麦わら帽子の英雄譚   作:もりも

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前回の投稿から思った以上に間隔が空いてしまった・・・
最近はちょっと忙しいです。

感想に生存確認の声が・・・僕は生きてます!


敗北は成長の促進剤 

第1試合が終わり、興奮が冷めやらないままに第二試合目に体育祭は進行していく。次に対戦するのは轟と瀬呂だ。騎馬戦では破れてしまったもののエンデヴァーの息子たる轟の期待値は未だ高い。観客も彼の戦いに注目している。

ざわつく観客席の中、緑谷がA組の集まりの中に加わっていた。 彼が席に着くや質問の嵐だ。どうやって洗脳を解いたのか、あの地震は君の仕業なのかという内容だ。緑谷自身そのことについてよくわかってない上に、オールマイトから受けた説明を馬鹿正直に話すわけにはいかなかったので、盛大にどもり倒した。そしてルフィのオールマイトみたいな力だなという勘の鋭い言葉に彼は心臓が跳ね上がる思いだった。

 

一方、観客の注目の彼はリングに向かうために入場口付近の廊下を歩いていると前方の男に声をかけられた。

 

「情けないな焦凍・・・いつまで恥をさらす気だ?」

 

轟に声をかけたのは父親のエンデヴァーだった。憮然と腕を組み壁に背をかけているが、彼の胸中は穏やかではないだろう。それもそのはず、彼は息子をNo.1にするために生まれた時から厳しい英才教育を施して来たからだ。

 

「お前は俺の最高傑作だ。これ以上の敗北は許されんぞ!」

 

「・・・テメェのことなんざ知ったこっちゃねぇし、それに負けるつもりもねぇ」

 

エンデヴァーの方に一切顔を合わせずに轟は怒気を孕ませる。自分が父親の所有物のように扱われていることに改めて辟易した。

 

「負けるつもりはないか・・・炎も使わずにか?」

「そんなことではとてもじゃないが奴に勝つことはできないぞ?」

 

「・・・何?」

 

「モンキー・D・ルフィ、英雄ガープの孫。」

「個性自体は大したことないが、個性の練度とあの身体能力は特筆すべきものがある」

「個性にかまけて細かいコントロールも大してできないお前では到底勝てんぞ」

 

エンデヴァーはリアリストな実力者だ。親バカも多少入っている息子を比較に出してもルフィの力は圧倒的と感じている。

その言葉に轟は答えない。その言葉は少なからず納得できてしまったからだ。その様子を見たエンデヴァーは一言付け加える。

 

「炎を使え!さすればその差は埋まるどころか、確実に奴を超えることができる!」

 

半冷半熱の圧倒的な個性をフルに活用できればルフィを上回ることができるとエンデヴァーは考えている。その目測は元はオールマイトを超えるために立てており、そのために作った個性だから彼にとって当然な考えである。

 

「お前は兄さんたちと違う。俺とあいつの個性が合わさった最強の個性なんだぞ!」

 

「・・うるせえ、誰がその個性を望んだ」

「お前だけだろうが!」

 

「俺はお母さんの力だけで勝ち上がる。この大会だけじゃない・・これからもだ!」

 

エンデヴァーの全てに嫌悪感を感じる轟は目を血走らせた。怒りを露わにしながら最後までエンデヴァーには一切顔を向けないでリングへ歩を進める。

自分でも内心わかっていることでも指摘されると否定したくなるものだ。今の轟がまさにそうで、このままではルフィには勝てないことをわかっていた。それでも母の個性に拘る。それがブレてしまうと母を裏切ったように感じてしまうからだ。

 

 

 

『さぁさぁさぁ!!視聴者半ば置いてきぼりの第1試合だったが今回はわかりやすい戦いをお願いするゼ!!』

『赤コーナー!!地味、とにかく普通!ポテチでいうならうす塩!だがそれがいい!瀬呂範太!』

 

「どういう紹介だよ・・褒めてんのかわかんねぇよ・・」

 

『そして青コーナー!孤高のイケメン!実力は折り紙付き!騎馬戦の屈辱は晴らせるか!轟焦凍!』

 

轟と瀬呂がリング中央に立ち、第二試合の開始が近づく。正直実力差があるのは瀬呂もわかっていることだが、それが逆に彼を開き直させているようで勝つ気は満々のようだ。

かくゆう轟は余裕なのか若干下を向き、相手である瀬呂を一切見ていない。何やら別のことに集中しているように見える。

 

『それでは第二試合・・・・開始ぃい!!!』YEAH!!

