少年と少女達の輝き目指す物語   作:キャプテンタディー

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どうも、キャプテンタディーです。

年越しまであと1週間くらいですね。
1年間が、本当にあっという間でした。

そして多分ですが、今回で、本年度の
本作品の投稿が最後だと思います。
来年も、この作品を読んでくれることを
心から期待させていただきます。

今回も、前回の話の続きとなります。
それでは、本編をどうぞ!





#39 真意と、責任と

 

 

 

 

 

 果南と2人でダイビングを始めてから、もうかれこれ1時間弱くらいは潜ってる。

 休んで、潜って、休んでと、間には休憩を挟んでダイビングを楽しんでいるけど、ほぼ休みなしで海に潜っているようなものだった。

 

 

「ぷはぁ!はぁ……はぁ……」

「どう?まだ潜れる?」

「いや、少し休みたい……かな?」

 

 

 海面に浮上し、俺に近づいてそう尋ねてくる果南に対して、俺は苦笑いを浮かべてボートに戻っては休みたいと伝える。

 その答えを聞いた果南はというと、ふふっと笑みを浮かべては、やれやれといった表情を見せた。

 

 

「分かった。じゃあボートに戻ろう?」

「あぁ。早くボートに戻りたいぜ」

 

 

 俺はそう言って、果南と一緒にボートに戻る。

 ボートに乗る前に俺と果南は、付けていたゴーグルとシュノーケルをボートに投げ入れて、その後にボートをよじ登って乗り込む。

 海の水でウェットスーツが重くなって、少し登り辛かったけど、なんとか乗り込むことが出来た。

 

 

「はぁ〜潜った潜った〜」

「まさか、これで終わりじゃないよね?」

「果南がそう聞くあたり、果南はまだ潜り足りないって感じだな?」

「私はまだまだ潜れるよ!」

 

 

 締め切っていたウェットスーツを開かせ、自分からボンバーな胸を見せてくる果南。彼女はまだまだ潜れると、余裕の表情を見せている。

 これで俺だけ引き上げてしまえば、果南と一緒にいる時間が勿体無い。それに聞きたいことが聞けなくなるし、何よりそのためにダイビングをしに来たわけだから、引き下がるわけにはいかなかった。

 

 

「よっしゃ。俺もまだまだ潜れるぞ!」

「おっ、遼もまだまだやる気だね!」

「俺だってやると決めたらやるんだよ!」

 

 

 果南にはそんな事を告げる俺だけれど、目線があからさまに果南の胸に集中してしまっていて、それがもろに果南にバレていた。

 

 

「またダイビングしてくれるのは嬉しいけど、私の胸を見ながら言うのはやめてほしいな?」

「……バレた?」

「目線があからさまだから分かっちゃうよ」

 

 

 自分の胸を、両腕を使って隠す果南。

 ただビキニの水着を着ているし、ウェットスーツで隠せば良いものなのに。それか何だ?そんなあざとい仕草して、俺を誘っているのか?

 

 いや、それは確実にないだろう。

 

 

「ごめんごめん。果南の胸は大っきいな〜って思っちゃってさ。つい目が行っちゃってた……」

「もう。馬鹿……」

 

 

 とりあえず、自分から果南の胸に目が行っていた理由を述べると、果南は俺に向かってそう言って、少しながら顔は赤く染まっていた。

 あまり調子に乗って彼女に言い過ぎると、果南の無慈悲な制裁がくだる。だから言うのはここまでにして、彼女にまた潜ろうと話を切り出す。

 

 

「まっ、そういう事は置いといてだ。そろそろまた海に潜ろうぜ!」

「……うん。そうしよっか」

 

 

 今は午前の10時だから、あと30分くらいは果南とダイビングが出来る。

 その後にはちゃんと、果南に話を聞こうと思う。

 ダイヤから聞かされた3人の間で起こった真実を、果南から直接聞こうと思った。

 

 

「ぷはぁ!ふぅ〜!」

「遼、大丈夫?疲れてない?」

「果南、俺を殺そうってか?」

「まさか。もうそんな真似しないよ」

 

 

 それで再び果南と再開したダイビングは、30分といえど時間はあっという間に過ぎていった。

 天気は“快晴”とご機嫌で、そのおかげで海の中は透き通っていて、今日はダイビング日和と言っても過言じゃないくらいだった。

 

