B.A.B.E.L.(バベル)

バベルの超能力に関する分野はとても広い。

超能力に関する研究にはじまり災害や事故などの予知、それの阻止や救援など超能力を国内で(事案によっては国外でも)活かせる機会のほぼすべてを担っていた。

というのもバベルの基本理念は「超能力者と普通人(ノーマル)との共存」にあり、増加しているとはいえ未だ社会的少数派である超能力者の有用性を示すために行動しているのだ。

そして超能力とは既存の物理法則をねじ曲げることができる力のことを指す。

また超度(レベル)(超能力の強さ)は人によってまちまちで1から7で表される。

数字が大きくなるほど超度が高いことを示し、中でも最高値である超度7に至っては計測不能なほどの能力であるという意味だ。

超度7の超能力者は国家に1人存在するだけでも他国に対する抑止力となりえる強力さを持っている。

そんな超度7を持つ超能力者は日本には現在3人存在する。

しかもその3人は花の女子中学1年生、13歳。

1人目の明石(あかし) (かおる)が持つ能力は念動能力者(サイコキノ)

実際に触れることなく物を自在に動かすことなどが可能。

その強力さは鉄筋でできたビルを容易に粉々にしトラックをお手玉のように操れるほどだ。

非常に攻撃性のある能力を持っている反面その容姿は活発な赤毛を背中あたりまで伸ばした美少女でかなりのギャップがある。

ちなみにここ最近オヤジから乙女に開花しつつある……いやどうでもいいことかもしれない。

2人目は野上(のがみ) (あおい)、彼女は瞬間移動能力者(テレポーター)

自らだけでなく離れた対象をも指定された座標へと跳躍させる能力だ。

マッハ5を超えるスピードで移動することが出来、本来ならば不可能であるほどの空間ノイズがある場所でもテレポートを可能としている。

京都出身で大阪弁を使い黒髪をストレートに伸ばしている。

メガネっ子で少々控え目な胸囲がチャームポイントな少女だ。

3人目の名前は三宮(さんのみや) 紫穂(しほ)

彼女が持つ能力は接触感応能力者(サイコメトラー)

触れたもの、人間やそれ以外を問わず記憶を読み取ることが出来る。

一見すると攻撃力の貧弱な能力のようだがこの能力は物の記憶(けいけん)を読み取るため、紫穂は目をつぶった状態でも弾道予測で銃器を使いこなす。

容姿は可憐な少女だがその腹黒さは超度7どころではない。

そんな彼女たち3人の担当者(ほごしゃ)である皆本 光一(23歳。メガネ。頑固系男子。終わり)を加えた4人がB.A.B.E.L.に所属する特務エスパーチーム「ザ・チルドレン」なのである。

 

 

 

B.A.B.E.L.緊急出動用ヘリ。

 

 

「なんか僕の説明だけ異様に手抜きじゃないか……?」

 

「何意味のわからないこと考えてるの皆元さん」

 

「いやなんでもない、ってまた勝手に思考呼んだなー!?」

 

「きゃー能力が暴走しちゃったーごめんなさーい」

 

天晴れと言いたくなるほどの棒読みである。

 

「紫穂ー!」

 

「皆元はんそないなことどうでもいいからはよ今回の予知教えてや」

 

「そーだぞ皆元!

あたしたち授業中だったのに」

 

「いやいやそっちはティムがバックアップに回ってるから大丈夫だよ」

 

「そーじゃなくて折角体育で悠理ちゃんとくんずほぐれつの組み体操が待ってたって言うのに……!」

 

「おのれはオヤジかー!」

 

「「薫(ちゃん)……」」

 

「うっせー!

はやく説明してよ!」

 

「……まぁ学校を抜け出させてしまったのはすまないと思ってるよ。

それで今回の予知なんだがB.A.B.E.L.の予知課で高超度エスパーによるノーマルの大量殺傷事件が予知された」

 

「大量殺傷……!」

 

「そないなこと!」

 

「ああ、絶対に防がなければならない。

〈有効変動超度7〉で君たちでなければこの事件を防ぐことはできない。

「ザ・ハウンド」「ザ・ダブルフェイス」「ザ・ワイルドキャット」の3チームがバックアップに回ってくれるとは言え君たちが頼りだ」

 

「葵、紫穂絶対に止めよう……!」

 

「もちのろんや!」

 

「ええ。

皆元さん、ご褒美期待してるわよ♪」

 

「あ!紫穂だけずるいー!」

 

「うちらにもご褒美ー!」

 

「誰も何かあげるとは言ってないだろーが!

