インフィニット・ストラトス~君が描いた未来の世界は~   作:ロシアよ永遠に

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第3話『絶剣さんは、激おこぷんぷん丸のようです』

新生アインクラッド24層主街区より少し離れた小島エリア

 

青々と茂る周囲の森にある、大きな湖。点々とする小島の中に、巨木が目印と言わんばかりに浮かぶ島があった。

そこまで大きくもなく、ちょっとした息抜き程度に丁度良いような。そんなエリアにも関わらず、その島の上には多数のプレイヤーによる人集りが出来ていた。

歓喜、そしてざわめき。

金属同士がぶつかり合い、そして空を断つ音が、静寂なはずの森林に木霊する。

 

「お、やってるな。」

 

そんな人集りの傍らへとランディングするのは、この中で知らないプレイヤーが居ないであろう、ブラッキーことキリト。

 

「相変わらずスゴイ人集りね。其程までにオリジナルソードスキルが魅力なのかしら?」

 

「そりゃそうでしょうよ。何せ、オリジナルソードスキル最大連撃の11よ?そんなスゴいスキルがあるなら欲しがるのも無理はないわよ。」

 

「確かに、オリジナルソードスキルは自由な編成が出来ますけど、システムアシスト無しでの構築が条件ですからね。11連撃も組み立てようとしたら、並大抵の努力では出来ませんよ。」

 

「うへ…アタシは普通のソードスキルで充分だわ。ガチ勢には到底適わないし。」

 

絶剣のオリジナルソードスキル、それに当てられるプレイヤーの熱意に、生産職に偏りかけのリズベットはゲンナリとしている。

かく言うアスナでさえ、オリジナルソードスキルである『スターリィ・ティアー』も5連撃。つまり、絶剣のそれは単純に倍以上となる。アスナほどの手練れでも、撃ち込むべき場所、動き、その他諸々を計算の上で5連撃が限度なのだ。

 

「そんな相手に、今から挑むのが…彼なんだけど…」

 

皆が振り向けば、頭から地面に突っ込んでピクピクしているインプの少年。一昔前のギャグシーンみたいだ。

 

「…何か、勝てる要素がなくなってきてる気がするのはアタシだけかしら?」

 

「だ、大丈夫ですリズさん…それはあたしも同じですので。」

 

「…ぷはっ!?ダメだな…ランディングの仕方が鈍ってるみたいだ。こりゃ要練習だな。」

 

悲しいかな、何時ぞやのISの飛行訓練の際の降下訓練、それに失敗してクレーターを作ってしまった時と状況が酷似していた。

土にまみれた顔を地面から抜き取って、顔を軽く拭きとり、何事もなかったかのようにキリッと立ち上がる。

 

「さっ、俺の相手は何処だ?」

 

「イチカさん…。」

 

「お前、今更格好つけても格好付かないけどな?」

 

「あ、丁度相手が降参(リザイン)を…」

 

デュエルも佳境…と言うよりも、絶剣側と思しき少女の剣技が、今正に挑戦者に迫ろうとしていた。体力が半減しても終わっていない、と言うことは、全損決着なのだろう。文字通り体力がなくなるか、もしくはどちらかがリザインするまで終わらない。

 

「ま、参った!リザ…」

 

「てゃぁあぁぁああ!!!」

 

「アバー!?」

 

リザイン、そう言い終える前に、少女の剣戟が挑戦者であるサラマンダーの胴を斬る。

4分の1にまで減っていた体力、それが更に損なわれる。

 

「り、リザ…」

 

「でゃああぁぁぁ!!」

 

「グワー!」

 

「そいゃぁぁぁぁ!!」

 

「ヒギィィッ!?」

 

「もういっちょぉぉぉおおお!!!」

 

「サヨナラーッ!!」

 

…とうとう挑戦者(チャレンジャー)にリザインさせず、体力全損にて決着と相成った。

赤々と燃えるリメンライトとなってしまった挑戦者の姿に、観戦者達は恐れを成して一歩退く。

 

「さて、次は誰かなぁ?ボクは準備万端だよ?今日の絶剣は、滅茶苦茶痛いぞぉ!」

 

全くのダメージもなく、かといってソードスキルの使用も魔法の使用もなく、ただ単純な剣技での完全試合(パーフェクトゲーム)だった。

 

今宵の絶剣様は荒ぶっておられる!

