学園都市に舞い降りた天使たち   作:灰色

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感想もらって調子に乗った結果がこれだよ!……ごらんくださいませ。


2話「邂逅」

とある男子寮

 

 

「これからよろしくなんだよとうま!」

 

「あーはいはいこちらこそよろしくな」

 

つい先日、命をかけた(らしい)死闘の末、上条当麻の自宅である(らしい)寮に居候が加わることとなった。

居候の名前は禁書目録(インデックス)

純白の修道服を数多くの安全ピンでとめた銀髪の少女だ。

禁書目録とはもちろんのこと本名ではないのだが世界中のだれもが彼女のことをそう呼んでいるらしい。

 

「えへへーおじゃましますなんだよ!」

 

「なーに言ってんだよ。

ただいま、だろ?」

 

カエル顔のあの奇妙な医者からもう大丈夫のお墨付きを得てこうしてインデックスとともに帰宅した次第である。

 

「!

うん!ただいまとうま!」

 

嬉しそうに笑う禁書目録を見て上条も心が和んだ。

 

「それじゃあなんか昼飯でも食うか!」

 

「わーい!

とうまの作ったご飯はひさしぶりなんだよ」

 

「お、おう」

 

(久しぶり、か)

 

「あっつーい!

窓をあけなきゃー」

 

そわそわと嬉しそうにするインデックスを見ながら上条は申し訳なくなる。

懐かし気に部屋を見回すインデックスだったが上条にとっては全く見知らぬ部屋だ。

そう、覚えていない。

あの日上条当麻は「死んだ」。

思い出を失った。

 

(前の俺はインデックスに何を作ったんだろうな)

 

と、当人は自覚していないが寂しい笑顔を迎えつつ上条は冷蔵庫を開ける。

 

「ってくせぇ!」

 

ニヒルな表情はまったく長続きしなかった。

原因は冷蔵庫の中からものすごい異臭がしてきたためだ。

 

(なんだこの匂い……あれ冷蔵庫だってのに冷えてないですと?)

 

「今の」上条は知る由もないが数日前、インデックスと出会った当日の時点で彼の部屋の冷蔵庫は全滅していた。

 

(くっそー仕方ないからカップ麺ぐらい一般学生ならもってんだろ……ないっ!?)

 

これも上条は知らないがカップ麺も全滅済みだ。

 

(何も食うもんがない……ですと……不幸だ)

 

「はぁーしゃーねえなあ。

インデックスー外で飯食いに行くぞー」

 

「え!?

外食なの?

やったー!」

 

嬉しそうにぴょこぴょこ跳ねまわるインデックスをみて冷蔵庫の件など上条はどうでもよくなった。

 

(ここに来るまでにファミレスとかあったしな。

財布には2000円札もあったし大丈夫だろ)

 

上条が玄関のドアを開けるとけたたましいブザーが聞こえた。

 

「ん?」

 

「あ!

君はこの建物の住人かい?

すまないが警備ロボット(これ)をどうにかしてくれないか?」

 

上条とインデックスの前には学園都市の警備ロボットに囲まれるメガネをかけた青年と目が合った。

年のころはスーツを着なれている雰囲気も相まって年上に見える。

眼鏡の向こうにある童顔は困惑を示している。

上条はロボットに自分の持つIDを提示し青年を助けてやった。

減るもんじゃないし、とやっているが実際は完全なアウトだったりする。

学園都市にとってIDを持たない人間=不法侵入者なので本来は犯罪ほう助といっても過言ではない。

そんなルールは「知識」としては知っていた上条だったがどうしてもその青年が悪人に思えなかったのだ。

 

「ありがとう。

いきなり機械に囲まれてIDを提示しろって言われてね。

バベルの職員IDはどうやら反応しなかったし」

 

「はぁ、そうですか」

自分よりそこそこ年上の青年は困ったように上条に話しかけてきた。

 

(俺と知り合いってわけじゃなさそうだな)

 

「っ!

