インフィニット・ストラトス~君が描いた未来の世界は~ 作:ロシアよ永遠に
翌日
中間考査も終わり、科目によってはテストの答案を返却され始めている。
早くに行われた基礎科目においては、周囲が一喜一憂する中で、一夏の答案もその手元に戻ってきた。前方のスクリーンには、学年内における平均点が表示される。その点数もかなり高く、流石難関のIS学園だけあるものだ。
「ねぇ一夏。点数はどんな感じだった?」
優等生を画に描いたようなシャルロットが、一夏の出来を気にしてか、やんわりと尋ねてくる。対して一夏は、手元にある答案を見て、まぁこんな物かと感じているところだった。
その点数はというと、どれもこれも90点代ばかりで、間違いなく総合点数で言えば上位に食い込むめるほどの出来映えだ。
「まぁこんなもんかなって思ってる。そっちは?」
「ボクもそこそこ、かな。…でも相変わらず一夏はスゴいよね。IS学園になし崩しで入ったって聞いたのに、基礎科目はいつも上位なんだもん。」
「本当ですわ。最近ではISの成績の方も芳しいようですし…これは私もうかうかしていられませんわね。」
ALOでアスナによって、勉強のポイントをしっかりみっちりと教わっているので、最近では基礎科目をそこそこに、IS方面への予習復習に回す時間が増えている。そのため、IS関係の成績も、少しずつではあるが伸びを見せ始めていた。流石にALOでIS関係の勉強をするわけにもいかないので、ログアウトしてからの事になるのは割愛だが。
「やっぱ下積みってのは大事だなって、受験前に痛感したからな。SAOの攻略の傍らに勉強してたのが功を奏したんだ。」
お陰で全く知らない知識であったISはともかく、基礎科目はしっかりとついていくことが出来た。もしこれが出来なかったとしたら、今頃赤点のオンパレードだったに違いない。
「うむ、流石私の嫁だ。夫として鼻が高いぞ。」
「はは、嫁はともかく、自慢に思ってくれるのはありがたいよ。サンキューなラウラ。」
「なっ…わ、私とて嫁を自慢したくなることくらいあるぞ…!か、感謝されるのは…やぶさかではないが…礼を言われるほどのことでもないのだぞ。」
未だ照れやすいラウラは、真顔で感謝してくる一夏を真正面から見ることが出来ず、腕を組んでプイッと顔を背ける。
これが惚れた弱み、と言う奴なのだろうか。
「ところで一夏。今日は放課後の予定はあるのか?私は一度、皆でISの訓練をしようかと思っているのだが…。」
「そうですわね。試験勉強ばかりで身体が鈍っているのもよろしくありませんし、良い案だと思いますわ。」
「そうだな。嫁、夕日の射すアリーナで私と闘え!そして絆を育もうではないか!」
「いやラウラ、青春の友情漫画とごっちゃになってるから…。」
確かにISの訓練、と言うのは、ここIS学園に通う上で必要不可欠なものだ。しかもここにいるメンバーは全員専用機持ち。貴重なISコアを持たされているのだから、それを最大限活かすために訓練を行うのは、最早義務的なところもある。
「あ~、悪い。今日も向こうで約束があるんだ。…いや、約束っつーか…」
「「「「???」」」」
「罰ゲーム?」
…もしかしなくても、復帰早々目の前の男は何かしらやらかしたのだろうと、4人は何となく察してしまう。…それも何故か…女性絡みである、と。
「そ、そんなわけだからさ。悪いな。埋め合わせは必ずするよ。」
やや煮え切らない所もあるが、それでもこんな彼に惚れてしまったのだ。約束…いや、罰ゲームを無理にキャンセルしろとは言えず、自分達も埋め合わせをして貰えるとの言質を取ったので、こちらも埋め合わせと称した罰ゲームを考えよう。そんな一致した4人だった。
「…さて、ちょっと…早かったかな…。」
放課後になって挨拶もそこそこに、急ぎ部屋に戻ってアミュスフィアからALOにログインしたイチカ。時間を見れば、15時50分。本来の予定時間よりも10分程早く入れた。
あのあと、24層主街区の宿屋でセーブしてログアウト。ここから約束の場所までそこまで時間も掛からないので、30分ほど手持ち無沙汰である。
「仕方ない。アイテムの整理や確認をしておくかな。」
ベッドで寝そべると、指をスライドさせてアイテムストレージを開き、アイテム毎に整理や、どのようなアイテムがあったかなどの確認をしていく。素材アイテムに鉱石アイテム、クエストの有効期限が切れたアイテムは破棄、食材アイテムの耐久値…。
「ん?そうだ、暇つぶしに…」
待ち合わせ時間までにやることを見つけたイチカは早速立ち上がると、軽い足取りで部屋を後にした。
16時20分 24層小島エリア
昨日と変わらない朗らかな陽気の中で、ユウキは大木に背を預けて小休止を入れていた。
先ほどまで例のデュエルを散々やり合って、今日は約束があるからと早々に切り上げて、こうして時間までゆっくり過ごす。
仮想世界と言えど、そのアバターの身体を動かすためには、多少なりとも集中力が必要となるために、こうして休むことも重要になっていた。
ゆっくり目を閉じて、風のせせらぎや、わずかに波打つ湖の水面の音に身を任せていると、カサリと草を踏み締める音がユウキの目を開けさせる。
