インフィニット・ストラトス~君が描いた未来の世界は~ 作:ロシアよ永遠に
新生アインクラッド24層主街区より少し離れた小島エリア
青々と茂る周囲の森にある、大きな湖。点々とする小島の中に、巨木が目印と言わんばかりに浮かぶ島があった。
そこまで大きくもなく、ちょっとした息抜き程度に丁度良いような。そんなエリアにも関わらず、その島の上には多数のプレイヤーによる人集りが出来ていた。
歓喜、そしてざわめき。
金属同士がぶつかり合い、そして空を断つ音が、静寂なはずの森林に木霊する。
「お、やってるな。」
そんな人集りの傍らへとランディングするのは、この中で知らないプレイヤーが居ないであろう、ブラッキーことキリト。
「相変わらずスゴイ人集りね。其程までにオリジナルソードスキルが魅力なのかしら?」
「そりゃそうでしょうよ。何せ、オリジナルソードスキル最大連撃の11よ?そんなスゴいスキルがあるなら欲しがるのも無理はないわよ。」
「確かに、オリジナルソードスキルは自由な編成が出来ますけど、システムアシスト無しでの構築が条件ですからね。11連撃も組み立てようとしたら、並大抵の努力では出来ませんよ。」
「うへ…アタシは普通のソードスキルで充分だわ。ガチ勢には到底適わないし。」
絶剣のオリジナルソードスキル、それに当てられるプレイヤーの熱意に、生産職に偏りかけのリズベットはゲンナリとしている。
かく言うアスナでさえ、オリジナルソードスキルである『スターリィ・ティアー』も5連撃。つまり、絶剣のそれは単純に倍以上となる。アスナほどの手練れでも、撃ち込むべき場所、動き、その他諸々を計算の上で5連撃が限度なのだ。
「そんな相手に、今から挑むのが…彼なんだけど…」
皆が振り向けば、頭から地面に突っ込んでピクピクしているインプの少年。一昔前のギャグシーンみたいだ。
「…何か、勝てる要素がなくなってきてる気がするのはアタシだけかしら?」
「だ、大丈夫ですリズさん…それはあたしも同じですので。」
「…ぷはっ!?ダメだな…ランディングの仕方が鈍ってるみたいだ。こりゃ要練習だな。」
悲しいかな、何時ぞやのISの飛行訓練の際の降下訓練、それに失敗してクレーターを作ってしまった時と状況が酷似していた。
土にまみれた顔を地面から抜き取って、顔を軽く拭きとり、何事もなかったかのようにキリッと立ち上がる。
「さっ、俺の相手は何処だ?」
「イチカさん…。」
「お前、今更格好つけても格好付かないけどな?」
「あ、丁度相手が
デュエルも佳境…と言うよりも、絶剣側と思しき少女の剣技が、今正に挑戦者に迫ろうとしていた。体力が半減しても終わっていない、と言うことは、全損決着なのだろう。文字通り体力がなくなるか、もしくはどちらかがリザインするまで終わらない。
「ま、参った!リザ…」
「てゃぁあぁぁああ!!!」
「アバー!?」
リザイン、そう言い終える前に、少女の剣戟が挑戦者であるサラマンダーの胴を斬る。
4分の1にまで減っていた体力、それが更に損なわれる。
「り、リザ…」
「でゃああぁぁぁ!!」
「グワー!」
「そいゃぁぁぁぁ!!」
「ヒギィィッ!?」
「もういっちょぉぉぉおおお!!!」
「サヨナラーッ!!」
…とうとう
赤々と燃えるリメンライトとなってしまった挑戦者の姿に、観戦者達は恐れを成して一歩退く。
「さて、次は誰かなぁ?ボクは準備万端だよ?今日の絶剣は、滅茶苦茶痛いぞぉ!」
全くのダメージもなく、かといってソードスキルの使用も魔法の使用もなく、ただ単純な剣技での
今宵の絶剣様は荒ぶっておられる!