「負ける気はねえええ!!」

 

開始の合図と同時に瀬呂は先制攻撃を繰り出し、瀬呂も意外なほどうまく決まった。

瀬呂の個性で射出したテープは轟の体を巻きつけ、リング外に放り投げようと轟を素早く引きずった。

この先制攻撃に実況・観客が盛り上がる。

しかしそれが決まるほど轟の実力は甘くない。彼を巻きつけた瀬呂のテープは一瞬で凍りついて砕け散った。

 

「ちぇっ・・こんなあっさり決まるとは思ってなかったけどよ、こんな簡単にいなされちゃあな」

 

さすがの轟に瀬呂は少し距離を開ける。それは攻撃は防がれ反撃を警戒したのだったが、少し間が空いても反撃がくる気配がない。

轟の微動だにしない姿に瀬呂含め皆が不思議に思った。

リング上ではヒュウウと風切り音が鳴る。その風は6月の風にしてはいやに冷たい。

 

「なんか寒くねぇか・・・」

 

その言葉を一番に言ったのは観客席にいたルフィだった。彼は基本的にいつも体操着の上は着ておらず、Tシャツを一枚着ているだけだ。

だからこの競技場が徐々に寒くなってきたことにいち早く感じた。

それを聞いた面々が確かにと頷く。その中の麗日は指をさする仕草が自然にでた。

そして皆の会話の中に入らない爆豪はライバルの観察に余念がない。だからその原因をいち早く気付いた。そしてその原因の彼が凄まじい殺気を放っているのも。

 

「この膠着状態が続いてもしょうがねえな」

「何狙ってっか知らんけどもういっちょかましてやるか!」

 

瀬呂がまだ動かない轟に対し時計回りに周回していく。スローペースから緩急をつけて一気に攻撃を仕掛けるためだ。

そうして轟の右斜め後ろに歩を進めた時、瀬呂の足が止まる。

 

(あ、あれ?足が動かねえ・・・。いや動くんだけど、・・・重い?)

 

瀬呂は緊張状態で気付いていないが、彼が足を止めた時には競技場中の気温は相当に低くなっていた。

よく見ると瀬呂の吐く息も少し白くなっている。

 

(ま、まさかこれはあいつの仕業か!??)

 

寒くなったのは轟の個性が原因であるのは誰しもがわかる。しかし瀬呂が気づかなかったのは、轟が微動だにしていなかったのとこれまでとは違い、氷が表面的に見えなかったからだ。

轟がおもむろに手を地面につけ、何かしようとしているのに気付いた瀬呂は間髪入れず攻撃を仕掛ける。しかしその攻撃が届くことはなかった。

 

「・・・氷河時代(アイスエイジ)!」

 

轟のその一言と「同時」に観客席まで、観客席前一列に座っている緑谷の足元の寸前までの物質が氷付いた。そう、瀬呂はもちろん、同じフロアにいたミッドナイトやセメントスを巻き込んで、リングがある1フロアがまるで氷河時代のワンシーンであるかのように。

 

地獄の風景とも言わんばかりにその凄惨さに観客席は驚愕と恐怖に襲われた。

中央で静かに佇む轟の他の3人は完全に氷に覆われ、微動だにしない。死んでると言われてもおかしくないほどだ。

 

(な、なんて技だ!?こんな攻撃防ぎようがないぞ!!)

 

このままいけば次の二回戦で当たる緑谷は戦慄した。こんな反則じみた攻撃をされればどんなヒーローでも防ぎようがない。それまでに圧倒的な力だった。

 

「・・こいつは使えるな、ただある程度の下準備と加減がいるが」

 

轟は冷静に自分が繰り出した攻撃を分析し、周りをぐるりと見回した。そうしたあと、試合の判決をプレゼントマイクに促した。本来するはずのミッドナイトまで凍りついたからだ。

 

『か、勝ちに決まってんだろぉ!!早くその3人をどうにかしろ!!!つかそれ生きてんのかよソレ!?』

 

早く解凍しろとプレゼントマイクに怒鳴られた轟は淡々と左手の熱を3人にあてがう。彼の淡々とした作業を見るに生き死に関わることではないようだ。時間がかかりすぎるとどうかなるかはわかったものではないが。

