インフィニット・ストラトス~君が描いた未来の世界は~   作:ロシアよ永遠に

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間が開いてしまいましたが、なんとか次話です。
クリスマス?なんですかそれは?


第33話『昼休み…屋上にて』

秋の日差しが暖かく差す中、IS学園にも学生のお楽しみタイムがやってきた!

午前で消費させられた糖分や、その他諸々の栄養素を補給し、午後への糧とする時間。

それは万物にも代え難い、そして命を育む時間。

 

「お弁ッ当ッターイムッ!!」

 

「「イエーイ!!」」

 

「「「イ、イエーイ…?」」」

 

「あらあらうふふ。」

 

鈴の盛大な幹事により、ノリの良い一夏とシャルロットは併せて盛り上がり、イマイチノリについて行けない箒、ラウラ、簪は戸惑い、キャラが違うセシリアは微笑みを浮かべながらそのノリを見詰めている。

とにもかくにも、いつものメンツはIS学園の屋上にて、ドンドンパフパフという効果音が出かねないようなノリに包まれているわけだ。

…が。

 

『………。』

 

この場に身体が存在せず、精神のみがここにある木綿季。彼女の視覚と聴覚になっているプローブ。それを通して、どうにもこうにもブルーな気持ちがどよどよと滲み出ていた。

 

「ど、どうしたんだよ木綿季。」

 

『ふぇ…っ?あ、うぅん。なんでも…ないよ?』

 

「…もしかしなくても、さっき織斑先生に怒られたことを気にしてたりするの?」

 

ここで世話焼き担当のシャルロットが心配気に突っついてくる。

それに関しては誰もが同意だった。

あそこまで本気で怒った千冬を、皆は見たことがなかったのである。

 

『ん……シャルロットの言うとおり…だよ。浮かれて…危険行為してしまったボク自身が情けなくて…』

 

「ふむ…その事を気にしていたのか。…それならもっとひどい失敗例があるぞ?…なぁ一夏?」

 

「ほ、箒さん?その話は…その…」

 

「えぇ。箒さんの言うとおりですわね。確かにアレは木綿季さんのものよりもひどかったですわ。その時の映像が、ティアーズの記録量域に…」

 

「セシリアさぁん!?」

 

一夏の悲観の叫びは右耳から左耳へ流れゆく。そう、それは地球が自転し、太陽の周りを回るかのように。それは森羅万象、自然の摂理の如く。

空中に展開されたディスプレイには、木綿季と同じように空中から地上に向けての加速を行い、見事なまでに地面にクレーターを作っている白式を纏った男子生徒の姿。その真ん中で倒れ伏すその姿は、何故かヤ無茶した格好だった。

そして過去の恥ずかしい失態を暴露され、羞恥のあまり、両手の平で真っ赤になった顔を隠して背を向ける一夏。

 

「とまぁこのように、この映像の男子はもっと恥ずかしい失態を犯しているのだ。…故に、木綿季がいつまでも落ち込むのは割に合わないと思うぞ?」

 

「そうですわね。木綿季さんの場合、瞬時加速をかけて、それでもなお地上にぶつかること無く停止できたんですもの。それに、この映像の殿方がISに乗るのは数回目。木綿季さんは初めてでこの急停止を行えたのですから、危険行為であったことを差し引くにあたっては、恥じるどころか誇るべきです。」

 

映像は丁度授業を終えて、男子生徒が渋々自身の開けてしまった大きなクレーターを、白式を用いて埋めているところに差し掛かる。そんな映像の中の生徒と、今現在木綿季のすぐ横で羞恥に満ちた顔をしている一夏が重なって見える。

 

『えっと…この映像の人って…』

 

「木綿季さん。この映像の殿方の名誉の為に、実名は控えさせていただきますわ。」

 

『は、はぁ…。』

 

明らか且つあからさまなぼかし方である。何か踏み入ってはいけない事情でもあるのかと木綿季は解釈し、セシリアの言を飲み込む。と言うか、名誉どうのこうのいうのなら、顔当たりにモザイクなり修正を掛けるなりして欲しいものである。

 

「…アンタ…あたしらが転校してくる前にこんな事してたのね。」

 

「こ、こればっかりは…ボクもなんとも言えないや…。」

 

「…俺もうお婿に行けない…。」

 

「大丈夫だ嫁!私が嫁に貰ってやる!心配は要らんぞ!」

 

暴露された失態。そしてそれによる同情やら呆れやらの視線と、約一名の的外れのようなそうでないような言葉に、一夏の心はさめざめと涙を流す。

…あれ?そういえば箒とセシリアってこんなキャラだっけ?と一瞬思ってしまうほどにまで二人は辛辣であった。

 

