たまにマンガとアニメをごっちゃにする場合も。主に夏休みとか。
4月13日。水曜日。
音楽を聴きながら歩いていると花村の声が聞こえた。「おわッ!!」って言ってた。
特に興味は無かったけど見てみると頭からゴミ箱に突っ込んでいて、その状態を鳴上に助けられてた。あのままの方が面白かったと思うよ。
花村は……順平ポジかな? 順平にもあんなことがあったような気がする。
あれは夏休みのこと。あ、勝手に回想っぽくいくから。
「おーい湊! ゆかりっち! 早く早くー!」
「順平早く過ぎだってー!」
「眠い……」
「ちょっと有里くん自転車乗った状態で寝ないでよ!?」
「有里くん、もうすぐだから頑張ってね」
「変わりにペダルをこぐでありますか?」
「もっと危ないから駄目!」
二年生組(アイギスは歳はアレだけど後に二年生の学年に入ってきたので)で少し遠くに自転車で行こうということになって出掛けていた。
まぁ、影時間のことや夜だと普通に注意を受けてしまうとのことで美鶴先輩からあまり遠くに行きすぎるな、と言われたのでそんなに遠くには行かなかった。
簡単に言うとサイクリングみたいな感じだ。少し遠い公園に行くだけ。でも何故かそれでも順平は張り切っていた。
「ほら湊も早く行くぞー!」
「順平、前、前」
順平の前に電柱、そしてゴミ箱。花村の状況とほぼ同じだった。
「えっ、うわぁ! ……おわッ!!」
「ほーら言わんこっちゃない」
「順平くん大丈夫……?」
「順平なら問題ない」
「自転車は無事であります」
「風花以外もっとオレに優しくしろよ……」
という事が昔あったのでした。
……やっぱ順平と花村って似てるよね? 残念さが。
回想終了。隣には合流した鳴上と花村。
「つまりその昔起きたことと俺の時が似ていたと?」
先程の回想、名前と時間帯は所々伏せて二人に話していた。何時なのかは……登校中。
「似ていたと言うかはそっくり」
「確かにそっくりだな」
「確かに状況は似ているかもしれないけどよ……」
「主に残念さ」
「あー、そっちか」
「残念さって何だよ……」
教室につくと花村からご飯を食べに行こうと誘いがあった。鳴上は今日助けてくれた礼も兼ねて、
すると里中が「あたしにはお詫びはないのか」と花村に迫ってた。
「里中と花村、何があったの?」
「千枝がね、花村くんに“成龍伝説”っていうDVDを貸したんだって。でも壊しちゃって。そっか、昨日有里くん寝てたから知らなかったんだ」
「そうなんだ」
そんなこんなで花村は里中にも奢ることになりました。
ちなみに天城は来なかった。太るのと家の手伝いがあるとか。
◇◇◇
放課後。
やって来たのはジュネスだった。ビフテキを奢るつもりだったらしいが里中にも奢るならそれは無理だとのこと。たこ焼きを変わりに奢ってくれた。
里中とのちょっとした口論のあと、僕と鳴上に花村が自分のことを話してくれた。
このジュネスの店長の息子だと。半年前にこの町に家族揃って引っ越してきたらしい。
こりゃ厳しい境遇だな。僕が商店街を歩いているとたまに聞こえた。「ジュネスへの恨み言」を。「ジュネスがなければ家の経営は安泰だったのに」とか「ジュネスがなければ」系が多々あった。
S.E.E.Sメンバーで言うと美鶴先輩と同じ悩み……だろうけど正直花村の方がまだマシなのか。
「あ。先輩だ。わりい、ちょっと席外すぜ」
そう言って花村は先輩と呼ぶ女性の元へと向かった。名前は「
「里中、ジュネスってバイト出来るの?」
「えっ、フツーに出来るんじゃない?」
「有里バイト探してるのか?」
「うん」
ここバイト代いくらかな……。花村に今度頼んでみようかな。あ、小西先輩がこっち来た。
「うーす、都会っ子同士はやっぱ気が合う? こいつこっちに越してきたばっかで友だち少ないからさ。仲よくしてやってね。花ちゃん、お調子者でイイヤツだけどウザかったらウザいって言いなね?」