 

相沢は担任であるため轟の家庭環境はある程度は把握している。焦るプレゼントマイクの隣で目を細め、轟の精神状態が悪化していると彼は感じていた。それと同時に轟が試しに使った技に強く感心した。

 

(地から氷を這わせ地表のものを凍らすというのは今までも使ってきたが、これはその規模と攻撃速度が桁違いだな。)

(おそらく・・・あいつが動きを止めていたのは実際の攻撃を放つ前に地中の温度を極限までに冷やしていたからだ。だから前兆として競技場の気温が下がり、不可避の瞬間氷結が可能となったわけか。)

 

(そして今のは試しただけ。あくまでこの先のための実験。なるほど・・・末恐ろしいやつだ)

 

氷づけられた3人は解凍されて間も無くして目を覚ました。あくまで表面だけで内部までは凍っていなかったらしい。

圧倒的なオーバーキルに瀬呂もやりすぎもいいとこだろ、と大きくぼやいた。轟も悪い、と一言謝った。

 

この衝撃的決着から第3試合に移行する。

今だざわめく観客席にすでにリングについた切島と鉄哲はやりにくそうだ。それもそうだ、1試合目が地震2試合目が氷結、災害にも似た現象が個性によって巻き起こったのだから当然である。

そんな喧騒の中、開始の合図が放たれる。

 

 

試合が終わり轟は控え室のドアを開け部屋に入ると、次の試合のため準備をしているルフィと顔を合わせた。

ルフィの顔を見るや轟は眉を顰めた。しかし対照的にルフィは轟をみて満面の笑みで彼に話しかけた。

 

「お前やっぱスンゲェんだな~!!!おれ今までブラジルでいっぱい強いやつの個性とか見てきたけど、あんなの初めてだったぞ!」

 

キラキラとした目をしたルフィに轟は顔を合わせない。ルフィのこの様子に自分だけが一方的にライバル視していることが気に食わなかったようだ。

 

「あれはお前を倒すために試した技だ。せいぜい当たった時のために対策しとくんだな」

 

ただ一言だけ言い残して部屋を出て行った。

 

 

 

あまり注目度が高いと言えなかった第3試合は全弾フルスイングの殴り合いの試合となっていた。

個性が「スティール」の鉄哲と「硬化」の切島の似通った耐久戦に、先ほどまで前の試合の余韻があった観客もこの試合の熱さに当てられ盛り上がっている。

いくら体を固くしているとはいえ、衝撃は凄まじく一瞬でも緩めてしまえば個性も綻びる。どちらかと言えば肉体的というより精神的な要因が重要な試合だと言える。

5分以上殴り合っていると徐々に切島が後退していく。

 

「どぉらぁ!!!!」

 

鉄哲の拳が綻びた切島の腹に入る。

この攻撃に限界だったのか、切島が足をよろけさして片膝をついた。

この瞬間に復活したミッドナイトが試合終了のコールを宣言。

A組はこれに落胆し、逆にB組は唯一トーナメントに出ている鉄哲の勝利に盛り上がった。

 

(拳藤からもらったこのチャンス、早々に終わらすわけにはいかねぇだろ!)

 

鉄哲は拳藤とB組の名誉のための責任感が切島の精神面を上回ったのだった。

 

 

そして第4試合・・・・・轟の時以上に熱い注目が注がれているかもしれない。

第一種目と第二種目では最も会場を沸かせた予測不可能な男モンキー・D・ルフィの登場である。

 

「な、なにをやっているんだ・・・彼は・・・」

 

非常識の塊であるルフィとは真逆の常識人飯田は手を額に当て、クラリとする。思えば彼はファーストコンタクトからルフィには困惑させられている。

 

『果たしてチャンピオンがアフロなのか?アフロがチャンピオンなのか?』

『俺のブラザーソウルも思わず触発されるファンキーなスタイルで登場だ!!』

 

『赤コ~ナ~~~~モンキー・D・ルフッブハッ!!!!』HAHAHAHAHAHAHA

 

「Aah Yeahーーーー!!!!!」

 

アフロを被ったルフィが上半身を脱いだボクシングスタイルでリングへ入場した。それに釣られ思わずプレゼントマイクもノリよくアナウンスし、吹き出した。

やっぱこいつ俺好きだ、とプレゼントマイクが言う一方、隣の相沢は呆れてものが言えないようだ。

会場から爆笑が生まれる。さっきまでの緊張感は何処へやら・・・。

 

「なぜにアフロ・・・」

「アフロて・・ブハァ!!」

「どこからあんなもんを・・・」

「そう言えば控え室にあったような」

 

「「「なんでだよ!!」」」gabin!!

