「ふふ、全然変わってなかったなぁ」
そう独り言を漏らしながら宝物庫内部を進む輝盾はギルド、アインズ・ウール・ゴウンの良心という二つ名で呼ばれていたプレイヤーだ。
種族としては解放条件が不確かであり、プレイヤーの間でも珍しいとされた聖霊種を取得している。
聖霊種は優秀な各種耐性や豊富なMPが特徴であり、デメリットとして中装備区分や重装備区分の装備を身に付けられない事や精神系状態異常に対して弱点を有している。
そんな輝盾の職業は前衛、しかも防御型を主とした割り振りになっていた。
多種多様な職業には種族的デメリットを打ち消し、不可能を可能とするものがある。
それは輝盾の構成にも反映されており、中装備や重装備が装備出来ないと言うデメリットはセラフィムガードという職業に存在するパッシブスキルによって打ち消されていた。
神界の守護者というそのスキルは最大HPを上昇させ、聖鎧等といった特殊区分に設定されている装備を装備できるようになると言う物。
これによって輝盾が心血注いで集めた素材を使って作り上げた装備を装備した輝盾は全ワールドトップクラスの耐久性を誇っていた。
その装備類は外装データに拘った事もあり、光の反射によって虹色に輝く全身鎧
それらを身に纏いスキルを使用した輝盾が虹色に発光する様は『歩くイルミネーション』と揶揄され一時期は晒しスレにチーターとして晒されたこともあった。
「あっと、ここだっけ。忘れちゃってるなぁ……」
そうぼやきながら保管されていた自身の装備を取りだし、ほっそりとしたその体に不釣り合いな程に巨大な金属鎧を身に付けていく輝盾。
「ん、よし」
ガチャリガチャリと各部を動かし確認し、コンソールに表示された時間を見て息を呑む
――23:57
「うっそぉ!?」
驚きすっとんきょうな声を上げた輝盾は急いで残った聖剣と聖盾を手に取るとガチャガチャと騒音を撒き散らしながら玉座の間へ向かい走るのであった。
「……結局、間に合ってないじゃないですか」
乾いたような笑いを上げたモモンガは先程まで設定を開いて確認していた階層守護者統括から目を反らし、深く目を瞑って数を数える。
――57、58、59
ガチャンガチャンと輝盾が発して居るであろう忙しない金属音が遠くから近づいて来る音を耳にしながら自分が笑って居ることに気付き。
そう言えば輝盾さんはそういった所のある人だったな、と懐かしい思いに浸りながら最後の時を迎え
――00、01、02、03
なかった。
「せ、セーフ!?」
突如として脳内に響く焦った少女のような涼やかな声。
耳で聞き取るのではなく"脳内に響く"という感覚にモモンガは驚愕し
「「「「輝盾様っ!?」」」」
「「アイエエエエ!?シャベッタァアアアア!?」」
続けざまに起こったNPCが喋ると言う異常事態に二人は声を揃えて驚愕するのであった。