インフィニット・ストラトス~君が描いた未来の世界は~   作:ロシアよ永遠に

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タグ追加の通り、展開上の使用でこうなる可能性大です。なんとか調整してなくなったら消します。曖昧で申し訳ないです。


第34話『リアルでのデュエル!』

夕日が差し込むアリーナで、白と紫。そのISの刃と刃がぶつかり合い、火花を散らす。

未だ慣れきっていないはずの紫のIS…『紫天』の操縦者である木綿季は、白のISである白式の武装『雪片弐型』と相反する色の黒いブレードによる、華麗な剣戟で一夏の刃と斬り合う。

 

「おぉっ!!」

 

鍔競り合いの状態から力任せに一夏は紫天を押す。普段鍛えた筋力と、ISによるパワーアシストで、紫天は剣を押し上げられて体勢を崩す。だが、そんな状態でも紫天を仮想世界から操作する木綿季に焦りは無かった。

一夏は体勢を崩させ、その勢いで畳みかけようとしていた。だが、木綿季は押し上げられた勢いそのままに、脚部のスラスターを吹かしてバック宙の軌道で、追撃してくる雪片の横薙ぎの一閃を掠めさせること無く回避した。

 

『覚悟は良いかな?』

 

バック宙の体勢から、ブレードを弓引くように構えると、背部のブースターから粒子が噴出し、瞬時加速(イグニッション・ブースト)の速度にその切っ先を突き出して突っ込んでくる。

その軌道は、ソードスキルであるソニックリーブか、はたまたヴォーバルストライクのような、突進系のものを彷彿させるそれだった。

 

「あぶっ!?」

 

雪片の刃をブレードの切っ先に当て、逸らしに掛かる。目の前で赤い火花と、甲高い金属音が木霊し、そして鋭い刃が目の横を10センチほどの距離で通過している。正直、現実でこんな物を間近で見ていると生きた心地がしないものだ。

だが…これは逆にチャンスだ。瞬時加速を使うと、一定時間はそのままの軌道で突き進む。つまり、攻撃を逸らした今なら、木綿季の紫天は無防備な背中を晒したまま。

 

「取ったっ!」

 

すかさず一夏はターンすると同時に、自身も瞬時加速を掛けて追撃する。

今なら…零落白夜を…!

そう狙い、雪片の刃からエネルギーが放出され、シールドエネルギーを含む、ありとあらゆるエネルギーを切り裂く光刃が展開される。

これを当てられたなら…!

勝てる、そう確信して口元を吊り上げた彼の目に飛び込んできたのは、重厚で、そして黒光りする大型拳銃。

こちらに視線を向けること無く、ただ背面越しに、寸分狂い無く一夏の眉間に狙いを定めたそれを目の当たりにし、彼は冷や汗を流すしかない。

 

「お、おいおい…マジですか…。」

 

そんな言葉を残して、火薬の炸裂する音が試合終了を告げる物となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事の発端は、放課後に一夏が保健室に担ぎ込まれたときに遡る。

『名前を言ってはいけないアレ』を口にして保健室に担ぎ込まれた一夏は、5、6限目と休んでいた。

その際に、プローブから現実世界を覗く木綿季は、一夏を見舞うと言いだしたのだが、千冬の

 

「お前は今現在、IS学園1ー1の生徒だ。保健委員でも無いお前が、クラスメイトの見舞いで授業を休むなど通るわけが無いだろう?」

 

との言葉に口を閉ざすしかなかった。ぐうの音も出ないとはこのことだ。確かに千冬の言うことも尤もである。それでも一夏を見舞えない歯痒さと同時に、改めて生徒として認められていることの喜びで、少し複雑な心境でもあったが。

まぁそんなこんなで。

一夏がそんな状況なのもあってか木綿季のプローブの位置は、一時的に一夏の方からシャルロットの肩に移動していた。

成績も優秀で、社交性もある彼女が抜擢されたのである。

ちなみに

箒は成績がそこまで良くないため

ラウラは副官による、少々偏った知識を持っているため

という理由らしい。

成績優秀で淑女である英国国家代表候補生?アンタが事態の渦中にある人物でしょう、とだけ言っておく。

 

で、

 

放課後

 

何とか復活した一夏は、狙ったかのように終わりのSHR(ショートホームルーム)に姿を現し、保健室で寝込んでいたことを忘れさせるほどに元気な姿を見せていた。

 

「全く、心配したのだぞ嫁。」

 

「あ~、悪い悪い。でももう大丈夫だ。毒は綺麗さっぱりなくなったみたいでさ。」

 