 

唯一控え室に入った緑谷の言葉に周りの全員が突っ込んだ。

 

『そしてアフロマンの前に立つ挑戦者は闇より穿つ刺客、心が中2から脱却できてない男!常闇踏陰!!』

 

「くっ・・・なんたる恥辱!!」

 

普段つつかれないところを暴露され、心外だとばかりに顔を歪める常闇くん。

 

「的得てるじゃん」

 

観客席から芦戸の声が聞こえる。そしてそれに同意するA組一同。常闇くんは普段みんなから暖かい目に見守られていたのだ!

 

「・・・しかし闇は俺に味方したようだ」

 

「ん?」

 

今さっき傷をえぐられたのにまたそんなことを言っている常闇だったが、確かに今のリング上は彼の有利になっていた。

タイミングよく厚い雲が競技場の上空に流れてきており、リング上は濃い影に覆われている。そして暗くなればなるほど彼の個性「影」が本来の力を発揮させる。力と暴虐性が跳ね上がるのだ。

 

「ヒャッハー!!このふざけたゴムアフロやろう!さっきはよくもやってくれたなーー今度はこっちがボコしてやんぜ!」

 

そして口が悪くなる。自我があるダークシャドウのキャラが激変していた。

 

『第4試合始めーーー』カーン!!

『どこから持ってきた・・』

 

開始のコングが鳴った瞬間、ルフィが一気に常闇に駆ける。今のルフィはもうチャンピオン気分だ。真っ向勝負!考えなしに正面突破を試みる。まぁいつものことだが。

ルフィの速さは相当なものだが、強化されたダークシャドウはそれを捉えた。ルフィが繰り出すパンチをことごとく払いのける。

ダークシャドウの最大の特徴は影と常闇自身の二つの視点を利用した広域視覚と、自由度を生かした防御力だ。徹底的なパーリングでルフィを寄せ付けない。ルフィのガトリングも鞭も防いでしまう。

 

「くっそー近づけないなー」

 

ルフィは繰り出す攻撃を完封され、少し息切れを起こしている。自信がある対人格闘で近い年にここまで手こずるのはちょっとなかった。兄のエースぐらいか。しかしこの状況にワクワクするのが彼だ。

反対にルフィを封殺している常闇はこの状況をまずく考えていた。

まず第一に防御に追われ、攻撃に転じることができないこと。第二にこのまま攻撃を受け続ければ強化されたダークシャドウといえど破壊されかねないからだ。

 

「ヒヒ・・・俺様はまだまだやれる・・ゼ・・」

(強がってはいるが、この圧力をこれ以上与えるわけにはいかない!)

 

常闇もまた騎馬戦の敗北によりルフィに対抗するために策を練り、個性をさらに進化させた。

 

「闇に這いし者の行方!!」

 

常闇が謎の掛け声を発した瞬間、彼の腹部から繋がっていたダークシャドウがリングを覆う影の中に姿を消した。

これによりガラ空きになった常闇にルフィは間髪入れず突っ込んでいくが、足下の影から唐突にダークシャドウが現れた。不意を突かれたルフィだったが持ち前の反射神経で素早く上へ回避するが、空中から再び回避する術はない。伸縮自在の間合いを持つダークシャドウから逃れられない。

右足と左足を掴まれ雑巾のように捻られてしまう。

 

『なんと素早いルフィを常闇の影がガッチリホールド!これでは全く動けないぜ!』

『こいつは驚いたな。まさか個性の影を自分から切り離して、相手の影へ忍び込ませるとは』

 

『だがルフィの個性はゴム!絞め技は効果がないぞー!!』

 

「当然承知している!」

 

ダークシャドウはルフィを締め上げながら力強く場外へと放り投げた。

 

「うわっ!?」

 

常闇は年齢に対してクレバーだ。勝負よりも試合を選ぶ。場外空中まで放り投げれば彼の勝ちは確定したも同然。

 

「カンタンに落ちるか!!」

「ゴムゴムの風船!!」BON!!