それよりも君たち、えーと」

 

「上条です」

 

「私はインデックスだよ」

 

「上条君にインデックス……君、すまないが病院に連絡させてくれないか?」

 

いきなり出てきた病院、という言葉に上条はおどろいた。

上条はなんとなく放っておくことが出来ず無意識に青年の事情に踏み込んだ。

 

「どうしたんですか?」

 

 

 

皆元はチルドレンを直射日光が降り注ぐビルの屋上から日陰のある踊り場に移動させてとりあえずビルから出ようとしたところ先ほどのロボットに遭遇した。

そのまま流れもあり初対面である2人、上条当麻とインデックスをつれ階段を上っていた。

上条曰くこの学園都市でIDを持たない状態で病院に行っては騒動になる恐れがあるという。

 

(さっきのロボット……清掃ロボットか?

見たこともなかった機械だ)

 

「あ、皆元……」

 

たった今階段を降りて行った皆元に少し驚いたチルドレンだったが頭痛もあり3人に元気はない。

 

「ちょっと待って、これは魔術?

ルーンをいくつか踏んでるけど東洋系も混ざってるし。

十字教への対策が講じてあるところをみると最近になって組まれた術式なのかな」

 

たった今まで黙ってついてきていた少女、インデックスがチルドレンを前にして急に喋り出した。

 

(なんだこの子……?)

 

訝しげにインデックスを見るも彼女は皆元の視線を介さずぶつぶつと呟き続ける。

 

「(ねぇ皆元、この子ってもしかしてやばい子なの?)」

 

「(……僕もそんな気がしてきた)」

 

「むー聞こえてるんだよー。

検索してるところだからもう少し待ってほしいかも」

 

「「わぁごめん!」」

 

以外に鋭いインデックスである。

 

「……原因として考え付くのは外界連想か斜向かいのお隣さん(エトランゼ)の2つかな。

おそらく外界からの敵対干渉術式が中途半端で発動したみたい。

とうま、この人たちの頭をその”右手”で触ってみてくれる?」

 

「おう。

えーと失礼します?」

 

「何かその動作に意味があるんだね?」

 

「うん!

とうまの〈幻想殺し(イマジンブレーカー)〉ならきっと良くなるはずだよ。

これは十字教の修道女である私が主たる神に誓えるくらい確実なんだよ」

 

えへんと胸を張るインデックスは嘘をついているようには思えない。

 

「上条君、君を疑ってるわけじゃないんだが先に僕に触ってみてくれるかい?」

 

(イマジンブレーカーが何を指しているのか分からないがもしかして上条君は合成能力者だったりするのか?

もしも危険があるとするなら僕がチルドレンの盾になってあげないと)

 

「ではとりあえず」

 

上条の右手が皆元の頭部に触れた瞬間、何かが砕けた音がした。

何も割れてはいないはずなのに。

それと同時に頭痛も鳴りをひそめた。

 

「これは……!」

 

「どう? よくなったでしょ?」

 

同様にチルドレンの頭に触れたところ3人の頭痛も霞のように消え去ったのだった。

 

「……あ、本当だ」

 

「(紫穂、能力の使用は出来るかい?)」

 

「(まだ無理ね。

薫ちゃんと葵ちゃんも多分私と同じ状況だと思うわ。

もうちょっとしたら回復すると思うけど……この2人を透視()てみましょうか?)」

 

「(仮に能力が戻ったとしても僕が良いというまで透視はよしておいてくれ。

もし察知されたら敵意を持っていると思われるかも知れないし何より嫌な予感がするんだ)」

 

「(……わかったわ)」

 

 

 

とあるファミレス

 

 

一先ず上条の〈幻想殺し〉によって体調をとりもどしたチルドレンと皆元はファミレスに来ていた。

恩人ともいえる上条とインデックスもいっしょである。

 

「助かったよ上条君、インデックス君」

 

「いえいえ、俺は大したことしてません。

それよりもお昼をおごってくれるというだけで感謝が止まりませんよ」

 

道中でそれぞれ名前くらいは名乗りあった。

 

「この程度でお礼になるなら僕も助かるよ」

 

「それにしても」

 

「ああ。

女の子たちは元気だね」

 

「そうですねー」

 

しみじみと話す保護者2人は横で盛り上がっている女性陣を眺めた。

 

「うわーこれも美味しそうかも!」

 

「うっわなにそれ、地獄ラザニアって!