「ど、毒とは…まぁあながち間違いでもないが…」

 

「まぁ!一夏さん毒を盛られましたの!?何故そのような…もしや何某かの刺客が一夏さんの命を狙って!?学園の警備は何をしてるんですの!?」

 

おめーの料理が原因だよと、本人以外の誰も彼もがセシリアに視線を向ける。

無自覚というのはかくも厄介な物である。

 

『一夏ぁ…心配したんだよ…?』

 

いつもの元気は何処へやら。シャルロットの肩から弱々しげに木綿季は、画面越しに一夏に声を掛ける。顔は実際には見えないから表情はわからないが、しかし彼女の眉はハの字で、なお且つ泣きそうな顔をしているのだろうと、声色から容易に想像できる。

 

『もしあのまま一夏に何かあったら…ボク……ボク……!!』

 

「お、おい…木綿季…大袈裟な…。」

 

泣きじゃくり始めた木綿季に、そこまで言って一夏はハッとする。

木綿季はすでに両親と、姉である藍子を失っていることを思い出したのだ。齢にして15と言う歳で天涯孤独となっている彼女は、大切な人、身近な人を失う辛さや悲しみ、そしてそれによって残される孤独感や寂しさを嫌という程すでに味わっている。加えて一度木綿季は、結果としてではあるが一夏を死地(アインクラッド)に送り込んでしまったという事もある。そしてなによりも、片想い(で両想い)の一夏と言う、近しい人間を喪うことを極端に恐れても居たのである。

 

「…悪ぃ木綿季。大丈夫だ。俺はここに居る。…な?」

 

『…ホント?』

 

「あぁ。…だから泣くな。…何なら後でALOで出会ってやるからさ。どうせなら生きてるって証拠にデュエルしてもいいぜ?」

 

『え~、それはトーナメントの楽しみにしておくよ。』

 

「おっ、そうだな。」

 

何とか木綿季の気持ちを持ち直すことが出来たようで、一夏も一安心し、同時に彼女も浮かべて居るであろう笑顔を自身にも伝染させてくる。

そうだ。

やはり木綿季は笑顔で明るい、一緒に居たり話したりするだけで、まるで太陽の日差しのような暖かな気持ちにさせてくれる。一夏は改めて、そんな彼女に惚れ込んでしまったことを実感させられた。

だが…

 

「む…一夏。いつまでシャルロット…もとい、木綿季にヘラヘラしているつもりだ?」

 

「そうですわ。織斑先生から、木綿季さんの鍛錬を見るように仰せつかっていらっしゃるのではなくって?」

 

やはり、自分以外の女子と仲良く話しているのが気に食わないのか、声色を低くした箒とセシリアが詰め寄ってくる。ラウラも、自身にも構って欲しいと言わんばかりに頬を膨らませて一夏を睨んできていた。

ちなみに、一夏が近くに寄ってきているシャルロットは、不機嫌どころか少し役得と感じていたりする。

 

「そ、それもそうだな。じゃあそろそろアリーナに向かおうぜ。」

 

『ご、ごめんね。ボクがグズっちゃったから、一夏が怒られちゃって…。』

 

「いや、木綿季が気にすることないぜ。心配してくれて、ありがとな?」

 

『え?あ、ぅん…えへへ…。』

 

また目の前でほのかな桃色空間を作りかけている2人。もはや、箒のムカムカは頂点である。

 

「い、いい加減にしろ!は、早く移動しろと言っているのだ!あと、場をわきまえろ!!」

 

周囲を見れば、若干甘ったるげな雰囲気に飲まれている生徒がちらほら見え、その表情はゲンナリしている。そしてまだ教室に残っていた教師二人の内、真耶の方は『若いですね~青春ですね~…うらやましいですね~…』とかなんとか言っているし(ちなみに後に行くに連れて声も小さくなるし、若干涙声にもなっていた)、千冬に至っては、額に手を当てて呆れている。もしかしたら、空気に当てられて赤面している、かも知れない。

何せラバーズのみならず、この学園のほとんどの生徒が男に飢えている。なので、こうしたカップル紛いの行為に耐性が0。むしろ、マイナス数値をたたき出している可能性が高いのである。

そんなわけで教室にいた生徒の内数名は、購買にブラックコーヒー、または苦めのお茶を買いに退室していたりする。

 

「まぁ一夏。アリーナの使用時間も限られているんだから、話の方はその道中ですれば良いんじゃないかな?」

 