 

ルフィは体内に多くの空気を取り込み、ギャグのような体型に膨んだ。この技で浮力と空気抵抗を生み出し空中で動きを止めた。

この奇想天外な場外を回避したルフィに観客は喝采を鳴らす。ルフィは息を吐き出しすぐさまリング内に復帰しようとしたが、常闇だけは場外回避を予期していたかのように待ち構えていた。

 

「ぶべっ!!??」

 

ルフィはダークシャドウの手に顔を弾かれ再び場外へ押し戻された。

もう一度風船のように膨らんでなんとか地に足をつけないが、万事休すだ。これまで攻撃を完璧に防がれたダークシャドウがリング端に門番のように待ち構えている。どうあがいてもリングに復帰させないように常闇は堅実な動きを魅せる。

この態勢に観客席にいるヒーローたちも関心したかのような声をあげる。ルフィと仲のいい芦戸たちも常闇の勝ちを確信してしまう。

しかし誰もが常闇の勝ちを確信しかけたところで、・・・覆してくるのが彼だ。

 

先ほどよりも息を一気に吐き出したルフィは真上に飛び上がり、上空から落下しながらリングに向かって突入してくる。

そのルフィを常闇は再びはじき出そうとダークシャドウを指揮する。これまでのようにルフィの攻撃を防ぎつつはじき出そうとした。

 

「ゴムゴムのガトリングーーーー!!!!」DDDDDDDDDDD!!!

 

ルフィは落下しながらも連打を繰り返す。全てを防がれる。だが・・・・

 

(クッ・・・・防ぐので精一杯で「落ちてくる」のを止められない!!)

 

ルフィは逆に攻撃を防がせ、リング外に弾かせる暇を与えない。こうなれば重力で自然と彼はリングへ舞い戻る寸法だ。

ルフィの恐ろしいところは、戦いに関しては恐ろしく勘が働くことだ。この作戦を直感で思いつき瞬時で行動に移せるところは頭抜けて優れている。

常闇はこのまま接近を許せば勝機はないと考え、今まで防御に徹していたのに反し、ダークシャドウに攻撃を命じた。

 

・・・しかしその攻撃は悪手。攻撃対攻撃になれば、常闇に勝機はない。

ダークシャドウの横薙ぎの拳をルフィは巧みに避け、スルスルと瞬く間にリングに着地した。瞬間、常闇の両肩はルフィの伸びた手に掴まれる。

 

「ししし!やぁ〜っと捕まえた!」

 

「ゴムゴムの・・・」

「ボーガン!!!!!」

 

伸びた手を常闇とともに引き戻し、体を縦に回転させ常闇の体を打ち飛ばした。

勢いよく吹き飛ばされた常闇はなんとか体勢を立て直し、ダークシャドウで地面を引っ掛けさせ壁への激突は免れる。・・・しかしそこはすでにリングの遥か外。決着はすでについていた。

 

『常闇くん場外のため・・・赤コーナールフィくんの勝ち!』

 

ミッドナイトが決着のコールが響く。

これにて第4試合が終了した。観客の大きく湧き上がる。その声はオオオオオオ、と感嘆の声が大きかった。それはこの試合のレベルの高さを示した証だった。

常闇もルフィの存在がなくてはここまで技と戦略を練ってはいなかっただろう。強者がいることで周りはそれに引っ張られるのだ。

 

「す、すごい!なんてレベルの戦いだ!・・・すごいすごいぞ・・・高校1年生で・・いや・・プロ合わせてもここまで格闘戦ができる人が日本にどれだけいるか・・・・常闇くんの個性の高性能さとポテンシャルの高さにルフィくんのあの身体能力と格闘センスが上回った・・」ブツブツブツブツブツ

 

「ぅるッセエンだよ!クソナードが!!」

 

第一回戦の4試合が終了し、今年の雄英1年生のレベルの高さは見ている者に衝撃を与える。視聴率は爆発的に右肩上がりを計測していた。

 

「I am Champion!!!!ナッハッハッハッハ!!!」Ah Yeah!

 

ルフィの高らかな勝利の叫びとともに雄英経営者たちも高らかに右肩を突き上げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前回に第8戦までやりますと言ってましたが、コビー戦までいけませんでした。すいません!!
月曜休みなんで、火曜日にはあげられると思います・・・汗

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