 そうやって30分のダイビングを終え、果南とまたボートに戻れば、果南の胸がまたポロリと見える。

 彼女が気づいた頃にはもう遅く、果南のセクシーな胸を俺は見ていると、果南は俺を睨みつけるようにして聞いてくる。

 

 

「…………見た?」

「何のことだ?俺はさっぱり分からんぞ?」

 

 

 胸を見ていたのかを聞いてくる果南は、また俺に対して胸を腕で隠している。

 良い加減、胸を見られたくないなら、今着ているウェットスーツのジッパーを下げなければ良いのにと思ってしまう。でもダイビングを終えたら果南はそのスタイルになるし、俺はそれについて言及する権利もないから、果南の意思次第になる。

 けれども、果南の胸を見ることは出来る。

 こんな事は思いたくないけど、出来ればずっと、そのスタイルでいて欲しいかな?

 

 

「次にまた胸見たら、訴えるからね?」

「はいはい。十分に承知しました」

 

 

 果南のジト目と忠告を耳にして、俺たちはボートで海岸に戻る。

 海岸についた後で俺と果南は、縄を使って海岸にボートを括り付け、ボートが海へと流されないように固定する。これを忘れてしまったら絶望的だから、こういうのは注意しなければならない。

 

 

「果南、今日はありがとな!」

「うん!私も遼とダイビング出来て楽しかった!」

 

 

 ボートを括り付け、海岸からお店の前までやって来たところで俺は果南にお礼を言う。

 彼女もお礼で俺にそう言うけれど、店を開けっぱにして俺と付き合ってくれたんだから、お礼を言うのはこっちの方なんだけどな……。

 

 でも彼女がそう言ってくるのだから、それを素直に受け取った方がいいのかもしれない。

 なにせ、彼女の笑顔が眩しいからな。

 

 

「俺も、果南とダイビングが出来て楽しかったよ。じゃあ俺は着替えてくるから、少し待っててくれ」

「分かった!じゃあ、私はここで待ってる!」

 

 

 果南がお店の前で待っていると聞いてから、俺は空き部屋を借りて私服に着替える。

 ダイビングをしに来ただけだから、大きな荷物はなく、携帯と財布以外は何も持ってきていない。

 果南の店は色々と用具とかを貸してくれるから、何も持たずに手ぶらで来ても大丈夫なのだ。ただ数は限られてるから、自前のウェットスーツを持ってくるのがいいのかもしれないけどね……。

 

 

「終わったぞ〜」

「はい!アジの干物だよ!」

「えぇ〜!?また干物かよ!?」

「文句言うなら母さんに言ってよ」

 

 

 着替えを終えて店に戻ると、アジの干物を袋一杯入ったビニル袋を持った果南がいて、笑顔でそれを俺に渡してくる。実は果南の家では干物も作っていて、親戚の人や、たまに俺や千歌にお裾分けをしているのだ。

 でもずっと渡されるのはアジの干物だから、少々飽きている自分がいるんだ。

 

 

「イカの干物とかないのかよ?」

「ごめん。うちはアジだけなんだ……」

「まぁいいけど。美味しく食べさせてもらうよ」

「うん。そうしてもらえると嬉しいな」

 

 

 イカの干物だったら、それを細かく刻んで飲み物のつまみとかに出来るのだが、仕方ないね。

 俺はアジよりイカの干物の方が好きだから、イカの干物があればと思っていたけれど、今回もアジの干物で我慢するしかない。

 

 

 そんじゃあ、そろそろ聞きますかね?

 果南に聞こうと思ってた、2年前の話を……。

 

 

「そうそう。果南に1つ聞きたい事があるんだ」

「んんっ?なに?聞きたいことって……?」

「まぁその……少し大事なことだ」

 

 

 俺はそう言うと、果南は首をかしげる。

 俺がその場にいなかった彼女の思い出や、その時の記憶や出来事について彼女に尋ねるのは、あまりにも危険だということは十分に承知し、それを理解しているつもりだ。

 

 あのダイヤにもしつこく忠告されたしね……。

 

 

『果南さんに話を聞くなら、十分に気をつけてください。なにせ果南さんが全ての始まりで、彼女自らが“提案した”のですから……』

『分かった。その点は、十分に俺も気をつける』

 

 