「よっ、待たせたなユウキ。」
「ん~ん。待ってる間、少し休憩出来たから、気にしなくていいよイチカ。」
「なんだ、やっぱり今日もデュエル三昧だったのか?」
「いいじゃん~、デュエル楽しいもん!それより、イチカ、何持ってるの?」
左腰に雪華を携えているのは分かるが、右手に持つバスケットは何なのだろう?そんな素朴な疑問が、ユウキには芽生えて尋ねるに至る。そう言えば、さっきからほのかに甘い匂いが漂って来ているし…。
「いや、ユウキのことだから、今日もデュエルしまくって疲れているだろうと思ってな。差し入れ持ってきたんだよ。」
「差し入れ…?もしかしてイチカの手作り?」
「おう、こう見えても、料理スキルカンスト済みだぜ?」
「おぉ~!!」
料理スキルカンストプレイヤーの手作りとあって、ユウキの眼がいつも以上に光り輝いている。…どうやら身体を動かしまくってお疲れのようだ。ここで何かを食べても、お腹が膨れた気になるだけだが、それでも美味しい物を食べた実感が味わえる、と言うのは良いことだ。
バスケットの蓋を開けてみれば、ほのかに鼻腔をくすぐる甘い香りが辺りに漂い、ユウキの喉をゴクリと鳴らさせる。
「これって…お饅頭?」
「みたいだな。暫くインしていない内にアップデートか何かでレシピが追加されていてさ。試しに作ってみたんだよ。」
中には、肉まんほどの大きさの白い物が数個、綺麗に並べられていた。このバスケットに保存の効果があるのか、未だホカホカと暖かな湯気を放っている。
「ねね!一つ貰ってもいい?」
「いいぜ、その為に作ってきたからな。」
「わぁい!ありがとうイチカ!」
ホカホカなので、火傷に気を付けながら、おっかなびっくり、そっと饅頭を手に取るユウキは、その小さな口でふぅふぅと冷ましながら、食べられるくらいまでその温度を落としていく。
「そーいえば、イチカ。」
「ん~?」
イチカもどんな味がするのか食べてみるために多めに作ったのか、残る内の一つを手にとってそれを口元へ。やはり彼にとっても熱いのか、フウフウと冷ましに掛かる。
「これって、なんていうお菓子なの?」
そう言ってユウキは少々恥じらいに欠けるが、大きく口を開けて、その饅頭にかぶりつく。
「確か…タラン饅じゅ」
「んんんんん!?!?」
ブニュル
と言う、何とも表現しがたい音と共に、ユウキのこれまた表現しがたい悲鳴染みた声がイチカの耳に入る。
何事かとユウキを見れば、白い、とろみのある液体がユウキの顔に飛び散り、頬や額、口許を白く汚していた。
「え?え?」
「んん~!!」
「こ、これ、小篭包みたいにクリームが飛び散る、の?」
「んん~!!」
「あ!わ、悪ぃ!な、何か拭くもの要るよな!?ま、待ってろよユウキ!」
イチカは急ぎストレージを開き、カラカラとアイテムスロットをスクロールさせて、何か紙アイテムや布アイテムを探す。しかし中々見つけることも出来ず、そんな中でもユウキの顔からは白濁とした液体がゆっくりと滴り落ちていく。
「ん、んん~。」
イチカが必死に探す中で、ユウキは口に入ったそれを必死に飲み込もうとしているのか、モグモグと咀嚼している。そんな彼女に…なぜかイチカは目を見開いて釘付けになってしまう。
「んっ……!!」
ゴクリ…
それはどちらの飲み込む音なのか。
白い液体を、必死に飲み込もうとするユウキが、とてもいやらしく、そして官能的だったのか、イチカも思わず生唾を飲み込んでしまったのかも知れない。
「………」
「………えへへ、こんなに勢いよく出る物なんだね。ボク、こんなの初めてだからビックリしちゃった。」
「お、おう…。」
とりあえず…布アイテムをオブジェクト化出来たので、クリームが未だ顔に付着しているユウキの顔を拭きに掛かった時だった。
「ウチのリーダーに、何してくれとんじゃゴルァァァァァァァ!!!!」
目の前にスプリガンの女性から、最大速度からのドロップキックが飛び出し、哀れイチカはその勢いに負けて吹っ飛び、小島の外へ飛び出し、水面を水切りのようにバウンドし、
森の中へとシュゥゥゥゥゥウウウ!!!
超ッ!!エキサイティンッッッ!!
なことになってしまった。
今回の元ネタ
漫画版プログレッシブ三巻
アスナさん妙にエロいです
このシーンのユウキ版。挿絵を描いて下さる勇者様募sh)ry
円夏が一夏を呼ぶ時の呼び方は?今後の小説に反映されます。
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にいに。
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お兄ちゃん。
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兄さん。
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兄貴。
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一夏。