「いや……イイヤツだよ」
「うん。たこ焼き奢ってくれるからイイヤツ。あ、花村たこ焼きもう一個」
「あははっわかってるって冗談だよー!」
「ちょ、先輩もおまえらも! 何言って……ってか有里お前食べ過ぎ! もっと遠慮しろって」
「前奢りと言われてハンバーガー大量に頼んで
「こわっ!! 俺にはするなよ?」
「たこ焼き」
頼むと「しょうがねーなー」と言って持ってきてくれるのが花村のいいトコだと思う。順平も結局は奢ってくれたから。だから、花村はイイヤツ。これ決定事項ね。
小西先輩は休憩時間が終わったとかで去っていった。
「そうだ。花村は知ってるよね。だから、お二人さん。……“マヨナカテレビ”って知ってる?」
◇◇◇
ーーマヨナカテレビとは。
雨の夜の午前0時に消えてるテレビを一人で見る。すると画面に映る自分の顔を見つめていると別の人間がそこに映ってる。
それが、“運命の相手”だと言われている……。
◇◇◇
つまり……影時間のテレビバージョン? 何でテレビ? 何で0時? 謎過ぎる。
花村は完全に信じていなかった。……僕もあまり信じてないけれどね。
「有里くんもね!」
「……えっ、何が?」
急に名前を呼ばれビクッとしてしまった。里中のオーラが何か怖い。
「今夜の0時に実行! みんなでね! いい!」
「う、うん……」
「よし決まった。試してみてよね。絶対だよ!」
何か……急に今日久しぶりに0時まで起きることが決まった。
三人と別れた帰り道。0時までやることがない。強いて言えば読書くらい。それだとすぐに終わってしまうので散歩しながら帰る。
ここに来たばっかりの時はあまり散歩してなかったから、今はちょうどいい頃だ。鮫川の河川敷にでも行ってみよう。あそこはたまに少年野球のバット振りやキャッチボールの練習場になっているらしい。
「いーち! にー!」
丁度今日だったか。少年たちが一生懸命素振りしている。コーチらしき男性が「体全体を使って振るべし!」とか言ってる。
「ジュンペー! 素振りつまんねーよキャッチボールしよーぜ!」
「馬鹿だなお前、基本が大事なんだぞ。基本が」
「ちぇー」
……ジュンペー? じゅんぺい……順平……。
「ああっ!?」
「ん? どーした少年。大きい声だして」
やばっ、気づかれた。大丈夫だよな? この世界は「もしもの世界」だから僕が別世界の元リーダーってことはばれない、ウン。それにさっき順平は「少年」って言ってた。だから問題はない。
「い、いや。知ってる人に似てたから」
「オレが?」
「うん」
「へぇー。……よくよく見るとお前オレの知り合いに似てるな。ま、そいつは“女”だけどな」
よかった。ばれてない。女……か。
「そいつもお前と同じくイヤホンを常に持っててな、雰囲気ってやつがすっげー似てんの」
「……そう。有里湊、名前は?」
「オレは
順平……。成長したなぁ。チドリと仲よくしてんのかなぁ。気になる。何とか近づいて話を聞き出したい。
「野球、たまに僕もいい?」
「おっ、湊も野球に興味おありのようで。いいぜ、湊が暇な時にでも来てくれ。あ、“雨の日”と“土日”はナシな」
前の世界同様「湊」って呼んでくれたことに嬉しさを感じつつ、順平と連絡先を交換して別れた。
気がつくと同じく前の世界同様コミュニティが生まれていた。けど、少し違和感があった。順平のペルソナ「ヘルメス」や「トリスメギストス」のアルカナは「魔術師」だ。けれど生まれたコミュニティ……コミュのアルカナは「正義」だった。
これも「もしもの世界」の影響かもしれない。
ーー新たなコミュニティ。「正義:伊織順平コミュ1」
◇◇◇
そして夜。正確には午後11時50分。
仕方なく久しぶりにこんな時間まで起きてた。真面目でしょ?
