麦わら帽子の英雄譚   作:もりも

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補足です。
ブラジルでヒーローといえば強さの象徴です。
これはブラジルが日本の数倍凶悪事件が横行しており、サンパウロなんて犯罪都市であるので、悠長なこといってるとマジでぶっ殺されるからです。
日本のように高学歴ではないし、制約もあまりありません。

なので強ければ全てオッケーだと思っていたルフィからすれば、物凄いカルチャーショックだったでしょう。


興味津々!!

なんとか雄英高校に入ることができたルフィ。

しかし彼について入試から合格発表までの間、議論が雄英会議室で交わされていた。

 

「Hey!オレもあいつはヒーロー科合格でいいと思うぜ!強さこそヒーローの第一条件だろ?」

 

プレゼントマイクは意外にもルフィに肯定的だ。派手好きな彼はルフィの戦闘力に興味を持っていたからだろう。

しかしそんな彼に否定的な意見の者も多くいるようだ。

 

「馬鹿野郎、ヒーローに最も必要なのは自己犠牲の精神だ。自制することできる人間じゃないと務まらん。」

 

相澤は意外にもヒーローに対して熱い。彼の言葉からは武士道にも似た信念を感じる。

 

「実技見る限りじゃ、自己犠牲の面も見れたぜ!」

 

「ありゃ自己犠牲なんてもんじゃなく、自己中心なだけだ。自分がなんとかしてやるってな。」

 

「自制心といった意味じゃ確かに彼てんでダメね。試験前の説明中に早弁してたんでしょ?」

 

相澤に同調しているのは、同じくプロヒーローである18禁ヒーローのミッドナイトだ。

SMの女王様の風貌の彼女に自制心と説かれても説得力はない。

しかし試験中のルフィの行動を聞いていた教師たちはみな一様に頷く。

ただ皆がルフィの実力は認めており、そこがあるがゆえ相澤以外はあまり強く反対の言葉は出せないでいた。

 

「問題はうちが国立だということですよ」

 

少し固い口調でそう話すのは、普段はあまり表立って出てこない教頭であった。

校長がヒーロー科側に傾倒するタイプである反対に、教頭は普通科や経営科など一般生徒側の教師である。

 

「私立なら自由にこちらの裁量で生徒の合否をつけられますが、税金で成り立っている以上総合的な試験結果以外で合否はつけられません。」

 

「そういう不正は何より問題だ。しかも彼では入ってからすぐに学力面で浮いてしまうでしょう?そうなれば生徒間でも疑問が出て来てしまう。」

 

全くの正論を教頭が口にしたことにより、会議室の雰囲気は不合格の流れで立ち込めた。

数少ない肯定派のプレゼントマイクもう〜ん、と黙り込んでしまう。

他の肯定派である校長とオールマイトはただ救いの手も出してもいいんじゃないかと切り出す。

 

「では、オールマイトは彼を推薦する確固たる理由はおありかな?」

 

教頭の静かな物言いにオールマイトはたじろいでしまう。

なにか言おうと思って口をパクパクさせるが、基本脳筋の彼はこの場では役立たずであった。

そこで校長は助け舟を出す。

 

「雄英高校は普通の国立とは異なり、ヒーロー育成という現代社会における重要事項を受け持っている学校さ!いかに優秀な生徒を輩出するかを、僕は至上命題だと考えているよ!バランスよくなんでもこなす人材ももちろん大切ではあるけど、一つのことに秀でた人材を育成して役割を持たせることも大切ではないかな?」

 

「つまり戦闘が得意なのであれば、戦闘だけという役割を与えて育成するということですか?」

 

「そうさ!今のヒーロー社会は一つの事務所がサイドキックを多く抱え込むという形がほとんど。いろんなタイプのヒーローがいればどんな状況にも対応することができるからね。」

 

「つまり短所を補ってチームとして動いているんだ!ルフィ君の戦闘能力はチームの中心になれるものであるし、足りないことは周りがサポートしてあげればいいっていうのが僕の意見さ」

 

「「う〜ん」」

 

校長は持論を展開し、一同はそれに少なからずも賛同する。

その様子にオールマイトは尊敬の眼差しで校長を見ている。

しかし、教頭はその話をコクコクと頷き理解を示しながら、こう返した。

 

「彼を特別扱いすると?」

 

この発言に相澤たち一同が眉を顰める。

 

「そういうわけではないさ」

 

「しかしそういう意見でしたら、他の受験生も見直してあげないと不公平ですよ。彼同様、一芸に秀でた子達は多くいるでしょうし」

 

校長は反論するが、教頭はならばと不公平性を口に出した。

 

「私の知っている子では精神操作の個性の子もいる。その子の個性では今回の実技試験は突破できないものでした。・・・ですがその理屈で言うならば、本来ならこのような強力な個性の子はヒーロー科に入れるべきだと言う結論になる」

 

「もちろん私は反対を唱えます。彼らの人生に大きく関わることですから救済措置もとってあげたいですが、試験と言う体裁がある以上冷酷な振るいはかけなければいけないからです。」

 

教頭の毅然とした態度に皆気を引き締めるような思いになった。

しかし、とオールマイトはそれでも引き下がる。

その顔は納得できるが、どうにかならないのかと言う表情がにじみ出ていた。

 