……まぁ家に戻ったらまたお菓子でも作ってやるさ」

 

「よっしゃー!」

 

「―――特務エスパー「ザ・チルドレン」解禁!」

 

 

 

都内。事件発生予測現場。

 

 

「こちらC-02(あおい)

現場上空に到着したけど人が多すぎてどれがどれだか全然わからへん!」

 

突如、誰もいなかった空中に葵が現れた。

瞬間移動を駆使し薫と紫穂に先んじて事件発生予測現場まで訪れたのだった。

彼女は高層ビルの下に見えるスクランブル交差点を見て叫んでる。

 

『犯人を刺激する恐れがあるため避難誘導は出来ない!

そっちに怪しい奴はいないか?』

 

通信から聞こえる皆元の指示に従うようにもう1度眼下の人込みを見るがやはり誰が怪しいなどは見てとれなかった。

 

C-01(かおる)到着!」

 

C-03(しほ)も到着よ」

 

そこに念動力で紫穂を連れて言葉のごとく飛んできた薫が混ざる。

 

(こちら「ザ・ダブルフェイス」です。

危険な念波を感知しました!)

 

チルドレンと同様の特務エスパーチームである「ザ・ダブルフェイス」から念話が彼女たちに届いた。

ダブルフェイスは超度5の索敵や捜査に適した能力を持つ女性エスパー2人のチームだ。

 

『こっちよ3人とも!』

 

チルドレンから少し離れたとこで浮遊する「ザ・ワイルドキャット」梅枝(うめがえ) ナオミからも緊迫感に満ちた通信が入る。

 

『予知に変動が見られた!

事件発生まであと30秒!?』

 

「葵ちゃん私をあそこに降ろして!」

 

「了ー解や!」

 

人込みに紫穂が瞬間移動し周囲の人込みにどよめきが走るも彼女は意にも介さず地面に手を触れサイコメトリーを始める。

 

(少しでもいい!

いくら抑えているとはいえそんな攻撃的な破壊衝動を出せていないわけない……!)

 

地面を介し、周囲100メートルほどに立つ人々それぞれの精神に対し同時に侵入を試みる。

 

(この中でエスパーは11人発見!

そのうえで強力な破壊衝動を持っているのは……居たわ!)

 

「薫ちゃん!私の後方28メートルに居る男を取り押さえて!

葵ちゃんは周囲の人をテレポートさせて!」

 

「ほいな!」

 

「いいっくぜぇー!

念動(サイキック)ーぅ!超抑止力(ハイパープレス)!!」

 

2人が叫ぶと同時に紫穂の後方からどんどんと人が消えてゆきあっという間にほとんど人がいなくなる。

そしてその人が減った空間に1人取り残された中年の男に対し薫が念動力で圧力をかける!

 

「ぐぅあぁぁ!

ちっくしょお!つかまってたまるかよぉ!!」

 

1度は薫の能力で地面へとめり込むほどのダメージを受けた男だったが自身の念動力を放ちなんとか中和をして立ちあがった。

そして男の敵意は最も近くに居る紫穂へと向けられる。

 

「やばっ」

 

『トリプルブーストを使う!』

 

皆元から通信が入ると即座に薫と葵は紫穂の元へと移動した。

そのせいで薫の拘束が緩み男が能力を発動させる。

男から四方八方に発射された空気の刃がチルドレンへと疾駆した。

 

『「ザ・チルドレン」、完全解禁!!』

 

「―――!!!」

 

「あがっ」

 

チルドレンから発した念動能力は全方位に広がるカマイタチを消滅させ男の意識を刈り取った。

 

「皆元っ!」

 

『ちょっと待ってくれ……良しっ、予知を覆した』

 

 

 

コンクリートがばらばらになった現場を検証する皆元をチルドレンの3人は見ていた。

 

「私が手伝おっか」

 

「紫穂はさっき頑張ってくれただろう。

君たちは先に帰っててもいいんだよ」

 

「もう学校も終わってもうたし折角やから一緒に帰らへん?」

 

「そうかい?