とても暇だったから本屋で買ってきた本を読み尽くしてしまった。商店街の本屋の本が入荷までまだ少しかかるらしい。仕方ない。電車で沖奈の本屋にあとで行ってみよう。
「そろそろ、0時」
いつの間にか9分経っていて現在59分になっていた。僕はテレビの前のソファに座りその時を待つ。
残り10秒……5、4、3、2、1、0。
……やっぱりね。ただの噂だった……ついた。
消したはずのテレビがついて女性が一人映っていた。電波が繋がらない感じでノイズ音がした。
『やぁ。お久しぶり』
「え……」
左の方から声が聞こえた。左を向くとすぐ近くに見知った“少年”がいた。
『僕の名前。覚えてる?』
「ファルロス……だよな? 綾時じゃなくて」
『うん。君のお陰でニュクスは力を使えないからね。僕は君の“中”にいた存在。逆に「宣告者」として君たちと過ごした記憶はないけどそれ以外ならちゃぁんと覚えてる』
どうしているの? と聞くと「僕は君と共に」というよくわからない言葉が帰ってきた。
そしてもう一言。こっちの方がさらにわからない言葉がきた。
『テレビに指を突っ込んでみて』
考えてもよくわからないのでいう通りに突っ込んでみる。
ーーずぼっと入った。勢いで体全体が入りそうになったがテレビが小さいお陰で入りきらずにすんだ。
『次の戦いは君が主役って訳じゃないけれど、君も“鍵”を握っている。初めてこの世界に来たとき、
覚えてる。よく、覚えてる。だから今、僕はこの世界で生きていられるんだ。
「この世界は「もしもの世界」だ、と」
『そう、もしもの世界。ここは色んな「もしも」が渦巻く世界。「もしも小学生の少女の引っ越し先が八十稲羽だったら」「もしも古本屋の老夫婦が沖奈の外れで古本屋を営んでいたら」「もしもニュクスを封印したのが有里湊ではなく……
「わかった」
『ねぇ……。また、友だちになってくれないかな?』
「もちろん、よろしくファルロス」
『よろしく。……湊』
ーー新たなコミュニティ。「死神:ファルロスコミュ1」
指が突っ込んだ原因はその内わかるとか。明日、三人に話してみよう。それにしても、あの女性どこかで見たような……?
◇◇◇
4月14日。木曜日。
どうやらテレビの中に入れたのは僕だけではなかったようだ。鳴上も入ったと言った。
しかもマヨナカテレビで見た人も同じらしい。これは残りの二人も同様だった。
「小西先輩に似てたかも」
里中の発言に僕は頷いた。よくよく思い出せばあの女性は小西先輩に似ていたのだ。その小西先輩は花村によると事件の第一発見者で今日は学校に来てない。
「ごめん千枝。先帰るね……」
「あ、うん」
「じゃあね有里くん」
隣の席だからなのか天城は僕に挨拶して帰ってくれた。僕は手を振って答えた。
「しっかし鳴上に有里。テレビの中に吸い込まれたってのはどうなんだ? 動揺しすぎっつか寝ぼけてたんじゃね?」
「寝ぼけてない。少し前まで0時まで起きるなんて日常茶飯事だった(影時間のせい)し、動揺なんてしたことない。別に怖いの平気(不良の溜まり場も平気だった)」
「……お前普段どんな生活送ってたんだ?」
「毎日のスケジュール管理は必須事項の生活(コミュ活動)」
「大変なんだな」
「けど夢にしてもおもしろい話だねそれ。“テレビが小さくて入れない”とか変にリアルっつかくだらないというか。もし、大きかったら……」
◇◇◇
と、言うわけで場所はジュネスの家電製品売り場。ひときわ大きいテレビがある。花村と里中がテレビの画面に手を押し付ける。入れなかった。二人はやっぱり夢だと決めつけ里中の新しいテレビ探しとして隣のテレビへと向かっていった。
「有里。やってみるか?」
「そのために来たんじゃないの?」
「そうだな」
それでもやっぱり少し心配。同時に手を押し付けることにした。結果ーー
「て……おい。あいつらの腕……刺さってない?」
この花村の一言がきっかけで二人は慌て、騒ぎ始めた。
そんなこともお構いなしに鳴上は頭を突っ込んでいく。
「度胸あるなー」
「そんなこと言ってる場合じゃねぇよ!」
「ちょ! 客来る! 来る!」
「あ、押さないでよ」
里中が押したせいで僕らもまとめて落ちてしまった。うーん。里中が今のところ一番うるさいな。ここ、タルタロスよりかは安全だと思うけど。(十分危ない)
成り行きに任せたら何も対策とらずして「テレビの中」に来てしまいましたとさ。
湊くんのステータスは全てMAXです。
湊の召喚可能アルカナ「正義」「死神」「愚者」