 

誰だ!?絶剣様の怒りを買った愚か者は!?

 

静まれ!静まりたまえ!

 

恐怖した面々が、まるで神か何かのように絶剣の少女を

崇め

畏れ

称えている。

 

「お、おいおいユウキ…どうしたんだよ、何かすっごい気が立ってないか!?」

 

「あ~、キリトだぁ~、なに?またボクと戦ってくれるのぉ?」

 

「い、いやいやいや!無理!今のお前と戦うとか絶対無理ィッ!?」

 

「じゃアスナ~」

 

「ちょっ!ユウキ!眼!眼が据わってるわよ!?」

 

さしもの彼の『黒の剣士』や『閃光』も、目の前に居る絶剣改め修羅と思しき少女…ユウキには戦慄し、及び腰になってしまう。

チェッ、と舌打ちし、次なる獲物…もとい挑戦者を探して周囲を一瞥する。

しかし誰も彼もが、自身が視線を向ける度に一歩下がり、徐々に距離を開いていく。

そして…一人の少年と目が合った、合ってしまった。

 

「「あ……!あぁぁぁ~っ!!!!!」」

 

見事なまでに同時に叫ぶ。その音量たるや、皆がその大きさにビクリと身体を震わせて、更に一歩下がった。

 

「キミは!さっきボクのお尻にダイブしたお尻フェチ!」

 

「違ぇって!何で!?シリカと言い、なんで俺ってそっち方面にカテゴライズされるの!?」

 

「あ、あんな事言われたら、誰だってそう思うでしょ!?」

 

「畜生!恨むぜクラインさん!」

 

こんなことなら、素直に謝罪しておけばよかったと、イチカの内心で後悔の念が渦巻く。

目の前には、羞恥と怒りで顔を真っ赤にしている絶剣ことユウキ。

…さて、どう収集付けたものか。

 

「な、何だよ、絶剣様がお怒りなのは『絶刀』の奴が原因なのか?」

 

(もしかして俺、そのとばっちりでリメンライトになるまでやられたの!?)

 

「この野郎!イチカ!絶剣様の機嫌を直すために斬られやがれ!」

 

「処刑だ!公開処刑!!おいデュエルしろよ!」

 

まさに非難囂々である。

イチカを囲み、ユウキとのデュエルしろと御所望のようだ。

 

「へぇ…イチカ、っていうんだ?『絶刀』、それが君の二つ名なんだね?」

 

「…まぁな。前にやってたゲームで済し崩しに付いた名前だけど。」

 

「そっか。黒の剣士(キリト)閃光(アスナ)…2人に並び立つ噂の刀使い。それがキミ?」

 

「そこまで偉大なモンじゃないけど…」

 

「…ふふふ…そうなんだ。じゃあ探す手間も省けたし、お尻フェチさんを成敗する事も出来るし、一石二鳥だね。」

 

「は…?」

 

「ねぇお尻フェチさん、ボクとデュエルしよ?」

 

「だから!俺は尻フェチじゃ…っ!」

 

ユウキは腰から、愛剣マクアフィテルを抜き取ると、イチカにその切っ先を突き付ける。

彼女の目は、先程の怒り心頭のそれとはまた違う、こちらを射貫かんばかりの鋭く、強い眼差しだ。

 

「ボクと勝負してくれたら、勝っても負けてもお尻のことに関しては許してあげる。ボクに勝ったら、ボクのオリジナルソードスキルをあげるし、…どうかな?」

 

「オリジナルソードスキルに関してはともかく…ダイブの件を水に流してくれるなら有りがたいことは無いな。」

 

「決まりだね。」

 

同意を得たと確信するや、ユウキは端末を操作し、イチカにデュエルの申請を送る。

デュエルするだけで許してくれるなら、此程有り難い話はない。それに何よりも、キリトやアスナを負かしたという絶刀、その少女と戦って勝ってみたい気持ちもあった。

 

「良いぜ、やろうか絶剣!」

 

「全力でやろうよ、絶刀!」

 

イチカのデュエル承諾が通ると共に、試合開始へのカウントダウンが始まった。

円夏が一夏を呼ぶ時の呼び方は?今後の小説に反映されます。

  • にいに。
  • お兄ちゃん。
  • 兄さん。
  • 兄貴。
  • 一夏。
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