 俺が質問して、果南がちゃんとその質問に答えてくれるかは、100%定かではない。

 でもそれでも、俺は聞きたかった。

 果南の思う、彼女の本当の気持ちをね。

 

 

「“2年前”の東京でのイベントのことなんだけどさ、どうして果南は……“歌わなかった”の?」

「………………えっ?」

 

 

 彼女に対してそう尋ねた瞬間、果南の表情が一転してだんだん曇っていくのを、俺は一瞬たりとも、見逃さなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフッ。ここが、遍く魔のものが闊歩すると伝えられている約束の地、魔都・東京……!」

「善子ちゃんは相変わらずずらね……」

「あっ、あははは……」

 

 

 内浦から電車で2時間半。

 私たちは、やっと東京に辿り着いた。

 

 

「あっ、見て見て!ほらあれ!あれって、スクールアイドルの広告だよね!」

 

 

 そこから秋葉原に私たちはやってきていて、駅の改札を抜けて早々、千歌ちゃんはスクールアイドルの広告を見てはしゃいでいる。

 そういうのは別に私はいいんだけど、あまりにもはしゃぎ過ぎるとなんか“アレ”じゃない?

 なんというかこう、『この人たち、地方の方からやって来たんだな』って思われちゃうと思う。

 

 だから私は、千歌ちゃんに注意を促す。

 

 

「千歌ちゃん。そんなにはしゃいでると、地方から来たって思われちゃうよ……?」

「そ、そうですよね。慣れてますって感じにしないと、みんな変に思われちゃいますよね……」

「そっか!ごめんごめん!」

 

 

 私のすぐ後ろに立っていたルビィちゃんも、私と同じような意見を話したら、私に注意をされた千歌ちゃんは、それに気が付いてハッと我に帰る。

 

 

「あの『μ's』がいた秋葉原に来たと思うと、つい嬉しくて嬉しくて仕方がなかったんだ……」

「もう、千歌ちゃんってば……」

 

 

 私と千歌ちゃんが1年生の時以来に来たわけで、ましてや、千歌ちゃんが今も憧れている『μ's』がいた秋葉原。

 千歌ちゃんがはしゃいじゃうのは分かるけれど、今は我慢してほしいかなって思う。

 

 

「今回は東京に遊びに来たわけじゃないんだから、千歌ちゃんしっかりやってよね?」

「は〜い。分かってま〜す!」

 

 

 まぁ正に、梨子ちゃんの言う通りかな?

 今回は東京に遊びに来たわけじゃないし、東京でスクールアイドルのイベントに招待されたから来たわけだから、あまり羽目を外さないように私たちもしっかりしないと……。

 

 

「あっ!あそこにスクールアイドルのお店がある!曜ちゃん、一緒に見に行こう!」

「えっ!?千歌ちゃん!?」

「はぁ、相変わらずね……」

 

 

 と思っていた束の間、千歌ちゃんは近くに構えるスクールアイドルショップを目にすると、一目散にお店の中へと入っていく。

 梨子ちゃんがさっき話したばっかりなのに、それを忘れてお店の中に入っていく千歌ちゃんの姿に、当の梨子ちゃんは呆れた表情になっていた。

 

 

「梨子ちゃんはどうする?」

「私はいいわ。ここで待ってる」

「分かった!じゃあ私は千歌ちゃんが入ったお店にいるよ。ここは東京だし、人の数も沼津と比べられないくらい多いからね!」

 

 

 それでその梨子ちゃんはというと、千歌ちゃんがいるスクールアイドルショップのすぐ外で待ってると言うから、私が千歌ちゃんのそばにいて、絶対に逸れないように近くにいようと思った。

 ここは東京で沼津じゃないし、人の多さは沼津と比べられないくらいからね。

 みんなと逸れたら、元も子もない。

 

 

「うわぁ〜!輝く缶バッチがこんなに種類がある!おおっ!このポスター見るの始めて!可愛い!」

 

 

 千歌ちゃんは『μ's』のグッズが置いてある場所にいて、バッジやポスターなどに目を輝かせ、多くの『μ's』のグッズを見て喜んでいた。

 

