本編なようで番外編な話。
体育祭が終わって2日の休みを挟み、今日が終わってからの初登校日。未だ疲れが抜けきっていない緑谷は電車に揺られながら頭の中で体育祭の復習をしていた。
脳裏に蘇るのは圧倒的な実力者たち。実力の高さを元から知っていた爆豪・轟が更に力を上げ、そしてその二人の上をいくルフィの存在は彼の壁としてはるかに高かった。
(・・・ん〜〜〜・・・正直、勝てる気がしないというか。一体どれほどの鍛錬をこなせばあんな強さになるんだろうか?やっぱり小さい頃から英才教育を受けてきているのかな?轟君もそうだし、そこの部分は大きいよな。それに比べて僕は中3から鍛え始めた程度だ。ワンフォーオールだって地道に出力上がってきてはいるけど、何より差があるのは戦闘技術の差だよな。轟くんは言わずもがな、ルフィ君は独特のリズムと個性の戦闘慣れが凄いし、カッちゃんに関してはもうアレ才能というしかないし。僕がこれから模索していくべきなのは、実戦経験になる。・・・・・でも、でもな〜・・学生で実戦なんて中々・・クラスメートや先生と戦っても、それは授業の範疇というか」ButsuButsutsu……
((((声掛けてみたかったけど、この子・・・怖っ!!!!!!!)))
独り言が過ぎる緑谷に軽くドン引きする通勤途中のおじさんズであった。
緑谷はA組に着くと、スッと席へと向かい目があった者だけ挨拶する。(わかる人はいるだろうか?軽いコミュ障だと、向こうの人に自分の存在を認識してもらわないと挨拶できないのだ。自発的に元気よく挨拶する事の難易度の高さたるや!!)
「おはようデク君!」
「おはよう麗日さん」
(・・・ほんと麗日さんの顔見ると活力湧くな〜(和み))
「体調はどう?デク君もすっごい怪我してたし、この休みで疲れとれた?」
「う、うん。もう大丈夫だよ!母さんにはすごく心配されたけど、翌日からもそんなだったし。それを言ったらカッちゃんや轟君の方が重傷っぽかったけど・・・・2人ともまだだね?」
緑谷は目線をキョロキョロさせ、クラスを見渡す。周りでは体育祭後の周囲の反応の違いについて話が弾んでいた。
全国放送プラスCS放送ではあるが世界でも放送されたことは彼ら自身が思っていたよりも反響は大きかったらしく、外に出れば声を掛けられることが多々あったらしい。瀬呂のドンマイはドンマイとしか言いようがない。
「あれだけ激しい戦いをしては仮に回復していても強制的にもう数日休ませるだろうな!」
そして急に2人の会話に割ってきたのは委員長・飯田だ。
「「おはよう飯田君!」」
「ああ!おはよう!」
いつも通り何かとキッチリしている飯田だが、彼こそが二人にとって一番の心配事だった。
準々決勝後、飯田は1人競技場を後にしていた。その原因は彼の兄、プロヒーロー「インゲニウム」が危篤の重傷を負わされた事件があったからだ。彼は搬送先の病院へ直行しており、とうとう閉幕式まで戻ることはなかった。
この事件を後から知った2人だったが、なかなかこの事を飯田に聞くことを憚れた。以前彼がどれだけ兄を尊敬していたか知っている分にだ。
予鈴が鳴り、相澤はHRを始める。
「え〜〜〜・・・今日休んでいる爆豪・轟に関しては最低5日間の休養を命じてる。なぜかと言えば、ボクサーと同じように表面的には回復したように見えて脳にダメージが残ったままなことが良くあるためだ」
「それと、ヒーロー学関連の授業は2人が復帰するまで繰越になるぞ。できるだけそこらへんの授業は足並み揃えてやっていきたいという意向だ。連絡事項はこのぐらいだ。何か連絡・質問はあるか?」
淡々と効率よく述べた相澤に対し、上鳴は挙手し質問する。
「先生!それで結局ルフィはヒーロー科に転入できたんですか!?」
恐らくクラス全員が気になっていることであろう。
体育祭でのあの活躍。自分たちの学年のトップが同じクラスに編入してくることに興味が湧かない訳が無い。
「あ〜〜、そのことに関してはお前らも知っての通り、優勝という約束を果たしたので決定事項になっている」
「それでどっちのクラスなんですか!?」
「・・・まだ未定だ。クラスの成績のバランス等、どちらに振り分けるか俺とブラドキング先生が話し合っているが・・・なすりつけ合いがまだ終わってないんでな」
「「「「「「「「なすりつけ合い!!?」」」」」」」」」gabin!!