「どうやら校長とオールマイトはどうにもこいつに肩入れしている節がありますが、どうしてです?」

 

相澤がここまで言われて、未だ粘ろうとしているオールマイトに疑問を投げかけた。

オールマイトはルフィには自分に通ずるヒーローとしての素質を感じているからだと答えた。

この答えは間違いなく本心であるが、オールマイトはその言葉の裏に何か含みのある雰囲気を感じさせる。

 

「・・・?」

 

相沢も少し腑に落ちない様子だったが、深くは追求しなかった。

 

 

「・・・NO.1ヒーローとうちの校長がここまで言っているんだ。それだけでも合格の考慮はしてもいいんじゃないか?」

 

今まで発言をしていなかったエクトプラズムはこれまでの話を聞いて客観的にそう言う。

どうやらヒーロー科の授業も受けもつが、担任ではないため発言は控えていたようだ。

 

「それを加味しても、はい合格とはならないだろ?合格ラインの争ってるならともかく」

 

ヒーロー科のもう一人の担任であるブラドキングが答える。

しかしエクトプラズムは一つの可能性を口にする。

 

「確かにヒーロー科ならかすりもしないが、普通科ならどうだ?」

 

 

「・・・ふ、普通科だと?!」

 

予想外のエクトプラズムの発言に皆驚いた。

続けて彼は発言を続ける。

 

「ヒーロー科と普通科を同時に受けるものは毎年多い。そのため普通科はヒーロー科の落ちた者の受け皿になっている。今年もそうだ。ならばこうやってヒーロー科の合否の議論に上がるこの少年を普通科に入れさせると言うのはどうだろうか?」

 

雄英はヒーロー科以外にも、ヒーローのコスチューム開発など技術職を育てるサポート科とヒーロー事務所の経営を主軸にしている経営科、そして普通科がある。

倍率300倍からわかるようにヒーロー科がダントツに人気なのはわかるだろうが、他のサポート科と経営科も一様に競争率は高い。

しかし普通科に関しては、少し違う。

他の三科は専門職の度合いが強いため、第一志望として受ける受験者が多くを占めている。

一方普通科は特にヒーロー科の滑り止めの受験者が多い。

実技試験がダメでも筆記試験は合格ラインにいる者が流れてくるからだ。

なので雄英では筆記試験はヒーロー科と普通科を合同で行って効率化している。

 

「いや・・・それはどうなんだ?普通科は単純に学力で合否が決まるんだぞ。彼ではダメだろう!」

 

ブラドキングは入試のシステム上あり得ないと反論を述べる。

 

「確かにこれでも先ほどの教頭の意見と相反することだ。しかしなぜウチのヒーロー科を落ちた者が他のヒーロー科の学校に行かずに、わざわざ普通科に行くのか知っているだろう?」

 

 

「・・・在学中の転科推薦か」

 

雄英教師なら皆が知っているだろうとエクトプラズムの言葉に、相澤が反応する。

 

「なるほど、体育祭の結果次第では転科推薦がされることはままある」

「彼にそのチャンスを与えると言うことかい?」

 

校長がそう確認するとエクトプラズムはそう頷き、補足する。

 

「普通科に入れることだけは校長とオールマイトの意見を汲んでよしとして、後のこと条件をつけるなりして判断すればいい」

「例えば学力面での向上が見られなかったり、体育祭での成績が転科推薦にふさわしくなかったら退学したりな」

 

ほぅ、と相澤はなるほどなと息を吐いた。

 

「超法規的処置であることには変わらんな」

 

それでもそれはどうなんだと投げかけた。

 

「しかし先ほどよりは話が進むのではないか?」

 

外見で言えばかなり恐怖を煽るエクトプラズムだが、幾分か建設的にはなっただろうとスマートな一面を見せた。

この打開案に周りの教師陣は特別反論もなく、ルフィの不合格の意見に最も反応を示していた教頭に同意を求める展開となった。

そこで、オールマイトは最後の嘆願として、教頭へ頭を下げる。

 

「教頭先生!どうか私のヒーローとして願いを聞いてもらえないでしょうか!」

 

「・・・・」

 

教頭は少し考えたのち、ため息をひとつついた。

 

「あなたにここまでされては断るものも断れないですよ」

 

年相応に薄い頭を掻きながら教頭はこの意見に賛成の色を出した。

 

「超法規的処置として、文部省の方に電話を入れます。校長もそれでいいですね?」

 

校長は教頭の同意にもちろんさ、明るく声を返した。

 

 

 

 

(ふぅ、なんとかなったか・・・ありがたい。彼には緑谷少年同様に次世代の平和の象徴として活躍してもらいたいからな!)

 

オールマイトは胸の内に秘めた想いがまだなんとかなりそうだと安堵した。

そして彼の事情を知る校長もその様子を見て毛並みを撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

こうしてルフィは雄英高校普通科へ入学することになったのだった。

 

 

 

 

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合格発表から一週間後、ルフィは東京観光をしていた。

 

そして街で偶然出会った透明人間の女の子に

 

「うんこしてる時ってどうなってんだ?」

 

と質問していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。なんか疲れましたので軽い感じで終わらせました(笑)
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