 この時にも私は、千歌ちゃんは本当に『μ's』のことが大好きなんだなって思った。

 『μ's』の存在があって、それに憧れて千歌ちゃんはスクールアイドルを始めた。もし『μ's』という存在がいなかったら、今の私たちはなかったのかなって思う。

 梨子ちゃん、ルビィちゃん、花丸ちゃん。それに善子ちゃんと、一緒にスクールアイドルをすることもなかったのかもしれないと思うと、何だかとても寂しい気持ちになる。

 

 

 でもそれは、もし『μ's』がなかったらの話。

 

 

 『μ's』がいたから、今の私たちがある。

 幼馴染みとしてずっと一緒にいた千歌ちゃんや、こうしてみんなとスクールアイドルとして活動している。だから私は『μ's』に対して、数えきれないくらいに感謝してるんだ。

 

 

 ただ素直に、『ありがとう!』ってね!

 

 

 そんな中で私は、千歌ちゃんから目を離さないように近くにいながら、綺麗に並べられている制服のコーナーで、色んな制服を物色していた。

 お寺の巫女さんの制服や、空港のCAの制服など、このお店にはスクールアイドルのグッズの他、たくさんの制服が取り揃えられていた。制服が大好きな私にとっては、正に天国のよう……。

 

 ハッ!?ダメダメそんなのっ!今回はイベントに参加するために東京にやって来たんだから、こんなことで制服に惑わされちゃ…………えっ?

 

 

 嘘。コレって、本当にあるの?

 

 

「制服が、100種類以上……?ゴクリ……」

 

 

 

 そこで私が目にして驚愕したのは、多くの制服が並ぶその横に置かれていた制服雑誌の文字にある。

 

 制服が『100種類以上』と、そう書かれた雑誌の文字に私はゴクリと固唾を飲み込む。そして多くの制服がそのお店に揃っているのかと想像した時に、私は、そこのお店にどうしても行ってみたいという欲が、フツフツと徐々に湧き上がっていた。

 制服が100種類以上となれば、今まで見たことのない制服がたくさんあって、色んな制服を試着することが出来るのではないかと思う。そう考えた時に私は、ここに居ても立っても居られなかった。

 

 

「千歌ちゃん千歌ちゃん。あのね!」

「んっ?どうしたの曜ちゃん?」

「私ちょっと行きたいお店があるから、千歌ちゃんは見終わったら梨子ちゃんと待っててね?」

「う、うん。分かった……」

 

 

 首を傾げながらも、私の話にうんうんと頷く千歌ちゃんを尻目に、私は制服専門店へと向かう。

 スクールアイドルショップを出て、そこから制服専門店までは道のりは意外とそんなに遠くはなく、それよりは寧ろ、すごく近いくらいだった。

 

 

「あっ、このお店……だよね?」

 

 

 私が雑誌で見た制服専門店の場所は、千歌ちゃんがいるスクールアイドルショップの“隣”の“隣”。

 制服専門店『NARIKIRI‼︎』という、いかにもって感じの名前でそのお店は開いていた。

 

 

 

「いらっしゃいませ〜!」

「うわぁ〜!すご〜い!」

 

 

 私がお店に入ると同時に、可愛いメイド服を着た私より年上の女性が、私にそう声をかけてくる。

 お店の中は制服専門店というだけあって、本当にお店の中は制服だらけ。セーラー服は勿論のこと、メイド服に警察官の制服があって、チャイナドレスなどの外国の制服まで取り揃えられていた。

 

 私はお店中にあるたくさんの制服に目を奪われ、キラキラと目を輝かせていた。

 私の今の表情は、もう誰にも見せられない。

 見たらきっと、みんなドン引きしちゃうかもしれない。でも1番に私にドン引きしそうなのは、多分彼以外ありえないと思うけどね。

 

 

「制服のレンタルも出来るんですよ?」

「えっ!?本当ですか!?」

「はい!お一人様で2着までレンタルが可能ですので、お決まりでしたらお声をおかけください!」

「はい!ありがとうございます!」

 

 

 私の後ろから声をかけてくれたその店員さんは、ピンク色のセーラー服を身に纏っていた。今の店員さんの説明では、このお店は、どうやら1人2着までの貸出をしているらしい。

 “1日”だけのレンタル貸出らしいけれど、それでも私にとってはここは天国そのものだった。

 

 1度着てみたかった制服が、今ここで着れるかもしれない。そう思っている私の心は、自然と期待とワクワク感でいっぱいだった。

 

 

 レンタル貸出は、“1人2着”まで。

 

