「輝盾様、お戻りになられていたのですか!?」
驚愕し、困惑した二人に対してモモンガの近くで侍っていた黒翼を持つ美女が声を上げる。
「他の至高の御方々もお戻りになられているのでしょうか!?」
黒翼の美女、アルベドの問いかけになんと答えるべきかと輝盾が混乱した頭を悩ませ、口を開こうとした瞬間。
「騒々しい、静かにせよ」
玉座に座っていたモモンガが支配者に足る威圧感と共に重い言葉が発せられる。
慌てて謝罪したアルベドに対し許しの言葉を投げたモモンガは待機していた執事長のセバスや彼直属の戦闘メイド部隊であるプレアデスに矢継ぎ早に指示を飛ばす。
そしてモモンガと輝盾は玉座の間で改めてアルベドに対して思い付きの説明を始めたのであった。
「――と、言うわけだ」
「なるほど、つまり輝盾様は今回の異常事態に備えてお力を蓄えられておられたのですね」
「え、と。うん、そうなの……かな? 本当は他の皆も集まる予定だった……んだけど」
「そう言った理由が……」
「う、む。6層の闘技場にて全守護者を集めた折にこの話は再び行うつもりである。よって質問等はその時だ」
了解を示したアルベドから視線を移し、輝盾へと向けたモモンガ。
その時輝盾に伝言の魔術が入る、送り主は目の前で威厳たっぷりに構えているギルドマスターのモモンガ。
「(も、モモンガ……さん?)」
「(キキキキ輝盾サンドドドドウシマショウ……!)」
「(モ、モモンガさーん!?)」
あっ、これはアカンやつや。そう確信した輝盾はアルベドに各階層守護者を集めるよう指示をする。
何事かを言おうとするアルベドに対して重ねてモモンガが指示する事で漸く玉座の間で二人きりになった輝盾とモモンガは顔を見合せ重い息を吐き出した。
「これは、一体何がどうなっているんでしょうね……」
「私にだって分かりませんよ……と言うかすごくビックリしたんですから。大魔王降臨!って感じの声出しますし」
「あれは……いえ、NPCを勝手に動かしてしまってすみま」
「あぁいや、そう言うことが言いたい訳じゃなくてですね。……うん、やっぱりモモンガさんはモモンガさんですね」
笑うかのように脳内に柔らかな声を響かせる輝盾にモモンガは何か言いたげな視線を向ける。
しかし何時までもこのままで居るわけにはいかないと言うことを思い出したモモンガは輝盾との会話を再開した。
「結局のところ、何がどうなっているんでしょう? 触覚も、嗅覚も、コンソールだって開きませんし……」
「そうですね、考えられるのは2つ程でしょうか。これがゲームで私たちが閉じ込められている、もしくは――」
「「ゲームが現実になっている」ですか」
「私たちはどうしたら良いんでしょうね。もっと学が有れば場当たり的な対処をしなくて済んだのかもしれませんけれど……」
「……兎に角、ここが現実であると仮定して敵が居ないと思い込むのは止めた方が良いでしょう。自分のスキルや、出来ることの検証をしませんか?」
重々しそうなその言葉に輝盾は了承の意を返すと自身の部屋に向かって歩を進める。
最後に振り返った輝盾はモモンガに対して言葉を投げた。
「モモンガさん、もうちょっと自信を持ってください。先ほどの指示に問題は無いと思いますし、モモンガさんがギルドマスター何ですから。ね?」
輝盾はそのまま視線を戻し、目を見開き何かを言おうとするモモンガに気付くこと無くその場を後にするのであった。