「取り敢えず防御系スキルに問題は無い……のかなぁ」
セイクリッドバリアやディバインガードと言った防御系スキルの確認をした輝盾は不安そうに頷いて目の前にある巨大な姿見に写った自身の姿にポツリと言葉を漏らす
「やっぱり、すっごい光ってる……」
そこにある巨大な発光体は光輝と言う概念を体現するに相応しい存在感を放っていた。
穢れとは無縁だろうと一目で理解できる聖鎧、その腹部に当たる部分には巨大な結晶体が埋め込まれている。
この結晶体は彼が5年の歳月をかけて、自力で集めた七色鉱を使って造った熱素石という世界級アイテムを素材に造られた輝盾自慢の装備であり、その内に宿した効果は奥の手の一つであった。
輝盾の放つ光を反射するかの如く煌々と輝くその部位をじっと見ているとちょっとしたことで暴発しないだろうかと言う不安にすら駆られる。
「いや、うん。大丈夫……だよね?」
ゴシャゴシャと硬い物が擦れ合う音を響かせ、手甲を着けたまま腹部にある結晶体を撫でていると、モモンガから〈伝言〉が入ってきた。
「(輝盾さん、今大丈夫ですか?)」
「(モモンガさん、ええ、丁度一区切り付いたところです)」
「(あぁ、それはよかった。もうそろそろ階層守護者全員が集まりそうなので連絡を、と思いまして)」
「(もうそんな時間だったんですね。解りました、すぐにそちらに向かいます)」
「(ええ、場所は第六階層の"闘技場"です、ところでその……)」
「(え?あぁ、スキルとかについてですか?私の方には特に問題は無さそうです。ただ……)」
「(…?どうしました?もしかして何か不都合が出たり)」
「(あ、いえ。そう言う訳じゃなくて、スキルの効果に詳細な設定も反映されているみたいで)」
「(なるほど、でしたら後でその辺りを確かめましょうか。守護者達にも問題が無さそうでしたら手伝ってもらうと言うのも良いんじゃないでしょうか?)」
「(そうですね、精神異常がどういった効果を表すのかも気になりますし、デミウルゴスと防御面の確認にコキュートスにも手伝って貰えたら良いかもしれません)」
「(確かに、私が完全戦士化の魔法を使っても良いですけれどコキュートスには劣りますからね。この際スキルや魔法を徹底的に調べてみましょう)」
「(勝ち続けるためには自分を知り、相手を知り、場所を知る……でしたっけ?最初の頃にぷにっとさんが何時も言ってましたね)」
「(ははは、懐かしいですね。あの頃はまだ輝盾さんも軽装しかできなくて…………チッ)」
「(モモンガさん?)」
「(あぁいえ、どうやら精神異常無効スキルが感情を抑圧しているようで……と、少し長話をし過ぎちゃいましたね)」
「(そうですか……。あ、うん。解りました。それじゃあそちらに向かいますね)」
僅かな感覚と共に〈伝言〉が切れると輝盾は重い溜め息をひとつ吐き出す。
「階層守護者……か」
輝盾の脳裏に浮かぶ面々はどれも善良だとは言えないNPC達、もし彼らが自分の欲求に従って動くのであれば最悪の事態に備えておくべきなのかもしれない。
「ただの杞憂ならいいんだけれど……」
この世界に来て存在しなくなった筈の胃がキリキリ痛むような感覚を覚えながら輝盾は第六階層へと転移するのであった。