これたのんでもいーい?」

 

「なんやそれ……うちは何にしよかなー」

 

「大豆のハンバーグなんていいんじゃない?」

 

紫穂が葵に差し出したメニューには「大豆を食べてバストアップ!?大人の色気をゲットしろフェア」と書かれている。

 

「どんなん?……ってなんでそれをうちに勧めるんや!?」

 

「葵ちゃんにはお勧めな気がして♡」

 

「紫ー穂ー……ほんならうちはそれで」

 

「「頼むんかいっ」」

 

我慢ならず同時に突っ込みをした皆元と上条は互いに妙な親近感を覚えた。

 

「むむむ、豆腐ハンバーグ……それも気になるかも」

 

「インデックスちゃんたべすぎじゃない?」

 

「大丈夫だよしほ!

これぐらいまだまだいけるかも!」

 

「おーいインデックス、お金を出してくださるのは皆元さんなんだから遠慮しなさい」

 

「はっ、ごめんなさいこういち」

 

瞬間、チルドレンに電撃走る。

 

(そそそそそんな……下の名前で皆元を!)

 

(まさか皆元はんったらこんなちっちゃい子に手を出してたん!?)

 

(2人ともリアクションおっきいわねー)

 

「(まさか皆元があたしたちになびかないのってもしかして……)」

 

「「ロリ……コン……?」」

 

「あのなぁーお前ら!」

 

悪乗りする薫と葵を怒鳴りつける皆元だった。

 

「ところで皆元さんたちは学園都市の外から来たんですか?

見たことない制服だし」

 

「あらー上条さんったら私たちのことがそんなに気になるのー?」

 

「むーとうま年下の子たちにいきなりそういうのはあんまり感心できないかも」

 

「どーしてそうなるんですかねぇ?

どうしてうちの寮にいたのか気になるんだよ」

 

茶化されつつも上条は質問を取り下げようとはしない。

覚えてこそいないが上条は「昔の」上条から託されたのだ。

インデックスという少女の幸福(えがお)を。

一通り話をして仲良くなれたとはいえもしかすればインデックスを奪いに来た魔術師とやらかもしれないのだ。

もうすでに皆元には頼りになるお兄さん的な印象が芽生えつつあるがだからといって油断するわけにはいかない。

 

「わたしが代わりにこたえるんだよ!

かおるもあおいもしほもここの外、正確にはこの世界の外から来たんだよ」

 

「おーいインデックスさーん?

ここはお前の所属してる魔術結社(はちゃめちゃ軍団)とは違うんですよー……って、え?

思い当たっちゃてるので?」

 

さらりととんでもないことを言ってのけたインデックスに突っ込みを入れた上条であるが皆元たちは動きを止めていた。

 

「むー、それなら開発を称して超能力者を作ろうとしてるこの街のほうがおかしいんだよ」

 

(まて、今インデックス君は何と言った?

世界の外?能力者の開発?

