プロローグ
ーー僕「
「お客人。意識ははっきりとなされておりますかな?」
気がつくとリムジンの中にいた。ソファに座っていて、テーブルをはさんで前のソファにはよく見た老人がいた。
「……久しぶり? イゴールだよね」
「はい。しかし、私にとっては“久しぶり”ではなく“はじめまして”なのです」
僕はイゴールの言葉の意味がよくわからなかった。ふと、視線を右にやると見たことない女性がいた。雰囲気がエリザベスに似ているから悪い人ではなさそう。
そんな視線に気づいたのかイゴールは女性に自己紹介をするよう促す。
「お初にお目にかかります。私はマーガレット。エリザベスの姉でございます」
「やっぱり。雰囲気が似てたから」
「
今、謎の発言に感じた。別世界? 二年前?
僕はイゴールに説明するよう視線で訴える。
「この部屋の“ルール”で完全な回答をお教えすることは出来ませんが、それでも一つだけ言うのなら……『ここはif世界』とだけでございます」
「if……「もしもの世界」ってこと? パラレルワールドみたいな感じ?」
「左様でございます。“契約者の鍵”は引き続き使えるようにしてあります。後は……貴方様の運命次第」
イゴールは机にタロットカードを並べる。以前初めて会った時もやっていた。
一枚引く。ーー「愚者」のタロット。
「新たな出発。のようですな。さて、二枚目は……」
「塔」のタロット。
「ほほう。どうやらお客人はまた何やら事件に巻き込まれるかもしれないようですな」
僕は少し興味があり、ゆっくりと一枚適当に引いてみた。
アルカナは「月」。
「……どうやら、貴方“迷い”もしくは“不安”があるのでは?」
「……別に」
マーガレットに見透かされたような目で言われてつい僕は動揺した。……そんなことは、思ってない。
「もうお時間のようだ。それでは、またお会いしましょう」
ここで僕の意識は途切れた。
まだ頭は混乱しているけど、ほんの少しはわかった。
ここは「もしもの世界」で先程のイゴールとマーガレットはこの世界の住人。だから「はじめまして」。
さらに時は経っていた。二年後ーーつまり2011年。
“契約者の鍵”が使えるってことはまた新たな戦いがあることを意味する……かもしれない。流石に疲れたなぁ。
とりあえず、どうにでもなれ。だ。