 

 100種類以上の中から好きな2着を選ぶのってなかなか難しいけど、後悔しないよう、しっかり選んでいこうと思う私であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 曜ちゃんが大好きな制服の専門店に行ってからも、私はただひたすらスクールアイドルショップのグッズを眺めていた。

 特に『μ's』のグッズばかりだけれど、これだけまだ売られていることに私は感銘を受けていた。

 

 

「よしっ!そろそろ良いかな?」

 

 

 それで一通りグッズを見終え、私が次に行きたいところへみんなに声をかけようとした時だった。

 

 

「よ〜しっ!じゃあみんなで明日のライブの成功を祈って、神社の方に…………えっ?」

 

 

 私は曜ちゃんが言ってた通り、スクールアイドルショップのすぐそばで待っている梨子ちゃんの元へと向かい、私たちのカバンを見るようにして待っていた梨子ちゃんがいたのは確認出来た。

 

 ただそれよりも、ルビィちゃんと花丸ちゃんに、そして善子ちゃんの姿がそこにいなかったの。

 私は、その3人と一緒にいたはずの梨子ちゃんにそのことを尋ねたら、梨子ちゃんは善子ちゃんのことだけについて話してくれた。

 

 

「ねぇ、梨子ちゃん!ルビィちゃんと花丸ちゃんと善子ちゃんはどこ!?」

「ルビィちゃんと花丸ちゃんの2人は、私もどこにいるのか分からないの。だけど、善子ちゃんならついさっきあの店に入っていったわ」

「えっ?あっ……」

 

 

 梨子ちゃんが指差した方向は、少し高いビルから出っ張り出た看板で、堕天使が大好きな善子ちゃんなら、必ず飛びつきそうな名前だった。

 そのお店の名前は、『黒魔術ショップ 堕天使』

 うん。そのまんまの名前だね。

 

 

「善子ちゃんは、あの店に?」

「えぇ。間違いないわ」

 

 

 善子ちゃんがいるだろうというお店は、意外にもスクールアイドルショップから程近い場所。だから逸れることはなく、善子ちゃんが合流する時に迷うこともなさそうだった。

 

 ていうかそれよりも、ルビィちゃんと花丸ちゃんはどこに行っちゃったの!?

 

 

「ていうかルビィちゃんと花丸ちゃんだよ!2人ともどこに行っちゃったんだろう!?」

 

 

 2人がいないことに心配で、私はどこに行っちゃったんだろうと不安に駆られていた。

 でもそんな時に、隣にいた梨子ちゃんが私を落ち着かせてくれて、元々東京に住んでいた梨子ちゃんは、私に的確な指示をしてくれた。

 

 

「落ち着いて千歌ちゃん。こういうときは、ルビィちゃんか花丸ちゃんに電話した方がいいわ!」

「えっ!?ど、どうして……?」

「そうした方が、お互いにどこにいるのか居場所も分かるし、電話で話してたら、意外にも近くにいたってこともあるから……」

「う、うん!分かった!電話してみる!」

 

 

 梨子ちゃんはやっぱりすごい。

 私たちより都会慣れしてて、凄く落ち着いた雰囲気で私に意見を出してくれて、梨子ちゃんと本当に友達になれて良かったと、私は心の中でそう呟く。

 そして私は梨子ちゃんに言われるがまま、自分のスマホでルビィちゃんに電話をかける。

 

 2回くらい『プルルルル!』というコールの後、『ブツッ!』という音とともに声が聞こえる。

 その声は、間違いなくルビィちゃんの声だった。

 

 

『はい!もしもし!』

「ルビィちゃん?私、千歌だよ!」

『あっ、千歌さん!』

 

 

 ルビィちゃんは私だと気づくと、少し嬉しそうな声が電話越しに分かる。

 するとルビィちゃんが電話越しで、私たちがどこにいるのか尋ねてくる。彼女の声からして、やっぱりどこかで迷子になっているみたいだった。

 

 

『千歌さん!今どこにいますか!?』

『マルたち、迷子になっちゃったずら〜』

 

 

 そしたら花丸ちゃんの声も同時に聞こえてきて、2人は一緒にいるんだということが分かって、私はホッと一安心する。

 でも、2人はどこにいるんだろう?決して遠くには行っていないと思うんだけど……。

 

 