……いや思い当たる点はいくつかあったはず、というかもしそれが本当なら納得がいく事ばかりだ)

 

インデックスの言葉を借りるなら元の世界で迫ってきた魔方陣もい未だ建造されていないはずの軌道エレベータ―も皆元が知らないこの(・・)学園都市も。

元の世界ではもう夕方だったというのに今はお昼だ。

 

「ちょ、ちょっと待ちいや。

インデックスちゃんなに言うとるん?」

 

また頭痛がしてきた気がする頭を押さえながら問いかける葵にインデックスは向き直ってもう一度言った。

 

「4人ともがいた世界とここは別の世界なんだよ。

そして多分、その原因は私にあるかも」

 

たったいままで楽しげに笑っていたインデックスは申し訳なさそうにうつむいた。

 

「お客様、ご注文をうかがいに参りまし、た…………もしかして出直したほうがいいですかね」

 

タイミングがいいのか悪いのか分からないがこの沈んでしまった場に丁度このファミレスのウェイトレスがやってきた。

彼女もすぐこのテーブルのよくない雰囲気に気が付き年長者らしき皆元に問う。

 

「いえ、大丈夫です。

気にはなる……けどとりあえずは注文して、それから話を聞かせてくれるかい?」

 

努めてやさしく笑いながらインデックスを気遣うように促す。

その様子を見て上条は皆元に悪い印象を抱けなくなってきていた。

 

「とりあえず食べよう?」

 

インデックスを慰めようとするチルドレンに関しても同様に。

 

(……)

 

 

 

「ごちそうさまでした!」

 

始めこそ落ち込んでいたインデックスだったがチルドレンたちと楽しく食事をするなかで元の明るさを取り戻していったのだった。

すなわち暴食シスター(命名は上条)と化したのである。

 

「か、かなり食べたね……」

 

「ほんっと―――」

 

そう言いながら上条の体に力が込められる。

両の腕に力を込め、その健脚でテーブルを超え通路へと飛び移る。

その動きはさながら飢えた獣が獲物を屠る瞬間だ。

滑らかで優美なものではなく力任せの獰猛ともとれる動き。

その力強さゆえに発生した運動エネルギーをテーブルへの方向転換の意味を込めた回転で制動とする。

映画のアクションシーンさながらのドリフトをかましつつ上条は皆元を見据えた。

 

「!」

 

真剣なその眼差しが一瞬だけ交差し、暴れ馬(かみじょう)は瞬時に腰を落とし地面に座り込む。

美しい正座だ。

そうして、わずか1秒に届くかどうかの時間のうちに作り出された姿勢はひとつ。

 

「―――すみませんっした!」

 

土下座。

またの名をDOGEZA。

 

「わぁーこんなところで止めてくれ!」

 

「いえっ、上条さんにはこれ以外にご恩に報いる方法は思い付きませんっ」

 

「違うから!土下座はそういうのんじゃないから!」

 

「高校生に土下座させる大人の図……」

 

「皆元はん鬼畜やなぁ」

 

「そう?

教育って大事よ」

 

「しほが何を言ってるのかわからないんだよ……」

 

全くもって騒がしいテーブルである。

 

「と・も・か・く!情報交換といこうか」

 

弛緩しまくりの一行だがそれもあってインデックスも食事前よりは話す心構えが出来たようでもある。

実のところ上条の計画通りだったり。

 

「えっとね、多分言いたいこととかはあると思うんだけどとりあえず最後まで聞いてくれると嬉しいかも」

 

「……わかった。

出来るだけ話の腰を折らないように気を付けるよ。

君たちもいいね?」

 

こくり、とチルドレンもうなずく。

 

「ありがとうなんだよ。

まずは私ととうまがあった日から順を追って話すね」

 

「ああ。

さっき言っていた「開発」が何かも教えてくれると助かるよ……って上条君は席に戻ってくれ。

なんかすでに視線が痛い」

 

今は夏休みである。

それ故に現状このファミレスには多くの学生が来ていた。

年齢層は小学生から大学生と様々だが好奇心が強い年頃というのは共通している。

そんな年代の前にスーツを着込んだ青年と男子学生が土下座ってたりする光景はなかなかに興味を誘っていた。

それ以前にチルドレンとインデックスの可憐な容姿につられている者も少なからずいたが。

 

