バトルスピリッツ ブレイヴ ~ REVIVED SCARLET ~   作:白銀るる

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赤の章
想い達が紡ぐ奇跡


 ここはどこだ……。

 

 何も無い。何も見えない。

 

 ただただ真っ白な空間が広がっている。

 

 体を動かすことも出来ない。

 

 ────そうだ。俺はあの時……。

 

『消滅してしまったわ』

「ッ!?その声…マギサか!?」

 遠くから光が近づいてくる。その光が近づくにつれて、なんだか暖かくなる。

『久しぶりね。ダン』

「マギサ……本当に久しぶりだな」

 目の前に来たマザーコアは、かつて共に旅をした仲間、マギサへ姿を変えた。

 挨拶を交わした彼女の表情(かお)は再会を喜ぶと言うより、申し訳なさを感じさせる。

『ごめんなさい!!』

「…マギサ?どうしてマギサが謝るんだよ」

『あなたが引き金になってしまったあの時、本当はあなたを助けてあげたかったの……。でも……マザーコアの力は強大だった。わたしは【マギサ】としてのわたしの意識を失って、マザーコアとしての役目を果たすにとどまってしまった……。そのせいでダン、あなたの体は……』

 マギサは頭を下げ、謝ってくれていた。

「良いんだよマギサ。あれが俺の選んだ未来だったんだ。確かに悔いは無いかと言われたら、うんとは言えない。まだ生きていたかったよ。まゐと一緒に……」

 目頭が熱くなっているのが自分でも分かる。体が消滅した、そう言われたはずなのに。それほどに俺は………。

『聞いてダン。あなたはまだ死んだ訳じゃないの』

「ッ!!?それってどういうことなんだ?」

『それは彼が教えてくれるわ。あなたが今どんな状態なのか。何故そうなったのか……』

 マギサの言葉に続いて、一人の男の子が俺の目の前に現れた。

「キミは……?」

『初めまして…だね、馬神弾くん』

 俺の名を呼ぶ男の子は、どこか大人びた雰囲気で、その見た目からは想像のつかない“存在感”を放っている。

『そんなに構えなくても大丈夫。わたしはキミの味方さ』

 その一言を受けると、俺はロロに対する警戒を自然と解いてしまう。

『さて──、キミの肉体が既に消滅してしまっていること、それは彼女(マギサ)から聞いたね?』

「ああ」

『確かにキミの「肉体」は消滅してしまった。「肉体」は、ね』

 ロロは少し間を置いて、また口を開く。

『本来なら引き金となった時に、肉体はおろか「魂」も消滅し、今のような状態にはならないのさ』

「つまり今の俺みたいな状態は異常だってことか?」

『そういうことになる。肉体とともに消滅するはずの魂、それがこうして消滅を免れたのは、他ならぬ「彼ら」のおかげなんだよ』

「彼ら……?」

 ロロはそう言うと少し上に上がっていく。そしてロロがいた場所に、六色のコアが現れた。やがてそのコアたちは眩い輝きを放つ。

 俺は眩しさから目を瞑り、再び瞼を上げるとそこにはスピリットたちが立っていた。

 ジークヴルムとアポロドラゴンたち。ベルゼビート。ビャク・ガロウ。イグドラシル。イスフィール。アレクサンダー。そしてホウオウガ。

「まゐ…剣蔵…勇貴…クラッキー…硯…華実…」

光主たち(キミの友たち)とその友たちの強い想いがキミの魂をこの場所に留まらせた。いつかキミの体を甦らせるために』

「みんな……」

 みんなの想いが俺を守ってくれた。とても嬉しかった。

『ダン、ジークヴルムたちはあなたが眠っている間も、ずっと力を蓄えていた。そしてやっと今日がきたのよ』

「それってつまり……」

『ええ』

「そうか…ありがとなジークヴルム…みんな」

 答えるように咆哮したジークヴルムはジークヴルム・ノヴァに進化する。その隣でもスピリットたちが次々と姿を変えていく。

『彼らは究極の存在へとその身を昇華させた。キミを甦らせるために、あの場所へと帰すために』

 マザーコアを含めた七つのコアは円を描くように並ぶ。そしてその中に黄金に輝くもう一つのコア。現れた八つ目のコアに手を触れる。

「──感じる。俺の体が───」

 浮遊感が消え、確かに俺の体は現実の実体として存在していた。

『馬神弾。キミがある限り、彼らのその存在もまたあり続ける。お互いがあり続けるその世界の中で───』

 ジークヴルム・ノヴァたちとマギサ、ロロの体が輝き始める。

 同時に意識が遠のき始める。

「待ってくれ!ロロ!マギサ!』

『ダン。あなたが呼ぶ名前はわたしたちじゃないわ』

「マギサ……」

『ちゃんとあの子の──、まゐの隣にいてあげて───』

 

 マギサの言葉が最後まで俺の耳に届くと、俺の意識は闇の中に包まれていった───。

 

 

 

 

 

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