どうもキャプテンタディーです。
今回、梨子と鎌倉 『中編』となります。
本当だったら頑張って後編にして終わりたかった
のですが、自分の中でこだわりが強かったので
『中編』にして、3話構成になります。
なので少し短いかもしれません。
ですが、最後まで見てくだされば嬉しいです。
それでは、本編をどうぞ!
2回もの電車を乗り換え、特に何も問題なく俺と梨子は、無事に鎌倉に着くことが出来た。
「うわぁ〜!大きい!」
「これが三の鳥居ってやつか。壮大だな」
初めてやって来た鎌倉に着き、早速俺たちは最初の目的地である鶴岡八幡宮へとやって来ていた。
目の前に聳え立つ三の鳥居の壮大さに、俺も梨子もそれに圧倒されていた。
「ここをくぐれば、中に入れるのね」
「あぁ。きっとそうだろう」
鎌倉駅からここに至るまでには、若宮大路という参道を徒歩で10分歩いてきた。
若宮大路は、源頼朝が妻である北条政子の安産を祈願して作らせた鶴岡八幡宮の参道。鶴岡八幡宮から由比ヶ浜までを一直線に結んでいて、鎌倉の中心となる道でもある。
その道沿いには177本の桜が立ち並び、桜が咲く春に来ると良いと言われているらしく、日本の桜名所100に選ばれる程の人気桜スポットらしい。
今は清々しい緑が生い茂る木となってはいるが、名所と言われればまた来てみたいと思わせられる。
その、桜が咲く春頃にね……。
「それじゃあ、早速行きましょう!」
「そうだな。ゆっくり見ていこう」
そうして2人は、境内へと入っていく。
三の鳥居をくぐり、鶴岡八幡宮の本宮へと歩みを進めようと太鼓橋(赤橋)を渡っていると、太鼓橋のその両側に大きな池が広がっていた。
太鼓橋の左側には平家池があり、右側には源氏池がある。歴史の授業で聞いたことがある2つの家系にちなんだ名前が、池に付けられていた。
「見て遼くん!おっきな池がある!」
「あぁ。源氏池と平家池だな。もともとこの池は、昔は田んぼだったらしいよ」
「ええっ!?こんな池が、昔は田んぼ?」
「うん。少し前に調べたんだ」
梨子は俺の話に驚きを隠せない。でもそれは俺も同じで、調べた同時は本当に驚いたさ。
その田んぼになっていたその頃は、『弦巻田』という苗を渦巻きのように植える斎田のことを指していて、当時の田んぼはそういう苗の植え方があったことに俺は驚いている。
でもそれは、源頼朝の命によって池に変えられ、跡形もなく消えてしまった。
なんともまぁ、不思議な話よ。
「そんなことがあったのね……」
「でも、それが本当かどうかは俺には分からない。あくまで、ことの“云い伝え”ってことでパソコンに載ってたからな……」
ただパソコンには、『〜と云い伝えられている』というよくある最後の綴りがあった。だから本当の事は、当時に生きていた人たちしか分からないわけなので、真実に関しては不明なのだ。
それから俺は、梨子を正面にして話をする。
「それで、梨子の念願だった鶴岡八幡宮に来たわけだけれど、その後はどうするんだ?」
「あ、うん。ちゃんと計画は立ててるよ」
念願の鶴岡八幡宮に来たわけだが、電車の中では鶴岡八幡宮に行くとしか話はしていなかった。
だから今のうち、今日の予定の流れを知っておく必要があった。それで俺は、梨子へそんなことを質問したのだ。
野暮ではあるが、質問をして損はない。
そして梨子は、今日の予定を話してくれた。
「えっと、鶴岡八幡宮を見たあとはお昼を食べて、それから円覚寺っていう神社と由比ヶ浜に行きたいなって私は考えてるの」
「円覚寺に、由比ヶ浜か……」
円覚寺に行くならば、一度鎌倉駅から北鎌倉駅へ電車で移動した方がいい。そうすれば円覚寺はすぐ目と鼻の先にあるから、その方法がいいと思う。
由比ヶ浜は、鶴岡八幡宮から一直線に行くことができる。だけど梨子が考えてそうなことは、夕方に由比ヶ浜を訪れるということだ。
夕方の由比ヶ浜は『綺麗だ、素敵だ』など、パソコンで調べた時に、夕方の由比ヶ浜を絶賛する声が多く見られた。
そんな中で梨子も、それを見たいんだろうなって俺は考えてる。俺も別に嫌じゃないしな……。
「今日は、あとその2つに行きたいんだな?」
「うん!私、その2つに行ってみたい!」
俺は彼女にそう質問すれば、彼女は満面の笑みでそう答える。
彼女の笑顔はそれはもう女神のような笑顔。
ものすごく眩しく、逆に彼女が眩しすぎて梨子の顔が見れないくらいだった。
「遼くん?どうしたの?」
「ううん、なんでもない……」
危うくそれを彼女にバレてしまいそうだったが、なんとか表情だったり言葉で誤魔化す事は出来た。
だからこれからは出来るだけ、あまりそういう事で意識しない方がいいと思っている。じゃないと、俺の身体も心も悪い意味で長く保つことが出来ないかもしれないから……。
「じゃあそういうことなら、今はここ鶴岡八幡宮をゆっくり見て行ていこうよ。時間も勿体無い!」
「うん!そうだね!」
ひとまず、こんなことを考えるのは止める。今日は1日楽しむために、梨子と鎌倉に来たんだ。
頭の中からそんなものを綺麗さっぱりに忘れて、梨子と楽しい思い出を残そうと思う。
ここに来ること自体、絶好の機会だからね。
「んじゃ、行きますか!」
「えぇ!行きましょ!」
そしてそれから俺と梨子は、鶴岡八幡宮の本宮へと歩み始めた。
そういえばよくよく考えたら、鶴岡八幡宮のあとに昼飯を食べるって梨子が言っていたよな?