ここでようやくシャルロットが口を開いたと共に、肩のプローブを外して一夏の方に装着させる。固定アームで制服がシワにならないよう留意し、顔を近付けて大丈夫か確認する。その様子はさながら、夫のネクタイを直す妻…の用に見えなくもない。

 

『ありがとねシャルロット。色々教えてくれて。』

 

「うぅん。いいよ。またボクの肩で良かったら貸すからね。」

 

5、6時間目の授業の合間の休み時間。木綿季はシャルロットに、5時間目の授業内容で判らなかった事を、怖ず怖ずとではあるが聞いてみた。

一応、一般科目であったため、木綿季のノートとりは許可されており、仮想空間におけるディスプレイに、授業や話の内容をとっていた。が、やはり矢継ぎ早のように話される内容を理解しようと思えば、木綿季の4年近くのブランクという物は大きいものであり、追っつかない状態であった。

なので、書き取れなかった分。そして理解しきれなかった分を、肩を貸してくれているシャルロットに聞いてみたところ、快くノートを見せると共にわかりやすい解説を入れてくれたのである。そのノートも、後で読んだり、他者が見やすいように綺麗にまとめられており、まさしく優等生女子のノートと言うに相応しい物だった。

そんなやりとりがあったため、どうやら木綿季とシャルロットの仲はかなり縮まった様子である。アリーナへ向かう間も、2人の会話は途切れることなく、むしろ一夏そっちのけで盛り上がっていた。

そしてその様子を見て、一夏が少しシャルロットに嫉妬していたのは全くの余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴や簪と合流した後、更衣室前でプローブを再びシャルロットに預けて、一夏はISスーツに着替えてアリーナに出る。

広大なアリーナ。一夏の見える範囲では、他に訓練中の生徒はおらず、貸し切りと言っても過言ではない状態。これなら、広い範囲で訓練を展開することが出来るし、木綿季も自由に飛ぶことが出来るだろう。

 

「ふっ……いつからアリーナに誰も居ないと錯覚していたんだい?」

 

「うぉあっ!?」

 

いつの間にか背後に腕を組んで立っていたのは天災。入ってきたときは誰も居なかったはずなのに…。…まさか男子更衣室から入ってきたわけでは…無いと信じたい。

 

「ふっふっふっふっ…ふが4つ。あれ?5つになったか、まぁいいや。箒ちゃん達はまだ着替え中かな?」

 

「そ、そうですね。もう少し掛かるんじゃないかと…。」

 

「よし!じゃあ箒ちゃんの生パイオツを…ぐえっ!?」

 

「よし!じゃねーでしょ。」

 

意気込んで女子更衣室に凸しようとする天災の襟を引っ掴んで、同性による覗き、もしくはセクハラを阻止する。変な声が出たようだが、別にそんなことは気にしなくても問題ない。

 

「な、何すんのさいっ君!束さんはただ、かわゆいかわゆい妹の成長を…!」

 

「そう言って臨海学校の時、そのかわゆいかわゆい妹にシバかれたのは誰でした?」

 

「え~?束さん、そんなの覚えてないや☆」

 

「大体なんですか!その…パイオツって!」

 

「え?いっ君知らない?」

 

「いや、そういう訳じゃなくて…」

 

「いっ君もさ、女の子のおっぱいには夢が詰まっていると思わない?大っきなおっぱい、小っさいおっぱい、美しいおっぱい…どれも皆おっぱいだけど、その全ては須く愛されるべき物なんだよ!」

 

「は、はぁ…。」

 

「大きなおっぱいに埋もれるもよし!小さいおっぱいを愛でるもよし!美しいおっぱいに芸術を感じるもよし!そしてそれらはどれを一つとっても同じ物がない、世界に一つだけのおっぱいなのさ!

 

さぁ!いっ君もおっぱいへの愛を解放しよう!束さんも、箒ちゃんと、そしてちーちゃん、んで、ゆうちゃんのおっぱいへの愛を解き放つよ!」

 

「ちょっ…え?先の2人はいいとして…いや良くはないけど、なんで木綿季も!?」

 

「ん?こまけぇこたぁいいんだよ!」

 

「よくない!!」

 

もう彼女の暴走を止めるのは無理かと、一夏が半ば諦め掛けたとき、ドゴォッ!という、人体から聞こえてはならないような重く、そして壮大な音と共に、束の頭はアリーナの地面に沈んだ。

見れば、木刀を振り下ろした箒が、肩で息をしながら地に沈む束を睨み下ろしていた。

 