そんなこんな普通の高校生らしい勉強を今日はこなし、特に何もないまま放課後へなった。HR後、皆が帰ろうと席を立ち始めると芦戸が何人かに1つの話題を挙げる。
「みんな放課後暇ならさ!これ行ってみない!?」
芦戸が手に持ってババン!と掲げるのは1枚のポスターだ。
「なになに?本場フランスの大道芸をご覧あれ、超ド派手バギーサーカス団?」
「「「サーカス!?」」」
「そうそう!ちょうど一昨日からやってるらしくてさ〜。初日に行ってみたかったけど、流石に皆疲れてると思って今日どうかなと!!」
「へ〜今こんなんやってるんや」
「おもしろそうじゃん!」
「だしょ!だしょ!」
いかにも内容の派手さが表れているこの目がチカチカするポスターに麗日・耳郎・葉隠はよく食いついている。体育祭以前はとにかく自主練の毎日でこういうイベントを楽しむ暇がなかった分、ことさら興味が湧いていた。
「このポスター持ってったらチケ代もみんなの分割安みたいだし、大人数で行こうよ!梅雨ちゃんとヤオモモはどうなん?」
「・・悪いわね三奈ちゃん。行きたいのはやまやまなんだけど、家のことがあってしばらくはいけないの」
「私もすみません。せっかくのお誘いですが、今はあまりこのようなものを楽しめそうにないので・・・」
蛙吹は家庭の事情で幼い兄弟を面倒をみないといけないらしく、八百万は元気なくあまり遊ぶ気分になれないようだ。
「残念だな〜。じゃあこの4人で行こうか」
芦戸の言葉の後に、少し間を空けて麗日が小さく挙手をする。
「男子は誘わへんの?」
「え?誘いたいのいるの?お茶子?」
「え〜と、デク君と飯田くんも誘おうかなと」
「仲良し3人組か!・・ヘイ!緑谷!飯田ー!!」
芦戸は2人を呼びつけ勧誘を始める。
「・・悪いが、所用があるんだ。誘ってくれた事感謝するよ」
飯田は彼らしくキッパリと断りを入れると、教室から出て行った。
(・・飯田くん)
「ちぇ〜〜。じゃあ緑谷は?せっかく可愛いお茶子が誘ってんだからポイント高めときなよ〜!」
「ぽ、ポイントって!!??」
「な、何ゆーてん!?三奈ちゃん!?」
「だってお茶子は緑谷か飯田のどっちかなんでしょ?」
「そ、そ、そんなんちゃうし!!!」
「その反応・・・怪しいな〜」niyaniya
そんなこんな女子トークが始まって、断るつもりもなかった緑谷だったが、なんとなく行きづらくなってしまった。
しかし結局女子の「行くよね?」と半ば強引な圧力に屈し参加することになる。
(ど、どどどどどどどどうしよう!!???こ、こんな女子の集まりに僕が参加していいのか!?幾ら何でもハードルが高過ぎるぞ!??走り高跳びなのに棒高跳びのハードル用意されてるようなもんだ!)
あまりに場違いの状況に心中パニック状態の緑谷をよそに、美味しい話を聞きつけたのか峰田と上鳴がこちらに駆け寄ってっきた。
「ヤァヤァヤァ!なんだよ俺らも誘えよなー?男子緑谷だけじゃ居ずらいじゃん?俺らも行くぜー!」
実に自然に明るく場に馴染んできた2人。チャラい上鳴とエロい峰田がこんなイベント逃すはずがなかった。
2人を見て女子陣が一瞬無表情になる。
この妙な間に2人は傷ついた。
すると2人は緑谷だけに聞こえるように悪態をつく。
「あ〜あ〜良いな〜緑谷は。こういう楽しみ独り占めしちゃうわけか。そういう奴だったか〜」
「ハーレムしちゃおうと思ってるんですよ。チェリー捨てようとしてるんすよこの男。純朴そうに見えて虎視眈々とリビドー解放しちゃおうってか!」
「「さっすが緑谷!!」」
ネチネチ嫌味を言われた緑谷がこの2人を熱く歓迎したのは言うまでもなかった。
サーカスに行く男子は緑谷・峰田・上鳴、女子は芦戸・麗日・葉隠・耳郎の7人で行くことになった。
しかしこのサーカス団がただのソレではないのをまだ彼らは知らなかった。
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