「そうは言われましても上条さん的にはこの体勢が落ち着くと言いますか」

 

「何その根性!?」

 

「明石、上条さんにはやらねばならないことがあるのですよ……!」

 

「とうま……」

 

「インデックスさんそんな蔑むような目はやめてくれないでせうか!?」

 

「安心しい上条はん。

うちらもドン引きや」

 

「わーきもーい」

 

「野上も三宮も初対面の年上に対してひでえな!」

 

 

 

「超能力の開発に魔術、ねぇ」

 

「正直なとこまだ信じられへんけどなぁ」

 

「…………皆元はどう思うの?」

 

「とりあえず、僕は2人のことを信じるよ」

 

「本当にごめんなさいなんだよこういち。

しほもあおいもかおるも、私たちの事情に巻き込んじゃって……」

 

「そんなインデックスちゃんが悪いわけじゃないよ!

ね! 皆元!」

 

「君自身の意思でこうなったわけじゃないんだ。

そんなに気を病む必要はないよ」

 

しおらしくうなだれるインデックスをかばう薫の2人ともを皆元はやさしくなでる。

知り合って間もない上条から見ても皆元とチルドレンの間には浅からぬ絆が感じ取れた。

 

「俺たちとしては超能力者が自然に発生してるってのが信じられねぇんだよな」

 

それならば〈原石〉だらけではないか、と上条は思う。

皆元たちにとっては例外はあれど超能力は先天的な才能だ。

育てるのではなく開発するということのほうが理解できない。

魔術に対する疑問よりもこの考え方の差が実際は大きい。

 

「頭に電極差したりするなんてそっちのほうが考えられないわよ」

 

「そればっかりは私も同意するんだよ。

この街の常識はおかしいかも」

 

「そうは言われても「学園都市(ここ)」じゃあそれが普通なんですのことよ」

 

「上条君、さっき話で出てきた君の〈幻想殺し〉というのも能力なのかい?」

 

「イマジンブレーカー、て。

なんやらバレットやらティムやらが喜びそうな感じやなぁ」

 

「ええ、〈幻想殺し〉は俺の能力です、って笑うなよ!

……俺のこの右手で触れたならばどんな異能も消滅させることが出来る、てのが売り文句です。

ですけどそんな能力のせいで身体検査(システムスキャン)では無能力者(レベル0)ですけどね」

 

思春期の少年が喜びそうなワードににやにやするチルドレンを尻目に皆元は質問をつづける。

 

「レベル?

ここでもエスパーをレベルで分類するのか……?」

 

「そうですよ、ということはそちらでも?

というか4人とも能力者なんですか?」

 

話しっぱなしだった上条は先ほどおごりということで皆元が頼んでくれたドリンクバーを飲みつつ質問をする。

中身はメロンソーダ。

上条の如き貧乏学生は(彼がもつ知識曰く)夏場などはお茶か水で貫くことが普通らしい。

本人的にはかなりの贅沢をかみしめつつ炭酸の泡を感じる。

 

「そうだよ。

この共通点が偶然かどうかはともかくとしてね。

薫はサイコキノ、そして葵はテレポーターで紫穂はサイコメトリーだ」

 

へぇ、と相槌をうちつつ上条はチルドレンの3人を眺めた。

 

「ちなみに―――」

 

皆元の言葉を補うように薫が付け加える。

 

「(教えちゃっていいの?)」

 

「(むしろここは正確に情報を伝えるべきだよ。

ここは薫に任せよう)」

 

「―――あたしたちの超度は7だよ」

 

「ぶーーーー!」

 

上条は先ほどまで大切に飲んでいたメロンソーダを盛大に吐き出した。

 

(おいおい、いま明石はなんつったんだよ!?)

 

「………おい」

 

「あ」

 

緑の軌跡は綺麗に皆元を染め上げていた。

 

「す、すいま―――」

 

「だー! 土下座はもういいから!