「ま、全く…!何を言っているんですか姉さん!身内として恥ずかしい!!」

 

「おぉ!箒ちゃん!待ってたよ!」

 

「何が『待ってたよ!』ですか!あ、あんな単語を恥ずかしげもなく、何度も何度も連呼して…!は、恥を知ってください恥を!」

 

「ん?あんな単語って、何を差すのかな?具体的に言ってくれないと、束さんわかんな~い☆」

 

「…もう一撃、おかわりは要りますか?」

 

「ノーセンキュー。」

 

ユラリと、まるで悪鬼のようなオーラを出しながら木刀を上段に構える愛する妹を見て、流石にやばいと思ったのか、さしもの束さんも押し黙った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆に囲まれて、そして正座させられている束。皆が彼女を見る眼が鋭く、特に箒においてはゲスい何かを見るような目である。そんな視線も束にとってはご褒美らしく、ゾクゾクしながら悶えている。

 

「それで?束さん、まだ居たんですか?他に何かIS学園に用が?」

 

「あ!それね!紫天の武装について説明がなかったでしょ?」

 

『武装?』

 

「そそ。一応ね、紫天も競技用の武装を入れてたりするんだよね。」

 

曰く、一応は木綿季を空へ羽ばたかせようとするためのISだったが、どうせならと言うことで武器を放り込んでいたという。ISバトル、と言うのを体験するのもいいんじゃないか、と束は言う。

 

「そんなわけでゆうちゃん!」

 

『は、はいっ!』

 

「いっ君とISで模擬戦、してみない?」

 

それが、冒頭の戦いの狼煙と言っても過言ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まけた…!」

 

『えっへへ…ブイッ!』

 

OTZの体勢で跪く一夏と裏腹に、木綿季は紫天の指でVサインを作る。

授業で既にISの操作法をほぼマスターしてしまった木綿季は、武器の展開を学んだ、それだけで、一夏を負かしてしまうまでの腕前になってしまった。仮想世界の身体の動かし方といった、元々イメージや精神的なもので操作する、と言う物においては木綿季に一日の長がある。加えてALOの剣技の延長もあり、絶剣の二つ名に負けぬ程の攻め、そして新たに扱うことになったハンドガンを用いて一夏を下したのである。

 

「す、凄いんだね木綿季…。ホントに今日初めてISに乗ったの?」

 

『うん。でも楽しいよねISの模擬戦って。ALOのデュエルも良いけど、こうやって高速戦闘で戦えるのも良いなぁ。』

 

労いと驚きの入り交じった声のシャルロットに、木綿季は弾んだ声で応える。流石に魔法やソードスキルは無いものの、機体性能差もあるが、ただ純粋に己の技量で雌雄を決する事が出来るのも、木綿季にはお気に召したようである。

 

「木綿季!次はあたしと勝負しましょ!」

 

「り、鈴?」

 

「うむ、何故か木綿季の戦いぶりを見ていると…私も…何というのか、血が滾ってきた。そんなわけで、私とも戦え。決定事項だ。」

 

「ちょっ…2人とも、木綿季は今日ISを動かしたばかりで…」

 

『うん!いいよ!』

 

「いいのかよ!?」

 

流石に連戦という物は、幾ら肉体で動かさないとは言え、今日初めてISに触れた人間にはキツいものだとも思い、一夏は2人を止めに掛かるが、戦う当の本人たる木綿季がやる気満々だった。

そうだ、そういう性格だった。

バトルジャンキーと言うか脳筋と言うか…。そんな言葉が相応しくなってきているようにも見える彼女は、疲れなんか知らないと言わんばかりに再び空へ浮かび上がり、後を追うように甲龍を纏った鈴が高度を上げていく。

 

「まぁ…木綿季が楽しんでるなら、良いかな?」

 

これも一つの部活みたいな物と捉えるなら、木綿季が望む『学校生活』の在り方なのだろう。

そう思いながら、一夏は上空でブレードと青竜刀のぶつかり合う様を見詰めた。




紫天の戦闘スタイルは、ガンゲイル・オンライン フェイタルバレットのユウキを模しています。
武装については、

超硬質近接ブレード『リヒトメッサー』
15ミリ弾仕様IS用大型ハンドガン『マーゲイ・ストライフ』

元ネタがわかる人は、恐らくニュード汚染されていることだろう…

円夏が一夏を呼ぶ時の呼び方は?今後の小説に反映されます。

  • にいに。
  • お兄ちゃん。
  • 兄さん。
  • 兄貴。
  • 一夏。
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