「落ち着いて2人とも。今どこにいるの?」

『それが……私も花丸ちゃんも分からないんです。秋葉にいるのは分かってるんですけど、大きなビルが立ち並んでて、どこがどこだか……』

 

 

 ルビィちゃんと花丸ちゃんは、今のやり取りで私たちから比較的近いところにいそうな感じだったけど、ルビィちゃんの声は不安そうな声だった。

 まだ私の中では安心出来る範囲だったから、私は梨子ちゃんが私にしてくれたのと同じようにして、電話越しに2人にひたすら質問を繰り返していく。

 

 

「落ち着いてルビィちゃん。2人は今、大きなビルがたくさんあるところにいるんだよね?」

『はい。そうですけど……』

「今いるルビィちゃんたちの周りに、なにか目印になりそうなものは何かない?」

『えぇっと、目印、目印……』

『大きな看板に、“SEGA”って書いてあるずら』

「……!」

 

 

 その中で私は、花丸ちゃんの言い放った言葉に反応して、もう一度2人に質問をする。

 

 

「その他には!?」

『他には、緑色の橋に電車が通ってて、あとは目の前に大きな道路があるんですけど、人がたくさんいて車が一台も通ってないんです』

「えっ!?なにそれ!?」

 

 

 私の質問に答えたルビィちゃんの言葉には、私には理解できないような言葉だった。

 緑色の橋に電車が通っているのは、何となく私も理解できるけど、大きな道路に人がたくさんいて、それなのに車が一台も通ってないってどういうことなんだろう?

 私には全然出来ないと悩んでいた時、私の電話でのやり取りを聞いていた梨子ちゃんが、私にそのことについて話してくれた。

 

 

「千歌ちゃん、それはきっと歩行者天国よ」

「歩行者、天国……?」

「一時的に道路を封鎖して、その道路を歩行者専用の道路にすることの呼称なの」

「そ、そうなんだ」

 

 

 “歩行者天国”というものが、今尚ルビィちゃんと花丸ちゃんの目の前で起きているんだと思った時、梨子ちゃんは話を続ける。

 そしてその話が、私をある決心へと導く。

 

 

「その歩行者天国は、ここからすぐ近いわ」

「えっ!?本当!?」

「えぇ。この街をまっすぐ行けば歩行者天国に行き着いて、きっと2人も見つけられると思う」

「そっか。なら私、2人の迎えに行ってくる!」

 

 

 私は梨子ちゃんにそう告げて、行方が分からなくなっていたルビィちゃんと花丸ちゃんの迎えに行こうと決心した後、私はルビィちゃんに電話で話す。

 できるだけすぐ見つかるよう、私はルビィちゃんに対して、そこから動かないようにと話をした。

 

 

「ルビィちゃん!私が今からそっちに向かうから、できるだけそこから動かないでね!花丸ちゃんにもルビィちゃんからそう伝えて!」

『は、はい!分かりました!』

 

 

 ブツリッ!

 

 

 そんなやり取りをした後でルビィちゃんとの電話を切り、私は梨子ちゃんに告げる。

 

 

「よし!じゃあ私行ってくる!もし曜ちゃんと善子ちゃんが帰って来たら、2人に伝えて!」

「うん!気を付けてね!」

「うんっ!」

 

 

 未だ帰ってこない曜ちゃんと善子ちゃんに伝えておくようにそう伝えて、背後から梨子ちゃんに見送られながら、私は2人の元へと走っていった。

 

 2人の居場所を何とか見つけられて、私はホッと安堵しているけれど、同時にAqoursのリーダーとして私は、全然ダメだなって思っている。

 リーダーである私が率先してみんなを引っ張っていかなきゃらないのに、スクールアイドルショップで騒いだり、今みたいにメンバーが逸れちゃったりと、グループ内の仲間の面倒を見れていない私は、Aqoursのリーダーとして全然ダメだな〜って……

 

 

 

 私はこうなってしまったことに

 責任を重く感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 






思ってた以上に執筆に手こずりました。
何というか、今回はあまりアニメの通りに
書かない方が良かったかなと思いました。

明日はクリスマスですね。
リア充は爆ぜてしまえばいい()

という事で次回も、この続きになります。
次回も是非楽しみにしててください。
感想や評価、誤字や脱字等があれば、
是非とも、よろしくお願いいたします。


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