 

店員さん、タオルか何か借りれますか?」

 

「はーい。

ただいまお持ちしますー!」

 

皆元の呼び掛けにさきほどのウェイトレスが答えた。

またも店内の視線を集めまくっていた。

 

「ほんとに何度もすいません!」

 

今度は土下座をせずにその場で頭を下げて上条は謝った。

 

「超度7がそんなに珍しかったのかい?」

 

「はい。

ここじゃあ超能力者(レベル5)までなんですよ。

そこに7だなんて言われたので……」

 

上条はレベルのくくりは知識で識っている。

 

「おそらくだけどここと僕らがいたところでは能力の判断基準が違うんだろうね。

上条君はここの最高レベルがどんなものか知ってるかい?」

 

「いいえ、流石に詳しくは知りませんです。

ただその超能力者はこの学園都市には7人のみらしいです」

 

ふむ、と上条の言葉に頷く皆元にウェイトレスがタオルを持ってきてくれた。

 

「ありがとう。

そろそろここをでようかな。

解決策、帰る方法も探さなきゃならないし」

 

べたつく体をふきつつ皆元が言った。

 

「どうしてこういちたちは違う世界に来た、ってなってるのにそんなに落ち着いてられるの?」

 

「落ち着いているように見えるかい?

だったら僕にはチルドレンがいるからだよ。

この子たちがいればどんなことだって乗り越えられると思う」

 

「「「皆元(さん)(はん)……」」」

 

「インデックス君は帰る方策は思いつくかい?」

 

「いくつか外界への異動に関する魔導書を検索してるんだけど確実にもとの場所に戻れる術式がみあたらないんだよ……。

でもね、絶対に帰る方法は私が見つけるから!」

 

「1人で抱え込むことはないよ。

みんなで考えよう」

 

またも落ち込みそうになるインデックスの頭をなでて慰める。

幼い容姿のインデックスは昔のチルドレンのようで皆元の父性を刺激していた。

 

「こういち……」

 

「ふがっ!

君たち……!」

 

テーブルの下で皆元の足が正体不明の靴×3に踏みぬかれた。

この靴の持ち主が誰か、名探偵上条当麻には分かった気がしたがそれを告げるとやばい、と彼の第6感が警鐘を鳴らしている。

 

「えーと、俺の部屋の風呂使いますか?」

 

「あ、り、がとう、そうさせてもらうよ。

伝票をとってくれるかい?」

 

「はい、皆元」

 

薫がサイコキノで皆元のもとに財布をわたすのを見つつ上条はなにか心に引っかかりを感じていた。

 

(能力名もなくてレベルは7まである、か)

 

上条自身記憶(おもいで)を失って間もないので大きく実感を抱くことないが皆元とチルドレンたちが違う世界の人なんだなぁと感じた。

 

(違う世界の人……異世界人か。

ん? 違う世界ということは……)

 

「み、皆元さん!

財布の中のお金見せてもらってもいいですか?」

 

非常に切羽つまった表情で上条は言った。

まさか、まさか、と。

 

「ん?

どういう意味―――って」

 

「ここでそっちのお札って使えるんですかね……!?」

 

上条の財布にある2000円札を皆元に見せた。

 

「なんやそれ。

こども銀行かなんかかいな」

 

「ほんとよくできてるわね。

肖像以外は同じじゃない」

 

一行の中で先に事実にたどりついた上条と皆元が固まった。

そう。

ここで皆元はお金を使えない。

しばしの無言の後近くのATMへと向かう上条の叫びが響いた。

さぁさぁみなさんご一緒に。

 

 

 

「不幸だーーーーー!!」




感想くださった方々、閲覧された方々ありがとうございます。
こっちはサブ程度にと思っていたのですが頂いた言葉からパトスが溢れだした結果こうなりました。
こうなっちゃったのよ!

さて会話(を書くのが)が楽しくて話が進まない。困った……。
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