今、午前10時を回ったところなんだが……。
えっ、いや、まさか、ここに2時間もずっといるわけないよね?
ねっ、ねぇ……?梨子さん?
〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜
「さぁ!やっと本宮よ!」
「やっ、やっとですかい……」
恐れていたことが、現実となったような気分。
一言で言い表すなら、絶望感。
今現在の時刻は午前11時半。あれから1時間半の間、鶴岡八幡宮の境内の中を歩き回っていた。
梨子に少し振り回されるようにして、境内の中にある多くの寺院を見て回った。
源氏池に浮かぶ一番大きい中島に建てられている『旗上弁財天社』や、境内の東側に位置して建っている『白旗神社』、そして本宮前に建つ『舞殿』を含め、計8カ所の寺院を梨子と見て行った。
そのせいで俺は身体の疲れを感じていた。だけどそれよりも、境内にこんなにも寺院が建っていた事には驚きだった。
ガイドブックには鶴岡八幡宮の本宮と、その前に建つ舞殿のことしか本には載っていなかったから、俺はその時とても驚いていた。
「やっぱり休日だから、人もいっぱいね」
「仕方ないさ。観光スポットでNo.1だからね」
それで俺と梨子が今いる場所は、本宮前の階段。
本宮前に鎮座して建っている『舞殿』を背にしていた俺と梨子は、本宮へと繋がる階段を前にして、ドドンっと佇んでいた。
でも同時に、休日を満喫するため俺たちと同じようにここ鶴岡八幡宮を訪れる人も多かった。
やはり、鎌倉の観光スポットNo.1という肩書きは伊達じゃないと、俺はすぐに感じることが出来た。
「少し人も多いけど、行くか?」
「うん。これくらい慣れてるから大丈夫」
「そっか。じゃあ行こうか」
目の前にいる多くの観光客に顔一つ変えない梨子も、やっぱり東京という大都会で人混みには慣れているんだなと感じられる。
俺や曜が横浜に行った時なんかは、特に曜が苦しそうだった。人混みに慣れていない俺や曜にとっては、梨子はただ単に凄いと思った。
「ねぇ、遼くん」
「んっ?どうしたんだ?」
そう思っていた矢先、梨子に話しかけられる。
階段を上り始めて、8段目を登ったところでだ。
すると彼女は、何か少しそわそわしていた。
唐突に彼女から話しかけられたから少しびっくりした俺だけど、俺は冷静になって彼女に質問を投げかけると、梨子は人目を気にしてキョロキョロ視線を振り、俺にとあるお願いをしてきた。
だけど、俺が思っていたそのお願いというのが、まさか“それ”だとは考えられなかった。
「あのねっ!別にその……、遼くんが良かったらでいいと思ってる、けど……」
「けど……?」
最初は梨子が何を言っているのかさっぱり分からなかった。顔を下に俯かせ、俺がちゃんと聞き取れるか聞き取れないくらいの大きさで話していた。
だから俺はもっと梨子の近くで聞こうと自分の身を少し寄せたら、彼女は俺に“それ”を言い放った。
その言葉は、俺にとって衝撃的だった。
「その、遼くんと、手を、繋ぎたい……かな?」
「………………えっ!?」
衝撃的過ぎて、俺は梨子が発した言葉を理解するのに5秒間もの時間がかかった。
『“手を繋ぎたい”』
梨子からのそんな要望に、俺の思考が追いつかず頭が少し混乱している。
いや、ほら、東京から内浦に引っ越してきてさ、まだ出会って3ヶ月と少ししか経っていない女の子から突然、『手を繋ぎたい』って言われてみろ?
その時どう思う?