じゃあ早めに切り上げようかな」

 

事件を無事解決したチルドレンに皆元もやさしく微笑んだ。

 

「君たちは本当によくやってくれたよ。

道路がめちゃくちゃになっただけで人的被害はゼロだ」

 

「ねぇ皆元、さっきのおっさんって何でこんなことになったの?」

 

「今回の犯人はバベルの不活性能力者リストにも載っていなかった。

おそらくだが最近超能力に覚醒したばかりだったんだと思う。

ストレスか何かがトリガーになって破壊衝動が表に出たんだと思うよ」

 

他のバベル職員に現場の検証をまかせて皆元はチルドレンのもとに歩いてきた。

後ろのほうでは「ちぇっいいなー先に帰りやがって」「畜生めいちゃこらいちゃこら……!」などと呟いてる気もするがいつものことなので彼は気にしない。

 

(てゆーか思ってることくらい隠せよ……)

 

訂正、表に出さない。

 

「まーそんなことより皆元さん、ご褒美に何作ってくれるの」

 

「そうだね。

またガトーショコラでも」

 

「「「もうそれはいい」」」

 

と、そんな感じに気を抜いていた。

それ故に4人は突如周囲に現れた魔方陣に反応することが遅れてしまった。

 

「何だこれは!

葵テレポートで脱出できるか!?」

 

「あかん!

この変な絵の向こう側の空間を認識できへん!」

 

「薫!」

 

「念動ー正義の盾(イージスシールド)!!って」

 

「そんな薫ちゃんの盾をすり抜けて―――!」

 

「3人とも僕につかまれ!」

 

圧迫するかの様に迫る魔方陣を4人は防ぐすべもなく飲み込まれた。

 

 

 

???

 

 

「こ、こは?」

 

意識を取り戻した皆元はがんがんと頭痛がする頭を自覚した。

痛みを無視し無理やり体を起こすと彼の周囲に寄り添うように倒れたチルドレンの3人がいた。

 

「3人とも大丈夫か」

 

「う、ん皆元?」

 

「皆元はん……」

 

「あれ私たち」

 

「良かった君たちも無事か。

そういえばここはどこだ」

 

立ち上がろうとする3人に座るように指示し皆元は周囲を見渡した。

 

「ここはどこかのビルの上か?」

 

「東京タワーもないしかなり遠くに飛ばされたみたいね。

私が透視()てみましょうか?」

 

「頼めるか紫穂?」

 

「ええ。

―――っつぅ」

 

地面に手を触れサイコメトリーをしようとした紫穂だったが突如響いた頭痛で能力の行使が出来なかった。

 

「紫穂!」

 

皆元以外の2人も立ち上がり紫穂に立ち寄ろうとするが自分たちも頭痛で動くことが出来ずに動けない。

 

「君たち!」

 

焦る皆元だったがチルドレンには外傷がみられない。

 

(トリプルブースト直後に無理な能力を駆使したせいか?)

 

自身の携帯に届くチルドレンの生体反応に大きな異常は見られない。

 

(なんだ?

携帯圏外?)

 

「とりあえず君らはここで待機しているんだ僕が救急車を呼んでくる」

 

「ねぇ皆元、あれ見て」

 

薫が指をさす先、ビルよりももっと上の青空を見て皆元は言葉を失った。

宇宙へと届いているのではないかと思えるほどの建造物。

 

(まさか軌道エレベータとでもいうのか?)

 

上空にはその建造物の付近を飛行船が浮遊している。

その飛行船にはある意味皆元が見なれた表記がされている。

ようこそ学園都市へ、と

 

(……学園都市?)

 

「皆元はん?」

 

皆元が周囲を見回すも彼の知る「学園都市」にあたる建造物はない。

 

(ここはどこだっていうんだ)

 

そこは皆元が思い当たる日本国内のどこの都市でもなかった。




ご意見ご感想などいただけるとうれしいです。あと絶チル関連のオススメ作品とか教えてくださるとヘブン状態に喜びます。

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