「そんなわけだ。誰にでも失態はある。それを忘れろとは言わん。だがそれを糧にして次に進めば良い。…学ぶというのはそういうことではないのか?」

 

「偉いお方はこう言ったものです。『過ちを気に病むことはない。ただ認めて、次の糧にすればいい。』と。…つまり、そういうことですわ。」

 

「セシリア。それ、大人の特権だから…。」

 

かく言う箒もセシリアも、片や専用機を得た慢心からの僚機撃墜、片や女尊男卑の思想に染まった問題発言と言った失態を過去に起こしている。それが結果としてかどうかはわからないが、前者は専用機を持つに相応しくなるべく研鑽を重ねているし、後者は男性に対する認識を改めるに至った。そんな二人の言葉だからこそ、一夏もどこか妙に納得してしまう。

 

「さて…一夏の恥ずかしい秘密暴露は追々として…そろそろお弁当食べましょ!時間がなくなっちゃうわよ。」

 

「ぅぉい鈴!せっかくぼかしてたのにぶっちゃけるなよ!?てか、秘密暴露を追々って、どういう意味なんだ!?」

 

「今日は豚の生姜焼きを作ってきたんだ。良かったら皆つままないか?」

 

「私は…食後にカップケーキ焼いてきたから…。」

 

「ボクはキッシュを焼いてきたんだ。中々上手く焼けたよ~。」

 

「アタシは勿論酢豚よ!」

 

「私は…隊の仲間がソーセージを送ってくれてな。焼いただけなのだが…」

 

鈴の意味深な言葉に対する一夏の悲痛な叫びなど何処へやら。誰も彼もが耳を傾ける事は無く、それぞれの弁当の包みを開けて発表し始めた。

それはさておき、プローブ越しに映る色取り取り、そして食欲をそそられる弁当の数々に、木綿季メディキュボイドの中でゴクリと喉を鳴らす。

何せ、長年口にしていない現実世界の料理なのだ。その味という物を木綿季は忘れかけているだけに、その羨望の視線という物は、否が応でもプローブ越しに一夏には伝わっていた。

 

「…仮想世界でも…現実の味を再現できるかな…先生に掛け合ってみるか。」

 

「…?一夏、何か言った?」

 

「いや、何でもねぇよ。…とりあえず木綿季。後でALOで何か作ってやるよ。」

 

『どしたの?急に。』

 

「いや、何となくな。」

 

思えば、現実の食べ物を口に出来ない木綿季の目の前で昼食と言うのも、いささか配慮に欠けていたかも知れない。

だったら…仮想世界ででも手料理を振る舞ってやるとしよう。それで満たされるかどうかと言えば、答えは確実に『NO』と言えるだろう。だが、それが少しでも木綿季にとって喜んでもらえるなら。そう考えて一夏は、どんなメニューにしようかと思案するのであった。

 

だが…

 

「コホン…」

 

上品で、気品に満ちた咳払いが耳に入った。

今現在、各々の昼食を披露しているタイミング。

そんな中で、何かをもの申したいのであろうその咳払い。

だが、この場にいる面々にとって、恐らくそんな咳払いをする人物であろう彼女の言葉は、あまり聞きたくない物であることが共通の認識であった。

 

「一夏さん!私、今日はたまたま早起きいたしまして、たまたまお弁当を作ろうと思いましたの!」

 

「あ、あぁ。そ、そう、なのか。」

 

それは死の宣告。

それは死神の囁き。

 

「それで沢山作りすぎてしまいましたので…一夏さん、よろしければ食べていただけませんこと?」

 

それは……人の…いや、生き物の食べ物ではない。

それだけは確かであると、作った本人以外が認識する言葉。

 

その日…

 

一夏の腹は限界を迎えた。




次回予告!

鈴「やめて!香り付けとかなんとかの理由で、料理に香水をふっかけるようなセシリアの料理を食べちゃったら、幾ら鈍い一夏でも胃袋は限界を迎えるし、精神まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないで一夏!あんたが今ここで倒れたら、木綿季との約束はどうなっちゃうの? イベントはまだ残ってる。ここを耐えれば、デュエルトーナメントに出れるんだから!
次回、「織斑一夏死す」。胃薬スタンバイ!」

円夏が一夏を呼ぶ時の呼び方は?今後の小説に反映されます。

  • にいに。
  • お兄ちゃん。
  • 兄さん。
  • 兄貴。
  • 一夏。
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