俺と同じようにびっくりするはずだ。
「べ、別に私の言うことに付き合わなくていいの!ただ、人も多いから逸れたらなって、その……」
そしたら梨子は、俺にそんな事を話してくる。
両手を自分の前で左右にブンブンと降って、俺に迷惑はかけられないと思っているのだろう。
けど、それを見たら逆に申し訳ないよな?
ギュッ!
俺は何も言わず、梨子の左手をギュッと掴んだ。
彼女より少し大きい自分の右手を使って、絶対に彼女と逸れないようにそっと優しく握る。
彼女は必然として驚きの声を上げると、俺に自分の左手を優しく握られたことに対して、顔をさらに真っ赤に染め上げていた。
「えっ!?りょ、遼くん!?」
「何も言わないでくれ。俺は大丈夫だから……」
そんな梨子に、俺はそう告げる。
正直に言ってしまうと、俺も少し恥ずかしい。
彼女にそれを悟られないよう顔をそっぽ向かせているけれども、彼女には全く効果はなく、俺がした行動の意味がすぐにバレてしまった。
「もしかして、手を繋ぎたかったの??」
「なっ!?ち、ちち、違うから!」
こういうところ、我ながら全然素直じゃない。
彼女と手を繋ぎたくなかったと言われれば、それは全く以って嘘になる。
ただ、俺は梨子と手を繋ぎたかった。
まぁ……それだけである。
「ほ、ほら!階段を登りきったらあと少しで本宮だから、さっさとお参りしに行こうぜ!」
「えっ、あ……うんっ……」
ちゃんと言えばいいのに、馬鹿だな俺……。
それから俺と梨子は本宮に辿り着き、2人で5円玉を1枚ずつ入れてお参りをする。
サッ、サッ、パンッパンッ!
2礼して、2拍手。お参りをする上で、それをきっちりこなした俺と梨子は神様にお願いをする。
彼女がどんなお願いをしているのか、俺はそれが少し気になってはいる。けどそれよりも先に、自分のお願いに集中した俺である。
どんなお願いをしたのかって?
それはたった1つだけ。新年になってすぐに始まる、高校サッカーの夢の舞台、『全国高校サッカー選手権大会』における、全国大会での“優勝”。
努力をして、その大会で勝ち続けられたものにのみ得られる称号を、俺は手にしたい。
でもそのためには、これからの部活でもっと努力をしないといけないけどね……。
あっ、その前にインターハイも頑張らないと!
インターハイも全国に出られるわけだし、それもちゃんと頑張らないと……!
「お願い、終わった?」
「うん」
「じゃあそろそろお昼にしよっか。俺もお腹すいてきちゃったし、梨子もそうなんじゃないか?」
ギュルルル〜!
「ふふっ。えぇ、もちろんよ!」
梨子にお昼の話を持ちかけた瞬間、梨子の腹の虫が俺の耳にしっかり聞こえるくらいに鳴り響く。
梨子はその音を聞かせてしまったことを恥ずかしいと思いながらも、彼女は笑顔を見せ、俺の質問にそう答えた。
彼女もお腹は空いているみたいだから、早いとこここから撤収しないとな……。
そんな事を考えていた矢先だった。
「遼くん!」
「んっ?えっ……?」
梨子は突然、後ろから俺の右手をギュッと両手で握ってくると、それに驚いて振り向いた俺をじっと見つめてくる。まるで梨子が子犬にでもなったかのように、そのつぶらな瞳が俺を見つめてきたのだ。
どういった意味で俺の手を握ってきたのか俺には分かるはずもなく、でも何故か、俺は彼女に対して理由を聞くことができなかった。
すると次の瞬間、彼女は俺の目の前に回り込んでくると、俺を正面にして笑顔で言い放ってきた。
「じゃあ、行こうっ!」
「えっ!?あっ、お……おう……」
それは、あまりにも俺にとって不意打ちになってしまい、俺は彼女のとびっきりな笑顔に顔を真っ赤に染め上げてしまう。
目も彼女の目に合わせられないくらい、俺は恥ずかしくて仕方なかった。
「ほら遼くん!そんなにぼーっとしてると、私置いてっちゃうよ〜!」
「あっ、梨子!そ、そんなに引っ張るなよ!」
それから彼女に手をグイグイ引っ張られ、そして俺はしばらくの間、彼女に対し話しかける勇気すら出てこなかった。
それと同時に、どうして後ろから手を握り、目の前に回り込んで俺に笑顔を見せたのか?
俺はそれに不思議に思っているとともに、あの時にちゃんと理由を聞いておけば良かったなと、俺はしばらくの間、ずっと後悔するのであった。
一区切り。後編へと続きます。
今回は短くて申し訳ないです。許して?
そしてアニメは廃校が確定しましたね。
学校がなくなるのは辛い思いですが、その学校の
名前を残すために、ラブライブ優勝に向けて
頑張って欲しいなと私は思います。
是非次回も、楽しみにしててください。
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是非ともよろしくお願いします。