誰だ!?絶剣様の怒りを買った愚か者は!?
静まれ!静まりたまえ!
恐怖した面々が、まるで神か何かのように絶剣の少女を
崇め
畏れ
称えている。
「お、おいおいユウキ…どうしたんだよ、何かすっごい気が立ってないか!?」
「あ~、キリトだぁ~、なに?またボクと戦ってくれるのぉ?」
「い、いやいやいや!無理!今のお前と戦うとか絶対無理ィッ!?」
「じゃアスナ~」
「ちょっ!ユウキ!眼!眼が据わってるわよ!?」
さしもの彼の『黒の剣士』や『閃光』も、目の前に居る絶剣改め修羅と思しき少女…ユウキには戦慄し、及び腰になってしまう。
チェッ、と舌打ちし、次なる獲物…もとい挑戦者を探して周囲を一瞥する。
しかし誰も彼もが、自身が視線を向ける度に一歩下がり、徐々に距離を開いていく。
そして…一人の少年と目が合った、合ってしまった。
「「あ……!あぁぁぁ~っ!!!!!」」
見事なまでに同時に叫ぶ。その音量たるや、皆がその大きさにビクリと身体を震わせて、更に一歩下がった。
「キミは!さっきボクのお尻にダイブしたお尻フェチ!」
「違ぇって!何で!?シリカと言い、なんで俺ってそっち方面にカテゴライズされるの!?」
「あ、あんな事言われたら、誰だってそう思うでしょ!?」
「畜生!恨むぜクラインさん!」
こんなことなら、素直に謝罪しておけばよかったと、イチカの内心で後悔の念が渦巻く。
目の前には、羞恥と怒りで顔を真っ赤にしている絶剣ことユウキ。
…さて、どう収集付けたものか。
「な、何だよ、絶剣様がお怒りなのは『絶刀』の奴が原因なのか?」
(もしかして俺、そのとばっちりでリメンライトになるまでやられたの!?)
「この野郎!イチカ!絶剣様の機嫌を直すために斬られやがれ!」
「処刑だ!公開処刑!!おいデュエルしろよ!」
まさに非難囂々である。
イチカを囲み、ユウキとのデュエルしろと御所望のようだ。
「へぇ…イチカ、っていうんだ?『絶刀』、それが君の二つ名なんだね?」
「…まぁな。前にやってたゲームで済し崩しに付いた名前だけど。」
「そっか。
「そこまで偉大なモンじゃないけど…」
「…ふふふ…そうなんだ。じゃあ探す手間も省けたし、お尻フェチさんを成敗する事も出来るし、一石二鳥だね。」
「は…?」
「ねぇお尻フェチさん、ボクとデュエルしよ?」
「だから!俺は尻フェチじゃ…っ!」
ユウキは腰から、愛剣マクアフィテルを抜き取ると、イチカにその切っ先を突き付ける。
彼女の目は、先程の怒り心頭のそれとはまた違う、こちらを射貫かんばかりの鋭く、強い眼差しだ。
「ボクと勝負してくれたら、勝っても負けてもお尻のことに関しては許してあげる。ボクに勝ったら、ボクのオリジナルソードスキルをあげるし、…どうかな?」
「オリジナルソードスキルに関してはともかく…ダイブの件を水に流してくれるなら有りがたいことは無いな。」
「決まりだね。」
同意を得たと確信するや、ユウキは端末を操作し、イチカにデュエルの申請を送る。
デュエルするだけで許してくれるなら、此程有り難い話はない。それに何よりも、キリトやアスナを負かしたという絶刀、その少女と戦って勝ってみたい気持ちもあった。
「良いぜ、やろうか絶剣!」
「全力でやろうよ、絶刀!」
イチカのデュエル承諾が通ると共に、試合開始へのカウントダウンが始まった。
円夏が一夏を呼ぶ時の呼び方は?今後の小説に反映されます。
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にいに。
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お兄ちゃん。
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兄さん。
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兄貴。
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一夏。